春闘出発は要求提出から
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東京地連の第3波統一行動で決起集会を行う荏原交通労組の仲間=3月21日、組合集会室 |
自交総連は「08春闘の当面する対策について」(闘争指令1号・3月6日付)に基づき1600人の組合員が結集した「3・5中央行動」を成功させ、各地方の単組・支部で具体的なとりくみを実施してきました。
回答指定日の翌日(3月22日=自交総連第2次統一行動)には時間内外の報告集会などをひらき、団体交渉の内容を説明、その評価と以後のとりくみ方針を報告し討議、今後の闘争方針を確認。東京では、組合旗のいっせい掲揚、門前宣伝などを実施しました。
状態悪化を許さない構えで
当面の行動で重視するすべての職場組織が要求提出を≠フ課題は、現在集約中ですが、宮城では12組合中9組合、神奈川では26支部中9支部が提出しています。
今春闘では、これ以上の状態悪化は許さない、みんなに賃上げを≠フ構えを基本に、賃上げと一職場一重点要求獲得の徹底追求をはかることが重要です。春闘の出発は要求提出からです。今からでも遅くはありません。職場のみんなの要求を堂々と提出することが大切です。
対話、宣伝で加入呼びかけ
また、4月23日には、全労連の統一行動日に合わせ、自交総連第3次統一行動を行い、『春闘要求実現と企業の社会的責任(CSR)を問う一日行動』として全国的なとりくみを展開します。闘争形態については、ストライキ、決起集会・デモなど要求闘争の進展状況に見合った具体的設定を各地連(本)毎に行うことを要請します。
また、増車・運賃競争激戦区(大阪・宮城)への対策強化として、中央本部では、三役メンバーを中心とする代表団を編成し、実態把握と激励、運輸局・事業者団体への要請行動などを大阪では4月10〜11日、宮城は5月26〜27日に実施します。
組織強化拡大については、強化拡大月間に、組織内未加入者への対話と加入呼びかけ、地域単位による宣伝、職場訪問などに集中してとりくむことを呼びかけます。
未組織職場の乗務員がひとりでも労組に加盟できるように組織されたもので、今後は、東部ブロックで個人加盟者を集めた東部地域自交労組は同労組に組織統合されます。
鈴木書記長は臨時大会で「都内の乗務員7万3000人のうち自交総連加盟は約1万1000人。ひとりで悩みを抱えている人は多い。個人でも加入できる組合が必要だ。加入後は単一組織にできるよう努力したい」と話しました。
自交総連は3月4日、大阪で急速に勢力を伸ばしているワンコインタクシー(町野グループ)など名義貸しのオーナーズ制度への対応を検討するために行ってきた対策会議の意見書をまとめました。
規制緩和を機に町野氏らが立ち上げたワンコインタクシーの特徴は、道路運送法で禁じられた名義貸し営業で、実質的に労働者に営業車を買わせ(形式的には会社名義にして営業車の許可をとる)、名義貸し料・リース料をピンハネし、税務申告まで個人ごとにさせて、1人(1台)の売上が年1000万円未満であるとして消費税も納めていません。
こうした実態を是正・処分させ、違法行為を撲滅するため、(1)道運法33条名義貸し違反(2)点呼・運行管理等の違反(3)労働関係法違反(4)消費税・社会保険関係違反のそれぞれについて検討しました。
名義貸しは許可取消事由
意見書では(1)について、名義を他人に貸与し一般旅客自動車運送事業又は特定旅客自動車運送事業のために利用させる行為は、道路運送法33条に抵触する違法な営業形態で、直ちに是正されなければならず、さらには当該事業者においては許可の取消事由ともなるべき重大な違反行為としています。
長時間・過労運転が蔓延
また、(2)については、この制度では、一人一車制となり、勤務の直前と直後に実施すべき点呼が実施されないという問題が生じ、疾病、疲労、飲酒その他による危険な運転を防止することができず、長時間運転や過労運転が蔓延し、交通事故が多発して、安全に移動することを願う利用者の利益を損なうことはもちろん、運転者の適切な労働条件や健康・命さえ脅かされる状況を避けることができないとしています。
リース料分だけ余分な経費
また、(3)では、労働時間、賃金、有給休暇などの点からオーナーズ制度の下では、会社との名義貸し契約により、個人タクシー事業者とさせられているので、通常の個人タクシー事業者と較べて、少なくとも、会社へ支払うリース料の分だけ余分の経費を、売上から天引きで差し引かれ、累進歩合賃金なのだから、過労運転、危険な運転は日常的になることが必至であるとしています。
各種保険料を全額乗務員負担
(4)については、新日本グループ各社において、本来会社が負担すべき健康保険料、厚生年金保険料及び労働保険料の事業主負担部分をそのまま乗務員に転嫁して全額負担させている可能性が高く、同社の行為は健康保険法、厚生年金保険法、労働保険料徴収法に違反する違法行為の疑いがあり、このような行為は乗務員の権利侵害にとどまらず、各種保険制度の健全な運営を損なうとしています。
運輸局に要請する九州ブロックの代表=3月13日、九州運輸局内 |
要請内容は主に(1)運賃改定に伴う労働条件改善、(2)遠賀タクシーから申請されている「超低額運賃」について、(3)運転者登録制度――など8項目で、これに対して同課長は「本省が、賃下げ会社に対して6か月の改善報告を待たずにヒヤリングすると言ったのならば、その指示を待ちたい。あくまでノースライドが基本なので、今後も言い続けていくし、認可条件が履行されるよう行政としても最善を尽くしたい」「遠賀タクシーの運賃はハイヤー的運賃という取り扱いで近々認可の予定」と回答しました。
