自交労働者No.747、2009年12月15日

減車と同一運賃の実現を

タクシーデモで市民、利用者に訴え

石川地連

のぼり旗をたて行進するタクシーデモ=11月24日、石川・片町
のぼり旗をたて行進するタクシーデモ=11月24日、石川・片町
 【石川】タクシー新法に基づく金沢交通圏タクシー地域協議会で「供給過剰と運賃競争の解消対策」の論議が始まり、12月2日には「地域計画案」の討議がなされたなか、石川地連は去る11月24日、香林坊から片町〜池田町までのタクシーデモを行い、「減車と同一運賃の実現」を市民・利用者に訴えました。

 正午、香林坊中央公園横タクシー乗り場に、3組合10台のタクシーが集結しました。

横断幕を掲げ出発集会に参加した仲間=香林坊
横断幕を掲げ出発集会に参加した仲間=香林坊

 出発集会では、「地域協議会はタクシーの窮状を打開する減車計画をつくれ」「運輸局は不公正な運賃競争をなくす措置をとれ」と書かれた横断幕が掲げられ、金子久男委員長は、「絶好のチャンスを生かすも殺すもわれわれの闘いしだいだ。協議会は実効ある減車と運賃競争の解消策をとれ」と訴え、県労連の長曽事務局長や国労の仲間から連帯あいさつを受けました。

 タクシーデモは午後1時から出発し、「タクシー減らせ」「運賃の統一」「運転者登録制度の確立」など、のぼり旗をはためかせながら繁華街を行進しました。

 行進と同時に、香林坊109前で、通行人へのチラシ配布とハンドマイク宣伝も行われました。

 当日の行動にはテレビ4社と新聞2社が取材に訪れ、夕方の3つのローカル番組で放映されるなど大きな反響を呼びました。


「強力な体制で挑む」

監査、最賃違反の処分強化を

九州ブロック・運輸局交渉

運輸局に要請する九州ブロックの代表=11月20日、九州運輸局内
運輸局に要請する九州ブロックの代表=11月20日、九州運輸局内
 【福岡】自交総連九州ブロックは11月20日、運輸局交渉を行いました。

 交渉の内容は、新たに設置された特定地域協議会や減車に関すること、監査体制、最低賃金法違反の処分に関することなどが話し合われ、運輸局は、「タクシー特措法施行後、監査方針に変更はないが、これまで事前通告をやっていたものを原則無通告でやっていく。新たに処分の対象となっている最低賃金法違反については、労基署と連絡体制を整え違反が確定すればそれに基づき処分する体制ができている」と回答しました。

 また、鹿児島地連の代表から、「タクシーの自宅持ち帰りを認めている業者があり、長時間労働とリンクするので指導をしていただきたい」という質問に対し、「匿名でも電話でも情報をいただければ即動ける。トラックの事案だが、匿名退職社員の訴えで500日以上の一発事業停止となった業者もある」と今回の交渉で今までよりも強力な監査体制で挑む当局の回答を得ることができました。


自交総連とともに闘おう

山口、岡山で宣伝行動

中国ブロック

 【山口】中国ブロックは11月24〜25日、山口県と岡山県を中心に宣伝行動を行い、タクシー430台に1290枚のビラを配布しました。

 下関駅を皮切りに厚狭、新山口、防府の各駅を配布。ここで雨のため中止して福山へ。翌25日は早朝出発し、笠岡、新倉敷、倉敷、岡山駅と回り、雨で通過した徳山へ戻って配布しました。

 各駅頭では、タクシー活性化法を受け、これから始まる地域協議会の趣旨・目的を説明し、労働条件改善には減車がその第一歩、自交総連とともに闘おうと訴えました。

 待機中の乗務員からは、「ここ最近とくに運収が上がらない、2時間待ちはざら。どうにかしてくれ」の声が多く聞かれました。

 また、倉敷では、福岡地連から借りた自交総連の大型宣伝カーを見て「あんたらすごいね、がんばってよ」との声もありました。

 宣伝行動を続けることによって、配布したビラを食い入るように見てくれるようになったことが何よりうれしく感じた行動でした。


減車へ協会として力の発揮を

「供給過剰解消しなければならない」

全タク連

全タク連に要請する自交総連の代表=11月27日、東京・自動車会館内
全タク連に要請する自交総連の代表=11月27日、東京・自動車会館内
 自交総連は11月27日、東京の自動車会館において、全タク連と懇談しました。

 懇談の冒頭、飯沼委員長が「タクシー活性化法の実効性が課題だが、協力共同でとりくめることは話し合い意見交換したい」とあいさつし、全タク連会長に要請書を手渡しました。

