自交労働者No.766、2010年11月1日

誇りと働きがい、将来像の道を開く運動構築を

減車へ労組として積極的役割を

新役員体制を確立

第33回定期大会

 自交総連は10月26〜27日、東京・すみだリバーサイドホールで第33回定期大会をひらき、新年度運動方針を確立し、飯沼委員長(再任)をはじめ新役員(任期2年)を選出しました。大会では、機関紙コンクールの表彰、争議組合の紹介が行われ、討論では総括討論を含め19人が発言。方針・予算などの議案が採択されました。

委員長あいさつ

飯沼委員長
飯沼委員長
 規制緩和闘争が新たな段階を迎え、活性化法を実効あらしめるために運動方針を確立する必要があります。

 昨年の総選挙で国民の期待のもとに発足した鳩山政権は公約を裏切り、政治と金、普天間問題など、わずか8か月で退陣。その後に発足した菅政権では「新成長戦略実現会議」においては、新自由主義的政策を批判していた総選挙時の政策から、財界の要望を反映させた企業至上主義へと後退させています。経済成長のためにさらなる規制緩和の必要性を明言し、行き過ぎた規制緩和批判から大きく政策を転換させるもので、自交労働者としては看過できないものです。

新年度方針や、新役員体制などを決めた第33回定期大会=10月26〜27日、東京・すみだリバーサイドホール
新年度方針や、新役員体制などを決めた第33回定期大会=10月26〜27日、東京・すみだリバーサイドホール

 こうした政治的局面のもとで、タクシー活性化法が施行されて1年が経過し、今日の到達点は、全国153の地域で地域協議会が設置され、自交総連の代表者も地域協議会に参加して、奮闘しています。これまでに地域計画が策定された125地域では減休車を含む特定事業計画が申請されていますが、地域によって差があり、適正車両数との関係でも不十分なものとなっています。

 減休車の実現にむけた闘いは、これからが正念場です。行政の指導に任せることなく、全事業者による減休車の完全実施を求める運動を展開し、労働組合として積極的な役割を担うことが重要です。

団結ガンバロウをする参加者
団結ガンバロウをする参加者

 運動を構築するに当たって、強調しておきたい点は、企業内組合の弱点を克服することです。職場での経営者の責任を追及する運動と、産業別統一闘争を重視し、労働組合の原点に立ち返って、職場・地域での対話と宣伝で、広範な仲間との相互信頼にもとづく関係の確立が求められます。

 労働組合としての存在意義を示すうえで、組織を拡大し、将来を担う幹部・活動家の育成は急務となっています。自交労働運動の歴史と伝統に確信を持ち、それに恥じない底力を発揮し奮闘しようではありませんか。

第33回定期大会参加者数


共同広げ、働きがいのある職業としての制度確立を

各地のとりくみなどを報告

14地方19人が発言

大会討論

残業禁止の攻撃とたたかう

 (1)神奈川・豊田治司さん 飛鳥交通横浜で賃下げ強行、基本賃金を下げて残業割増をつけ、見かけだけ違反がないようにした。割増賃金を請求したら、組合員のみ定時でメーターが操作できなくして残業禁止。自交総連をやめれば元に戻すと掲示している。不当な攻撃と断固たたかう。

減車反対、安売業者を包囲

 (2)石川・金子久男さん 春闘では、金沢交通労組が足切りを37万から31万円に引き下げさせ実質7%の賃率アップとなった。活性化法のとりくみでは、減車反対を公言する安売り新規参入事業者の影響で改善がすすまない。12月にシンポを開いて世論を喚起し、闘いで打開したい。

減車と運賃改定めざし宣伝

 (3)京都・曽野武浩さん 地域協議会では地連が営収と賃金改善の数値目標を提起し、賃金格差解消の数値を計画に盛り込ませた。減車はまだ7%にとどまっている。減車しない事業者を明らかにする宣伝を強め、支局にも要請する。さらなる減車と14年ぶりの運賃改定をめざしていく。

バス部会の意見入れた勧告

 (4)大阪・山本雅弘さん 国交省の基準では貸切バスの1日の走行距離上限が670キロだが、バス部会では安全無視として500キロを要求してきた。われわれの意見をヒアリングした総務省は9月に運転者の健康等を検討して見直せと勧告した。各地方でもバス部会をつくってほしい。

1年4か月で3人から70人

 (5)鹿児島・惠正文さん 岩井グループ労組(自教)ができて1年4か月で過半数を超える70人になった。最初は3人で立ち上げ、若い低賃金の職員の賃上げをかちとったのをきっかけに加入者が増え兄弟校3校に広がった。女性も一人入ると友達を誘い17人になった。数は力、団結こそ力だと確信している。

組合をつくり対等に交渉

 (6)福島・安斎浩二さん 組合をつくり会社と対等の立場で交渉しないとダメだ、ということから出発し6月にカネハチ労組を結成した。会社への通告では、要求すべきことは要求し、一致する点では協力し建設的提案をすると話し、減車に伴う勤務変更などを継続して交渉している。

4・14では運輸支局で集会

 (7)埼玉・渡辺好雄さん 質問=(1)アルバイト禁止を地域的運動とどう結合するのか、(2)ブロックの空白県での宣伝をどう把握しているのか、(3)地域タクシー労組のイメージは?

