自交労働者No.681、2006年12月15日

なくそう格差と貧困

明るく議論し勝利を

07国民春闘討論集会

250人が闘う意思固め


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討論集会であいさつする坂内代表幹事=11月30日、静岡・熱海市
 「まもろう憲法・平和、なくそう格差と貧困、つくろう安全・安心な社会を」をスローガンとする07国民春闘方針案を討議する「07国民春闘討論集会」が、静岡県熱海市で、11月30日から2日間の日程でひらかれました。11年ぶりに国民春闘共闘委員会が主催したこの集会に、全国から250人が参加。厳しい情勢を克服し、旺盛な闘いを行うことの意思固めをしました。

 集会は、坂内代表幹事(全労連議長)の「春闘を闘ううえで大事なことは、情勢を的確にとらえ、気概を持って闘うこと。そして、労働者の希望を切り開くこと。暗い討論では勝てない。明るく議論し勝利を」の主催者あいさつ後、小田川事務局長が方針案を提案しました。

 方針案は、重点課題として(1)賃金の底上げを含む大幅賃上げ、(2)大企業の社会的責任の追及と働くルールの確立、(3)公務・公共サービスの維持・向上、(4)医療改悪と増税阻止、(5)憲法改悪阻止の5つの重点課題を軸に、一斉地方選挙と参院選挙の前段闘争と位置付けました。

 自交総連から飯沼委員長ら4人が参加。小林書記次長が発言しました。

春闘体制、闘いの流れと統一行動予定

1月9日 新春いっせい宣伝行動
  18日 日本経団連包囲行動
  29日 07春闘総決起集会
  30〜31日 第29回中央委員会
2月1日 2・1宣伝行動
2月12日 トヨタ愛知総行動
  18〜26日 中国・九州地方未組織宣伝キャラバン(予定)
  21〜23日 地域総行動ゾーン
3月○日 要求提出日
3月6日 安心できる雇用と賃金を! 3・6中央行動
  14日 集中回答日
  15日 春闘要求実現をめざす全国統一行動
4月12日 春闘統一行動



一方的賃下げに高裁でも勝利

大阪・佐野 南海労組

1審上回る内容


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報告集会で判決の解説をする横山弁護士=11月29日
 【大阪】第一交通の偽装廃業・全員解雇と闘う大阪地連佐野南海交通労組は、未払い賃金の支払いなどを求めていた裁判で11月29日、1審につづいて大阪高裁でも勝利判決をかちとりました。

 この裁判は、偽装廃業以前の一方的賃下げや不当配転、委員長・副委員長解雇などに関するもの。判決は、親会社の第一交通本社の共同不法行為責任を認め、1審を上回る約6000万円の支払いを命じています。

 判決後の報告集会には100人が参加。佐野南海労組の堀川委員長は「職場復帰をかちとってこそ完全勝利。そのためにこれからもがんばっていきたい」と述べました。

 弁護団の横山弁護士は「高裁が詳細に個々の不法行為、共同不法行為責任を認定しているので、仮に第一交通が上告しても、これが最高裁でくつがえるとは思えない」と判決を解説しました。

第一交通本社の共同不法行為責任認める

 【第一交通事件高裁判決のおもな内容】
 (1)佐野第一交通が行った一方的な就業規則の改悪(賃下げ)は、就業規則は労働協約に反してはならないと定めた労基法92条1項により無効。
 (2)一方的に中退共の掛金の支払いを中止したのは組合との合意違反。
 (3)共済会制度を一方的に廃止して、会社補助金を支払わないことは不当。
 (4)組合員7人に対する配置転換命令は不利益取り扱い。
 (5)堀川委員長・脇田副委員長の解雇は不利益取り扱い、組合への支配介入。
 (6)以上の行為は、いずれも不当労働行為であり、組合員の権利を侵害し損害をあたえ、民事的にも違法、不法行為に該当する。

 加えて、第一交通本社は、佐野第一の全株式を保有して同社を支配しうる立場にあり、労働条件等は本社で決定し、派遣した役員や管理職を使って実行してきたことからすれば、不法行為は佐野第一の独自の判断で行われたものではなく、第一交通本社の指示に基づいて行われてきたものと認められ、本社と佐野第一の共同不法行為である。



東京地連

運賃改定で労働条件改善を

関運局交渉 不当な回答に再交渉要請


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運賃改定ついて関運局と交渉する東京地連の代表=11月29日、関運局内
 【東京】東京地連は11月29日、秋闘の一環とした関東運輸局交渉を実施。飯沼委員長を先頭に3役専従者と各ブロック代表の11人が参加。関東運輸局は、会田旅客2課長はじめ9人が出席しました。