 続いて今村書記長が「新法が施行され増車の蛇口は止まった。その中で自主的に減車することは大きな意義がある。問題解決には地域全体で減車して賃上げをしなければ解決できない。地域計画の中で減車をどのようにまとめるのか、協会として力を発揮していただきたい」と述べ、協会から要請事項に回答がありました。

 富田会長は「今は国中の力を借りて供給過剰を解消しなければならない。減車を行えばさまざまな問題が解消する」として、さらに「減車を除いた地域計画はないはずである。今できることをしっかり行えば、景気が上がったときに、効果が出る」と強調しました。

 三浦副会長は「減車による雇用問題は、新規募集の停止、勤務シフトの改善で解雇は起きない」と回答。金子労務委員長は「最賃違反があれば処分される。需給バランスの改善で問題解決となる。累進歩合は月例賃金のみに考えているが、労使の話し合いが必要である」と回答しました。


内需拡大で雇用確保を

2010年春闘方針など討議

国民春闘討論集会

国民春闘討論集会であいさつする大黒幹事=11月20日、東京・TKB代々木ビジネスセンター
国民春闘討論集会であいさつする大黒幹事=11月20日、東京・TKB代々木ビジネスセンター
 国民春闘共闘委員会は11月21日、東京で2010年国民春闘討論集会をひらき、「2010年国民春闘方針(第1次案)」を討議しました。

 自交総連からは飯沼委員長を含め3人が参加。

 主催者を代表して大黒幹事は「新政権は沖縄の基地問題や新年度の予算編成にあたり、大企業優遇と軍事同盟優先から抜け出せない矛盾がある」と強調し「2010年春闘では、大企業の社会的責任を追及し内需拡大で雇用確保や貧困解消など国民的共同の先頭に立って奮闘しよう」と呼びかけました。

 小田川事務局長は春闘方針案の課題として、(1)雇用を守れ、仕事をよこせ、(2)生活改善できる賃金・所得の確保、(3)ナショナルミニマム、社会保障の整備・拡充の3つを重点としてとりくむことを提起しました。また、「深刻な不況下で大企業が内部留保を先取りして赤字決算を演出している」と批判し、「外需依存から国民の懐を温める政策に転換させよう」と訴えました。

 討論では、賃上げ要求をはじめ、雇用をまもるたたかい、地域での共同を広げるとりくみなど、官民、地方代表者ら27人が発言しました。

闘いの流れと統一行動予定


地域交通の役割など学ぶ

福井・えちぜん鉄道など調査

交運研

車両工場を見学する交運研の調査団=11月11日、福井・えちぜん鉄道工場内
車両工場を見学する交運研の調査団=11月11日、福井・えちぜん鉄道工場内
 労働組合と学者・研究者でつくる交運研は交運共闘と共催で11月11〜12日、福井県で地域公共交通実態調査を行いました。

 福井県庁と福井市のえちぜん鉄道を訪問。同社は、旧京福電鉄が00〜01年に2度にわたる正面衝突事故を起こして事業を廃止したことから、道路交通の混雑で高校生が毎日遅刻するなど地域交通が混乱したことを受け、市民運動のすえ、第三セクターとして03年に開業しました。県は初期投資を支援、市町は路線・設備を管理し、運行は民間会社が行っています。

市内を走るえちぜん鉄道
市内を走るえちぜん鉄道

 開業後、運賃値下げや運行回数増、女性アテンダントが同乗してお年寄りの世話をするなどサービスを重視した運営を行い、5年連続して輸送人員を伸ばし、旧京福時代を上回るようになっています。今後、路面電車との相互乗り入れなども計画しています。

 地域交通に鉄道の果たす役割、自治体の支援と経営の創意工夫などを学びました。


交通基本法制定に向けた議論進める

国交省、厚労省へ要請

交運共闘

国交省と交渉する交運共闘の代表=11月30日、国交省内
国交省と交渉する交運共闘の代表=11月30日、国交省内
 交運共闘は11月30日、国交省・厚労省交渉を行いました。佐藤議長はじめ9人が参加し、11・18行動で提出した要請書の項目について回答を求めました。

規制緩和政策の転換を

 国交省では総合政策局政策課五十嵐政策企画官ら各部局の担当者が対応しました。

 タクシーについては、地域協議会での減車協議の促進など自交総連の交渉と同じ回答だったほか、トラックでは、運送事業者が適正な運賃を収受できるように「ガイドラインで周知を図っている」、港湾では、海上コンテナの交通安全対策について「勉強会を開いており、法制化を考えていきたい」などの回答がありました。

 また、総合交通政策では、「競争原理だけでは交通は維持できない」「交通基本法制定にむけた議論を今後進めていく予定」との見解が示され、規制緩和政策の転換を求めたのに対しては、政治の問題は政務レベルに言ってくれということもあるが、(政と官の関係は)1年ぐらいしないとどうなるかわからないというのが正直なところで、こうしたレベルで意見を交換することもやっていきたい、と答えました。

