自交労働者No.673、2006年8月1日

自交総連の闘いに確信を

交政審報告を実効あるものに

第6回常執

組織拡大など方針案を提起


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次年度方針などを議論した第6回常執=7月24日、自交共済事務所
 自交総連は7月24日、自交共済事務所で第6回常任中央執行委員会をひらき、春闘総括と新年度運動方針などを議論しました。
 議論の中心となったのは7月7日に出された交政審タクシー小委員会報告に対する評価です。
 報告が、規制緩和失敗は認めないものの、市場の失敗という表現で事実上、自交総連の従来からの主張を認めた点、乗務員の登録制が提起された点、監査の強化や労働力コストを入れて運賃審査をすることなどについては、正当に評価すべきであり、活用できる部分は大いに活用していくべきだとの意見が出されました。
 報告の積極面は生かして、今後実効ある措置となるよう運動していく必要があるとともに、事実上規制緩和路線の見直しまで政府を追い込んできた自交総連の闘いに確信を持ち、よく学習して、組合員のなかに広げていく必要があることが確認されました。
 運動方針案は、こうした成果をいかして、(1)社会的水準の労働条件確立(2)政策要求の実現(3)悪政の打破(4)組織強化拡大の4つの要求課題を掲げ、とくに拡大では3か年計画を1年繰り延べして目標達成をめざすことなどを提起しています。



春闘総括、次年度方針を議論

夏季研究集会に224人参加

東京地連


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東京地連第49回夏季研のようす=7月12〜13日、鬼怒川グリーンパレス
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分散会に分かれ議論を行う参加者
 【東京】東京地連の第49回夏季研究集会は7月12、13日の2日間、鬼怒川グリーンパレスで開催され、48組合224人が参加しました。
 冒頭、領家委員長は、7月7日に出された国交省「タクシーサービスの将来ビジョン小委員会」の最終報告書について、「規制緩和の失敗を全体の認識にはできなかったが『市場の失敗』の存在を盛り込ませたことは運動の成果である」と述べました。
 続いて、同委員会に委員として参加した自交総連本部・今村書記長が、これまでの審議経過を報告。その後、全労連・坂内事務局長が基調講演。続いて鈴木書記長より春闘総括および次年度方針が提案され、その提案にもとづいて分散会討議が行われました。
 2日目の全体会議では、分散会報告に続いて、南部法律事務所の永野弁護士が、現在とりくまれている国賠訴訟の進行状況を報告しました。全体討論では5人が発言。国賠原告団の代表、東京個タク労組、青年部などから訴えや決意表明などがなされ、鈴木書記長が答弁。領家委員長の突き上げで全日程を終了しました。



当面する課題など学習

東北ブロック

第7回幹部学校ひらく


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労働審判員制度などを学習する参加者=7月20〜22日、山形・鶴岡市浜辺の宿都屋
 【宮城】自交総連東北ブロック協議会第7回幹部学校が山形県鶴岡湯浜温泉・浜辺の宿「都屋」で、7月20日から22日にかけて開催され、山形15人、宮城24人、福島6人の45人が参加しました。
 東北ブロック相沢議長の主催者あいさつの後、自交総連本部・今村書記長が「第2回中央闘争委員会(2000年5月10日)以降の自交総連の闘いは、規制緩和施行後の未来を予測した通り現実になり、そのことは誰もが認める今、国が『交通政策審議会タクシー小委員会』を立ち上げたことや、運転者登録を来年実施に向け報告書にとりあげたこと自体間違いを認めたことであり、まさに私たちの闘いは、輸送の安心・安全、誇りと働きがい、地域貢献のために『もう一つのタクシー確かな再生へ』が、共通する運動と闘いであった」と講演しました。
 また、労働審判員制度の活用について、山形県酒田飽海(あくみ)地域労連・本間博事務局長(審判員)が、当面する課題やとりくみ経過、審判員の心得を語りました。
 2日目は、青森・弘前の宣伝行動や各ブロックでのとりくみ、争議組合の報告がされました。



