自交労働者No.700、2007年11月1日

産業別運動の新たな飛躍と挑戦を

自らの要求は、自らの闘いで新年度方針を確立

第30回定期大会

 自交総連は10月17〜18日、東京・すみだリバーサイドホールで第30回定期大会をひらき、新年度運動方針を確立しました。大会では、機関紙コンクール・写真コンテストの表彰、争議組合の紹介が行われ、討論では総括討論を含む21人が発言。方針・予算などの議案が採択されました。

委員長のあいさつ

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飯沼委員長

 本大会は、激動する政治情勢のもと、自交総連結成30年を迎え、自交労働者をとりまく環境も激変し、自交労働運動も大きな転換期での大会であります。

 私たちの粘り強い運動は、タクシー規制緩和の矛盾と弊害を明らかにし、タクシー運転者登録制度についてのタクシー業務適正化特別措置法の国会審議では、運転者の劣悪な労働条件の改善が焦点となり、その審議を反映し附帯決議が付けられ実効性のある制度の確保について一定の前進がはかられました。

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新年度方針などを決めた自交総連第30回
定期大会=10月17〜18日、東京・すみだリ
バーサイドホール

 また、昨年秋以降、全国的な流れとなったタクシー運賃改定問題については、改定率に見合う増収の確保と労働者への確実な還元を重視し、ノースライドの効果を発揮させるため、減車の実現や増車・運賃値下げ競争阻止の闘いの強化が必要です。

 自らの要求は、自らの闘いによってかちとる以外にないことは、自交総連30年の運動で明らかにされています。労働組合の大衆闘争を強化し、組織を大きく育て、自交労働運動をさらに前進させようではありませんか。

表


世論と運動が政治動かす

来賓4氏があいさつ

大胆な要求追求し闘争を

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坂内議長

 全労連・坂内三夫議長 我々の要求と運動が政治と国会を動かせるという状況が生まれている。国民の世論と私たちの運動が政治を動かすという新しいこの状況を生かして、今こそ大胆な要求を追求し攻勢的な政策闘争にうって出よう。新しい情勢を前に底力をいかんなく発揮して職場と地域と産業を変えるために自交総連の力を発揮していただきたい。

交運共闘のパンフが好評だ

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鈴木副議長

 交運共闘・鈴木信平副議長 自交総連は世論を動かし、行政を変えてきたが、その力は政策にある。

 交運共闘では、昨年、規制緩和で安全輸送が崩壊した。安心・安全な交通運輸をというパンフレットを作ったが、業界団体からも学者先生からも、ひっぱりだこ、行政も参考にするなどの影響力を及ぼしている。

構造改革そのものの打破を

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小賀坂弁護士

 顧問弁護団・小賀坂徹弁護士 規制緩和路線に対する影の部分の手当が足りないということが問題となっているが、手当ということではなく、構造改革そのものを打破していかなければならない。構造改革の典型的な被害者であるみなさんこそそれを変えるための資格と資質をもっている。充実した方針を練り上げていただくことを大いに期待したい。

自交総連の闘いは価値ある

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山下参議院議員

 日本共産党・山下よしき参議院議員 タクシー、バス労働者と利用者、国民の立場に一貫して立ち続けた自交総連の闘いは、一握りの大企業、大資産家の利益を増大させるだけで、圧倒的多数の労働者の生活の安全を悪化、低下させるという政府財界の構造改革・規制緩和路線の矛盾を突き崩したものとして国民的価値をもっている。


争議組合が決意表明

会場カンパに17万円超

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カンパを集める争議団

 大会には5地方5組合の長期争議組合が参加し、前に並んで紹介されました。

 各単組の代表が紹介されたのち、争議団を代表して、佐野南海交通労組の堀川さんが決意表明を行いました。

 石垣副委員長のカンパの呼びかけには17万7171円が集まりました。


闘いの歴史に学び強大な自交総連の構築を

大会討論

各地のとりくみ報告

14地方21人が発言

解雇撤回させた福島地連の威力

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団結がんばろうをする大会参加者

(1)福島・菅野正広さん キャラバン宣伝では他労組の組合員も聞き入っていて自交総連組合員の誇りを感じた。一昨年までは管理職の立場だったが、突然解雇され、勇気を出して組合に相談したところ、解雇撤回をかちとり、乗務員として職場復帰できた。地連の威力を知り、今は仲間とともに職場の改善にがんばっている。

