労使共同でタクシー業界の危機突破を2500人が集会・デモでアピール |
デモ行進で市民にアピールする大阪地連の仲間=9月3日、大阪市内 |
【大阪】タクシーの経営者団体と各労働団体が共同して集会・デモをとりくむのは初めての試みです。過去最大規模の参加者を前に、演壇に立った大タ協・坂本会長や各政党から来賓出席した国会議員のあいさつにも熱気がみなぎっていました。
集会は「適正な需給バランスと、同一地域同一運賃の確立を求める決議」案を満場の拍手で採択。決議文では、国交省の増車抑制措置を「規制緩和に逆行する」と批判した内閣府の規制改革会議に対して「実情を無視しており、強く抗議する」としています。
新しいしくみを作る契機に
応援にかけつけた各政党の代表 |
また、集会で、大阪タクシー協会の坂本克己会長は「大阪のタクシー業界では、理念の異なる労働組合、あるいは経営者と労働者が垣根を越えてこのように一つの思い、願いで一堂に集まったことは、今までになかった。みなさんが日ごろ一生懸命にやっているのに、なぜ普通に生活できるような給料が得られないのかという激しい思いがある。今日のとりくみは現場で利用者のために頑張っているみなさんが何とかくらしを改善されるように、豊かな生活が設計できるように、タクシー業界のしくみ・制度を変えていく大きなきっかけを作ることが最大の目的だ。大阪のタクシー業界の実態を全国に発信して、新しいしくみを作っていく契機にしたい」と話ました。
集会後、デモ行進が出発し、なかまは「大阪市内は同じ運賃にしよう!」「乗務員の生活を向上させよう!」「ガス燃料を国の責任で安くせよ!」と声を張り上げました。
デモ終了後、大阪地連の権田委員長は「来年の通常国会では増車や新規参入を抑制し、減車を進めるための法案が提出される見込みです。労働組合としても後押しして成立させよう」となかまに呼びかけました。
秋の闘いなどを議論した第4回中執=9月9〜10日、東京・入谷区民館根岸分館 |
委員会では、10月に開催される自交総連第31回定期大会に提案される「08年度運動方針案」「2008年秋から2009年春闘にむけた闘争方針案」「予算案」など、今後1年の自交総連運動にかかわる主要課題を議論しました。
運動方針は「向こう1年の闘いは、日本のタクシーの確かな再生への足掛を築く局面として極めて重大な意義をもっている」ことを明記。厳しい労働条件下におかれている自交労働者のくらしと雇用の危機打開にむけて目線を地域に、悪政打破の課題と結合して、諸要求実現と3万人の自交総連回復を重点課題としています。
とくに、秋から春にむけて、交通政策審議会のワーキンググループの最終報告と来年の通常国会で道路運送法改正を視野に、地域的減車と労働者保護立法的側面の挿入を求めていくこと。さらに全労連・交運共闘と一体となって11・13中央行動で国土交通省への請願と、生活危機突破めざす中央集会への結集を確認しました。
要求前進へみんなで話し、みんなで実行を
会社が強行したスライドダウンに抗議するため、ストライキを行う、福岡西鉄タクシー労組の仲間=4月23日、福岡西鉄タクシー構内 |
いまタクシー業界は規制緩和による増車・バラバラ運賃により、営収は低下し、労働者の賃金は・生活保護基準以下の水準にまで達しています。労働者がバラバラではとても歯止めをかけられません。
“労働組合の主人公は組合員”の立場に立って「みんなで話合い、みんなで実行する」という全員参加の運動をつくり上げてこそ、要求が前進し、歯止めへの展望もひらけてきます。
そのため、自主的・自覚的な日常活動を活発にし、「自分こそ組合の主役だ」という実感と責任がもてる職場討議を保障すること。また、春闘要求アンケートなどを活用して、職場内の少数意見も尊重し、十分納得のいくまで議論することが大切です。
いつの時代も働く者が多数
こうした民主的運営(組合民主主義)が徹底されてこそ、役員と組合員との人間関係がより強化され、統一行動の成功へつながっていきます。そして、たたかいは全労連の諸闘争の大きな流れのなかで、産業別統一闘争に積極的に参加していくことで要求前進への確かな保障となっていきます。
いつの時代も働く者が多数です。労働組合は、その多数を組織できます。組合民主主義を貫くことは、国の民主主義を考える基礎ともなり、社会進歩への大きな原動力となっていきます。
日本の政治は、90年代以降、構造改革=規制緩和の道を突き進んできました。タクシー・バスはもとより、派遣労働の自由化や金融自由化など社会のあらゆる分野で規制緩和が行われてきました。
「規制緩和で競争を促進すれば経済が強くなる」というのが政府の言い分でしたが、実際はどうでしょうか。
00年から06年にかけて、日本の国民一人当たりのGDP(国内総生産)は、先進国の中で唯一減少を続けています。世界の中での順位は、00年に3位だったのが06年には18位にまで急落しています。
規制緩和で大企業は目先の利益のみを追い求め、労働者・国民に犠牲を転嫁し続けた結果、国民の購買力は衰え、生産現場の技術力も衰え、お年寄りは邪魔者にされ、若者は格差と貧困のなかで希望をなくし、結局は国全体が地盤沈下してしまったのが現実です。
この道を歩み続けるのか、変えるのか、それが問われている選挙なのです。
総会では、次年度(第26期)の活動計画として、自交共済への加入促進をはかるため、当面1万5000人を目標に、未加入地方への対策強化をはかるとともに、それぞれの地方が自主目標を設定し、大会や学習会、職場集会などの機会をつうじて単組加入がはかれるようにしていくことなどが決められました。
また、自交共済は、2007年度には組合員本人の死亡49人をはじめ全体で707人の産別給付を行い、組合員の助け合いの役割を果たしてきました。しかし、ここ数年の在職死亡の増加に伴い、「組合員の死亡」を事由とする産別給付金支払額の上昇が続き、このため、収支状況は年々悪化、現状では運営維持費が確保できないばかりか、共済事業そのものがなりたたない事態となっているため、産別給付分については、2009年4月1日より10万円を減額し、20万円に変更することが確認されました。ただし、全労済給付の50万円は、これまで通りです。