自交労働者No.744、2009年11月1日

実勢3万人の回復で、闘争力の飛躍的強化を

政策と運動で規制強化

新年度方針を確立

第32回定期大会

 自交総連は10月27〜28日、東京・すみだリバーサイドホールで第32回定期大会をひらき、新年度運動方針を確立しました。大会では、機関紙コンクール・写真コンテストの表彰、争議組合の紹介が行われ、討論では総括討論を含む15人が発言。方針・予算などの議案が採択されました。

飯沼委員長あいさつ

今こそ反転の情勢

団結がんばろうをする参加者=10月28日、東京・すみだリバーサイドホール
団結がんばろうをする参加者=10月28日、東京・すみだリバーサイドホール
 我々の規制緩和反対の継続した運動は、規制緩和から規制強化へと転ずる状況をつくりだしました。

 自交総連は、これまで政策的優位性を背景に運動と闘争力によって要求実現をかちとってきました。過去には、自交総連が主張しつづけた、運賃改定時における査定原価の公開、そして、先の運賃改定時における行政自らによる実質ノースライドの通達など、政策力とどこにも負けない粘り強い運動で成果をかちとってきました。

 そして、新法成立にいたる経過をみると、東京における運賃改定にかかわっての物価安定政策会議での議論、そしてタクシーの構造的問題が指摘された交政審の開催と交政審委員への指名、さらに法案審議の国会での参考人招致と、新法成立に自交総連の政策と運動が大きな力を発揮してきたと言えます。

 こうして考えていきますと、情勢の変化に対応する強固な産業別組織としての成長が重要であります。組織の前進なくして、要求を勝ち得ることは困難を極めると思います。まさに数こそ力であります。組織の面で言いますと、自交総連は今年8月末における組織実勢は、前年比で560人増となっています。実に20年ぶりにプラスに転じたという状況になっています。

 自交総連の組織拡大について、全労連の前議長の坂内氏は次のように述べています。

 「自交総連という組合は、ほとんどのタクシー労働者がその名前、存在を知っているし、タクシー労働者はどこにいったら会えるのかなという心配がない」組織拡大の期待と可能性を指摘していると言えます。

 今こそ反転の情勢です。自交総連3万人回復へ向けての奮闘を訴えます。


タク活性化法成立は自交総連の成果

らいひん4氏があいさつ

大企業優先政治から転換を

小田川事務局長
小田川事務局長
 全労連・小田川義和事務局長 タクシー規制緩和見直しは、小泉改革を転換するものとして運動を強めてきた自交総連のとりくみに敬意を表する。

 総選挙で国民が政権選択を行い、構造改革の成長路線から国民生活重視の路線への転換が起きているが、いくつかの不安もある。新たな雇用対策や大企業優先の政治からの転換を求める大規模な運動を起こしたい。

運動と国会闘争で法律成立

穀田議員
穀田議員
 日本共産党・穀田恵二衆議院議員 みなさんの運動と国会闘争が連携しタクシー活性化法が成立した。自交総連のとりくみが減車と運賃問題での規制強化をつくりだしてきたことに確信をもち、成果をともに喜びたい。自交総連の組織純増といううれしいニュースも聞いた。みなさんの生活と雇用を守る方針、平和を守る闘いを支持し、みなさんと共同して力を尽くしたい。

規制緩和弊害への怒り爆発

佐藤議長
佐藤議長
 交運共闘・佐藤陵一議長 トラック事業者の全国大会で規制緩和の弊害への怒りが爆発、「タクシーは規制強化になっている。なぜタクシーだけなのか」という発言で、決議案に規制強化要求が盛り込まれた。みなさんの闘いが情勢を大きく動かしている。

