自交労働者No.712、2008年5月15日

名義貸しの判断基準公表

自交総連の意見書大きく貢献

通達後は行政指導、処分も

国交省

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国交省に名義貸し行為について申し入れる自交総連の代表=4月9日、国交省内
 国交省は5月7日、「タクシー事業における名義貸し行為の判断基準(案)」を公表し、パブリックコメントを募集した上で6月6日に通達として発出するとしました。この判断基準案の作成には、自交総連が3月5日に提出した意見書も大きく貢献しました。

 「名義貸し」は道運法の許可を受けた会社がその名義を第三者(具体的には個々の運転者)に貸して、自由放任で営業させ、売上げから名義料をピンハネするという事業形態です。規制緩和以降、大阪を中心に「企業内個人タクシー」とか「オーナーズ制度」とかの名称で急速に拡大してきました。

 その実態は、経費は営業車の駐車料から社会保険の会社負担分まですべてを運転者の負担として、月に何度か納金するだけで、点呼もなく、車両は持ち帰り、売上げの税務申告まで運転者個人にさせるなど、まったく法人事業者の体をなしていない形態です。

 自交総連では、これまでも再三、その違法を指摘、大阪地連が集めた具体的な資料・調査結果をもとに本部顧問弁護団が検討して違法行為根絶の意見書を作成、国交省に提出していました。

 国交省の判断基準案は、自交総連の意見書が指摘した事実とほぼ重なるもので、◇運転者に保障された給与の支払いがない◇運転者への対価が、給与でなく事業所得・請負費などの形で支払われている◇点呼や車両管理がされてない◇事故の損害賠償を会社が行っていない、など具体的な指標を示して、名義貸しかどうか総合的に判断するとしています。

 通達発出後は、一定期間の行政指導を経て、該当事業者が従わない場合は行政・刑事処分に至ることも予想されます。

タクシー事業における名義貸し行為の判断基準(案)の概要

《基本的考え方》
 タクシー事業者は、自らの危険負担のもと、事業遂行に伴う様々な責務を適切に全うすべきもので、いわゆる「名義貸し行為」は、許可事業者の責務を実質的に第三者に負わせる行為で道路運送法違反である。
 具体的にどのような場合に名義貸し行為に該当するかについては、実態を踏まえた上で、総合的に判断する。

《名義貸し行為の判断基準》
(1) 雇用関係
・運転者との雇用(派遣)契約が締結されていない
・固定給又は保障給等一定の保障された給与の支払いがない
・社会保険料等控除、源泉徴収が行われていない
・就業規則及び服務規律が定められていない
(2) 経理処理関係
・運賃・料金収入の全額が、事業者収入に計上されていない
・許可事業者の支出の一部が運転者の事業所得に該当すると認められる支払いに充てられている
・車庫使用料等諸経費を許可事業者が負担していない
(3) 運行管理関係
・乗務割りが作成されておらず、乗務管理が行われていない
・点呼が適切に実施されておらず、適切に記録されていない
・運転者に対する指導及び監督が適切に行われていない
(4) 車両管理関係
・事業用自動車等の保管を許可事業者が行っていない
・事業用自動車の定期点検等を許可事業者が行っていない
・車両購入(リース)契約を許可事業者が行っていない
(5) 事故処理関係
・事故発生後の交渉を許可事業者が行っていない
・事故の損害賠償を許可事業者が行っていない

《名義貸し行為に該当しないと判断された場合の対応》
 名義貸し行為に該当しない場合も、道運法等違反がある場合は必要な行政処分等を行う。労基法等所管法令以外の法令違反の疑いがある場合は、関係機関と連携の上、是正に努める。


ムダなタクシーを減らせば
年間62万トンのCO2削減

2008.5 自交総連

 自交総連は、地球温暖化防止への国民的関心が高まっていることをふまえ、「ムダなタクシーを減らせば年間62万トンのCO2削減」という試算を発表しました。

 京都議定書の約束期間が始まり、わが国は90年と比べて6%の温室効果ガス(そのほとんどはCO2=二酸化炭素)を削減しなければなりません。ところが実際にはCO2排出量は90年より増えていて、条約履行に黄信号が点灯、国をあげてCO2削減が急務となっています。

 タクシーが出すCO2の量は年間447万トンで、国全体の中ではわずかな比率でしかなく、90年と比べても減っていますが、問題なのは規制緩和で急増したタクシーが空車で走り回り排出しているCO2は、輸送にも利便にも貢献しない、まったくのムダな排出であるという点です。

 試算では、05年度の法人タクシーの輸送実績をもとに、タクシーの走行距離のうちムダな走行を推計しました。実績は、実車キロ52・8億キロに対し、走行キロは127億キロ、実車率41・6%です。仮に実車率50%を実現したとすれば、走行距離は106億キロで済むはずであり、ムダな走行キロは21・3億キロと推計できます。

