減車など実効ある法制度実現へ第31回中央委員会国民本位の政治つくろう
委員長あいさつ 09春闘は、アメリカ発の金融危機が日本を直撃し、一層の金融危機が進行する中、タクシーにおいては、実効ある法制度を実現する闘いが大きな山場を迎え、新たな運動を発展させる課題が重要になっています。
国交省は、交政審の答申をへて、今国会で新しい法律による減車の制度を実施するということを表明し、その概要が発表されたところです。 1年前、交政審が開催される時点で、誰が法的に減車を実現できるような状況を予想したでしょうか。こういった面は大きな前進であると思います。 減車についていえば、その内容は結果として協調減車を柱とし、あくまで自主減車頼りとなり、ますます業界の社会的責任が問われているのではないでしょうか。そして業界の一部では、結果として台数規制効果を生む方法として、乗務員の資格要件の強化なども検討しています。 このことは私たちがこの間追求してきたタクシー運転免許制度につながるものとして評価されると思います。 さて、こうした減車の議論がある一方で、現在の社会的な雇用情勢に悪乗りして、タクシーを雇用の受け皿としようとする一部の事業者がみられます。需要が落ち込むもとで、既存の乗務員の賃金低下をそのままに、稼働率を上げれば乗務員の賃金がさらに低下することは明白です。 まずは既存の乗務員の労働条件を改善することが社会的責任ではないでしょうか。そもそもタクシーは、失業対策事業ではなく、公共交通機関であることを認識すべきです。 減車のしくみが議論されるであろう今国会は、国民の7割が反対している定額給付金を含む、第2次補正予算をめぐって混迷しています。 麻生内閣の早期退陣を求め、国民生活が中心のくらしの実現と平和を守る政治を実現するためにも、ともに奮闘しようではありませんか。
労働条件改善、実効ある減車制度の確立を各地の情勢、とりくみを報告中央委員会 討論11地方15人が発言長距離割引認めた 行政の責任を追及 (1)福島・管野正広さん タクシー運転手は、強盗に遭う危険性から安心して乗務することができない。今年に入って利用者が極端に減り、営収減に悩まされている。タクシーの過剰な供給を解消する新法案は長年にわたり自交総連が闘い続けた大きな成果である。労働条件改善に反して会津で行った長距離割引(3千円超、5割)を認めた行政責任を追及している。 運動の発展には幹部の行動が重要 (2)東京・片岡敏康さん 09春闘は、労働組合の存在意義が問われている。地域を足場とした生活危機突破をめざす春闘である。構造改革・規制緩和は政治災害といえ、タクシー労働者や地域住民や中小業者には共通点がある。地域労連への参加の意義を深めなくてはならない。連帯と変革の春闘であり、職場と地域から運動を発展させるには、幹部の行動が重要になる。 タクシー防犯で行政に働きかけ強化 (3)静岡・市村直之さん 非正規労働者が契約を切られハローワークに殺到している。大型店が出店を取りやめた。景気悪化が大きな打撃となっている。地域医療も危機で浜松病院継続を求める決起集会には組合員が自主的に参加した。気持ちの焦りから重大事故がおきた。タクシー防犯に関して、国や行政に働きかけの強化を求める。新空港の需要喚起に期待する。 個人加盟の地域労組立ち上げを提起 (4)石川・金子久男さん 荏原交通の譲渡・廃業問題は、組合が協定していた事前協議制と、職場を確保し労働組合を存続させる意味について何度も集会をひらき議論を重ねたことが教訓となった。組織拡大は手を打たなければ組織の減少になる。情勢は厳しいがチャンスでもある。今年度は個人加盟の地域労組を立ち上げる方針を提起した。組織拡大に全力を上げる。 労働時間規制の通達は基準が緩すぎ (5)大阪・松下末宏さん 観光バスにも不況が大きな影響を与えている。円高で外国人観光客が激減し、あまったバスを大手旅行業者が安く使っている。安売りされたバスの乗務員は低賃金を補うために高速通行料や駐車料金を浮かし生活費に充てている。労働時間規制の通達はあるが、基準が緩すぎる。規制緩和を元に戻すには政治の流れを変える必要がある。 組織拡大が前進、組合期待される (6)鹿児島・平原昭三郎さん この1年組織拡大を最重点課題としてとりくんだ。一時金が出ないとの相談で組合を結成した。問題が一部解決したら運動が停滞した。今後の教訓とする。観光バスの職場からも相談があり労働組合が期待されている。大和交通は、昨年10月より自主経営の道を歩み12月の大会で大和タクシー労組として新たに出発した。この間の支援に感謝する。 協定守らない悪質事業者増えている (7)埼玉・井原弘さん 埼玉は都心のベットタウンという地理的条件もあり、駅中心に利用者がある。駅への入構台数が規制され、規制緩和後も急激な増車は起きていないが、昨年10台増車した会社があった。会社との交渉で半年が経過したが1台も稼動していない。