自交労働者No.729、2009年3月1日

実効ある減車制度導入の闘いに奮闘を

すべての職場で要求提出へ

春闘へむけ各地で議論を展開

 力を合わせ 大幅減車、貧困・生活危機突破 09春闘――各地では、春闘へむけ、討論集会、中央委員会などで、減車実現にむけた議論や、すべての職場で要求を提出し、一職場一重点要求獲得への意思固めが行われています。今春闘は、アメリカ発の金融危機が日本経済にも影響を与え、深刻な営収減となっている中でたたかわれます。国土交通省は2月10日、「タクシー事業の適正化・活性化特別措置法案」を国会に提出し、供給過剰地域で減車ができるしくみをめざしています。実効ある減車制度の導入と適正な運賃の確保を重点とする闘いが大きな山場をむかえます。

09春闘に向け積極的な討議

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東京地連春闘討論集会のようす=2月3〜5日、鬼怒川・ホテルニュー岡部

 【東京】東京地連は2月3〜5日、鬼怒川・ホテルニュー岡部で、54組合、238人が参加し春闘討論集会を開催しました。

 2日目は分散会に分かれ09春闘にむけて積極的な討議を行い、「学習に対する単組間の意識のギャップの克服にむけて勤労者通信大学のとりくみを重点課題とすること。また、全単組が要求を提出する」=タクシー、「会社の現状を正確に把握し、雇用調整を的確に実行させ、賃金を維持させ合理化を必ず阻止する」=ハイヤー、「整備に今までより高い技術を求められているにもかかわらず、賃金・人員は相変わらずギリギリまで抑えられている。技職の人件費や車両整備に必要な経費まで圧縮され、タクシーの利用者と乗務員の安全に重大な支障をきたしかねない」=技職との議論が交わされました。

 最終日の全体討論では、多すぎるタクシーの減車にむけた発言や、営収が上がらない現状に足切り減額を求める声。青年部は若い力で国の政策を変える運動にとりくむとの発言がありました。

減車闘争の重要性を強調

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組織拡大などについて議論した宮城地連第30回中央委員会=2月17日、宮城県印刷会館

 【宮城】宮城地連は2月17日、宮城県印刷会館で、第30回中央委員会をひらき、48人が参加しました。

 中央委員会では、本間委員長があいさつで減車闘争の重要性を強調。本部の菊池書記次長が09春闘の特徴について講演。石垣書記長が、09春闘方針を提案しました。

 昨年秋以降、一段と営収が下がった中、減車、運賃の上限はり付け、宮城地連の組織拡大などについて意見が集中し、制度政策懇談会の再開も確認されました。

3つのテーマごとに討議

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神奈川地本春闘討論集会のようす=2月15〜17日、熱海・ホテル池田

 【神奈川】神奈川地本は2月15〜17日、春闘討論集会をひらき、3日間にわたり190人が参加しました。

 来賓として本部の池田書記次長が基調講演を行い、大滝書記長から08秋闘総括案と09春闘方針案の説明がありました。

 2日目の分科会では組織・財政・運動(教宣)の3つに別れテーマごとの討議を行いました。

実収入増へ経営責任を追及

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組合員を前に09春闘への決意を語る岡田委員長=2月17日、大阪・国労会館

 【大阪】大阪地連は2月17日、第66回中央委員会をひらき、「タクシーでは、大幅減車による適正な台数と上限運賃の確保を最重点課題とし、実収入増確保への経営責任を追及する」とする09春闘方針を全会一致で決定しました。

 タクシーの供給過剰を解消するため事業者が協議し営業台数を減らす制度の創設を盛り込んだ法案が2月10日、国会に上程されたことに触れ、岡田委員長は「私たちの運動の積み重ねが実ったものだと確信している。実効性のある法案にするために引き続き運動を強めていかなければならない」とあいさつしました。


裁判官が審理打ち切り宣言

東京地連国賠裁判 第3回控訴審

4月16日判決へ

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通行人に訴える東京地連の仲間=2月10日、東京地裁前
 【東京】大口割引運賃の違法性と損害賠償を求めた国家賠償請求訴訟第3回控訴審が、2月10日、11時から東京高裁101号法廷で開廷されました。

 同日の裁判では、裁判開始直後に裁判長が「すでに提出されている証拠で十分と判断したので、証人尋問は必要がない」と証人申請を却下。弁論終結が宣言されました。

 これに対し、田辺・竹内両弁護士が原告適格の立証にむけて、学者証人の必要性や在職死亡、健康被害の実態など、原告の身辺に起きた不利益の陳述が重要であると弁論終結に異議を申し立てましたが、裁判官3人による合議のうえ、改めて弁論終結が宣言されました。