 この走行キロを適正実車率・実働率でまかなうに足りる台数は16・5万台で、法人タクシー22・2万台のうち、5・65万台はムダな車両といえます。

171万人の削減努力が帳消し

 ムダなタクシーを減らし、ムダな走行距離を減らすことで削減できるCO2の量は年間62・4万トンにのぼります。

 これは、2リットル入りペットボトル1700億本分に相当します。国は「1人1日1kgのCO2削減キャンペーン」を行っていますが、このキャンペーンに協力した人171万人分の努力を帳消しにしてしまう量で、1日も早いムダなタクシーの削減が求められているといえるでしょう。

 詳しいデータと計算方法は、「月報」に掲載します。

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労働条件改善へ組合に加盟しよう

「足きりに到達しない」

キャラバン 自交総連を好意的に対応

 新しくなった宣伝カーを活用して、「タクシーに働く仲間のみなさん。自交総連への加盟を呼びかけます」の横断幕を掲げた宣伝キャラバン行動が、4月27日から4日間の日程で行われました。

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タクシー乗務員と対話する宣伝行動参加者=4月29日、山梨・韮崎駅頭

 行動は、神奈川、静岡、山梨の3地方を、鈴木副委員長、小林書記次長、東京地連・梅田オルグが中心となり、12駅17か所で806人(台)の仲間にビラを配布するなど旺盛なとりくみとなりました。

 宣伝は、27日・神奈川県=川崎駅、横浜駅、海老名駅、厚木駅、28日・静岡県=三島駅、沼津駅、新富士駅、静岡駅、浜松駅、29日・石和駅、甲府駅、韮崎駅のタクシーターミナルで実施。宣伝カーから「労働条件向上めざすために、自交総連への加盟を」と訴え、本部と当該地方の機関紙とビラを配布し、可能な限り対話を行いながらのとりくみとなりました。

 各地方とも運賃改定後であり、全体的に増収がない状況で改定率にともなう賃金の改善となっていない状況でした。賃金制度では、神奈川、山梨はノースライドが全体的流れになっていましたが、静岡では、中心的存在である名鉄と遠州鉄道のタクシー会社が足切りを上げスライドを強行したことから、中小でも同様のスライドダウンをするなど全県に波及している実態が宣伝中の対話で明らかになりました。仲間は「足切りに到達しない者がすごく増えている」と言い「タクシーでは喰えない」と悲鳴をあげています。

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「運賃改定は労働条件改善が目的]と宣伝カーから訴える鈴木副委員長=4月28日、静岡駅

 宣伝カーから、国土交通省と運輸局が認可した条件は「労働者の賃金改善をすること」であり、経営者が労働条件の改善をすることは利用者への公約であり、賃金「合理化」は許されないことを強調しました。駅待ちしている仲間は、タクシーを降りて聞き入る姿が各地で見られました。

 すべてのターミナルで、仲間は自交総連の存在を知っており、好意的に受け止めていただきました。今後、各地方で継続した宣伝行動の実施が痛感させられました。

 宣伝行動に該当する地方の受け入れは、神奈川は延べ24人、静岡は通しで4人、山梨2人が参加しました。走行キロは823kmでした。


デモ、宣伝で上限運賃アピール

15台がのぼりつけパレード

石川地連

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上限運賃や減車を要求しパレードを行う石川地連の仲間=3月13日、石川・金沢市

 【石川】3月28日に上限690円で石川県の運賃改定が認可されましたが、旧下限の560円に据え置くところもあり、改定申請からの脱落や下限運賃に張り付こうとする動きもでて不安が広がっていました。

 石川地連は3月から4月にかけてタクシーデモや宣伝行動に全力をあげ、4月4日の改定には72%の会社が上限690円で実施することになりました。3月13日に金沢市で行ったタクシーデモには3社15台のタクシーが参加し、「値下げ競争やめろ」「増車抑制策をとれ」「労働条件の改善を」などののぼり旗をつけてパレードをし、テレビ局5社が取材、「安心して乗れるには運転手の労働条件改善が必要」などの報道がされました。

 また、タクシーデモは県議会質問でもとりあげられ、4月2日にひらかれたタクシー協議会で、県の交通政策課が「国に新たな増車抑制策を求めたい」と発言するなどの影響をつくりだしています。

 改定後増収傾向もでており、地連は、「運賃改定の公約を守れ」と08春闘解決に全力をあげています。


第2回中闘

5月中決着に全力を

春闘の今後の対策を議論

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春闘決着に向け議論した第2回中闘=5月7日、自交共済事務所

 自交総連本部は5月7日に、自交共済事務所で第2回中央闘争委員会(第4回常執)をひらき、「08春闘の最終決着にむけた今後の対策」等の議案を議論し決定しました。

 対策の内容は、要求提出職場72・6%、回答引き出しが28%、妥結率7・9%の現状を見据え「各地連(本)はそれぞれの闘争状況をふまえ、ストライキを含む統一行動の独自設定と団体交渉の促進により、5月中の最終決着をはかるために全力をあげる」を軸に奮闘すること。解決にむけては、第1回闘争委員会で確認した『3つの解決基準』をふまえ、中核職場が早期に解決し、未解決組合への援助・指導など個別対策を重視することです。

