自交労働者No.703、2007年12月15日

4月1日から施行予定

国交省

効果測定は「テスト」実施

運転者登録制度の概要

写真
どこまで実効ある制度となるか今後の展開に
注目が集まる

 タクシー適正化特別措置法改正に伴う主要都市での運転者登録制度について12月4日、国交省で各労働団体や事業者団体への説明会がひらかれ、指定地域や講習内容の概要案が示されました(2面に概要を掲載)。

 法施行までのスケジュールでは、政令(指定地域)は来年1月まで、省令・通達は2月までに原案を固め、3月公布、4月1日から施行する予定です。

 新規登録時の講習については、登録実施機関が主体となることが想定されていますが、外部委託や自社講習も可能としており、公正・厳格性をどう担保するのかが問題となります。

 登録時の講習は、最低2日間10時間以上行い、1時間の効果測定(ペーパーテスト)を行うとしています。効果測定が義務付けられることは当然ですが、その内容と修了基準は「甘い」点が含まれており、より厳しいものにしていくことが必要です。

 現役の運転者については、2〜3時間程度の講習を受講することとしています。

 国交省では原案完成までに数回の説明会をひらき意見を聞いて内容を詰めていきたいとしていますので、より実効ある制度となるよう自交総連として今後も意見を出していく予定です。


宮城地連

今後は減車闘争に全力を

緊急調整指定受け訴訟取下げへ

写真
報告集会で記者会見を行う原告団
=12月6日、仙台弁護士会館

 【宮城】12月6日、仙台弁護士会館において、タクシー国賠訴訟取下げ勝利報告集会が開催され、組合員ら60人が参加しました。

 この集会には、タクシー協会の佐々木会長も参加、連帯のあいさつをしました。

 この集会に先立ち、弁護団、組合、原告団による記者会見も行われ、マスコミ各社が取材、報道しました。

 今回の国賠訴訟の取下げは、仙台市が、緊急調整地域に指定されたことにより、当初の目的を達したと判断して行われたもの。

 2002年の規制緩和後、仙台市では、1000台のタクシーが増え(40%)、交通事故の多発や駐停車問題、労働条件の極端な悪化など、社会問題となっていました。

 今回の発動で、入口は閉められたものの、多すぎるタクシーが解消されるものでは、ありません。

 宮城地連では、今後減車闘争に力を入れるとともに、運賃値上げのできる環境づくりへむけ、全力で奮闘するものです。

表


職場・地域に組合の風を

08春闘全力で奮闘を決意

写真
国民春闘討論集会のようす=11月30日〜
12月1日

 「なくせ貧困、ストップ改憲! つくろう平和で公正な社会」の統一スローガンで闘う国民春闘共闘委員会の08国民春闘討論集会が、静岡県伊東市・ホテルハトヤでひらかれました。

 集会には全国の単産と地方から235人が参加し、31人の旺盛な討論で提案された08春闘方針案を補強し、全力で奮闘する決意を固めあいました。

 主催者あいさつで坂内代表は「08春闘は、かつてない政治変化を生み出し、政治を動かせる情勢だ。要求前進の可能性がある。しかし、厳しい経済的情勢のもと、統一と団結なしに前進はない」ことを力説し、職場・地域に労働組合の風を吹かせることが大切だとしました。

 重点要求は、賃金の底上げ(誰でも月額1万円)と、「働くルールの確立」です。

春闘体制、闘いの流れと統一行動予定 

1月8日

全労連新春統一宣伝行動

18日 日本経団連包囲行動
2月1日 2・1宣伝行動
2月13日

なくせ貧困、諸要求実現中央総行動

27〜29日 地域総行動ゾーン
29日 要求提出日
3月5日

自交総連3・5中央行動

12日 集中回答日
3月13日

春闘要求実現をめざす全国統一行動

4月23日頃

春闘統一行動


登録時講習は最低2日間

効果測定は7割正答で修了

 1面で報じたとおり、国土交通省は来年4月からタクシー運転者登録制度をスタートすることにしています。左の表は概要案の要旨です。

表

表


運賃改定で労働条件改善を要請

厚労省

業界団体、事業者へ通達

 厚生労働省は12月3日、全国乗用自動車連合会にたいし、タクシー運賃改定後の乗務員の労働条件改善を確実に実行するよう、改定地区の業界団体や事業者への徹底指導を通達しました。

 【通達要旨】

 厚生労働省においては、タクシー運転者の労働条件の確保・改善を労働基準行政の重点課題として、労働基準関係法令及び自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)の遵守徹底を推進してきたところですが、タクシー事業場における監督指導実施結果をみると、依然として労働基準関係法令及び改善基準告示に違反している事業場が少なくない状況にあります。

 つきましては、貴会におかれましても、物価問題に関する関係閣僚会議における政府方針を踏まえ、タクシー事業場における労働基準関係法令及び改善基準告示の遵守徹底による労働条件の確保・改善について、なお一層の自主的かつ積極的な努力を払われるとともに、特に今回の上限運賃改定の趣旨が各事業者に浸透し、賃金等の労働条件の改善に向けた自主的な対応が図られるよう、東京地区及び同旨のタクシーの上限運賃改定が実施されている地区における傘下の関係事業者団体及び会員各事業者に対する特段の指導方を要請いたします。