 審理打ち切りに対し報告集会で宮川弁護団長は「国が強行した規制緩和のあやまちを、国が認めようとしないとき、そのあやまちを判断するのが司法の役割。司法が国民から負託された役割をきちんと果たしていくことが求められる」と、審理打ち切りを批判しました。

 判決は4月16日、3時から。裁判には、宣伝行動も含め141人が参加しました。


タクシーの営収急激落ち込み

前年比

東京→−13・9%
大阪→ −8・2%

過去に例のない推移

 東京武三地区と大阪市域の昨年12月の実働1日1車当たり営業収入が前年同月に比べともに大幅に減少していることが両協会のまとめでわかりました。

 東京武三地区、大阪市域ともに12月は落ち込みが激しく、東京では日車営収は前年同月に比べ13・9%減の4万4707円、大阪は3万1332円と前年同月に比べ8・2%も減収となっています。

 東京、大阪とも、昨年夏のアメリカ発の金融危機以降の落ち込みが激しく、営収推移を見ても、とくに東京では11月の営収は前年同月に比べ11・5%の減収と過去に例のない二桁の落ち込みとなり、大阪でも同じく、前年同月比で減収が続いていたものの、9月には5・4%と急激な落ち込みを記録しました。

 今後もタクシー需要の低迷は予断を許さない状況です。

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防犯仕切板の基準提起

防犯基準の見直し議論

警察庁

 タクシーの強盗防犯対策事務担当者会議が2月20日、警察庁でひらかれました。

 会議では防犯基準の見直しについて、防犯訓練は年1回以上行うこと、防犯仕切板は形状の基準を示すこと、車内防犯カメラの設置を加えることなどの拡充が提起されました。

 仕切板義務化については、国交省が法令等で決めることは難しいとしていますが、使用者に安全配慮義務があることは最高裁判例でも確立しているとして、以下の判例が紹介されました。

 「使用者は…労働者の生命及び身体等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負っている」「X社では…(防犯の)物的設備を施さず…十分な安全教育を施すなどの措置を講じていなかったというのであるから…安全配慮義務の不履行があったものといわなければならない」。

有効な防犯仕切り板の例

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長崎地連

乗務員から励ましの声

組織拡大街宣活動を実施

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乗務員に訴える長崎地連の仲間=2月15日、長崎市内

 【長崎】長崎地連は2月15日、組織拡大街宣活動を行いました。

 北部の商店街「チトセピア」と「長崎駅前」と、長崎中心部の「鉄橋」で街宣活動をし、ビラ350枚を配布しました。

 ビラを受け取ったタクシー乗務員さんから「頑張って下さい」「ご苦労様です」の声も聞かれました。また、通行人からは、「タクシーが多すぎるから、大変ですね」と言う声が聞かれたことが、印象的でした。


労働条件改悪、解雇に「啓発指導」

厚生労働省が通達とパンフ

従来の立場から一歩踏み出す内容

 深刻な不況の影響で、タクシー・バスの売上げは激減し、賃下げ、労働条件の改悪、解雇などの攻撃も予想されます。

 こうした攻撃に対して、厚労省が昨年12月9日に出した通達「経済情勢の悪化を踏まえた適切な行政運営について」とパンフレット「厳しい経済情勢下での労務管理のポイント」が活用できますので紹介します。

労基法違反でなくても「啓発指導」

 【解説】厚労省が出した通達とパンフレットは、従来の厚労省の立場から一歩踏み出す新しい内容を含んだものです。従来、厚労省は、明確な労基法違反は改善を指導するが、賃下げなどの事例については、労働契約法違反の疑いがあっても最終判断は司法が行うもので、「就業規則変更の合理性の有無について労基署では判断できない」(08・3・5自交総連交渉)という消極的な姿勢で、使用者への指導を放棄してきました。

 しかし、今回の通達では、労基法等に違反しない場合でも「適切に取り扱われることが重要である」「労働契約法や裁判例等の周知を図り、適切な労務管理の必要性について啓発指導を行う」としたうえで、パンフレットで「使用者が一方的に就業規則を変更しても、労働者の不利益に労働条件を変更することはできません」と説明しています。

 経営者からの賃下げ(運賃改定時のスライド賃下げ含む)や解雇の攻撃に対しては、交渉ではねのけるとともに、この通達を活用して、労基署・労働局に積極的な「啓発指導」を求めていくことが重要です。

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新加盟のなかま  (758)東京・上北沢自動車学校労組

自主独立した組合へ

 【東京】世田谷区にある上北沢自動車学校で働くなかまは1月25日、自交総連上北沢自動車学校労組(谷合好美委員長、27人)を結成、自交総連に加盟しました。

 以前は東自教労組の支部として活動していましたが、昨年暮れの一時金闘争を通じ、自主独立した労働組合をめざし新たな組合を結成しました。

 加盟後は組合員の意見が反映できる運営をめざし奮闘しています。