自交労働者No.722、2008年11月1日

実勢3万人、組織強化・拡大が最重要課題

規制緩和見直し確実に

第31回定期大会 新役員体制を確立

 自交総連は10月20〜21日、東京・すみだリバーサイドホールで第31回定期大会をひらき、新年度運動方針を確立し、飯沼委員長(再任)をはじめ新役員(任期2年)を選出しました。大会では、機関紙コンクールの表彰、争議組合の紹介が行われ、討論では総括討論を含む22人が発言。方針・予算などの議案が採択されました。

委員長のあいさつ

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飯沼委員長
 自交総連はこの間、規制緩和の失敗を追及する闘いを粘り強く展開するとともに、反核・平和、社会保障制度・医療制度の改悪に反対し、国民的諸要求の実現に向け全力をあげてきました。

 タクシーの規制緩和見直しの動きも、私たちの運動が世論を変え、政府を追い込んでいるといえます。

 規制緩和施行後6年半を超えるなか、私たちの運動で、東京での自主減車の動きを見せる業界、与野党の規制緩和見直しの提言など規制緩和見直しが現実となる可能性が高まっています。

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第31回定期大会で団結がんばろうをする参加者=10月21日、東京・すみだリバーサイドホール

 一方で、東京・大阪で駆け込み増車もみられ、また規制改革会議などの一層の規制緩和を主張する勢力の巻き返しも見られます。こうした動きにたいしては、増車に対しての厳格な監査を求めるとともに、抗議と反論を展開していきます。

 私たちは、規制緩和見直しの流れを止めるわけにはいきません。道路運送法改正などの動きを視野に、運動・行動で世論を喚起し、「新たなタクシーシステムの確立」を展望し、具体的政策要求にもとづくとりくみの強化を図る時です。

 同時に、次代を担う幹部活動家の育成と、自交総連実勢3万

人の回復、組織の強化・拡大が最重要課題であることを強調したいと思います。

 さて、アメリカ発の金融危機が、世界的に広がりを見せ、日本においても、株安、円高から倒産が増え、年金・医療・食品不安が広がり不況がさらに進行しています。この金融危機の根本原因は、新自由主義的・規制緩和にあるのは明白で、構造改革・規制緩和政策の破綻といえます。国会は臨時国会冒頭解散といわれていましたが、自民党は景気対策を理由に、低支持率のなか解散に踏み切れず解散時期をめぐり与野党の駆け引きが続いています。

 選挙に当たっては、規制緩和・構造改革路線と完全に決別する政治の実現と労働条件改善、政策実現を応援する政治への転換、そして格差と貧困をなくし、憲法・平和を守る政治へ、職場での議論を広げ投票権を行使しましょう。


組織拡大重視し要求実現を

らいひん4氏があいさつ

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大黒議長
新しい全労連運動に奮闘を

 全労連・大黒作治議長 トヨタをはじめ、大企業では賃金抑制と雇用の抑制が強まっている。来春闘では、賃上げと雇用をかちとることが必要だ。攻撃は強まるが、そうしなければ、日本経済の再生はありえない。組織拡大を重視し、要求を実現していく運動を、新しい全労連運動をみなさんとともに奮闘していきたい。

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山下議員

国民が主人公の政治めざす

 日本共産党・山下芳生参議院議員 9月3日の大阪での決起集会にはさまざまな労組と経営の代表が集まり、規制緩和はいきすぎだとの声が相次いだ。また、共産党として国交省に提言と要求を申し入れた。もうすぐ総選挙が予定されているが、国民が主人公の政治をめざし奮闘する。みなさんの民主的転換を期待している。

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佐藤議長

物言う力を強め国民春闘を

 交運共闘・佐藤陵一議長 交運の活動をふりかえってみると自交が先頭に立っていることを改めて実感する。労働組合が会社に果たす役割は、危機的状況を変えるための力としてであり、労組に入って闘えと状況がいっている。09春闘は、物価、消費、雇用不安となっていくが、物を言う力を強めて、国民春闘としていこう。

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田辺弁護士

名義貸しで国交省が通達

 顧問弁護団・田辺幸雄弁護士 大阪のワンコイン名義貸しでは、本部、大阪地連、弁護団で違法実態の調査を行い、意見書を提出し、それについて国交省が通達を出すという成果をかちとった。東京の国賠裁判では、宮城で運賃改定での利害関係人に労組の代表が採用されたように、控訴審でも原告適格を最大の焦点にがんばる。


日本社会の確かな再生めざし運動構築を

大会討論

各地のさまざまな活動報告

16地方22人が発言

10月からデマンドタクシー運行開始

 (1)山形・剱持恵市さん 自公政権の構造改革路線で地域経済が破壊されタクシー需要にも深刻な影響が出ている。自主経営のハイヤーセンターでは、廃止された路線バスに代わり、市と地区住民全世帯の負担金で運行するデマンドタクシーを10月から始めた。県内モデルケースとして注目されている。

