自交労働者No.746、2009年12月1日

多すぎるタクシーを減らせ!

交運労働者の労働条件改善を

1100人の仲間が結集

11・18中央行動

 多すぎるタクシーを減らせ!――自交総連は、11月18日、交運共闘の仲間とともに交通運輸の規制緩和の弊害や交通運輸機関における、安心・安全の確保、運転者の労働条件改善などを求めて、11・18中央行動を実施し、全体で1100人、自交総連からは551人の仲間が参加。国土交通省、厚生労働省への個人請願行動、日比谷野外音楽堂での決起集会、また午後からは代表が関係機関交渉、国会議員請願を行いました。

我々の粘り強い運動が情勢を変える

日比谷野音での決起集会でシュプレヒコールをする自交総連の仲間=13時
日比谷野音での決起集会でシュプレヒコールをする自交総連の仲間=13時
 朝10時30分から国土交通省前で決起集会を行い、あいさつした交運共闘佐藤議長は、国土交通行政の規制緩和路線からの決別を求めました。

 また、吉田常執が「規制緩和反対闘争を闘った我々の粘り強い運動の力が新法施行へと情勢を変えています。そのことに確信をもち、新法における前進面を生かすとともに、タクシー事業の再生にむけ、その実効性確保と減車の実現に全力をあげよう」と決意表明を行いました。

 参加者は「多すぎるタクシーを減らせ」「安全運転で生活できる労働条件にしろ」などのムシロ旗を掲げながら、国交省へ個人請願を行い、「交通運輸の安心・安全確立に関する請願書」4947筆と「JR採用差別事件の政治解決に関する請願書」4687筆の2種類の請願書を提出しました。

  その後厚生労働省へ移動し、「交通運輸労働者の労働条件確保に関する請願書」5512筆を提出しました。

国交省へ請願するために集まった交運共闘の仲間=10時30分 国交省前で決意表明する吉田(埼玉)常執
国交省へ請願するために集まった交運共闘の仲間=10時30分 国交省前で決意表明する吉田(埼玉)常執

交通運輸で働く仲間の怒りは爆発

国交省へ個人請願書=11時
国交省へ個人請願書=11時
 12時20分から、日比谷野外音楽堂で、全労連・春闘共闘、公務部会、民間部会共催の決起集会がひらかれ2500人が結集しました。

 集会では菊池書記次長が交運共闘を代表して「交通運輸で働く仲間の怒りは爆発している。恒常的な疲労、福知山線の事故、飛行機の整備不良などこれらはすべて規制緩和がもたらしたことだと抗議してきたが、人をモノとして扱うやり方を抜本的に転換するよう求めていく」と決意表明しました。

国交省、厚労省、国会議員へ要請

 午後からは地方から参加の代表と本部役員が国交省、厚労省交渉、国会議員への要請を行い、タクシー活性化法にもとづき実際に減車がすすむよう実効性ある行政の遂行などを要請しました。

決起集会で決意表明する交運共闘・菊池事務局長 厚労省へ個人請願=11時30分
決起集会で決意表明する交運共闘・菊池事務局長 厚労省へ個人請願=11時30分

タクシー活性化法の実効性を確保しろ

新法の趣旨生かし減車を

「1年ぐらいで効果出したい」

国交省

国交省へタクシー活性化法の実効性確保などについて要請する自交総連の代表=国交省内
国交省へタクシー活性化法の実効性確保などについて要請する自交総連の代表=国交省内
 国交省交渉には飯沼委員長他18人が参加し、省側からは自交局旅客課岩川課長補佐他5人が対応しました。

 タクシー活性化法の実効性確保、とくに減車を口実とした解雇・雇止めなどの雇用問題については、「原則は事業者の自主的なとりくみとなるが、特定事業計画で確認していきたいが、急激な人的調整はできない。指定の残存期間も考えて完全達成ではないがある程度のものは1年で、来年末ぐらいまでには何らかの効果を出したい」と回答しました。

 また、地域計画で一律の減車目標を出すとどうなるかとの問いに、「目標を定めると独禁法違反となるが、談合せずにやっていただきたい。省としては何が白で、何がグレーかを示す必要があると考えている。減車はやっていきたい」としました。

 監査方針・処分基準の改正については「タクシーは労働時間、最賃問題など、改善基準違反が頻発していると認識している。社会保険未加入など、新たな監査基準に基づきやっていく」とし、運賃制度等の改正については、「新たな下限割れ事業者に毎月、人件費、走行費等を報告させ、重点的な監査を行う」と答えました。


足きり以下オール歩合を廃止せよ

「累進歩合に該当し廃止指導」

厚労省

最賃違反が再発しないような賃金制度を求める自交総連の代表=厚労省内
最賃違反が再発しないような賃金制度を求める自交総連の代表=厚労省内
 厚労省交渉には菊池・池田書記次長他7人が参加、省側から労働基準局監督課恩田、土田事務官、社保庁社会保険課結城事務官らが対応しました。

