自交労働者No.678、2006年11月1日 |
第29回定期大会抜本的な変革かちとる運動を新年度方針、役員体制を確立 |
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自交総連は10月18〜19日、東京・台東区民会館で第29回定期大会をひらき、新年度運動方針を確立し、飯沼新委員長をはじめ新役員(任期2年)を選出しました。大会では、機関紙コンクールの表彰、争議組合の紹介が行われ、討論では総括討論を含む19人が発言。方針・予算などの議案が採択されました。 委員長のあいさつ この1年は「今後10年のハイタクの歴史を左右する」と分析し、「タクシー小委員会」の内外で、規制緩和の検証と見直し及び今後のタクシーのあり方を求めて「歴史的な闘い」と位置づけて奮闘してまいりました。規制緩和の弊害と失敗、政府・国土交通省の責任追及の告発闘争と粘り強いとりくみは、マスコミの論調を大きく変え、世論も大きく変えてきました。
国交省はこうした情勢を無視できず交通政策審議会に「タクシーサービスの将来ビジョン小委員会」を設置せざるをえなくなり、この7月に報告書をまとめました。 これを実効性あるものとし、法改正など自交総連が提起したタクシー運転免許に近づけるためには、この秋から来春にかけての第2ラウンドともいえる闘いが重要であり、チャンス到来の時期であります。 闘いにより潮目を変えてきた今日の情勢は、我々の奮闘いかんでは抜本的な変革をかちとる状況を生み出しつつあると思います。そのためには、何といっても新しい運動を作り出していく組織の強化・拡大が重要です。 がんばりましょう。
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自交総連の運動共にがんばる来賓4氏があいさつ |
労働法制の改悪は許さない 全労連・宮垣忠事務局次長 全労連は政府・財界が進める労働法制の改悪を許さず、働くルールを確立し、額に汗する人たちがむくわれる世の中を作るために全力をあげがんばる。また、安心・安全なタクシーをとりもどすためにみなさんがめざすタクシー運転免許の法制化実現にむけ一緒にがんばる。 規制緩和で安全はぼろぼろ 交運共闘・熊谷俊介副議長 規制緩和は国民の生活をぼろぼろにしているだけでなく、交通機関の最大の使命である安全をもぼろぼろにしようとしている。タクシー労働者の生活は規制緩和によって厳しい状況におかれているが、交通の安全は、憲法で保障されている最低限度の生活ができる賃金でこそ初めてかちとれるものだ。 情勢は闘えば効果出る時代 顧問弁護団・須藤正樹弁護士 現在の情勢は闘えば効果が出る時代になった。国交省も報告書の中で、規制緩和の失敗を認めるようになったが、このことは宮城・東京での裁判で規制緩和の矛盾を暴露していくという運動によりそのことをマスコミがとりあげ、世論が形成されていったからだ。今後もこうした運動を展開していくことはとても重要だ。 憲法、教育基本法を守ろう 日本共産党・小林みえこ参議院議員 安倍内閣は、今国会での憲法改悪と教育基本法改悪の早期成立を狙っているが、このことは日本を戦争する国にすることにほかならない。私たちもこの改悪阻止にむけ全力でがんばるが、みなさんの中でも教育基本法も憲法も守る運動をひろげてほしい。 |
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大会討論各地の闘いを報告12地方19人が発言 |
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地連の力で無責任 経営の再建に奮闘 (1)福島・松本真作さん 川俣本田交通労組は、給料遅配など経営不安が高まるなかで03年に自交総連に加盟した。社長は無理難題の労働条件切り下げを提示してきたが、地連役員も入った団交で、社長の責務をさとし、経営者としての責任を果たすことと再建に向けて奮闘することを約束させた。地連の仲間と何とか再建させたい。 個人タクシー労働者の組織化めざす (2)東京・小村実さん 東京個人タクシー労組は82年に初めての個タク労組として結成された。組織拡大のために議論、対象者を整理し運動してきた。東京地連の法人の仲間が個タクに合格後、地連にとどまってもらうため東個労に加入してもらう運動を展開している。家庭訪問やビラ宣伝で訴え、3万人の自交総連に貢献したい。 