最賃違反など改善のため4月に加盟

 (2)秋田・小川治康さん 今年4月に新加盟した。有休を取ると一時金から引かれたり、月の賃金は最低賃金にも届かない。社長は従業員の言うことを聞かず、県労連から紹介されて自交総連に加盟した。労基署に指導されても社長は払えないと言っているが、自交総連の力を借りてがんばっていきたい。

拡大・学習強化のためマニュアルを

 (3)埼玉・渡辺好雄さん 地連は若い吉田書記長が専従になり新体制を確立した。タクシー運転免許構想の実現性について具体的な道筋を示してほしい。労働組合の役割がますます重要なときに組織拡大が停滞しているのは重大問題だ。学習強化のため初歩的な学習会のマニュアルなどをつくってもらいたい。

個人加盟労組結成8人から30人に

 (4)東京・松井敏夫さん 東部と南部の地域労組を発展解消して個人加盟労組を結成、7か月たった。8人でスタートした組合員は12職場30人になった。地連では毎月2回の宣伝を実施、6、7月には26駅頭でキャラバン宣伝した。職場を変っても組合員のままの個人加盟労組はこれからますます重要だ。

再雇用制度で会社があいまいな基準

 (5)静岡・市村直之さん 運賃改定後の改善状況で運転者賃金は3%増と発表されたが、景気の悪化で改善になっていない。石川タクシーでは、定年後の再雇用制度について会社から協定案が提示されているが、ハードルを高くしたうえで所属長の推薦あるものは再雇用とするなど、あいまいな基準で問題だ。

スト決行、足切り引き下げかちとる

 (6)京都・須田兼次さん 京都タクシー支部は亀岡市にあり、生活は非常に厳しい。春闘では、6回の団交でも会社が譲らず、組合員は執行部についていくからがんばれということで、ストに突入した。2000円の足切り引き下げと解決金を獲得した。要求額からみれば少ないが、意義のある成果だと思う。

過労死基準を上回る走行距離規制

 (7)大阪・松下末宏さん 今年9月から観光バス運転手の1人1日の走行距離規制の試行が上限670kmとされたが、過労死基準を大きく上回る労働時間を算出基準とする走行距離は安全を担保できていないことは明らかだ。また、この法律は罰則がなく会社は走行距離規制も無視している。

組合つぶしのための解雇に負けない

 (8)山口・枝光敏樹さん 昨年2月に解雇された。皆さんの支援ありがとうございます。仮処分で勝ったが会社は職場復帰させない。解雇の本当の理由は、一昨年に代わった経営者が手当のカットを提案し、それに反対した組合をつぶそうとしたものだ。私は何も悪いことをしていない。勝利するまでがんばる。

組合を結成、パワハラなくなった

 (9)長崎・開田幸治さん 本原自教労組は今年4月に結成した。賃金が低く、従業員差別がある、10時から夜8時まで働くが空いた時間には賃金を払わない。団交で就業規則の開示を求めたら見せられない、新しく作るといって、3回目で賃金規定を出してきた。改善はこれからだが、パワハラがなくなった。

会津で割引運賃認可、監視を強める

 (10)福島・小山久夫さん 7月の国交省通達で福島市も特定特別監視地域に指定された。全国の仲間と闘い続けた成果だ。しかし、値下げや割引を安易に認めているのは問題だ。会津交通が3000円超5割引をスタートした。他社も追随すれば賃金低下に拍車がかかる。目を光らせていなければならない。

自教対策の強化と交流の場を要望

 (11)神奈川・三枝木裕美さん 関東で自教組織があるのは神奈川のみだ。自教では、生徒の奪い合いでダンピングは当たり前というなか、三共自校では、パートが増え、正社員の賃金も低下、週休日数も減らされ、非組合員が増えている。自教対策の強化と全国の自教の仲間が交流できるよう要望する。

総選挙で規制緩和の息の根止めよう

 (12)石川・金子久男さん 平均年収193万円、平均年齢は60・8歳となった。3月にタクシーデモを行い「特別監視地域指定がタクシー問題の解決の糸口になる」とテレビ局が報道した。また、県議会と市議会に請願を行った。間近に迫る総選挙はタクシー規制緩和の息の根を止める大きなチャンスだ。

幹部は組合活動に対する思い必要

 (13)東京・宮脇聡さん 次代を担う幹部活動家の育成に向け系統的な学習会を開催し、講師を教宣部内で務め、受講者のみならず講師の力量アップにつながった。運動の歴史など学習の重要性が増しているが、幹部は組合活動に対する「思い」を持って、自分が何をすべきか考えてもらうことが重要と考える。