 足切り以下オール歩合の賃金制度については、足切り額を境に歩率等の非連続点があれば累進歩合に該当するとし、廃止指導の対象になるとの見解を示しました。

 最低賃金に関して、違反が再発しない賃金制度を確立する指導を求めたのに対して、具体的な賃金制度を指示することはできないとしながらも、再度違反が起きないよう考えてくれという指導は現場でも実際にやっているし、今後もしていくと回答。停車時間を労働時間と取り扱わないやり方については、自由に利用できることが保障されなければ労働時間であり、手待ち時間は労働時間として取り扱うよう指導しているとしました。

 社会保険未加入対策では、国交省とも連携して加入漏れがないよう対処しているとし、名前は嘱託でも正規と同じだけ働いているなどの実態を指摘したのに対しては、身分がどうであれ実態に基づいて適用するが、調査権限には限界があるので情報提供をお願いしたいと回答しました。


みなさんとともにがんばる

議員要請に12人が参加

議員に要請する自交総連の代表
議員に要請する自交総連の代表
 国会議員要請には12人が参加し、6班をつくり、24人の議員を訪問しました。

 訪問した議員の大半は、委員会開催中で不在など、なかなか議員本人への要請とはならず、秘書との話で終わることが大半でしたが、参院国土交通委員佐藤信秋議員(自民)の秘書には、タクシーの現状を説明し、秘書からは「タクシーの現状はおおむね理解していますので議員に伝えます」などの返答がありました。

 また、議員本人へ要請できたところでは、「タクシー労働者の労働条件を守るのはみなさんの闘いにかかっています。厳しい時こそがんばらなければならない。そのために私もみなさんとともにがんばる」(日本共産党・仁比聡平議員)、「この問題は、党の中で私が一番最初に取り上げた。北海道、仙台と規制緩和でタクシーの乗務員さんの苦しみはよくわかっている。自交総連はタクシー運転免許構想など、革新的で非常に視野の広い運動にとりくまれている。これからも一緒にがんばっていきましょう」(日本共産党・大門実紀史議員)などの対応を受けました。


各地から運収減による問題発生が報告

春闘方針案骨子などを議論

第1回常執

春闘方針などについて議論した第1回常執=11月17日、自交共済事務所
春闘方針などについて議論した第1回常執=11月17日、自交共済事務所
 自交総連は11月17日、東京において第1回常任中央執行委員会をひらき、おもに大会後の闘争状況と2010年春闘方針(案)骨子について議論しました。

 委員からは、各地方全般でタクシーの運賃収入減から、賃金の遅延や社会保険料滞納など、事業の存続にかかわる問題が発生していると報告があり、労働組合として各事業者の経営状況を的確に把握する必要性が強調されました。

 タクシー活性化法施行後の地域協議会開催状況では、おもだった地域で自交総連が地域協議会に参画している点と、ほとんどの地域で地域計画の年度内策定をめざしていることが報告されました。

 春闘方針骨子では春闘の位置づけとして、(1)減車と同一運賃化の実現をめざす、(2)企業の社会的責任を問う、(3)内需主導の経済への転換を、(4)存在感を示し、職場地域で要求闘争の先頭へ、とした4つの柱を確認しました。

 基本的な要求・課題では、自教の組織が拡大している状況を踏まえ全国交流集会を行えないか、来春の未組織キャラバン宣伝に観光バスの宣伝を組み込めないかなど意見が出されました。


各地の大会

100人の地連拡大めざす

  山梨第41回大会

 【山梨】山梨地連は10月15日、甲府市・勤労者福祉センターで、第41回定期大会をひらきました。

 丹沢委員長はあいさつで「新法が施行され、協議会も始まるが、フルに活用して情勢を切りひらこう」とあいさつしました。また、次年度運動方針では、タクシー事業活性化特別措置法施行にあたり、地域的な協調減車の実効性確保や、山梨地連100人への拡大をめざすとともに、次世代の幹部育成に努めることなどを決めました。

県労連と連携して組織拡大

高知第28回大会

 【高知】高知地連は10月18日、高知・青年センターで第28回定期大会をひらき次年度運動方針を決めました。

 大会では08年度の運動を総括し、とくに各単組が春闘で結果が出せていない状況や、地連としての運動を全体でとりくんでいないことなどを反省するとともに、今後の検討課題として、本部に組織拡大のビラなどの支援を要請し、県労連とも連携して高知地連の組織拡大をしていくことなどを決めました。

減車へ一層の努力が必要

福岡第47回大会

大会であいさつする廣瀬委員長=11月8日、志免町民センター
大会であいさつする廣瀬委員長=11月8日、志免町民センター

 【福岡】福岡地連は11月8日、志免町民センターにおいて第47回定期大会を開催し、広瀬早美委員長は、「自交総連の長年の闘いで規制強化のタクシー特措法が国会の全会一致で成立したが、協調的減車という強制力の弱さから、総論賛成・各論反対の業界を動かすためには、今後一層の努力が必要だ」と力強くあいさつをしました。