 (1)運賃改定に当たり査定原価と労働条件改善への寄与度の公開、増収分の労働条件改善への担保措置を講じること、(2)交通環境整備の徹底実施を、(3)許可申請等に係わる法令試験の内容を改め厳正に、(4)稼働率80%以下の事業者に減車指導を、(5)監査体制の強化と実施結果の公表を。(6)交通安全マネジメントの的確な実施指導を――の6項目を主題に交渉しました。

 関東運輸局は、(1)では、平成14年に公示された処分基準にのっとる。燃料費、労働条件改善が主な理由だが労働条件の問題は「労使の間で」。(3)もあくまで事業者の判断。と、これまでの回答に終始しました。東京地連は、申請が出そろった時点での再度の交渉を申し入れてきました。



神奈川

増収分は労働条件改善へ

労務改善協議会ひらく


 【神奈川】神奈川県タクシー協会と全神奈川ハイタク労働組合連絡会議は12月1日、横浜・県ハイタク会館で「労務改善協議会」を開催。労働条件改善にあてる担保協定締結を要請しました。

 会議では、運賃改定申請が進んでいる状況を踏まえ、値上げ後の増収分を賃金・労働条件改善にあてるようにとの労組側の提案に対し、申請理由の労働条件改善については具体的な還元協定は「経営権の侵害」と協会側が難色を示したため、労組側では文案のすり合わせを提案。これについて協会側は、12月20日の常任理事会に要請内容を報告するとし、労組側では運賃改定問題などで、15日に運輸支局にも申し入れを行うことにしました。

【覚書案の概要】

 運賃認可の際には、運賃改定による賃金・労働条件の改善について、各事業者はおのおのの賃金体系を踏まえて誠意を持って確実に還元し、運賃改定率の80%以上は乗務員の賃金・労働条件に還元するものとする。



運転者の違反点数制を導入

タクシー運転者登録制度

次期国会に改正案提出へ


 タクシー運転者登録制の政令指定都市への拡大の具体的構想の概要が明らかになってきました。

 各種報道などを総合すると、国土交通省は次期通常国会にタクシー業務適正化特別措置法(タク特法)の改正案を提出、08年4月を目途に実施する意向で、新制度として、(1)運転者の違反の点数制を導入(2)新指定地域では登録のみに限定(3)登録はタクシー協会などに委託(4)費用は手数料でまかなう――などを想定しているようです。

 【解説】タクシー運転者の登録制度は、運転者の質の向上や運転者数の一定の制限などにつながる一歩前進の制度ですが、問題はその中身です。

 国交省の案では、地理試験の難易度はまだ不明ですが、協会に委託して、費用も手数料のみでまかなうなど、本来期待される登録制度の役割を矮小化する傾向が見てとれます。

 一方では、運転者点数制を設けるなど運用次第によっては「取り締まり主義」に傾きかねない内容も含んでいます。

 今後、正式な案が固まってくるまでに、労働者・労働組合の立場で、実効ある制度となるように要求していくことが重要です。

 とくに、協会に委託することで機関の独立性が本当に保てるのか、運転者の個人情報の蓄積が労務管理や組合対策などに悪用されない保障、運転者の違法行為の背景にある悪質事業者の責任をどうするのかなど、問題点を指摘して、よりよいものにさせていく必要があります。

想定されるタクシー運転者登録制度の概要


現行のタク特法 改正後の方向
趣旨・目的 業務の適正化を図り、もって利用者の利便の確保に資する 輸送の安全の確保を目的に追加
指定地域 東京・大阪 政令指定都市を追加
運転者登録 登録対象 法人・個人 新指定地域では個人タクは除外
登録要件 2種免許保有、地理試験合格 法令、接遇、安全等の講習の受講を追加
登録事項 住所、氏名、生年月日、登録年月日等 個人ごとの事故・違反歴を追加
取り消し 道運法、タク特法に違反する行為をしたとき(単発の重大違反) 違反の点数制を導入して、違反を繰り返す場合にも取り消す
登録機関 事業内容 登録の他、運転者指導、研修、苦情処理、乗り場の整備などの適正化事業を実施 新指定地域では原則として登録のみで、適正化事業は実施しない
運営主体 財団法人タクシーセンター タクシー協会などに国の事務代行機関として登録業務を委託
費用負担 タクシー事業者からの車両数に応じた負担金。国からの補助は年間、東京3000万円、大阪2000万円(予算の2〜3%)程度 原則として登録手数料でまかなう。国は登録ネットワークシステムの開発・整備費のみ負担の予定
そ の 他
登録情報の全国ネットワーク化(取り消された者が他の都市ですぐに登録できないようにする)