全面解決にむけ引き続きの支援を

 (14)大阪・岩永英雄さん 昨年高裁での画期的な判決を受け、5月1日に最高裁判決が確定した。敗訴した第一交通は、ペーパー会社を設立し、組合員個人に出向命令を送付してきた。組合は労働条件等の協定が先だと第一本社と闘っている。全面解決にむけてがんばり通すので、引き続き支援をお願いする。

運輸局に労働条件改善の指導を請願

 (15)福岡・渋田力男さん 福岡西鉄タクシーは運賃改定時に経営赤字を理由にスライドを行った。福岡の仲間とともに抗議のストを行い、九州運輸局に対し、運賃改定後の労働条件改善を指導するよう請願行動を行った。運転手の健康も脅かされている状況で裁判闘争を行うことで仲間も増えている。

もっと業界全体で誇りもてる仕事を

 (16)山梨・栗原孝明さん 山梨は経済成長率が最下位で飽和化している。そのため規制緩和の影響が少ない。増車しても経営が成り立たず、10月の読売新聞にも取り上げされた。新人が入社するが、最初はうまく行くと言うが、独身者でも生活が厳しい。もっと、業界全体で誇りの持てる仕事にしてもらいたい。

10月より大和タクの自主経営を開始

 (17)鹿児島・内健児さん 昨年12月、あづま交通が営業所の閉鎖全員解雇を一方的に通告。その後組合を立ち上げ自交総連に加盟。営業所の閉鎖、解雇を撤回させた。また、自交一般鹿児島を立ち上げ奮闘している。会社更生法を申請した大和交通労組は更生法を断念、10月より自主経営を行い活躍中である。

決めたことを実行し結果出す運動を

 (18)神奈川・市野隆さん 「組合運動の基本に戻る」をテーマに昨年学習会をとりくんだ。30年前タクシーの運動の争点はノースライド闘争であり、歴史がその正当性を認めている。多数組合になることを各職場でめざすため、決めたことを確実に実行し、結果を出すようとりくむ。

運賃改定のタイミングが重要だ

 (19)京都・森長達也さん 5000円超、50%引き。深夜割増なし。着物割引など京都では運賃割引制度がいろいろある。お盆以降状況が厳しく、運賃値上げが必要と考えているが、高齢者の利用者の多くが値上げすれば乗らなくなると言っている。乗り控えを考えると運賃改定のタイミングが問題だ。

宣伝行動で組織拡大の手ごたえ

 (20)宮城・冨中有さん 仙台市が緊急調整地域に指定され、これにより国賠訴訟を取り下げ、報告集会を行いマスコミも大きく取り上げた。増えすぎたタクシーが交通渋滞だけでなく環境にも悪いことが理解されるようになってきている。宣伝行動が組織拡大につながっている。活動をすれば手ごたえがある。

悪質事業者が労働者を食い物に

 (21)大阪・庭和田裕之さん 大阪では悪質事業者が労働者を食い物に勢力を伸ばしている。厚生労働省の賃金センサスは実態と大幅に違う時がある。ワンコイン問題では、迅速な対応で国交省に出した「意見書」は業界内外に一石を投じた。現在の争議は5つ抱えている。全面解決に向け支援をお願いする。

適正実車率を実現し事故撲滅めざす

 (22)東京・梅田裕一さん 3月に一人でも入れる労働組合「個人加盟労組」を結成。定期的な宣伝行動に加えて個人加盟労組キャラバン宣伝も行い、当日に相談もあった。道交法では交通行政の民主化を求めて運動を進めている。中核組合が適正実車率を実現し、交通事故撲滅をめざす集会を行った。


生きた経験学ぶこと重要

執行部まとめ

今村書記長

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今村書記長
 執行部答弁に立った今村書記長は、第1に、大会討論を通じて明らかになった各地の闘いの生きた経験に学ぶ≠アとの重要性を強調するとともに、教えるは学ぶの半ばなり≠フ言葉を引用し、人に物を教え、学習講義の任に当たることは、自らの成長にも役立つと指摘。その視点における幹部育成策の強化を訴えました。

 第2に、直接的な台数規制がなされない以上、長期的には、国家資格を有する運転者の数の制限による間接的な需給調整機能の確立以外にタクシー再生の解決策はない。

 また、誇りと働きがいのためには、働き方における選択権の拡大が求められるとし、将来像を見据え、運動の強化による世論形成によって突破する≠ニの構えが重要であると指摘しました。

 第3は、直面する最重点課題である減車とバラバラ運賃の是正にむけて全力をあげることが必要・不可欠とし、また、歪んだ日本社会の再生、規制緩和政策からの転換をはかる絶好のチャンスとなる総選挙勝利の重要性を強調し、奮闘を呼びかけました。