一日も早い救済を

佐野南海交通労組

地裁前で宣伝行動を展開


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「1日も早い決定で組合員と家族の救済を」と宣伝する組合員=7月11日、大阪地裁堺支部前
 【大阪】大阪地連と佐野南海交通労組は7月11日、大阪地裁堺支部門前で、同支部が6月26日に第一交通産業の強制執行停止申立を認めたことへの抗議と、組合側が翌27日に申し立てた「金員仮払仮処分裁判」の早期決定を求める宣伝行動を行いました。
 5月31日に大阪地裁堺支部が第一交通産業に慰謝料支払いを命令したため、第一交通産業が「賃金支払い協定を結び毎月の賃金を支払うので第一交通本社に対する強制執行はしないでほしい」と申し入れてきたため、組合は強制執行の処置を留保していました。しかし第一交通産業が6月20日に「強制執行停止」を裁判所に申し立ててきたため、早期の解決を求めて行われました。
 裁判所前では、佐野南海交通労組の堀川委員長が宣伝カーから「6月26日に堺支部は第一交通産業の申立を認める『決定』を下しました。この『決定』は、労働組合の破壊を狙い、同社の謀略行為を合理化することに手を貸すことにもなりかねません。組合員49人と家族は塗炭の苦しみにさらされています。そんななかで地裁堺支部に対して、6月27日に『判決』で認められた金額を仮に支払わせる『金員仮払仮処分』申請を緊急避難措置として行いました。一刻も早い決定を要請します」と訴えました。
 訴えが続くなか、組合員ら33人は門前を通行する市民にビラを手渡し支援を呼びかけました。



全体で未解決支部を支援

次年度は財政確立めざす

神奈川地本


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春闘総括などを行った学習討論集会=7月17〜18日、静岡・伊東市
 【神奈川】神奈川地本は、7月17〜18日に16支部69人が参加のもと、春闘総括と次年度方針討議を目的とした「06夏期学習討論集会」を静岡・伊東市(ホテルじゅらく)でひらきました。
 集会では、本部・小林書記次長が「交政審・小委員会報告を受けての今後の闘い」、東京地連・鈴木書記長が「東京地連の活動が着実な一歩を」と題した基調講演を行いました。続いて、大滝委員長が各支部の賃金体系の課題を分析し指摘。細川書記長が06春闘総括及び次年度方針案を提起しました。
 具体的な討議は、2日目に、第1から第3までに分かれて分散会で実施しました。
 賃金は、一支部で生産協力金1万3000円を獲得した外は、現行維持での妥結でした。職場要求では、定年延長やETC導入などを獲得でした。しかし、半数近くの支部が未解決で継続交渉で、全体の支援で解決をめざします。
 次年度は、学習と組織拡大で地本財政の確立をめざすことを意思統一しました。



交政審報告は我々の主張をどこまで取り入れたか

第2回

運転者登録制度の全国導入


交政審タクシー小委員会報告の要点と自交総連の事前の指摘 (2)運転者の要件、登録制度

運転者の要件の見直し
運転者登録制度の導入








 輸送の安全の向上と利用者利便の増進を図るため、全体的な質の向上が必要である。このため、例えば、法令の知識や接遇等に関する一定の講習の受講や事故歴を要件化する等の措置を講じる。
 同時に、事故歴等の面で問題のある運転者を雇用してはならないよう措置し、雇用者側の責任を明確化する。また、運転者の健康状態の確認について、一層の充実を図る。
 一定の年齢以上の運転者への対応について早急に検討し、輸送の安全の確保のために適切な要件とすることとする。
 今般、輸送の安全の確保と運転者の質の確保・向上を図る観点から、この仕組み〈タクシー業務適正化特別措置法に基づく指定〉を改善・強化した上で活用し、運転者登録制度について全国的に導入を図ることとする。当面、少なくとも政令指定都市について導入することを基本として、対象地域の拡大を図ることとする。その際、運転者登録の要件、地理試験の内容、指定地域の範囲、登録の取消要件等についても見直しを行い、輸送の安全及び利用利便を確保・向上する上で実効性の高い仕組みとする。また、現在の東京及び大阪の運転者登録制度のあり方についても併せて見直しを行い、仕組みの改善と機能の強化を図ることとする。