組合側は、今次の運賃改定に伴う労働条件改善問題が行政の結果責任であることについて念を押すとともに、大幅な下限割れ運賃を認可すれば「行政訴訟も辞さない」と表明しました。
加えて、「掛け合い運賃」や大口顧客に対する運賃の割戻し違反についても厳正に対処するよう求めました。
ビラまき宣伝を行う参加者=3月6日、香川・高松駅頭 |
昨年12月に香川で運賃が改定されましたが、東讃交通丸亀営業所では労働組合の反対を無視して1月からスライド賃下げ(足切り2万円上げ、歩合率3・5ポイント下げ)が強行されています。
高松駅前で市民に「運転者の労働条件改善分を会社が横取り」とビラをまき宣伝カーで訴えたのち、運輸局交渉に臨みました。
対応した自交部旅客課片岡課長らは、労働条件改善のために運賃改定を認可した、としたうえで、自交総連からの通報で2月28日に香川運輸支局が東讃交通社長を呼んで指導したことを明らかにしました。
しかし、その後も改善がなされていないため、参加者は直すまで繰り返し指導をすることを要求、東讃交通社長は香川県協会理事長であり、このような暴挙を許せば、四国全県に波及しかねないと厳しく追及、局側は必要な指導を行うと答えました。
運賃の改定後の各地の状況は、地域的な違いはあるものの、改定率にみあった増収が得られていません。最近の急激な景気減速、諸物価値上げによる乗り控え等も一因ですが、根本的な原因はタクシーの供給過剰です。乗客の数に対してタクシーが多すぎれば1台当たりの売上げが伸びないのは当然です。
減車は「公約」
運賃改定は、現状の労働条件では、安全・安心を担保する運転者の質が確保できないとして、労働条件改善のために行われました。増収にならず、改善できませんでは済まされません。
しかも、利用者に負担を求める以上、経営者には経営の効率化が求められます。「赤字」だからと値上げしておいて、無駄遣いはそのままというのが通らないのは当然です。政府も、運賃改定に際してつけた「一層の経営効率化等に努める」(物価関係閣僚会議決定)という条件を守らせる責任があります。
経営効率化とは無駄なタクシーを減らすことにほかなりません。経営者・行政に公約を守らせて、減車を実現する運動を強めていくことが必要です。
できることを確実にさせる
規制緩和以降、基本的に増減車は自由となり、行政も減車を強制することはできないとして責任を回避しています。
しかし、できること、やるべきことはあります。
運輸規則35条で「充分な数の事業用自動車運転者を常時選任しておかなければならない」とされている通り、台数に比べて運転者が少なく無理な運行をさせている場合には、減車をさせるのが当然です。
改善基準違反の長時間労働が常態化している場合も同様で、違法行為を徹底的に取り締まれば、経営者は自ら減車に向かわざるを得なくなります。
世論を味方に
また、減車にむけた世論喚起、環境整備も大切で、昨年来、地方自治体が主導して減車をすることについて新潟県知事や仙台市長が言及、独占禁止法との調整も含めて機運が盛り上がってきています。自治体への要請を行い可能な方法を探っていくことが大切です。
地球温暖化対策ともあいまって、多すぎるタクシーを減らすことには世論の関心も高まっています。規制緩和の弊害である供給過剰をさらに訴えていかなければなりません。
春闘交渉では必ず減車要求を
経営者が自分の会社で減車することには何の制約もありません。経営責任として賃金改善を果たすよう求め、そのために、自ら率先して減車することを厳しく追及して、経営者を減車に動かざるをえない状況に追い込んでいくことが春闘の課題です。
パートタイム労働法が改正され4月1日より施行されます。
この法律は、タクシーの定時制乗務員をはじめ、嘱託、契約社員、パート、アルバイトなど呼び方は違っても通常の労働者に比べて所定労働時間が短い労働者すべてが対象となります。これらの労働者は、労働基準法等は当然、従来から適用となっていますが、賃金・労働条件が悪く不安定であることから、その雇用環境を整備するために今回の改正が行われました。
改正のポイントは、(1)雇い入れ時の労働条件の明示(2)待遇の説明義務(3)労働条件決定時の均衡考慮、同一賃金への努力義務(4)通常の労働者への転換推進措置(5)苦情・紛争解決の仕組み整備――などです。
同一労働同一賃金などについては「努力義務」とされるなど不十分な点がありますが、賃金決定の際に考慮した事項を説明することは義務化されますから、説明を求めて理由が不合理な場合は是正させるなど、活用できる点を労使の交渉で活かすことが大切です。
なお、パート労働者の契約の更新については、労基法はもちろん「労働契約法」「有期労働契約の締結、更新および雇い止めに関する基準」に定めがあり、会社の勝手な都合による解雇や雇い止めは許されません。
新加盟のなかま | (745)福岡・玄海タクシー労組 |
職場の労務管理に疑問 |
【福岡】福岡市にある玄海タクシーで働く仲間は1月7日、自交総連玄海タクシー労組(正木朝男委員長、8人)を結成、自交総連に加盟しました。
当該労組の委員長である正木さんは、以前、他の職場で自交総連の組合役員を経験していましたが、玄海タクシーに入社以来、労務管理に疑問を抱き、地連に相談し加盟となりました。
現在は団交で、労使関係の整理を進めています。