自交労働者No.764、2010年10月1日

3万人の組織回復へ向け奮闘を

困難乗り越え一歩一歩前進

新加盟組合 1年で12地方22組合が加盟

 自交総連には、この1年間で12地方22組合(この1年の間に加盟し脱退した組合は除く)の新しい組合が加盟しました。困難を乗り越え、解雇撤回や割増賃金の支払い、有休改善など一歩一歩着実に前進しています。3万人の組織回復へむけ、この1年間に新加盟した組合について分析しました。

産別組織の強さ実感

組織拡大のチャンス

今年3月に行われた未組織宣伝キャラバン行動で乗務員と対話する参加者
今年3月に行われた未組織宣伝キャラバン行動で乗務員と対話する参加者
 昨年9月からの1年間に組合員数は335人が加入しました。脱退・解散等は11地方18組合440人であるため、既存組合での増減も含めて、全体では若干の減少となっています。

 組合員数は、高齢化、非正規化の進行など既存組合での構造的減少により、90年(3万9640人)以来、新加盟を加えても差し引き減少が続いていたものが、昨年は20年ぶりに純増となりましたが、2年連続とはなりませんでした。

 ハイタク職場全体をみてみると、全タク連が隔年ごとに行っている労組組織実態調査では、09年の全国のハイタク労組の組織率は38・1%、組合結成率も26・6%であることから、まだまだ未組織の職場が多く、組織拡大月間でのとりくみや、定期的な宣伝行動を行うことで、組織拡大へのチャンスがあることがうかがえます。

加盟の理由

 加盟の理由では、「労働条件の改善」が最も多くなっています。大幅賃下げや一時金カット、廃止などが会社提案されたため、組合が必要となったものです。

 次に多いのが「産別結集の必要性」で、現在の上部組織の力不足や、個人では会社に対応できないなどの理由があります。

賃金支払いかちとる

 特徴的なのは、秋田でまた、新たな組合が結成されたことです。今年6月に結成された横手観光タクシー労組は、会社が一方的に閉鎖され、30人全員に解雇が通知され、県労連、宮城地連に相談。4月分未払い賃金と退職金の確保を管財人との交渉で賃金確保法にもとづく申請を行い、9月1日には、全員に対して支給されるという成果をかちとり、自主再建、雇用の確保に大きく前進しました。

 また、その他の組合でも、組織拡大や労働条件改善をめざして奮闘しています。

◎1年間の新規加盟組合

09・11・3 山 口 ・ 周南近鉄スーパービークルズ労組
11・9 福 岡 ・ 中山支部
11・30 千 葉 ・ 富士見タクシー労組
12・6 三 重 ・ 名鉄四日市タクシーユニオン
12・11 大 阪 ・ 大阪市バス大阪運輸振興労組
10・1・20 鹿児島 ・ 鹿児島県自動車学校労組
2・14 東 京 ・ 宮城交通労組
2・14 東 京 ・ 日立自動車交通第三労組
2・18 山 口 ・ 長門山電タクシー支部
3・21 東 京 ・ 不二交通乗務員労組
4・1 鹿児島 ・ 国分隼人自動車学校労組
5・4 埼 玉 ・ 入間市個人タクシー協議会
6・2 秋 田 ・ 横手観光タクシー労組
6・6 福 島 ・ カネハチ労組
6・7 埼 玉 ・ ハッピータクシー労組
6・18 埼 玉 ・ 明日香会労組
7・12 神奈川 ・ 神奈川都市交通支部
7・12 山 口 ・ ゴトウタクシー支部
7・16 神奈川 ・ ファイブサン支部
7・21 神奈川 ・ ジャパンタクシー支部
山 口 ・ 自交ユニオン

(注)機関紙に掲載していない組合も含まれています。



最賃基礎とした固定給確保が不可欠

賃金体系など4テーマを議論

タクシー賃金システム懇談会

 タクシー事業における賃金システム等に関する懇談会(座長=山内弘隆・一橋大学教授)は9月14日、第5回会合をひらき、これまでの議論の整理及び今後の進め方について意見を交わしました。

 学識経験者、タクシー事業者、労働組合の代表で検討してきた主なテーマは、(1)賃金体系のあり方(固定給と歩合給の関係等)、(2)賃金に関する規制のあり方(累進歩合制度、最低賃金)、(3)いわゆる各種「運転者負担」の問題、(4)労働条件に関する透明性の確保のあり方――の4点。

 懇談会には、今村書記長が参加し、「最低賃金を基礎とした固定給部分の制度的確保は不可欠」「法制化をもって累進歩合制度の廃止を実現すべき」「運転者負担制度は、タクシー業界を除いてはみられない特異なものであり、その軽減・廃止が求められる」「待機時間を労働時間として取り扱わず、実労働時間からカットして賃金計算を行うなどの脱法行為を見逃さず、徹底指導を強化すべき」など、積極的な提言を行ってきました。