 ◎運転乗務員には道路交通法上の第二種免許が義務づけられております。それに加えまして、現在、タク臨法によりまして、東京、大阪においては運転者の登録制度が実施されておるところでございます。
 私どもとしましては、このような制度によって、タクシーサービスに必要な運転乗務員の資質を確保できるのではないかというふうに考えておるところでございます。
(2000.4.21 衆院運輸委員会での縄野運輸省自交局長答弁)
 ◎規制緩和が直接の原因となって事故やトラブルが増えていることが明確に数字として現われてはいない。規制緩和が有害という結論を出すのは時期尚早だと思う。 規制緩和をきっかけとして利用者利便や安全性が低下したという統計上の数字がない。

 ◎現行ではタクシーには二種免許があり、特措法の対象地域では登録制度がある。これらの活用で質の確保はできていると考えている。(タクシーセンターを全国につくる考えはないかとの問いに)自主的なとりくみは存在している。(2003.11.19 交運共闘の国土交通省交渉で自交局旅客課長補佐の回答)










 ◎ハイタク運転免許の制定
(1985.10 第8回定期大会)
 ◎タクシー運転免許構想
 資格要件は、21〜68歳までとし、悪質な犯罪暦・事故・違反暦がないこと。
 試験は、道交法・道運法・労基法などの法令、接客知識、介護等の技術取得、地理試験などについて行う。
 運輸行政が担当し、国家資格とする。
 (1999.1.26 タクシー運転免許構想(案))
 ◎現在、東京・大阪で実施されている地理試験をその他の地方でも実施するようにし、そのための運転者の登録機関を各都道府県に設けるよう要求します。当面は政令指定都市からはじめて、段階的に全国に拡大するということも考えられます。
 登録を行う組織については、…事業者に左右されない組織とする必要があります。(1999.1.26 タクシー運転免許構想(案))
 ◎法令に反するアルバイト運転者等に対して運転者証を発行するということがあってはなら(ない。)(2000.1.6 タクシー近代化センターのあり方についての自交総連の提言)



 「タクシー運転免許の制定」は明文では入らなかったが、下記の登録制の拡大と合わせ、運転者の質の向上が必要であることを認めさせたことは、実現への一歩接近といえる。  タクシーの事故増加は未確認という言い訳も通用しなくなり、登録制度の政令都市への導入が実現することとなった。
 タクシーセンターの問題点もすでに明らかにしているので、実施に際しては、その点をよく監視していく必要がある。



「道交法を学ぼう」

久賀さんを講師に学習会

山口地連


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道交法について講義する久賀オルグ=7月20日、下関市勤労福祉会館
 【山口】山口地連主催、全労連オルグ久賀さんの「道交法を学ぼう」と題した学習会が7月20日、下関市勤労福祉会館で開催されました。
 学習会では、交通事故の取り調べの際、誘導尋問やおどしに注意し、自分の記憶通りに述べ、調書の確認は慎重に、間違っていれば必ずその都度訂正させるなどし、もし訂正されない場合は署名押印は拒否すること。「任意か強制か」を聞き、任意であれば納得いかない場合、署名押印しなくてよい。それによって逮捕されることもないと。また、検察庁に呼び出され事故の確認の手続きを受け略式裁判に合意し署名押印すると罰金が100万円にもなる可能性もあるなど、いろいろ勉強になるものとなりました。
 また、この学習会には、自交総連組合員以外からも8人のかたが参加しました。
 学習会後、このような場を1回で終わらせず、何回もやってほしいという声が聞かれました。


自 交 総 連