自交労働者No.721、2008年10月15日

下限割れ審査厳格化など提起

運賃タスクフォースが整理結果提示

第10回WG会議

 交通政策審議会タクシーワーキンググループは9月30日、第10回会合がひらかれました。

 会合では、「運賃制度検討タスクフォース」の整理結果が示され、ワーキンググループでは大筋を了解しました。

 今後国交省が具体的な方策について検討し、最終報告の中に盛り込んでいくことになります。

 運賃制度検討タスクフォースでは、これまで(1)運賃規制の必要性、(2)運賃決定(査定)方式、(3)運賃改定手続きの課題――について検討を行いました。

課題ごとに論点抽出し検討

 運賃規制の必要性については、営業形態(流し営業、乗り場営業、電話呼出し)を念頭に、上限運賃規制の必要性、利用者にとって望ましい運賃の多様化、運賃規制が必要でない場合など、また、下限運賃については規制の必要性の有無、見直しの必要性などの論点をもとに整理が行われました。

 現行の上限〜下限の幅の縮小や下限割れ運賃の審査の厳格化などが提起されています。

 運賃決定(査定)方式については、査定の際に適正実車率や適正人件費の概念を導入する見直しが必要とされています。

 運賃改定手続きでは、申請台数70%ルールの手続きの問題点、また、70%ルールに代わる適切な改定手続きはどのようなものか、その他現行の手続きにおいての見直すべき点など、課題ごとに論点を抽出し、タスクフォースメンバーからの意見をもとに表の検討結果がまとめれれました。

表


規制緩和を根本から改めよ

日本共産党

国交省へタク政策提言と要求提出

写真
資料をもとに国交省に説明する穀田議員=9月26日、国交省内
 日本共産党国会議員団は、9月26日に国土交通省へ「タクシー政策の改定に当たっての日本共産党の提言と要求」を提出しました。

 提言は「規制緩和政策を根本から改め、国民の命・安全、運転者のくらしを守るタクシー行政への転換を求めます」として、8項目を要求しています。ポイントは、自交総連の08年度運動方針の重点となっている減車と同一地域同一運賃が軸になっていることです。

 その第1に、タクシー輸送の安全・安心の確保のため供給過剰を解消・防止すること。第2に、過度な運賃競争を解消し適切な運賃制度を確立すること。第3に、運転者が誇りと働きがいを持てる賃金・労働条件の改善を図ることとしています。

 要求策定にあたっては、協力共同の観点で 穀田恵二衆議院議員と自交総連本部は、02年改正道路運送法施行以後の経過と労働者の実情など多義にわたり意見交換を行ってきました。

 日本共産党議員団はタクシー労働者の実態をよく理解したうえで、99〜00年に現在の道路運送法が法案として国会審議がされた局面で、タクシーの規制緩和が今日に事態を招くことを指摘し、反対しました。その後、衆・参議院の国土交通委員会で規制緩和そのものの転換を主張してきたものを改めて提出したものです。


この成果を全国に

宮城・塩釜交通労組

不当労働行為による減額分支払え

仙台地裁

組合嫌悪による賃下げと認定

 宮城地連塩竃交通労組は9月29日、不当労働行為で減額された賃金の差額を請求していた裁判で、仙台地裁で勝利判決をかちとりました。同時に審理されていた、組合側勝利の県労委命令取消しを会社が求めていた行政訴訟は棄却されました。

 塩竃交通は組合経営で発足した会社ですが実質的な代表者である大西氏の専横支配に反対して自交総連の組合ができました。以来、数々の不当労働行為が繰り返されてきました。本件は鈴木組合員に対して組合脱退を強要、一方的に職種変更して賃下げをしてきたもので、07年9月に宮城県労働委員会で不当労働行為による賃下げを認定する勝利命令をかちとりました。

 会社は命令の取消しを求めて行政訴訟を起こし、組合は県労委命令が認定した賃下げ分の差額の支払いを求めて提訴、同時に審理されてきました。

 判決は、「(会社が)組合を嫌悪し、その構成員である原告(鈴木さん)を脱退させようと画策したものの、これが失敗に終わったことから、賃金引下げを実行したと優に推認することができる」と認定、賃下げ分の2万5000円を毎月支払えと会社に命じています。