協定を守らない悪質経営者が増えている。不況の時期こそ理路整然と闘う春闘を行いたい。 組織拡大へ専門チーム立ち上げ奮闘 (8)福岡・内田大亮さん 今年に入りタクシー強盗が2件発生した。防犯板の設置の方針を積極的にお願いする。規制緩和後、700台増車となった。自主的に80台を減車したが影響は少ない。今後も運動を強めて行く。大量の雇用受け皿を表明する事業者に対しては矛盾点を世論に訴える必要がある。組織拡大は専門チームを立ち上げ、奮闘する決意である。 悪質事業者のデパート・大阪の実態 (9)大阪・園田公作さん 悪質事業者のデパートと言われる大阪の実例を報告する。名義貸し違反で改善指導を受けたワンコイングループは、表面的な手直しだけでやり過ごそうとしている。「蟹工船タクシー」と言われる小豆島グループでは組合ができた。駐車違反などで高額の社内罰金を取り、寮完備と言って募集しているがその礼金を6か月分も取り暴利を得ている。 交政審答申の地域協議会活用したい (10)京都・森長達也さん 昨年末は15〜20%も売上げが低下し、生活できる給料を持って帰れない。労働時間を伸ばして働いている。月間450時間も働く人もいる。地連では賃金低下の防止のためにも、運転者登録制の実効性確保と運賃改定・ノースライドの実現を求めていく。交政審答申に書き込まれた地域協議会を活用し、タクシー労働者の意見を反映させていきたい。 運動通じ各職場で多数組合めざす (11)神奈川・木下哲さん 30年前から一貫して、タクシー組合運動の焦点の一つは運賃改定時の対応だった。ノースライドを掲げた自交総連の運動は一昨年の運賃改定に伴う325通達にあるように、歴史がその正当さを示したといえる。これは闘いが情勢を切り開き、継続した運動が成果を結実することを示している。運動を通じて多数組合になるのを各職場でめざす。 警察権力の暴走に交渉、要請が必要 (12)東京・坪井竜一さん 法対部の道交法闘争でタクシーとワンボックスカーの事故で、加点入力阻止闘争にとりくみ点数抹消に成功した。今回のことで警察権力というのは労働組合がはたらきかけないとやりたい放題やってくることがわかった。免許の点数は乗務員の生活や収入に直接かかわってくるので警察権力の暴走を防ぐためにも交渉、要請をする必要がある。 総括討論減車に向け事業者への働きかけ重要 (13)宮城・冨中有さん 仙台市は規制緩和以降、緊急調整措置が発動されるまで、新規参入・増車が相次ぎ、全国一の増車率となり、行政も減車が必要と認識し、労働組合、事業者、ともに減車の必要性では認識が一致しているが、実際には減車が進んでいないのが現状だ。 国交省が新法案を国会に提出することを表明しているが、事業者が足並みをそろえて減車するよう働きかける必要がある。 未組織、未加盟の仲間と対話重視を (14)東京・宮竹光男さん 昨年から続く派遣労働者の大量の雇い止めに対し、労働組合をつくり、反撃に立ち上がる動きが強まっているが、タクシーでも、すさまじい売上げの減少に、宣伝行動では今までにない対話が進んでいる。まさに今年は労働組合の出番。未組織労働者や職場の組合員に、労働組合の姿を示すチャンスと位置づけ、未組織、未加盟の仲間と対話を重視し、東京地連は闘いを進めたいと思う。 防犯対策にアクリル板とカメラを (15)大阪・堀川卓夫さん 大阪ではタクシー協会と労働4団体共同でタクシー業界危機突破市民宣伝にとりくんだが、いまだに改善の兆しもなく、苦境に立たされているが、統一と団結を強め知恵を出し合い奮闘している。また昨年末にタクシー強盗が頻発したため、防犯対策としてアクリル板の取り付けと、抑止を見込んで、車内カメラの設置に積極的にとりくんでいる。タクシー労働者の安心・安全めざし奮闘したい。 苦しく困難なときこそ力出し合い奮闘を執行部まとめ春闘では地域での闘争重要
また、今春闘での重視するべき闘いとして、「闘いのキーワードは地域です。交政審答申でもタクシーが地域の公共交通機関と位置づけられているように、この春闘では地域での闘いが重要となっている」と位置付け、「労働組合としてそれぞれの地域における行動を考え、どういう役割をはたさなければならないか自ら提起し、行動に移し、地域に結集する他単産と共同して地域を活性化してほしい」としました。 最後に「この中央委員会に参加した人たちは、この場で学習したことや成果を職場に持ち帰りみなさんで結実した力としてほしい。ピンチの中におけるチャンスということで、あきらめるもの、がんばらないものにチャンスはめぐってこない。苦しく、困難な時であるからこそ、お互いが力を出し合い、09春闘勝利にむけがんばっていただきたい」と呼びかけました。 2009年春闘アピール2009年1月29日自交総連第31回中央委員会
