自交労働者No.698、2007年10月1日

労働条件改善、解雇撤回へ組合結成

力のある産別求め加盟

1年間の新加盟組合

 自交総連には、この1年間で11地方13組合の新しい組合が加盟しました。困難を乗り越え、解雇撤回や割増賃金の支払い、有休改善など一歩一歩着実に前進しています。いっそうの組織拡大の前進へむけ、この1年間に新加盟した組合について分析しました。

団結のすばらしさ実感

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今年3月岡山で新たに結成された
笠岡タクシー労組の結成大会

加盟理由

 加盟の理由では、「労働条件の改善」が最も多くなっています。大幅賃下げや一時金カット、廃止などが会社提案されたため、組合が必要となったものです。

 次に多いのが「産別結集の必要性」や「会社への対抗」で、現在の上部組織の力不足や、個人では会社に対応できないなどの理由があります。

 また、県労連に相談し、自交総連を紹介され加盟(福岡・桂川タクシー労組)してきているところもあります。

加盟の形態

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 加盟の形態では、未組織の組織化が最も多くなっています。また、企業内では何もできないとして産別に結集(東京・労働組合日の丸会)してきています。上部団体を求めて自交総連の運動を知り加盟(神奈川・湘和タクシー支部)したという例もありました。

地連組織確立へ奮闘

 特徴的なのは、今まで1組合しかなかった地方で、新たなに組合が結成(岡山・笠岡タクシー労組)されたところがあり、地連組織の確立へむけ奮闘しています。

攻撃打ち破る

 新加盟した組合では、会社からの攻撃もありますが、地連・地本が機敏に対応して支援体制を確立、解雇撤回などを認めさせ(東京・労働組合日の丸会、なら・自交総連日清商事支部)ています。

 こうしたところでは、自交総連の威力、仲間の団結のすばらしさを実感し、組合員の増加をめざし奮闘しています。

◎1年間の新規加盟組合

(注)※印はオブ加盟、機関紙に発表していない組合は含まれていません。
06・10・23 大 阪・自交総連龍神ユニオン労組
  11・26 神奈川・湘和タクシー支部
  11・28 東 京・サンベスト労組
  12・10 北海道・函館オーシャンタクシー労組
  12・21 千 葉・飛鳥交通八千代労組
07・1・6 福 岡・丸徳タクシー労組
  1・8 石 川・※コスモ交通労組
  2・1 東 京・労働組合日の丸会
  3・8 岡 山・笠岡タクシー労組
  8・2 な ら・自交総連日清商事支部
  8・9 福 島・アズマエクスプレス労組
  9・3 福 岡・桂川タクシー労組
  9・16 石 川・自交総連アクティ労組

大分

ノースラ増収で賃金1〜2万アップ

運賃改定後の輸送実績

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運賃改定について聞き取り調査をする
大分地連の仲間=6月6日、大分駅前

 4月27日に運賃改定(改定率10・7%)が実施された大分県の改定後の輸送実績が明らかになりました。

 表でわかるように、営業収入は全県平均で5月が4・9%増、6月が5・6%増(いずれも前年同月比)と増収効果が出ています。

 営業収入5%増とし、ノースライドで賃金が同率で増えるとすると、大分県の06年の年収265万円×5%=13・25万円、月当たり1万円強の賃金増になっていることになります。

 地域によっては10%以上の増収で、月2万円以上の賃金増になっているところもあります。例えば、市ごとにみると、湯布市は5月が25%増、杵築市は6月18%増、日田市は6月13%増、豊後高田市は5月11%増などとなっています。

 実在車両数をみると前年より3%程度減っていて、増車が抑制されていることが増収効果を支えています。

 一方、実車率や走行キロがわずかながら減り、増収率が改定率より少なくなっているということは、一定の「客離れ」もあるということで、万一、増車や値下げ競争が起これば、増収効果が消えてしまう危険性も示しています。

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長崎A

賃金アップ担保する査定内容

増車、値下げ競争抑制で運転者の賃金増を

 4月の大分・長崎に続いて9月14日から運賃が改定された長崎A地区(離島を除く全県)でも、「収支実績及び推定収支」が公開されています。特徴は以下のとおりです。

 運送収入は、ごくわずかですが自然増収になると査定されています。これは例外的な査定で、今年公示された他の地区はすべて自然減収となっています。自然増0・6%に加えて改定率が10・9%ですから、改定後の運送収入は11・5%増えると推定されています。