自交労働者と選挙(3)

タクシー規制緩和を決めた国会

2000年当時の各党の態度は――

 いまやタクシー規制緩和の害悪は明白で、与党まで規制緩和の見直しを主張するようになりました。

 しかし、2000年に道路運送法「改正」が衆議院運輸委員会、参議院交通・情報通信委員会で審議されたときの各党の主張は次のようなものでした。(肩書きは当時)

    ◇

 自民党・実川幸夫衆院議員 本法案につきましては、いろいろな主張、要望も十分に取り入れておりますので、ぜひ早急に審議をし、成立をしていただきたい、そういう旨の陳情を受けております。そういうことを考えますと、まさに時宜を得た法案ではないかなと思っております。(4月26日)

    ◇

 公明党・赤羽一嘉衆院議員 タクシーまたバスの需給調整規制を初めとする規制緩和についての法案に臨むに当たりまして、経済の規制緩和は基本的には進めていくべきだ、これは私たちの党の考えでございます(4月21日)

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 民主党・高木義明衆院議員 タクシーも、非常に現実は厳しいけれども、しかしやはり競争の流れに乗って、より安全に、またサービスが向上する、そういう方向に、これは労使挙げての着実な努力をしなければならぬと私は思うわけです。(4月26日)

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 共産党・宮本岳志参院議員 今度の法改正により供給過剰は極めて深刻な状況に陥ることは明らかです。そのことにより、中小事業者はもちろん、労働者の長時間過労運転、低収入など、直接影響を与えることにならざるを得ません。その結果、利用者国民に安全、サービス上、多大な問題が生じることになります。(5月16日)

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 社民党・渕上貞雄参院議員 運転者の労働条件の現状を抜本的に改善するには適正な需給や適正な運賃水準の確保が必要だと考えます。(5月16日)

表


われら自交総連  3万人めざして(7)

課題実現に向け組合員の立場で運動を

自交総連の政策がすべてのタクシー労働者に影響

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タクシー運転免許実現をめざしデモ行進する自交総連の仲間

 自交総連の制度・政策闘争は、結成時(78年10月)から旺盛な議論を積み重ねて何度かの改定を経て93年に6項目政策提言をまとめました。

 (1)タクシーの優先通行権の確立、(2)同一地域・同一運賃を原則とする運賃認可制、(3)福祉タクシーへの助成、(4)タクシー運転免許の新設、最低労働条件の法制化、(5)規制緩和反対、減車の実効性強化、悪質事業者の処分強化、(6)利用者、事業者、労働者の声を反映した委員会による政策決定。

 その原点は「労働者の実感から出発した政策を幹部や学者が理論化すれば、それは大衆的な運動に発展する」ということです。

 課題実現にむけては、自交労働者の戦闘性を遺憾なく発揮し、旺盛な運動を展開しました。とくに、社会的水準の労働条件確立の闘いでは、組織の総力をあげノースライド闘争を展開。運賃改定時に足切りを上げない成果を職場で獲得。その方式は「44方式」「91担保方式」に発展し、すべてのタクシー労働者に影響を与えるものとなりました。

 「44方式」とは、昭和44年労働省と運輸省が運賃改定にあたって労働者の労働条件を具体的に指導したもので、労使の確認書を義務づけたものです。その後79年の運賃改定で東京と大阪地連が運輸局等に公聴会を求め制度的に具体制をもつものにしたノースライド制度をめざしました。

 この闘いは、91年に継続し、画期的な「労働条件が完全に担保されうる労働者・労働組合への事前確認協定の義務づけ」(担保方式)を実現しました。

福祉タク、減車でも前進

 福祉タクシー実現にむけての運動は、74年の全国共闘会議からで76〜78年に11都府県で自治体の運賃補助制度を獲得し実現しました。

 需給調整規制は81年に、福岡・北九州で1割減車と3〜400人といわれるアルバイト運転者の排除を実現。90年にも神奈川・横須賀で1割減車を実現しました。減車はこの2例のみで、全地方と本部が主要課題に位置づけとりくんでいるものの前進を阻まれていますが、現時点では、その機運が高まり、チャンス到来という実情にあります。