 期待は労働組合にむけられている。労働組合は社会的力、あらためて自交総連とともに前進していきたい。

組織をのばすことに全力を

須藤弁護士
須藤弁護士

 顧問弁護団・須藤正樹弁護士 タクシー活性化法が10月から実施され、結節点をむかえている。長い歴史と闘いに確信をもってすすんでいってもらいたい。そのうえで、タクシーサービス事業の特殊性、タクシー乗務員が顧客と接する一人ひとりにかかっている責任は大きい。これからは労働者は組織されなければ要求は実現しない。組織をのばすことに全力を。


社会的水準の労働条件への接近と働くルール確立を

各地の闘いを交流

11地方15人が発言

大会討論

道理ある主張 生きると確信

新年度運動方針などを決めた自交総連第32回定期大会=10月27〜28日、東京・すみだリバーサイドホール
新年度運動方針などを決めた自交総連第32回定期大会=10月27〜28日、東京・すみだリバーサイドホール
  (1)福島・藍原茂夫さん 活性化法の成立をともに喜び合いたい。道理ある主張は必ず生きることを確信した。

 規制緩和の9年間で生活悪化が進み、年収は200万円を割っている。経営者は減車に抵抗があり消極的だが、適正な台数、運賃などを経営者と議論する場として地域協議会で積極的に意見を述べていきたい。

みんなで考えみんなで実行

 (2)東京 舞弓義隆さん 亡くなった福永前書記長から自交総連結成の話を聞いた。全労連運動を先頭で引っ張ることを誓いたい。

 売上低迷で倒産をうわさされる会社もあるなかで、公和自動車が事業所を閉鎖、地連に加盟した組合が仮処分で闘っている。組合の基本である、みんなで考え、みんなで実行が求められる。

共同ひろげて減車の実現へ

 (3)神奈川・大滝信一さん 神奈川は全県が特定地域に指定された。京浜地区では10月30日に地域協議会が開催される。亡くなった三浦元委員長のリードで、71年以来全県ハイタクに主要労組が全部入って活動してきた歴史があるので、組合側は全県ハイタクで対応する。具体的な減車に結びつくようにしなければならない。

闘いのなかで組合員増えた

 (4)静岡 諏訪部みゆきさん 富士急石川労組では、不当解雇と高齢者の継続雇用改悪を阻止する闘いのなかで組合員を増やすことができた。組合に入った人から、役員が1人のために悲しんだり、喜んだりする姿を見て感動したから組合に入ったと聞かされた。一生懸命にやる、あきらめないことでは誰にも負けずにがんばりたい。

貧困の拡大で安全も危うい

 (5)石川・金子久男さん 大交労組では、足切り以下40%の賃率を5%、1万円以上の賃上げをかちとった。組織拡大で職場の過半数をかちとった成果だ。

 糖尿病なのに手取りを増やそうと年金も健康保険も掛けていなかった運転者が倒れた。保険料も払えない高齢運転者が増え、公共交通機関としての安全さえ危うくなっている。

組合があれば取り戻せる

紹介される長期争議組合の仲間
紹介される長期争議組合の仲間
 (6)福岡・安武一洋さん 福岡市の日車営収は3万円を切った。足切りが38〜40万円だから3分の2が届かない。はかたタクシーでは5分の4が足切りにいかず、半分が最賃に引っかかる状態だ。銀行融資ストップで賃下げを認める苦汁の選択をしたが、組合さえ残っていれば取り戻せる。活性化法に展望を持って闘っていく。

不当解雇、組合攻撃と闘う

 (7)鹿児島・竹本一生さん 観光バスとタクシーの会社で昨年11月に未払い賃金について質問したら、今日付けで解雇と言われた。県労連と地連に相談して組合を結成したが、差別が続き、組合員が増えてもすぐ脱退させられる攻撃が繰り返されているが、がんばりたい。一方、教習所の組合では3人が37人に増えている。

解雇撤回闘争で組合員拡大

 (8)東京・佐藤昌弘さん 南部ブロックでは1年で2単組300人が増えた。km労組は、会社と一体の別組合の牙城を崩し1年で72人を増やした。事故で解雇された人に別組合の幹部は運が悪かったというだけ。自交総連に加盟し、職場復帰をかちとったことが拡大につながった。平和労組は羽田空港で宣伝、拡大している。