 支出のほうでは、直接運転者人件費(賃金)が推定増収率と同じ11・5%増えるとされ、その他は、ほとんど実績と変わらない査定です。燃料油脂費はマイナス査定です。

 直接運転者人件費の運送収入に対する割合(歩合率)は、実績も改定も54・1%と同率で、すなわちノースライドということです。

 仮に、3月の国交省通達による査定方式が採用されなかったとすると、直接運転者人件費は、運収の自然増と同じ0・6%増としか査定されず、運賃改定率も5%にとどまっていたと推定できます。

 運転者のノースライドを確保するために、改定率が倍になるような査定をしたというのが今回の運賃改定の趣旨ですから、改定の前後で歩合率(足切額)を変更するスライド賃下げが許されないことは明白です。

 改定後の実績はまだ明らかになっていませんが、大分の実績にみられるように、増車や値下げ競争を抑制して、確実な増収となり、運転者の賃金が増えるようにしなければなりません。

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名古屋も運賃改定

 9月21日、名古屋地区でもタクシー運賃改定が公示されました。大都市では初。

 改定率8・97%、認可10月5日、実施10月19日予定です。


すべての運動と結合し組織強化拡大を

第5回中執

第30回定期大会議案を確認

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大会開催を確認した第5回中執
=9月11〜12日、東京・水月ホテル鴎外荘

 自交総連本部の第5回中央執行委員会(地方代表者と合同)が、9月11〜12日に東京・水月ホテル鴎外荘でひらかれました。

 この会議では10月に開催される第30回定期大会(10月17〜18日)に提案する(1)会計報告、(2)2007年度運動方針案、(3)07年秋から08年春闘にむけた闘争方針案に加え、大会開催に関わる諸事項を議論し決定しました。

 第30回定期大会議案のポイントは、運動方針のはじめにの部分で30年前の自交総連結成時を振り返り、「自交労働者は戦闘的であったし活動的であった」ことの教訓を記述。「どんな困難があっても、労働者の根性で、闘いで、解決することが出来る」ことを強調し、今後1年間の運動を提起しています。

 秋から春にむけての秋闘方針では、「参議院で与野党の議席が逆転」という劇的な政治的変化のもとで、次の3点を重点にすることとしました。(1)組織の強化拡大を、すべての運動と結合してとりくむ。(2)増車抑制と減車、労働条件の改善にとりくむ。(3)登録制度の導入時に地理試験を実施させ、将来への展望を切り開く――を「決めたことは、みんなで必ず実行する」です。


未加入地方の対策強化を

自交共済 第26回総会

新年度活動計画決める

 自交共済は9月12日、東京・水月ホテル鴎外荘で第26回総会をひらき、10地方35人が参加、新年度活動計画を決めました。

 総会では、次年度(第25期)の活動計画として、自交共済への加入促進をはかるため、当面1万5000人を目標に、未加入地方への対策強化をはかるとともに、それぞれの地方が自主目標を設定し、大会や学習会、職場集会などの機会をつうじて単組加入がはかれるようにしていくことなどが決められました。

 また、各地方では「共済担当者」を配置し、登録への体制強化をはかるとともに、未組織労働者の組織化にあたっては、自交共済の内容を知らせることを重視してとりくむことなどを決めました。

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高い水準の在職死亡

 自交共済は、2006年度には組合員本人の死亡41人をはじめ全体で738人の産別給付を行い、組合員の助け合いの役割を果たしてきました。きびしい労働条件を反映して死亡者数はここ数年、高い水準が続いています。

 給付金の内訳では、組合員の死亡が多く、前期後半分、今期分を合わせて41件、1230万円となっています。

 83年度からの統計で死因で最も多いのは、ガン322人(39・0%)で、次いで、心臓病126人(15・3%)、自殺92人(11・2%)となっています。

 また、死亡時の年齢では、50代が483人と全体(824人)の58%を占め、次いで40代(168人)、60代(136人)となっています。

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若い幹部の育成が急務

全労連・民間部会

第16回総会ひらく

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07年度の活動方針などを決めた民間部会
第16回総会=9月20日、全労連会館

 全労連・民間部会は9月20日に、全労連会館において、第16回総会をひらきました。

 総会には13単産が出席。06年度の経過報告、07年度の活動方針、決算・予算を討論し、満場一致で決定しました。

 来賓として、全労連の坂内議長、公務労組連絡会の若井事務局長と純中立労組懇として全農協労連の老田委員長が、民間部会に期待し、労働者・国民のくらしと権利の向上にむけて一体の運動の構築をする見地での連帯あいさつをしました。

 討論では、ほとんどの単産で共通しているのは、幹部の高齢化が進んでおり、若い幹部の育成がまったなしの状態であることでした。今後の課題では、「組織の強化拡大」です。

 自交総連からは、飯沼委員長、今村書記長、小林書記次長が出席しました。