団交で顧客拡大も 提案、会社も信頼 (3)神奈川・中野清さん 神奈川は全国3位の増車率で車両は増えているのに乗務員は減った。日勤や1人1車が増えている。今期は小和田交通支部が加入した。生田高砂交通支部は無線配車の不公平を是正する交渉から、無線利用の有効性と顧客拡大に活用することを提起、それが認められてユニオンショップをかちとった。 旅行業者を指導す る通達を出させる (4)大阪・松下末宏さん バス部会でとりくんできた貸切バスが高速路線バスと同様の運行を行っている問題に対して、国交省は6月に、長時間労働や速度違反を強いるようなことがあれば、旅行業者も違反行為の教唆・幇助となる可能性があるという通達を出した。引き続き過労運転の防止と適正運賃の適用を求めていきたい。 静岡市や中部・伊豆に自交総連を (5)静岡・伊藤雅晴さん 静岡には5800台9000人以上の仲間がいるが、地連は大部分が浜松を中心とした西部にある。未組織キャラバンで中部や伊豆地方での苦しい実態をつかんだ。そこには自交総連を必要とする仲間がいるはずで、組織拡大のチャンスだ。県都静岡市に自交総連の旗を立てることを目標にがんばりたい。 自主経営で町の仕事を積極的に獲得 (6)山形・武田幸夫さん 自主経営のハイヤーセンター支部は、幼稚園バスの送迎委託、協立病院の患者送迎のジャンボ貸切委託などを行い、JRの無人駅に営業所を移転して治安上からも町民に喜ばれている。同じく余目支部も、町の庁用バスの運転委託、福祉タクシー券を利用した障害者の外出支援サービスをしている。 国家賠償裁判、運動でたたかう (7)東京・高城政利さん 20人の原告と12人の弁護団で国を相手に大口割引運賃の行政処分取消と損害賠償請求の裁判をしている。弁護団まかせでなく運動によってたたかう裁判だと意志統一をして、裁判ごとに宣伝も実施、傍聴で法廷を埋め、意見陳述も行った。利用者・国民の理解も得て国の責任を追及していきたい。 県議会要請、自民党も内容は賛成と (8)石川・奥護さん 規制緩和万能論を乗り越え政府を動かしたのは運動の力だ。確信を職場の仲間と共有したい。石川でも登録制を求め県や金沢市に要請してきた。県議会では自民党も内容には賛成と言っていた。組織拡大では、執念をもったとりくみ、力の集中が必要だ。全国的な意志統一の会議配置を検討してほしい。 抵抗乗り越え実効ある登録制実施を (9)京都・安井暁さん 8月12日に全京都ハイタク決起集会を行い250台が集まった。抵抗勢力の妨害を乗り越え実効ある運転者登録制度の実施を、というテーマだ。登録制は大手が反対してきた。いまもセンターの法人化反対と言っている。抵抗があるのは方針が正しい証拠だ。今後は試験など中身を充実させる闘いになる。 労働運動では敵の弾圧に油断は禁物 (10)大阪・園田公作さん 奈良で宣伝中の組合員3人が不当逮捕された事件は、いま地検に不起訴を要請している。国民救援会や地域・全国の仲間の支援を受け、強力な弁護団で対応、奈良西署を追い込み、家宅捜索では令状のミスを見逃さず捜索を遅らせた。労働運動は敵の弾圧に準備が必要で油断は禁物というのが教訓だ。 30周年に向けて組織拡大めざす
(11)広島・切田明さん 呉市は580台で下限運賃などバラバラ運賃だったが、7月に全社一斉に上限の560円に値上げをして統一料金となった。1か月1万5000円の増収となり、ノースライドで7〜8000円の賃上げとなった。利用者の苦情もない。自交総連30周年にむけて、組織拡大目標めざして奮闘する。 原点に立ち返り意識を高める (12)福岡・内田大亮さん ワーカーズに入社して2年で書記次長に就任した。自主経営では、組合員としての意識を希薄化させる弱点を持っている。ワーカーズは、社内問題はもちろん地域に根ざした活動や、地域労組を応援していく目的をもっている。今こそ、原点に立ち返って組合員の意識を高める取り組みを行っている。 組合攻撃に敢然と闘い勝利和解 (13)大分・谷口克啓さん 大分臼津地区・津久見タクシーで、01年に就任した新社長との「自交総連を抜けてくれないか」の発言に端を発した闘いで、新車担当問題、組合員への脱退工作、「ここの組合は赤だ」などの攻撃に敢然と闘争。06年9月に3項目の合意をして和解・解決した。今後充分な総括をし、組織拡大にがんばる。 賛同求めるキャラバン行動展開 (14)鹿児島・橋口良一さん タク免の法制化を求める賛同署名で、自治体の首長に賛同願おうと、05年12月に県内15市・4町と県庁にキャラバン行動を行い2市3町から賛同をいただいた。町長から「労働組合がもっと頑張らなくちゃ」と激励された。大和交通の更生法手続きはまだ開始に至ってないが、最後までがんばる。 全国レベルの自主経営会議開催を