若手の奮闘で15年ぶり増加

提案議案を採決する参加者
提案議案を採決する参加者
 (9)埼玉・渡辺好雄さん 県南労組では、争議で勝利したが、その間の組合攻撃で15年間、組合員が1人も増えない状況が続いた。これでは組合がなくなると悩んで、執行部の若返りを図り、若手が対話して、1年で10人増えて30人になった。

 6人で始めた女性部が50人になった。各地連でも女性部の発足を考えてもらいたい。

定例の街宣で相談が増えた

 (10)神奈川・安達浩さん 2年前の大会で大滝委員長が組織、財政、運動の再構築を発言した。財政緊縮に努め、優先順位をつけて未払いを返済、専従を置く見通しが立つようになった。運動でも、定例街頭宣伝を決定し、機関紙や号外を継続して配布することで、他社の従業員の様子がわかり、相談が来るようになった。

減車と運賃値上げめざす

 (11)京都・森長達也さん 売上は時間当たり1500円がやっと。月に10万円下がり、賃金は5万円減の実態だ。地連では、登録制度の充実、運賃改定、総量規制を柱に運動をすすめている。減車に後ろ向きな経営側の外堀を埋め、市民の声が反映される地域協議会となるようにし、減車と適正な運賃値上げをめざしていきたい。

観光バスにも規制強化必要

 (12)大阪・伊藤文男さん 観光バスでは、中央交通のセクハラ・パワハラ裁判、みなと観光の合理化提案、類グループの賃金カットなどの争議がある。

規制緩和後の過当競争に世界不況とインフルエンザで、もう限界。高速1000円・無料化でも影響が出る。労働時間が延びていて、観光バスにも規制強化が必要だ。

労働組合の存在感示したい

コンクール表彰式で賞状を受け取る入選単組の代表
コンクール表彰式で賞状を受け取る入選単組の代表
 (13)宮城・石塚潤さん 活性化法を実効あるものとするため仙台市で必要な減車台数を1213台と独自に算出した。実現されれば営収が4万2000円にまで回復する。

 社会保険をかけていない事業者・道運法違反の摘発、減車に対する直接の公的補助などを協議会で要求し、労働組合の存在感を示していきたい。

共同した流れが新法誕生へ

 (14)大阪・堀川卓夫さん 大阪ではタクシー協会と労働4団体が集まり、同一地域同一運賃をスローガンにとりくみを行い、この流れが新法誕生へつながった。今後は活性化法を厳格に守らせる闘いが課せられている。

 第一交通争議は勝利決着することができた。オレンジキャブなど非常識な悪質企業と闘っている。

東京ではまだ20〜30%過剰

 (15)東京・宮竹光男さん 3月5日の行動では、400台のタクシー、1000人が結集し、規制緩和失敗の弊害を世論化するとりくみができた。東京では、運輸局が適正台数を公表し、すでに1700両減車されているが、まだ20〜30%が過剰台数となっている。毎月2回の定例宣伝など継続して組織は実増に転じている。


チャレンジ精神で組織戦を

実勢3万人回復を全力で

執行部答弁

今村書記長
今村書記長
 執行部答弁に立った今村書記長は、第1に、「たたかうすごさを実感」(福島)「絶対にあきらめない」(静岡)「みんなで考え、みんなで実行」(東京)「継続することが力となる」(神奈川)「組合さえ残っていれば、必ず取り返せる」(福岡)など、自交運動の今日の到達点にふさわしい発言が相次ぎ、今後の闘いに役立つ名言が数多く出されたことを紹介しつつ、このことをみんなの道標にする重要性について強調しました。

 第2に、好機を逸することなく、タクシー労働者の労働条件改善にむけた減車闘争と景気回復への国民的闘いを結合し、みんなの期待に応える確かな結果をつかみ取ることが求められていると強調。地域協議会の場における奮闘はもとより、国民的合意を得る宣伝、大衆行動のとりくみを強化する中で展望を切りひらこうと述べました。