 今回の会合で、ひと通り議論が終了したため、事務局で一致した意見や主な意見を整理したうえで、取りまとめの努力をしていくことになりました。


最低賃金、10〜30円引き上げ

最賃違反逃れさせない運動必要

2010年度地域別最賃

 2010年度の地域別最低賃金について、各都道府県の最低賃金審議会の審議がまとまり、10〜30円引き上げの642〜821円となりました。

 最賃改定では、東京(821円)、神奈川(818円)で800円台を実現したものの、鳥取、高知などの8県では、642円で、最高額と最低額の格差は179円とさらに拡大しました。

 今回の最賃引き上げにともない、ハイタク職場では、経営者による最低賃金法違反逃れとして、停車時間を休憩とみなすなど違法で悪質なやり方が広がる傾向があるため、警戒するとともに、地域ぐるみで違反を是正をさせていく運動が必要です。

 また、全労連が主張している「時給1000円以上」からすれば、不十分なものといわざるを得ないため、今後も全国一律時給1000円以上実現にむけて運動をさらに強めていくことも必要です。新最賃額は10月〜11月以降適用となります。

 (注)賃金のうち、精・皆勤手当、通勤手当、家族手当、臨時に支払われる賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金、時間外・深夜割増賃金は最賃との比較の対象になりません。また、パート、臨時、アルバイトなどの労働者にも適用されます。

最低賃金の計算例

●最賃の対象にならない賃金

 (1)臨時給(2)一時金(3)残業割増(4)休日割増(5)深夜割増(6)家族手当、通勤手当、精皆勤手当――これらは計算から除外する。

●最低賃金と比較するための「賃金の時間額」の計算方法

 歩合給の時間額=歩合給÷総労働時間
 固定給の時間額=固定給÷所定労働時間
 両方ある場合は、それぞれ計算して足し合わせる。

●(計算例)

 ・北海道のタクシー労働者で、
  足切り(40万円)未満45%のオール歩合賃金(45%のうち歩合給が40%、割増賃金5%)の賃金で、労働時間は1か月230時間(所定176、残業54時間)、営収が36万円だったとする。

 ・最賃と比較の対象となる賃金は…
  36万円×40%=14万4000円
  その時間額は…
  14万4000円÷230時間=626円…(A)
  北海道の最賃の時間額(2010年度)は、678円…(B)

 ・A<Bなので、この例は最賃法違反。
  差額の52円×230時間=11960円を請求することができる。


活性化法に基づき事業再構築を

フォローアップ会議ひらく

東京地区地域協議会

 【東京】全国の注目を集める東京都特別区・武三交通圏、三多摩交通圏の地域協議会・フォローアップ会議が、9月21日、グランドヒル市ヶ谷で開催されました。

 神谷会長のあいさつに続き、事務局から(1)特定事業計画の進捗状況、(2)事業再構築の進捗、(3)活性化にむけたとりくみ状況――について報告がありました。

 事業の再構築では、三多摩交通圏では、事業の再構築にむけ減・休車が行われた場合、適正と考えられる車両数に到達するものの、東京都特別区・武三交通圏では、適正と考えられる台数まで到達しないことが判明。事業規模によっては、10%未満の減・休車しか行っていない事業者がいることも報告されました。

 協議会は、減・休車が進んだとしても利用者に迷惑がかからないことを確認したうえで、同じ交通圏のなかで、公平性を担保するために、活性化法案での衆・参両院の付帯決議、活性化法の特定事業計画の認定(11条)に基づき事業の再構築を強く要請していくことを確認。あわせて、減・休車を行わない事業者に対しては、正当と思える理由を示してもらうことにしました。

 関東運輸局では、地域協議会の確認に基づき適正化・活性化にとりくむことにしています。


基本政策集を作成

結成以来の政策を収録

道交法闘争五つの観点など今後も使える政策を収録
道交法闘争五つの観点など今後も使える政策を収録
 自交総連ではこの程『基本政策集』を作成しました。

 タクシーや自教、バスなど自交労働者の労働条件を改善していくためには政策闘争が欠かせません。タクシーでいえば、運転者一人当たりの売上げが上がるようにしなければ、まともな賃金が得られないからです。どうすれば、売上が上がって賃金が増え、運転者の地位が向上するのか――自交総連では、組合員の力を集め専門家の協力も得て、さまざまな政策を確立し、それは、規制緩和の見直し、運転者登録制度、労働時間・賃金制度の規制などで実際の成果をあげてきました。

 結成以来の基本政策で現在も役立つものを厳選して基本政策集に収録してあります。

 A4判▽112ページ▽定価1000円▽売切れ次第終了です。


新加盟のなかま  (794)東京・マコト交通労組

職場内の不満解消を

 【東京】墨田区にあるマコト交通で働く仲間は9月11日、マコト交通労組(黒田茂委員長、5人)を結成、自交総連に加盟しました。

 職場では、60歳になると定年でもないのに、歩率が62%→60%に下げられるなどの不当労働行為やさまざまな不満がありました。先に東京地連に加盟していた日立第三労組の奮闘を知り、職場内での不満などを解消するために、地連に相談し加盟しました。