 4・14統一行動では、運輸支局の駐車場で集会を行い、請願した。マスコミへのアピールがもっと必要だ。

明日は我が身の道交法闘争

 (8)東京・仲秀久さん 個人タクシー労組では「明日は我が身作戦」で道交法闘争にとりくんでいる。道路に同色の服を着て寝ていた人を轢いた事故、信号無視の飛び出し自転車事故などで、現場検証を行い、弁護士の協力で不起訴をかちとった。成果を宣伝し拡大に結びつけている。

組合結成への攻撃と闘う

 (9)神奈川・北河正夫さん 8月には20件も相談が来た。県央の新免会社で組合を結成すると、パート組合員に正社員を希望するのか組合を続けるのかと迫っているが、新加入者も迎えがんばっている。京浜の新免会社では、企業内組合を結成したら書記長が解雇され、地本に加盟した。

卑劣な解散・解雇許さない

 (10)静岡・諏訪部みゆきさん 石川タクシー富士宮は、2月9日に突然会社解散、全員解雇された。深夜に車両を撤去するなど計画的で卑劣な行為だ。会社敷地内にある組合事務所に泊り込み24時間守りながら、裁判をしている。不当な解散・解雇が許されないよう勝利するまで闘う。

会社譲渡で権利を守った

 (11)東京・高木一誠さん 帝全労組は3月1日に突然、会社譲渡を通告された。組合員は19人だったが、闘う方針を立て、徹底的に声掛けをして過半数の71人まで増やし、5月に、全員雇用、労働条件継続、現在地での営業などをかちとった。闘ってこそ権利が守られることを学んだ。

自家用車改造し県内を宣伝

 (12)三重・高橋紀郎さん 障害者割引や事故損害金の運転者負担廃止を求め、昨年11月に組合を結成。自交総連に加盟した。会社は組合を嫌い副委員長の私を雇止めに。裁判に訴えながら、自家用車を宣伝カーに改造し、三重県内を1日200キロ走りながら職場復帰をめざしている。

ダンプと一緒にパレードを実施

 (13)福岡・和田庄治さん 4・14全国統一ストは抗議集会と車両パレード。4月18日には九州交運共闘でダンプなどと一緒にパレードを実施した。地元のテレビも放映し市民にもアピールできた。9月末で351台の減車。自主経営の会社として運動の先頭に立ち奮闘していく。

自主経営の道も模索し奮闘する

 (14)山口・山崎義博さん 昨年給料の遅配が始まった。そのうち遅配は1か月にもなった。どうにもならないと思ったところに労働相談の看板が目に入り7月に組合を結成、自交総連に加盟した。破産の状況だが、雇用の確保めざし、本部の指導のもと自主経営の道も模索し奮闘する。

人間の尊厳をもってストを決行

 (15)福岡・安武一洋さん 4・14ストは3月段階から執行委員会で議論し準備を始めてきた。集会では「人間の尊厳をもってストを決行する」というスローガンも読み上げた。闘う者こそ未来を切ひらく。決めたことは実行する。集会終了後、組合員も晴れ晴れとした顔をしていた。

運動の力で経営に反撃

 (16)広島・切田明さん 27通達が出たとき経営は骨抜きにしようとしたが運動で反撃してきた。規制緩和で産業が破壊されたが、これも運動によって新たな法律ができた。この活性化法をただの紙切れにしてはいけない。強固な法律としていくために奮闘したい。

総括討論

運輸局に具体的な減車策を提案

 (17)宮城・石塚潤さん 昨年11月から地域協議会が始まった。運輸局の不十分な試算に対し、具体的な減車提案と運賃問題の解決策や減車による雇用問題の解決策も示している。市内8割の事業者に減車を求める要請も実施。下限割れ運賃を続ける企業には抗議文も送り是正をめざす。

減車へ闘いを広げることが必要

 (18)大阪・畑政男さん 7000台以上の減車が必要だが経営者のまとまりがない。確実な減車を求め、タクシー協会への申し入れ、運輸局に対し法令の厳格な適用を求めている。国会では議員の削減にむけ議論が行われている。少数意見が反映されなくなる。闘いを広げることが必要。

20%減車をめざし運動を進める

 (19)東京・坪倉秀樹さん 5418両の減・休車が申請された。「減車をするのは経営者。させるのは労働組合」を合言葉に20%減車めざし運動をすすめている。減車に応じない事業者には門前宣伝も視野に大衆行動で事態解決をめざす。タク免については議論を深め法制化をめざす。


「決めたことは必ずやる」

闘いの先頭に立って奮闘を

執行部まとめ

今村書記長
今村書記長
 執行部答弁に立った今村書記長は先ず、討論を通じて明らかになった特徴点について言及。(1)自交総連の構成業種であるハイヤー・タクシー、自教、観光バスの仲間が積極的に討論に参加したこと、(2)厳しい情勢下にあっても地方における産業別組織としての任務と役割をまっとうし、自交労働者の生活と権利を守る闘いの先頭に立って奮闘している姿が鮮明にされたこと、(3)組織拡大において、空白県の組織化や自教組織の前進など新たな成果と学ぶべき教訓が明らかになったことを指摘しました。