 第3に、今日の情勢は“チャレンジ精神で組織戦に臨む”ことを我々に求めているとし、このことを肝に銘じ、全地方一丸となって、実勢3万人の回復にむけ全力をあげることが不可欠であると指摘。“今こそ情勢変化に適応する強大な産業別組織・自交総連の確立を”と訴えました。


大会宣言

2009年10月28日

自交総連第32回定期大会

大会宣言を読み上げる福島・沼倉中執
大会宣言を読み上げる福島・沼倉中執
 自交総連は、本日、「政治転換の好機を逃さず、格差・貧困の解消、安心社会の実現 実勢3万人の回復で、闘争力の飛躍的強化を」のスローガンのもと、全国の仲間が目標実現にむけて全力をあげる運動方針を確立した。

 タクシー規制緩和が実施され7年8か月。我々は道路運送法改正当時から、一貫して規制緩和の弊害を訴え続けてきた。道理のある自交労働者の不屈の闘いは、マスコミ・世論を動かし、今年6月、規制緩和を見直す「タクシー事業活性化特別措置法」の成立、10月1日、施行に至った。

 規制緩和反対闘争をたたかった我々の粘り強い運動の力が情勢を変えてきた。そして、たたかう自交労働運動の伝統を継承し発展させてきた。そのことに確信をもち、新法における前進面を生かすとともに、魅力と働きがいのあるタクシー事業の再生にむけ、その実効性確保と減車の実現に全力を挙げようではないか。

 「聖域なき構造改革」を旗印に行われた規制緩和は、様々な産業や労働の分野においても実施され、タクシーに限らず観光バス、自動車教習所で働く仲間にも重大な影響を及ぼした。さらに、世界同時不況が追い討ちをかけ労働者の雇用、格差拡大、貧困化などの問題を増大させた。また、地域社会が衰退する中で、国民のいのちと暮らしを破壊してきた。

 8月30日投開票された衆議院選挙は、「行き過ぎた規制緩和」政策の実行を続けてきた自公政権に対し、当然の結果として国民が政権続投反対の審判を下した。新たに政権を担った民主党を中心とする連立政府は今後の日本の進むべき方向を決定し、それが我々の日々の生活に大きな影響を及ぼすこととなる。

 来年7月には参議院選挙をひかえ、こうした政治状況は、国民的共同闘争を追求する我々の運動が、生活実態改善となる雇用安定、格差是正、貧困解消などの政策を実施させる可能性を一層強めている。

 我々は、困難にあえぐ自交労働者の切実な要求実現に応える責務がある。その実現の確かな保障となる実勢3万人の回復にむけ、あらゆる運動を組織拡大・強化につなげようではないか。そして、すべての自交労働者の先頭に立ち、くらしと雇用、いのちと平和を守る闘いに全力で奮闘するものである。


長期争議組合が決意表明

会場カンパに15万7240円集まる

カンパする参加者=10月27日、東京・すみだリバーサイドホール
カンパする参加者=10月27日、東京・すみだリバーサイドホール
 大会には不当解雇や賃金未払いと闘う4地方4組合・支部の長期争議組合が参加し、前に並んで紹介されました。

 代表して、神奈川・京浜交通支部の小嶋さんが決意表明を行い、石垣副委員長が争議支援のカンパを呼びかけました。

 また、会場カンパの呼びかけには15万7240円が集まりました。


今までおつかれさまでした

退任役員の紹介

退任あいさつをする左から中野、高木、武田、海老原の各氏
退任あいさつをする左から中野、高木、武田、海老原の各氏
 今大会で役員を退任されたみなさん

 高木規夫(中央執行委員・東京)▽中野清(常任中央執行委員・神奈川)▽海老原昇(中央執行委員・大分)▽武田義裕(会計監査・京都)