労務改善基準の改正を

厚労省と交渉する交運共闘の代表=11月30日、厚労省内
厚労省と交渉する交運共闘の代表=11月30日、厚労省内

 厚労省交渉は労使関係担当参事官、労基局監督課ら7人の担当官が対応しました。

 自動車運転者の労務改善基準告示を抜本的に見直すことに対しては、告示の遵守をはかっていると回答があり、組合は、36協定の届け時に改善基準に納まっていないものは受け付けないことを徹底しているか、と質問しました。担当官は、労働時間がはっきりわかる勤務割等が添付されていなければ添付を求めている、と回答。組合はさらに、告示の基準が緩いので改正を求めたところ、連合でも検討されているようで、機運が高まれば改正等の動きも出てくる、との見解を示しました。

 地域全体の最賃違反をなくすとりくみが必要では、との質問に対し監督課事務官は、地域的に違反がひどいところは集団指導などを行った経験がある、と回答がありました。

 参加した各組合からも分野別の質疑応答を行い1時間に及ぶ交渉は終了しました。


大幅減車、賃上げ、景気の回復を

切実な要求が春闘の原動力

雪の中行われた3・4中央行動=06年3月4日、東京・明治公園
雪の中行われた3・4中央行動=06年3月4日、東京・明治公園
 春闘は、その誕生の歴史が示しているように、今から53年前の1956年、それまでの日本の賃上げ闘争が企業別、産業別にバラバラにたたかわれていたのを、春という一定の時期に集中して産業別に要求、戦術を調整し、これを軸に全産業、全国的に統一してたたかう日本独特の闘争方式として編み出されたものです。

 そして、それは何よりも、切実な要求(=労働者の賃上げ要求)が春闘の原動力となったのであり、その後の国民春闘の発展へとつながる土台を築く原動力にもなりました。

年に一度、みんなの力を結集

 春闘は、年に一度、みんなのたたかう力を結集し、労働条件の劣悪化、くらしのきびしい実態をふまえ、その改善策としての賃上げ、労働時間短縮を中心とする切実な要求をたたかいとる場です。

 春闘の原点に立ち戻り、賃上げ、時短を真正面に据え、多くの労働者の期待を担って、2010年春闘を労働者らしく力一杯たたかい抜く必要があります。

新たな歴史的局面での闘い

 2010年春闘は、労働者・国民に犠牲を強いる構造改革・規制緩和路線を進めてきた自民・公明党が衆議院選挙で大敗し、民主党中心の政権が誕生するという、日本政治上、かつてない新たな歴史的局面のもとでたたかわれます。

 主権者である労働者・国民の力が作り出したこの新しい情勢変化は、私たちの運動しだいでは、要求実現の可能性を飛躍的に高めることができるでしょう。

 タクシーでは、「与野党全会一致による共同修正案の成立」となったタクシー活性化法にもとづいて、指定された141の特定地域では、供給過剰の解消をはかるための減車が、経営者それぞれに強く迫られることになります。

 問題は、それを確かなものにし、大幅な賃金増、労働条件の改善をかちとることができるかどうか。今の過酷な現状を根本から変える攻勢的な春闘≠、たたかう自交総連が中核となり、どうやって構築していくかです。

問われる労働組合の存在意義

 そのためのキーワードは、みんなの怒りを結集させること。要求そのものの組織≠ノ最大限の努力を払うことにあるといえます。

 自交総連は、「大幅減車、景気の回復を!みんなで要求・総決起」を合言葉に、2010年春闘をたたかおうとしています。

 2010年春闘は、労働組合の存在意義と春闘そのものの真価が大きく問われる闘いとなるでしょう。


各地の大会

組織拡大を意識的に追求

青森第12回大会

 【青森】青森地連は12月2日、青森・中弘教育会館で第12回定期大会をひらきました。

 大会では、これまでの活動を総括し、とくにこの間、2つの単組で組織拡大が行われたことを評価し、今後も組織拡大を意識的に追求していくことなどを話しました。

 また、次年度運動方針では、タクシー事業適正化・活性化協議会に地連より代表を送ること、中弘南黒地域の空白地域の宣伝活動にとりくむことなどを決めました。


新加盟のなかま  (775)三重・名鉄四日市タクシーユニオン

安心して働ける職場を

 【三重】四日市市の名鉄タクシー四日市に働く仲間は12月6日、名鉄四日市タクシーユニオン(小西正委員長)の結成大会をひらき自交総連に加盟しました。

 前全労連オルグの久賀さんが続けた宣伝行動を受け、みえ労連・北勢労連の援助で、既存の名タク労組が会社と一緒に事故弁済金を個人に押し付けるなどしていることに不満を持つ仲間が集まり、安心して働ける職場をめざして結成しました。