いまこそ、ルールなき市場経済が大きな矛盾を抱えていることへの反対世論を広め、市場経済万能をうたった経済政策からの脱却に転じる闘いを大きく飛躍させなければならない。安心・安全輸送の確立と自交労働者の職場環境改善を求め、規制緩和政策の転換を迫るチャンスを余すことなく活かすときである。 09春闘は、世界的な金融危機による経済不況と大企業中心の大規模な派遣・期間工切り、正社員のリストラなど、雇用とくらしの破壊が急速に拡大している情勢のもとでたたかわれる。 財界は、1985年の労働者派遣法制定以来進めてきた労働法制の規制緩和の弊害を、すべて労働者に負担させる構えであり、それを認める政府の責任を見逃すことはできない。労働者と家族の生活を無視した雇用調整・人員削減に対して、国民的な怒りが、大企業の横暴を許さず労働者の雇用と権利を守る反撃となっている。労働者・国民の雇用とくらしが深刻な状況に追い込まれているときこそ、垣根を越えた労働組合の役割が重要である。 タクシー・ハイヤー、自動車教習所、観光バスで働く仲間が09春闘をたたかううえで重視すべきは、現状への怒りと不満、将来への不安が大きく広がっている職場の仲間の切実な要求を掲げ春闘に臨むことである。 たたかう基盤の強化なしに要求実現はありえない。自交総連は連綿とたたかってきた歴史と教訓に学び、要求で団結し、学習と実践をとおして組織の強化拡大をなしえてきた。目標とする実勢3万人の回復が自交総連の要求実現の可能性を飛躍的に高めることになる。 自交総連は、需要に見合った台数と適正な運賃の確立、タクシー運転免許の法制化がタクシー事業の将来展望であるとして運動を構築し、構造改革路線の中で規制緩和を見直させる先駆的な役割を果たしてきた。減車等に係わる新しい法律の通常国会提出・審議をめぐっては、確実な実効性を求め、労働組合がその機能と役割を十分に発揮しなければならない。 自交総連のこれまでの運動が、情勢を変える大きな役割を果たしてきたことに確信を持ち、3・5中央行動を軸とする行動を成功させ、総選挙勝利・政治革新の実現とあわせ新たな運動のうねりをつくり出す09春闘として全力をあげてたたかおう。 各地の闘いを交流自交総連第31回関係弁護士交流会26人の弁護士が参加
交流会では、須藤弁護士が交政審答申と規制緩和見直しの動向について基調報告を行い、特別報告として、(1)西鉄タクシー労組・運賃改定時の就業規則不利益変更による賃下げ問題と対策=福岡・光永享央弁護士、(2)三和交通労組・高齢者有期雇用と雇い止め問題の特徴点=埼玉・杉村茂弁護士、(3)国家賠償請求訴訟裁判と「原告適格性」について=東京・宮川泰彦弁護士、(4)佐野南海交通労組・最高裁決定の評価と全面解決への課題=大阪・藤木邦顕弁護士――の4つをとりあげました。 また、神奈川の伊藤弁護士が三共自動車学校支部の賃金差別事件や飛鳥交通支部の養成費不当利得返還請求事件などを、鹿児島の増田弁護士が大和交通労組の会社更生手続断念から新会社設立への経過などを報告しました。 また参加各弁護士からも各地の事件について報告がされ、自交総連のこれからの闘争などについて交流を深めました。 賃上げ・雇用守る闘いをらいひん2氏があいさつ国民世論の多くが内需中心
全労連・大黒作治議長 09春闘を闘うにあたり、外需頼みの日本経済ではだめだということが明らかになり、内需中心に変えなければならないという国民世論が大きくなり、そのためにも賃上げと雇用を守ることが重要だ。また、全労連には派遣切りにあった人たちが組合を作り結集してきているが、かれらの闘争資金のためのワンコインカンパにとりくんでいるのでみなさんのご協力をお願いしたい。
顧問弁護団・小賀坂徹弁護士 弁護士交流会ではさまざまな闘争が報告された。東京の国賠裁判では、地裁ではタクシー労働者には訴える利益がないとして負けたが、運賃改定の認可に際して、タクシー労働者にとって運賃改定は労働条件に直結することなので、それに対して異議が言えないということは明らかにおかしなことだ。現在高裁で争われているが、そのことを論点に訴えているなどの議論がされた。 長崎地連春闘とりまく情勢学ぶ学習会で意志統一
今年は規制緩和して8年目になりますが、秋には新法案が施行され、再規制される情勢の中での春闘になりますので、『新たな再規制を考えてとりくむ春闘』となることを学習し、意志統一しました。 また自教部門については、人口減少が加速されているなか、経費削減策と合わせ、業務拡大にむけ、『労使で、今何が出来るかを密に協議して行く』ことを学んだ学習会でした。
【神奈川】横浜市都筑区にある横浜交通で働く仲間は1月22日、横浜交通支部(板橋茂治支部長、30人)を結成、自交総連に加盟しました。 会社は2006年6月に作られた新しい会社で、いろいろな点で運転者の不安が高まっていたところ、同じ営業区域である中野地本委員長が相談を受け、その後職場内組合を結成しましたが、上部団体が必要との申し出があり、今回の加盟となりました。 |