 委員長=廣瀬早美(再)▽副委員長=緒方満(新)▽書記長=内田大亮(新)

減車、適正運賃へ運動重要

大阪第64回大会

大阪地連第64回大会のようす=11月10〜11日、池田・不死王閣
大阪地連第64回大会のようす=11月10〜11日、池田・不死王閣

 【大阪】大阪地連は11月10〜11日、第64回定期大会を池田・不死王閣でひらきました。

 大会では、岡田委員長が「私たちは厳しい中にあっても規制緩和の弊害を告発し、見直しを迫る運動を強化し、タクシー活性化法の成立にいたりました。実際に減車や下限割れ運賃の適正化などを実現できるかどうかはこれからの私たちの運動にかかっています」とあいさつ。次年度の運動方針など4本の議案を全会一致で採決しました。

組織拡大の重要性を再確認

長崎第18回大会

タクシー活性化特別措置法成立の話しをする堀江県議=11月22日、長与ふれあいセンター
タクシー活性化特別措置法成立の話しをする堀江県議=11月22日、長与ふれあいセンター

 【長崎】長崎地連は11月22日、長与ふれあいセンターで第18回定期大会をひらきました。

 来賓の共産党・堀江ひとみ県議からは、今期のタクシー活性化特別措置法の話があり、成立までの流れを勉強しました。また、本部副中央執行委員長の緒方さんの講演では、組織拡大の重要性を再確認しました。

 議案に関しては、2010年度の運動方針案・予算案・役員案等、満場一致で可決しました。


労働条件の一方的不利益変更は禁止です

決められた労働条件の変更は労使が合意の上で

 賃金が下がった、交通費が支給されなくなった、あるいは減額されたなど、決められた労働条件を変更する時には労使が合意の上で行わなくてはいけません。

 とくに労働条件を不利益に変更する場合は、使用者が一方的に変更してはいけないとされています。これを一般に、「労働条件の一方的不利益変更の禁止」といいます。

不合意の意思表示が重要

 もし、使用者が労働者・労働組合を無視して労働条件の不利益変更を実施したら、すぐ「不合意」の意思表示を行い、それを、し続けることが重要となります。なぜなら、不利益変更が行われて、ある程度の時間が経過してしまうと、明確な合意がなくても暗黙の合意があったと判断されてしまうからです。

労働条件決定は労使対等で

 弱い立場の労働者が使用者に「不合意」の意思表示を行い、し続けることは、簡単なことではありません。しかし、それを可能とする権利が法律できちんと定められています。

 労働基準法2条1項では「労働条件は、労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものである」と明記しています。しかし使用者は、なかなか労働者と対等の立場に立って労働条件を決めようとはしません。

 こうしたことから労使対等の原則を守らせるために、憲法28条では労働者の団結権を保障し、労働組合法では、団体交渉権や争議権などの権利を具体的に保障しています。

 ですから、使用者が労働者の反対を無視して一方的に労働条件を変更しようとしたら、すぐに労働組合に入って仲間とともに闘うことが、どうしても必要となります。

活用できる厚労省通達

 厚生労働省は08年12月9日、各地方労働局に「経済情勢の悪化をふまえた適切な行政運営について」とした通達を出し、「いかなる経済情勢の下においても、労働基準法で定める法定労働条件が確保されなければならないが、――労働条件の切下げ等は、労働者の生活に重大な影響を生じさせる問題であるから、労働基準法に違反しない場合であっても、労働契約法や裁判例等を踏まえ適切に取り扱われることが重要である」として、新たに作成したパンフレット「厳しい経済情勢下での労務管理のポイント」を活用し、事業者の指導を行うこととしています。

 その新しいパンフレットには、労働条件の変更について「労働条件の変更は労働契約法にルールが定められていて、使用者が一方的に就業規則を変更しても、労働者の不利益に労働条件を変更することはできません(労働契約法第9条)」と、はっきり明記しています。

 ですから労働組合がこうした通達や行政指導に使うパンフレットを活用し一方的に就業規則を変更させないとりくみを行うことが重要となります。


自交総連の顔として活躍

元委員長三浦さん死去

委員長就任当時の三浦さん
委員長就任当時の三浦さん
 自交総連結成時の委員長の三浦利男(みうら・としお)さんが10月13日亡くなりました。82歳でした。葬儀はご家族のみで済まされました。

 三浦さんは、1927年生まれ、67年に当時の全自交の副委員長に就任。78年の自交総連結成と同時に委員長に就任しました。

 自交総連の顔として、産別組織としての実績をつくりあげる中心として活躍され、84年10月に役職を退きました。