 また、今後、他の地区における傘下の関係事業者団体及び会員各事業者に対して、同様の御対応方を併せてお願い申し上げます。


バス、タクシーで急増

健康状態に起因する事故

脳、心臓疾患多い

写真

 国土交通省は、自動車運転者の健康状態に起因する事故等の発生状況をとりまとめました。

 タクシーの事故は、前年より9件増の29件と、規制緩和以降あいかわらずの高水準ですが、バスも急増し、前年の26→35件となりました。

 バス・トラックも含めた83件のうち、脳出血など脳血管疾患が26件、心筋梗塞など心臓疾患が16件となっています。深夜を含む不規則労働の場合は、脳や心臓の重大疾患が多いことが指摘されています。

 とくにバスは、2月18日のあずみ野観光バスの事故に代表されるように、車両が大型のため、運転中に事故が起きれば、被害は甚大なものとなります。

 規制緩和によって乗客や他車、自らの命を削ってでも走らなければならないほど運転者を追いつめている状況が明確になりました。

表


伝統に恥じない活動を

京都地連

60周年記念レセプションひらく

写真
60年誌発行を記念して行われたレセプション
=12月5日、メルパルク京都

 【京都】京都地連60周年記念レセプションが、12月5日、メルパルク京都にて開催されました。

 浅井・安井の現・前委員長のあいさつに引き続き、権田正良中央副執行委員長が、今後とも闘う京都地連の伝統に恥じない活動をと激励のあいさつを行うとともに乾杯の音頭をとり、参加者は懐かしい顔もある中、旧交をあたため合いました。

 横山、藤原、東、上坂の歴代委員長らのコメントをはさみながら、60年誌の紹介を行い、歴史の一端を参加者の共通認識としました。

 この会には多くの他産別や友誼団体からの参加があり、京都総評岩橋祐治議長、日本共産党西山とき子氏、京都法律事務所佐藤克昭弁護士、京交運西山泰治事務局長があいさつを行いました。

 最後に石原書記長が参加者への御礼と京都地連の今後の奮闘を約束し、浅井委員長の発声で、会場いっぱいに力強く団結ガンバローの声が響きました。

 京都地連の伝統の重みと、未来への責任をそれぞれがあらためて心に感じ、確信を得、元気が出る会となりました。


「個タクになったら東個労へ」

試験会場で組織拡大宣伝

写真
試験会場前でビラを配り加入を呼びかける
宣伝行動参加者=11月23日、東京・明治
大学和泉校舎前

 【東京】11月23日、明治大学和泉校舎を会場に関東運輸局管内の個人タクシー試験が行われました。東京個人タクシー労働組合は、組織拡大にむけ、試験会場での宣伝行動を昨年に引き続き実施しました。

 地理試験免除の受験者が3時前から出だし、午後4時半まで、受験者に「お疲れ様、合格したら東個労に入りましょう」と大きな声で呼びかけながら「個タクになったら東個労へ」のビラと「ATU東京共済」のパンフを配布しました。

 受験者のなかには自交総連の組合員もいて「手ごたえは充分、開業したら絶対に加入しますよ」と笑顔を。行動参加者も組織拡大に確信がもてた宣伝となりました。


原則貫く職場の闘いが必要

改正最賃法・労働契約法が成立

 11月28日、最低賃金法改正と労働契約法(新設)が参議院で可決・成立しました。法律には、よい点も悪い点もありますので、よく研究して活用していくことが大切です。

改善点は活用を

 【解説】最低賃金法改正は、従来から問題だった、最賃決定の際に使用者の支払能力を考慮するという点が残された不十分さはありますが、格差と貧困の広がりに対する国民的怒りを背景に、生活保護との整合性に配慮するとの条文が入りました。

 告発者の不利益扱い禁止や罰則の強化と合わせて、今後、違反の是正と毎年の改定で連続的に大幅な引き上げをかちとっていくことが重要になります。

 労働契約法は、労働条件は労使の合意で決まるという理念を法律化するということでつくられましたが、問題点がたくさんあります。

 最大のものは、合理的な変更なら一方的な就業規則の変更で労働条件を改悪できると解釈できかねない条文が入っている点です。労働者の合意なき労働条件の不利益変更はできない(9条)という原則を、あくまで貫く職場の闘いが求められます。

最低賃金法改正のポイント

項 目 改正法の要旨 意 義
最低賃金の原則
(9条)
 労働者の生計費を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする。  従来からの支払能力論が残っているのは不十分な点だが、最低賃金の引き上げに役立たせることができる。 生活保護水準の引き下げには要注意。
特定最低賃金
(15〜19条)
 労働者の代表は、一定の事業若しくは職業に係る最低賃金の決定、改正、廃止を申し出ることができる。  従来の産別最賃は特定最賃となり、協約拡張ケースは廃止。公正競争ケースでの申し出はできる。
監督機関に対する申告
(34条)
 労働者は、労働局等に最賃違反を申告して是正を求めることができる。使用者は、申告を理由に、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。  申告を理由とした不利益扱いはできないことが明記された。巧妙な手口の不利益取扱いには注意が必要。
罰則
(39〜41条)



・50万円以下の罰金


・6月以下の懲役
 又は30万円以下の罰金

・30万円以下の罰金

 従来5000〜1万円以下だった罰金は大幅に強化されたので、違反の申告・摘発に活用できる。
・最低賃金違反
・申告の不利益
 
取扱い違反
・周知違反等

労働契約法(新設)のポイント

項 目 条文の要旨 意 義
不利益変更の禁止とただし書き(9、10条)  使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、変更が合理的なものであるときは、労働条件は変更後の就業規則に定めるところによる。  9条に不利益変更禁止の原則を書きながら、10条では合理的ならば変更が可能としてある。使用者が就業規則で不利益変更を強行する口実に使われる懸念がある。あくまで原則を貫かせる闘いが必要。