13年の争議解決組織拡大めざす

(2)埼玉・香取勝雄さん 県南交通労組は13年にわたる争議を解決した。年功給の廃止や退職金改悪など全面的に賃金体系を変える一方的な賃下げは許さないという闘いで県内にも影響を与えた。会社からの攻撃で組織的に後退し少数組合になっているが、闘い抜いた実績を生かして組織統一、過半数をめざして奮闘したい。

4つの作戦で50人以上拡大

(3)東京・平岩千明さん 東京個人タクシー労組は組織拡大を真剣に討議して、(1)道交法闘争の強化(2)文化厚生活動(3)税務対策部の新設(4)東京地連の交通共済の活用という4つの作戦を決めた。個タクの試験会場前でビラ配布、合格者のうち地連組合員には家庭訪問して、昨年の大会以降50人を超える仲間を迎えることができた。

青年が交流できる場を提案

(4)静岡・青島孝吉さん 最低賃金が15円アップの697円になったが年間2400時間働いても167万円余にしかならない。時給1000円以上になるように訴え続けたい。地連には青年部がない。各単組には青年がいるのに交流の場がないので他単産にも声をかけて交流できる企画を県評に提案した。青年部を盛り上げたい。

値下げ競争に未来はない

(5)石川・金子久男さん 石川では値上げ申請をしておきながら一転して全面値下げ申請というまったく理屈の通らない事態が進行している。値下げにタクシー事業の未来はない。新たな需要に結びつくはずもなく、労働者は時間延長するほかない。地連では上限への復帰などを訴えて宣伝や申し入れを行い、声をあげ続けていく。

総量規制でタクシーもスイスイ

(6)京都・安井暁さん 京都の街を歩く街にしようと交運の仲間と自動車の総量規制にとりくんできた。行政も動かし、四条通りをバスとタクシーしか通さない実験をした。普段渋滞で動かない道路が動く道路になり、タクシーは通りの端まで走るうちに実車になるようになった。路面電車も活用して、公共交通優先の街にしたい。

第一交通と闘い6年7か月

(7)大阪・岩永英雄さん 佐野南海労組の第一交通産業との闘いは6年7か月になった。昨年5月に偽装廃業以降の賃金の仮処分が最高裁で確定し、今年4月には買収から解雇までの不法行為についても最高裁で勝利が確定した。偽装廃業後の雇用責任の裁判が10月に高裁判決となる。全面勝利まで引き続いての支援を訴える。

会社更生手続開始かちとる

(8)鹿児島・橋口良一さん 3月に大和交通の会社更生手続開始が鹿児島地裁で決定された。破産を避けるため05年に更生手続の申立を行ったが、裁判所からの予納金1000万円の打診を500万円にしてもらい決定に至った。別に出資金1000万円も全組合員の協力とカンパで用意した。長い道のりだが更生終了までがんばる。

ノースライド全県で実現

(9)大分・穴見博信さん 4月に運賃が上がった大分ではノースライドと一時金の上積みなど条件のアップもかちとった。九州ブロックの仲間の協力で運輸局交渉、ビラも2000枚配布し、運輸支局もタクシー協会を指導した結果だ。県内すべてでスライドダウンは行われていないが、ガスの高騰で来年は予断を許さない。

西鉄のスライド賃下げ許さない

(10)福岡・安武一洋さん はかたタクシー労組の書記長が駐車違反を口実に解雇された事件では職場復帰、玄海タクシー労組委員長がアルコール検知を口実に解雇された事件では仮処分で勝利した。西鉄タクシーでは運賃改定を前に増収分を会社が取るスライド賃下げを提案、最大15%、3万円もの賃下げで許されない。

久賀さんがまいた種を刈り取る

(11)山口・守重正一さん 全労連オルグの久賀さんが昨年5月に赴任してきて以来、月2回、県の西端から東端まで宣伝してきた。地連に労働相談の電話があったり、来所したり、徐々に効果が出てきて、小郡交通労組がオブ加盟した。久賀さんが退任しても宣伝は続け、まいた種を必ず刈り取り150人の地連をめざしたい。

岡山地連が発足3桁をめざす

(12)岡山・山上均さん 3月に県西部の笠岡タクシー労組に自交総連の旗が立ち、長い間の準備会から地連となった。笠岡タクシーでは正規と非正規の労働者で10%の賃金格差があるが、非正規社員へのバックアップはなく、自交総連に加盟した。早速今回の運賃改定でノースライドを協定した。3桁の地連をめざしていきたい。