自交総連に結集し実態変えよう

関西ブロック宣伝行動

今こそ要求実現を


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宣伝カーから乗務員にタクシー業界の実態を訴える弁士=11月21日、京都駅前
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乗務員にビラを渡す宣伝行動参加者=11月28日、奈良・生駒市内
 【大阪】組織拡大をめざす統一宣伝行動として関西ブロックは11月21日に京阪沿線、京都、28日には奈良市内でタクシー業界の推移、実態を訴え、自交総連加盟を呼びかけました。

 弁士は、宣伝カーからそれぞれの地方の実態を話し、権田議長は「02年2月の規制緩和後、大阪では新規参入と運賃の自由化が一段と進み約50種類の運賃や需要がないのに3000台も増車され、タクシー乗務員の賃金は27年前の水準にまで低下し、最賃や生活保護以下の賃金が蔓延している。10年前から私たちはこうした状況を予測し「タクシー労働者優位の『タクシー運転免許制』の法制化を訴えてきた、今こそ自交総連に結集し要求を実現しよう」と加盟を呼びかけました。

 宣伝行動を聞いていた労働者は「1日1万円あがらん、多すぎるタクシーなんとかならんか」(守口駅、日勤)、「新規参入の会社やけど、ここでは3万ぐらいはどうにかあがるけど大変や」(寝屋川駅)などと不満を口にしていました。

 2日間を通し岡田副委員長は「『がんばってや』と応援してくれる人も多く、配ったビラを食い入るように読んでいるなかまが目立った」と感想を寄せています。



乗務員からは悲鳴の声

中国ブロック宣伝行動

420台1260枚のビラ配布


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宣伝カーから乗務員へ呼びかけ=11月27〜28日
 【山口】自交総連中国ブロックは11月27〜28日、組織拡大宣伝行動を展開しました。

 現在、山口県では月2回の全県宣伝行動を実施しているため、今回の宣伝では広島県を重点に、タクシー420台にビラ1260枚を配布しました。

 午前9時、大竹駅を皮切りに、広島駅など11か所、翌28日は福山駅など4か所と最後にもう一度広島駅で配布しました。

 とくに福山では、初乗り500円がほとんどで乗務員は悲鳴を上げています。売り上げは落ち込み、実質1万5000〜6000円の給料ダウンになっているそうです。バカな値下げ競争はすべて乗務員犠牲です。

 今回の宣伝行動で感じたことは、運転手さんがビラを欲しがるようになったことです。以前から断る人は少なかったものの「他にもくれ」という人が増えたことで、配る側としては大変うれしいことです。



脳、心臓など重大疾患多い

健康状態に起因する事故

あいかわらずの高水準


運転者の健康状態に起因する事故等の件数の推移
バス ハイタク トラック
2003年 18 21 14 53
2004年 27 21 14 62
2005年 26 20 18 64
合計 71 62 46 179
 国土交通省は、自動車運転者の健康状態に起因する事故等の発生状況をとりまとめました。

 タクシーの事故は、20件と、規制緩和以降あいかわらずの高水準となっています。

 過去3年間のデータでは、バス・トラックも含めた179件のうち、脳血管疾患が56件と3分の1を占め、次いで心臓疾患が50件となっています。

 深夜を含む不規則労働の場合は、脳や心臓の重大疾患が多いことが指摘されています。

 また、年齢別では51〜60歳が74件と最も多くなっています。

 乗客や他車、歩行者の安全や、自らの命を削ってでも走らなければならないほど運転者を追いつめている規制緩和の悪影響が明確になりました。

年齢別事故件数 病名別事故件数



新加盟のなかま  (728)神奈川・湘和タクシー支部

組合の必要性感じ結成

 【神奈川】藤沢市にある湘和タクシーFiTで働く仲間は11月26日、湘和タクシー支部(雨宮正巳支部長)を結成、自交総連に加盟しました。
 今年3月に設立された新規会社で、賃金、労働条件はいいほうですが、身障者割引などで矛盾点があり、個人での会社への対応は難しく、組合の必要性を感じ、神奈川地本の運動にふれ、藤沢地区支部役員と地本に相談し加盟しました。



新加盟のなかま  (729)東京・サンベスト労組

運転者間での差別

 【東京】板橋区にあるサンベストで働く仲間は11月28日、サンベスト労働組合(小泉光委員長、7人)を結成、自交総連に加盟しました。
 会社では、賃金が、賃金規定通りに支払われなかったり、住宅手当などの諸手当が営業所長の判断で支給されないなど、運転者間での差別があり、さらに女性運転者に対する所長によるセクハラ行為があり、これらを是正するために組合を結成しました。



自 交 総 連