(15)福岡・廣瀬早美さん ワーカーズコープの(経営)理事会から5年ぶりに労働組合の委員長に就任したがこの間に流れが変った。交政審小委員会報告など我々を取り巻く情勢の大きな変化だ。大会に参加して実感した。 運動方針に自主経営問題の記載がない。本部として、全国レベルの自主経営の会議の設定を求める。 市民乗り合いタクシーを始める (16)大分・高野修さん 大分で、82社2233台(84・9%)が運賃値上げ申請をした。小型1キロ500円・200メートル50円が申請内容だ。しかし、8社が申請していない。不可解だ。さらに、第一交通が横槍を入れている。路線バスの代わりに10月2日に市民乗り合いタクシーを始めた。全国の皆さんに勧める。 国賠裁判どんなに困難でも闘う (17)宮城・青野邦彦さん 西観光バスで、パワハラ、セクハラなど会社のあらゆる嫌がらせ攻撃に勝利した。来月から、女性専従が地連に誕生する。国賠訴訟の現在の問題点は、規制緩和の生き証人となる尋問を裁判所が認めず不採用にしていることだ。次回、今村書記長が仙台を緊急調整地域に指定しないことについて法廷で明らかにする。今後、どんな困難があっても闘う。 第一交通裁判のすべてで勝利 (18)大阪・堀川卓夫さん 第一交通と闘って5年7か月経過し、現在、76件に及ぶ争訟になっている。判決が出されたすべてで組合が勝利し、第一交通から10億円を出させ、その60%を組合が獲得した。佐野南海労組58人は、第一交通産業に憤りを抱いたまま闘争している。大阪地連は、「労働者の誇りと働く喜びを返せ」で闘う。 国賠訴訟で規制緩和の弊害指摘 (19)東京・川崎一則さん 02年2月以後、4000台のタクシーが増えた。増車により乗務員不足は進行し、平均年齢は55・6歳となっている。さらに10種類の割引運賃が存在する。我々は、規制緩和の弊害を指摘し、大口割引運賃認可取り消しを求めて国賠訴訟を起こした。運賃改定について査定原価の公開を求めていく。 |
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歴史的闘いの真っ只中正しい道を貫く先頭に飯沼新委員長あいさつ |
交政審小委員会の報告書を実効性のあるものにさせ、タクシー運転免許の実現へ更に接近させること。規制緩和失敗を追及する宮城と東京の国賠倍訴訟の勝利。これらの闘いは、タクシーの社会的使命である「安心・安全」を守りぬくためにも、また、タクシーを魅力ある産業に再生させるためにも、すべての労働者の先頭に立って闘い抜かなければならない時なのです。 問題や課題が山積みしていることは承知しています。しかし、諸先輩たちが、それこそ命をかけて闘ってきたからこそ今があることを思えば、私たちは未来に向けて仲間のためにも闘い続けなければならないのです。 様々な困難と障害が待ち構えているでしょう。また、それ自体を批判する人も出てくるかもしれません。それでもめざす道が正しければ、そして、それを貫き通すことができれば、いつかはその歴史が証明してくれることを確信し、私は、先頭に立って奮闘する決意です。 |
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登録制導入や運賃改定執行部答弁有利な条件到来 |
まとめでは、規制緩和後4年半の闘いをもって勝ちとった情勢の大きな変化は、「チャンス到来」の局面を創り出した点にあると強調。タクシー事業の健全な発展を推進する上で、その根幹をなす労働者の労働条件改善、誇りと働きがいを確保する課題において有利な条件が生まれていると指摘しました。 その上で、(1)運転者登録制度の導入は、運転者の資質そのものを高めるにとどまらず、間接的効果として増車を抑制することに少なからず貢献する (2)労働条件の改善を主要な理由とする運賃改定の流れが顕著になっており、値上げともなれば改善を担保するさまざまな運動が各地に起こる (3)運動の広がりと連動し、産別組織結集への機運が高まる、と述べ、全国的な闘いの強化を訴えました。 |
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自 交 総 連 |