足切りスライドの阻止に奮闘

(13)和歌山・杉本孝さん 全自交が分裂した30年前当時、和歌山地連は雲散霧消したといわれたが、和歌山ではちゃんと自交総連の旗を守っている。10月16日から運賃改定が実施されたが、一部の親睦会のなかに足切りのスライドを容認する声がある。国交省・運輸局の通達を生かしてスライド賃下げ阻止に奮闘したい。

バスいじめの旅行業者の規制を

(14)大阪・松下末宏さん 観光バス労働者は規制緩和で長時間労働を余儀なくされている。不当な契約を押し付ける旅行業者を取り締まってほしい。
 2月のあずみ野観光バスの事故では地連にマスコミ取材が殺到した。国交省も対策をとるといっているが監査要員が足りない。7月にはヒアリングが行われ実情を陳述してきた。

最賃違反なくし運賃改定前進へ

(15)京都・石原敏雄さん 運賃値上げの流れを作っていこうということで、組合内の学習会を行った。また、春闘で、主要組合で、運賃値上げのさいのノースライド+αの協定を結ぶことができた。経営者がどこまでやるかということについては疑問が残るが、運賃値上げを前にもっていくために、最賃問題を武器に闘っていく。

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関係資料を手に討論を聞く参加者

機関紙発行、財政の確立めざす

(16)神奈川・大滝信一さん 組合運営の3つの基本は(1)組織、(2)教育宣伝、(3)財政であるというが、神奈川では組織は継続されている。教宣については機関紙を6月に定期、再発行しとりくみを強化している。財政は今後3年間での非専従での財政確立をめざしている。大変なことになるが、目標が明確なのでやりがいもある。

新入組合員の教育を年数回実施

(17)東京・吉田三男さん 組織拡大を実現するには、組織拡大と幹部育成を車の両輪ととらえ、各単組の幹部育成は、日常活動を強化し、新しい組合員に対しては、新入組合員教育を年に複数回実施する。新規加盟単組への指導・援助は必ず集団的に行い、担当者を必ず配置し、新規加盟組合を放置したままにしないようにする。

久賀さん本当におつかれさま

(18)東京・柿沼勝広さん 久賀さん本当におつかれさま。職場にいるときからみんなの面倒をよく見ていた。3年間みんなのお世話をしてきた。食べ物も、着るものも何でもOK、という気をつかわない人間。3年間西の方で、ありがとう。

総括討論

未組織からの組合立ち上げを

(19)宮城・冨中有さん 組織拡大については、未組織のところから新たに組合を立ち上げることをやらないと増加にはならないのではないかと考えている。運賃問題では、値下げは労働条件をいっそう悪化させるとして事業者に対しアピールを行い、労働者にも宣伝を行った。社会的水準の労働条件確立へは、最低賃金法違反の一掃、足切りノルマの引き下げなどを重点課題としてとりくむ。

運動の成果で画期的な通達出た

(20)東京・川崎一則さん 規制緩和の張本人である国土交通省が運賃改定に関して異例の通達を出した。「労働条件改善は、労使間の問題」だとうそぶいていた態度を改め、運転者の労働条件を改善する措置を講じよ、労働者負担についても軽減して、手当て類の創設もせよという画期的な中身だ。私たちの運動の成果だ。これを生かす労働者の団結、組織拡大に奮闘したい。

ワンコイン対策で事業者と共同

(21)大阪・沢田茂さん ワンコインタクシーをなくすために、事業者も実効ある措置をとるために労働組合と協力共同をするという確約を結び、大阪地連では、タクシーを再生する委員会を作った。その中で、ワンコインタクシー対策についてどのような方策があるかということを検討し、行動もおこしている。とにかく、やらなければ前に進まない、現状を変えられないという思いでやっている。


新たな決意で要求闘争の先頭に

執行部答弁

実勢3万人回復へ全力を

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今村書記長

 執行部答弁に立った今村書記長は、第1に、闘いの到達点を正しく評価し、新たな決意で要求闘争の先頭に立とうと呼びかけました。

 同書記長はまず、全労連や交運共闘で、自交総連の運動が大きく評価されていることを紹介し、誇れる自交総連、期待される自交総連だと思う、と述べました。

 さらに、全労連のみならず日本労働運動の中でも、政策方針、さらに運動面において高い位置を占める組織として存在していることについて、規制緩和反対闘争の到達点やノースライド闘争、マスコミ報道など具体的事例をあげて解説し、このことをみんなの確信にする重要性について強調しました。