大会宣言

2008年10月21日
自交総連第31回定期大会

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大会宣言を読み上げる石川・井上中執

 2002年2月、タクシーを規制緩和する道路運送法改悪が施行されたとき、我々は、この規制緩和はタクシーを破壊するものであり、必ずや破綻すると指摘した。それから6年、この指摘が正しかったことは事実が証明した。我々の運動は、国土交通省をして、来年の国会に道路運送法改正案を提出すると表明させ、事実上の規制緩和の見直しに踏み出させている。

 こうした転換をもたらした要因は、労働環境の悪化にも負けずに、現場から実情を社会に発信し、規制緩和の弊害を訴え続けてきた労働者の闘いにほかならない。我々は、一貫してその先頭に立ってきた組合の一員として、闘いの成果に確信をもつとともに、いっそう運動をつよめて、規制緩和の見直しを確実なものとし、減車の実現、参入・増車の抑制、適切な運賃規制をめざして全力をあげなければならない。

 規制緩和による害悪の発生は、タクシー・観光バスだけではない。雇用破壊とワーキングプアを生み出した労働者派遣法の規制緩和、食の安全を脅かしているコメの自由化、農産物輸入の規制緩和、投機マネーの横行による物価高騰と世界的な経済破綻をもたらした金融規制緩和――歴代の自公政権が構造改革の名のもとで進めてきたあらゆる分野の規制緩和は、国民のいのちと暮らしを破壊してきた。

 この悪政に、怒りの審判を下すチャンスが目前に迫っている。

 情勢の変化に合わせて変わり身早く規制緩和に異議をとなえる勢力のうちにも、当初は規制緩和を推し進めてきた政党・政治家がいる。誰が規制緩和を推進し、誰が当初から反対し続けたのか、誰が平和と憲法を守り、労働者の暮らしを守るのか、しっかりと見極めて、労働者の願いをかなえる政治を実現するための選択を行おうではないか。

 我々は、本日、全国各地の運動と経験をもちより、これから1年間の運動方針を決定した。その実践を保障するものは、何よりも組織の強化拡大をおいて他にない。仲間を増やし、自交総連を強く大きくすることを、すべての闘いと結びつけ、必ずや実勢3万人の回復へ向けての前進をかちとろう。

 全国の未組織・未加盟の仲間に自交総連に結集してたたかうことを呼びかけ、大会参加者は、その先頭に立つことを決意するものである。


自交総連第31回定期大会選出役員(任期2年)

中央執行委員長 飯沼  博(東 京)
副中央執行委員長
石垣  敦(宮 城)
鈴木  勇(東 京)
岡田紀一郎(大 阪)新
緒方  満(福 岡)
書記長兼会計 今村 天次(山 口)
書記次長 菊池 和彦(本 部)
池田 忠司(東 京)新
専従中央執行委員 中山 益則(東 京)
常任中央執行委員 吉田 貴一(埼 玉)新
徳永 昌司(東 京)
早川 広之(東 京)
梅田 裕一(東 京)新
中野  清(神奈川)
石原 敏雄(京 都)
庭和田裕之(大 阪)新
中央執行委員 武田 幸夫(山 形)
沼倉喜久雄(福 島)
高城 政利(東 京)新
高木 規夫(東 京)
川崎 一則(東 京)新
丹沢 信之(山 梨)
神谷宗十郎(静 岡)
井上  登(石 川)
佐藤  均(奈 良)
戸倉伸一郎(山 口)
海老原 昇(大 分)新
瀬戸山実義(鹿児島)
会計監査 本間  昭(宮 城)新
武田 義裕(京 都)新

常任顧問 権田 正良(大 阪)新

(注.常任中央執行委員は第1回中央執行委員会にて互選で選出)

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紹介される新執行部


長期争議組合が決意とカンパを呼びかけ

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長期争議の仲間にカンパをする大会参加者

 大会には不当解雇や賃金未払いと闘う11地方20組合・地方の長期争議組合が参加し、前に並んで紹介されました。

 争議団を代表して、佐野南海交通労組の堀川さんが決意表明を行い、争議支援のカンパを呼びかけました。

 また、会場カンパの呼びかけには13万3941円が集まりました。


今までおつかれさまでした

退任役員の紹介

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退任のあいさつをする権田元副中央執行委員長

 今大会で役員を退任されたみなさん

 権田正良(副中央執行委員長・大阪)▽小林隆(書記次長・東京)▽宮竹光男(常任中央執行委員・東京)▽久保義雄(常任中央執行委員・大阪)▽石毛浩一(中央執行委員・東京)▽舞弓義隆(中央執行委員・東京)▽衛藤和範(中央執行委員・大分)▽相沢道彦(会計監査・宮城)▽領家光徳(常任顧問・東京)