 道交法闘争は、不当な取締りとの闘いを含めた、5つ観点で結成時から一貫してとりくんできました。組合員の立場での運動を貫きさまざまな成果をあげてきました。

 現在の政策闘争では、タクシーの規制緩和の弊害を世論化し、全国的に緊急長調整地域の指定を全国的に指定させ、運転者登録制度を実現させてきました。

 さらに、労働条件改善、同一地域同一運賃、需給調整問題などが交通政策審議会で審議され、来年の通常国会では、これらの課題を踏まえた道路運送法改正が予定されています。


各地の大会

権利侵害悪質資本と闘おう

千葉第32回大会

 【千葉】千葉地本は9月29日、第32回定期大会をひらき、「労働条件改善と職場権利の拡大、悪質資本の徹底糾弾、規制緩和に反対し、規制強化で安全なタクシーを」などをスローガンとする運動方針をきめました。

 小林委員長は、春闘でノースライド+αで足切りの引き下げをかちとったのは、会社との交渉と行政交渉をつよくすすめた結果だと述べ、引き続き労働者の権利侵害や悪質資本の攻撃と闘っていこうと呼びかけました。

学習強化と組織拡大全力を

東京第117回大会

 東京地連は9月29、30日、亀戸文化センターで第117回定期大会をひらき、学習活動の強化と組織拡大に全力をあげる決意を固めあうとともに、「減車の実現で適正な実車率を確立し、安心・安全な輸送をめざそう」を基調とする08年度運動方針を決定しました。

 委員長=飯沼博(再)▽副委員長=石毛浩一(新)、徳永昌司(再)、早川広之(再)▽書記長=鈴木勇(再)▽書記次長=宮竹光男(再)、川崎一則(新)

営収向上にむけ労使協力を

福島第14回大会

 福島地連第14回定期大会が、10月5日にサンライフ福島に於いて、7単組42人の参加でひらかれました。

 大会で冒頭あいさつした山崎委員長は「営収向上にむけて経営者は、もっと頭を使ってほしい。そのために労働組合として方策を提供などの協力をおしまない」とあいさつし危機打開にむけての決意を表明しました。

 提案された08年度運動方針や会計報告・08年度予算など、全議案は満場一致で採択されました。


新加盟のなかま  (750)香川・コトバス労組

会社への不満高まり結成

  【香川】琴平町にある琴平バス(観光バス)に働く仲間は7月4日、コトバス労組(加藤和也委員長)を結成、自交総連に加盟しました。

 同社には組合がなく、有休がなかったり特定の人が配車差別をされるなど、賃金・労働条件自体が不明確で、不満が高まっていました。同社社員の奥さんが地連の元組合員だったことから地連に相談があり、仲間を集めて結成に至りました。


新加盟のなかま  (751)東京・宮園福祉労組

根拠ない賃金差別

 【東京】練馬区にある宮園自動車の福祉バス運転手・添乗員のなかまで組織する宮園福祉労組(藤澤鋼一郎委員長)は7月23日、臨時大会をひらき自交総連への加盟を決めました。

 会社では、契約社員が正社員になりましたが、賃金は差別的内容で、根拠も示されないため、東京福祉バス従業員組合に相談し、自交総連宮園福祉労働組合を発足。同一労働・同一賃金をめざすことにしました。


新加盟のなかま  (752)大阪・みなと観光労組

労働条件改善したい

 【大阪】淡路島の南あわじ市にあるみなと観光バスで働くなかまは9月29日、みなと観光労組(久保剛久委員長、11人)を結成、自交総連に加盟しました。

 昨年の4月ごろ、大阪地連に賃金の完全歩合制、労働時間、残業手当、有給休暇などを改善したく労働組合を結成したいがやり方がわからないとの労働相談があり、その後何度か地連との懇談や学習を重ね今回の結成、加盟となりました。