 第2に、今日の情勢はこれ以上の組織的後退を許さない¢S地方一丸となって、実勢3万人の回復にむけ全力をあげようと述べました。

 さらに、今の自交総連にとって、最も欠落しているものは、数の面における飛躍的前進と産別的視点を持った新しい幹部・活動家の育成であると指摘し、何が何でも組織拡大、そして強化を≠ニ訴えました。


大会宣言

2007年10月18日

自交総連

第30回定期大会

 自交総連は本日、「闘いの歴史に学び産業別運動の新たな飛躍と挑戦 強大な自交総連の構築を」をスローガンとする記念すべき第30回定期大会を終えた。30年を迎えた自交総連の闘いは、さまざまな困難を組合員の団結と創意で乗り越えてきた歴史である。

 30年前、自交総連結成時の自交労働運動の焦点のひとつは、タクシー運賃改定への対応であり、ノースライドを掲げる自交総連の方針は、経営者はもとより一部の労働団体からさえ、激しい攻撃の的となった。しかし、われわれの先輩組合員らは、不屈(ふくつ)にたたかいつづけた。その結果、今年3月に出された国土交通省の通達は、運賃改定の原価査定にノースライドを実質的に担保する方式を取り入れ、いまや、すべての労働団体をはじめ、経営者団体までもがノースライドを公言するに至っている。

 このことは、闘いが情勢を切り開き、継続した運動が必ずやその成果を結実させることを示している。

 われわれの前には依然として、いくつもの困難が立ちはだかっている。

 規制緩和により、タクシー・観光バスは事業が崩壊しかねない危機にひんし、労働条件は破壊されようとしている。少子化や労働法制の規制緩和によって、自教労働者もまた厳しい攻撃にさらされている。

 しかし、たたかいの歴史のなかにこそ問題解決のヒントがある。規制緩和に対しても、ひるまずに闘いつづけていることが、国民世論を大きく喚起(かんき)し、その見直しをさせる成果をかちとりつつある。

 国民的な格差と貧困の広がりをもたらした規制緩和・構造改革路線は、参議院選挙での自民・公明党の大敗に見られるように、多くの国民の怒りを呼びおこした。一旦は居座ったものの結局は史上最も無責任なかたちで政権を投げ出さざるを得なくなった安倍政権の混乱にみられるように、悪政の矛盾は激化し、労働者・国民本位に政治を変える条件が生まれている。

 いまこそ、労働者の切実な要求にもとづき、討議して決定した運動方針に団結し、決めたことをみんなで確実に実践しようではないか。

 実践の最大の重点は、闘いに参加する仲間をもっともっと増やすことである。全組合員が職場・地域ですべての労働者と連帯し、組合に迎え入れてたたかうよう呼びかけ、本大会の参加者はその先頭に立つことを宣言する。

 強大な自交総連の構築をめざし、ともにがんばろう。


「本気ですれば何でもできる」

久賀孝三 全労連オルグ

任務終了あいさつ

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久賀全労連オルグ

 3年間を振り返り、全労連オルグでしか経験でき得なかっただろうと思われる体験談を話します。

 三重県のある駅で、ビラを受け取らない、受け取らないだけじゃなく、怒鳴り続け、駅を利用する人などが見てる前でビラなどを放り投げられ、ヒザをついて取りよせたこともありました。

 また、三重の近鉄タクで組合を結成し、会社から組合員には残業をさせないという攻撃がしかけられ、賃金ダウンがわかっていてなぜ加入したのか聞くと「自交総連の組合、役員のいうことには道理がある。自交総連の人たちについていけば大丈夫だ」と言ったんです。全労連オルグになり、経験した大きな財産のひとつです。

 私は足を踏み入れた地方には十分すぎるほど、自交総連への結集、組合の必要性などの種をまいてきました。

 3年前の大会で最初からハイトップで全力で走り続けると公言しました。大分地連の元書記長だった高野さんの言葉に「本気ですれば、大抵のことができる」「本気ですれば何でもできる」「本気ですれば誰かが助けてくれる」といいました。みなさん、本気で組織拡大しようぜ。

 全国の仲間のみなさんに支えられた3年間の全労連オルグ、改めてみなさんに感謝申し上げます。