 さらに、6月14日から政令指定都市で実施(予定)となった運転者登録制度の実効性を確保し、スムーズな制度移行を確かなものにするために、関係する地連(本)は、運輸局・支局からの制度説明、意見具申などを行う場を設定していくこととしました。

 加えて、最賃違反の一掃、累進歩合制度の廃止や名義貸し行為の禁止にむけたとりくみ強化をはかることにしました。


なくせ貧困 時短で雇用拡大を

各地でメーデー開催

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4万4000人が参加した中央メーデー
 なくせ! 貧困と格差。働くルールの確立。労働時間短縮で雇用の拡大――第79回メーデーが5月1日、全国各地でひらかれ、東京・代々木公園では中央メーデーが開催され、4万4000人が参加。東京地連の仲間も805人が参加しました。

多すぎるタクシーを減らせ

 【宮城】宮城メーデーには宮城地連から60人が参加し、デモ行進で、「多すぎるタクシーを減らせ」「規制緩和反対」を訴えながら、元気よく行進しました。

45秒アピールでタク現状訴える

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組合旗を掲げデモ行進する福島地連の仲間

 【福島】福島メーデーには、地連から40人が参加。各参加団体の代表者がステージに上がりそれぞれ45秒アピールを行い、福島地連からは共和交通労組の中村副委員長がタクシーの現状について訴えました。

自公政権にうっぷん晴らす

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記念撮影する神奈川地本の仲間

 【神奈川】自交総連神奈川からは36人が参加し、運賃改定後なかなか運収も上がらなく、暫定税率の復活や後期高齢者医療制度等国民に負担を強いる自公連立政権にうっぷんを晴らすべく大きな声でシュプレヒコールを挙げていました。

先頭に立って横断幕かかげデモ

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プラカードでアピールする静岡地連の仲間

 【静岡】静岡メーデーには、近辺の労働組合や各種団体など、約500人が集結。浜松タクシー労組の仲間は、ノースライドを訴える自作プラカードを持って参加し、デモ行進では先頭に立って横断幕を掲げ、シュプレヒコールを連呼しました。

タクシーの現状とたたかい訴え

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タクシーの現状を訴える石川地連・金子委員長

 【石川】石川では、「石川自交OB会」の仲間もOB会ののぼり旗を持って参加、快晴に恵まれた会場で交流の輪が広がり、式典では地連の金子委員長がタクシーの現状とたたかいについて訴えました。

運賃値上げで賃上げかちとろう

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デモ行進する京都地連の仲間

 【京都】自交総連を中心として組織する全京都ハイタクメーデー実行委員会150人は全京都統一メーデーに参加し、運賃値上げで賃上げをかちとろう!の横断幕やそれぞれの思いを書いたプラカードなどをかかげ、シュプレヒコールで市民に訴えました。

100人が拳を突き上げ参加

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団結がんばろうをする大阪地連の仲間

 【大阪】大阪地連のなかま100人が怒りの拳を突き上げ参加。主催者あいさつで植田実行委員長(大阪労連議長)は、くらし・福祉・教育を削って財政縮減を進める橋下府政について「大阪府解体、道州制への道をひらくものであり、政府財界の思惑と一体だ」と指摘して府民運動の強化を訴えました。

デコが念願の最優秀賞に入選

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入選したデコとともに行進する福岡地連の仲間

 【福岡】福岡メーデーには地連から88人が参加。県統一メーデーでは、ワーカーズコープ労組が出展したデコレーションが念願の最優秀賞に選ばれました。集会の後、憲法改悪反対、格差と貧困をなくせなどと訴えつつ、福岡市最大の繁華街である中州〜天神を意気高くデモ行進しました。

運賃改定の増収分は乗務員に

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会場であいさつを聞く大分地連の仲間

 【大分】大分メーデーには、「運賃改定の増収分は乗務員に」「運賃ダンピングは違法です」のゼッケンを着けて、14人が参加し、「格差貧困の是正、後期高齢者医療制度の中止・撤回」などの、メーデー宣言を採択し、市内をデモ行進しました。


新加盟のなかま  (747)長崎・自交総連本原自動車学校労組

労働条件改善へ

 【長崎】長崎市にある本原自動車学校で働く仲間は4月27日、自交総連本原自動車学校労働組合(開田幸治委員長、5人)を結成、自交総連に加盟しました。

 当該自教は、賃金・労働条件が、経営者の一存で変化することなどで、2008年初めより県労連や自交総連へ相談しながらの結成のはこびになりました。

 現在は要求書を提出して、団体交渉が、いつできるのか回答待ちの状況です。


新加盟のなかま  (748)秋田・勝平タクシー労組

秋田に自交総連結成

 【秋田】秋田市にある勝平タクシーで働く仲間は4月29日、勝平タクシー労働組合(小川治康委員長、13人)を結成、自交総連に加盟しました。

 会社のワンマン経営に対し、県労連へ相談。秋田県労連より宮城地連に相談があり、要求内容、組合結成の手順について相談し、加盟となりました。

 加盟後、会社に対し、結成通知書、要求書、団交申し入れ書を提出しました。