 補強的見解とまとめでは、自教、観光バス、個人タクシーを組織化の対象として明確に位置づけることの重要性を強調。さらに、「安心・安全、誇りと働きがい、地域貢献 力を合わせ、将来像の道を開く運動構築を」にもとづく運動では、分かりやすさと力強さの追求が不可欠と述べ、普通の労働者・国民にも理解してもらえる訴え方や書き方が重要であると指摘し、力強さでは、“決めたことは必ずやる”という姿勢が大切で、これは自交総連の信頼性と実践力が問われる問題でもあると、その重大性を強調しました。


組織拡大し社会的影響力強化を

らいひん4氏があいさつ

全労連運動に一層の協力を

大黒議長
大黒議長

 全労連・大黒作治議長 規制緩和に反対する闘いを利用者の間にまで広げて、規制緩和の見直しを闘いとった自交総連のこれまでの成果に敬意を表したい。

 今後も闘いを発展させながら、組織を拡大・強化し、そして全労連運動の社会的影響力の強化のために、一層の協力をお願いしたい。

積極的に強化の中身提案を

藤好議長
藤好議長
 交運共闘・藤好重泰議長 規制緩和のせいで起こった労働者の大変な負担、これを変えるには交運関係の労働組合が積極的に強化の中身を提案し、確立していくとりくみが求められている。秋の統一行動では、交運共闘として、交運労働者の労働条件確保と、地域主権改革反対というスローガンで闘うので、奮闘をお願いしたい。

嘱託・定時制解雇と闘おう

須藤弁護士
須藤弁護士
 顧問弁護団・須藤正樹弁護士 最近嘱託や定時制乗務員の雇止めが非常に多くなり全国各地で起きている。これに対しては、闘わなければならない。

 これだけ寿命が延び、70歳ぐらいまでは健康であり、能力があれば、働く権利があるんだという立場に確信をもち、闘うことが必要だし、弁護団も一緒に闘う。

今の政治のキーポイントだ

穀田議員
穀田議員
 日本共産党・穀田恵二衆議院議員 みなさんがとりくんでいるさまざまな運動や、最賃制確保のとりくみ、そして減車による労働者の労働条件と賃金をあげろという闘いが、実は今の政治のキーポイントだ。みなさんの闘いが政治の転換と経済危機の打開の方向性に沿ったものであるという確信をもって今後も奮闘してほしい。

おつかれさまでした

退任役員の紹介

 今大会で退任されたみなさん

今大会で退任された役員
今大会で退任された役員

 岡田紀一郎(副委員長・大阪)▽梅田裕一(常任中央執行委員・東京)▽川崎一則(中央執行委員・東京)▽丹沢信之(中央執行委員・山梨)▽松下末宏(中央執行委員・大阪)▽佐藤均(中央執行委員・奈良)▽戸倉伸一郎(中央執行委員・山口)▽桜木久巳(中央執行委員・大分)▽権田正良(常任顧問・大阪)


自交総連第33回定期大会選出役員(任期2年)

中央執行委員長 飯沼  博(東 京)
副中央執行委員長 石垣  敦(宮 城)
鈴木  勇(東 京)
園田 公作(大 阪)新
緒方  満(福 岡)
書記長兼会計 今村 天次(山 口)
書記次長 菊池 和彦(本 部)
宮竹 光男(東 京)新
専従中央執行委員 中山 益則(東 京)
常任中央執行委員 吉田 貴一(埼 玉)
徳永 昌司(東 京)
早川 広之(東 京)
池田 忠司(東 京)新
市野  隆(神奈川)
石原 敏雄(京 都)
庭和田裕之(大 阪)
中央執行委員 釼持 惠市(山 形)
沼倉喜久雄(福 島)
城 政利(東 京)
吉田 三男(東 京)
坪倉 秀樹(東 京)新
中村  寛(山 梨)新
神谷宗十郎(静 岡)
井上  登(石 川)
瀬戸山実義(鹿児島)
会計監査 本間  昭(宮 城)
森長 達也(京 都)

(注.常任中央執行委員は第1回中央執行委員会にて互選で選出)

紹介される新執行部
紹介される新執行部

大会宣言

2010年10月27日 自交総連

提案議案を採決する参加者
提案議案を採決する参加者
 自交総連は、本日、「安心・安全、誇りと働きがい、地域貢献 力をあわせ、将来像への道を開く運動構築を」をメインスローガンとして、今後1年間のたたかう方針を、全国のなかまと共に確立した。

  昨年10月施行された「タクシー活性化法」は、自交総連が産業別労働組合の優位性を活かし、あきらめずに規制緩和反対闘争をたたかった運動の成果を示したものといえる。この闘いにおいて、すべての組合員が立ち上がり規制緩和から規制強化へと、自分たちの力で道を切り開いてきたことは、今後の運動に大きな確信となっている。規制強化の流れは、まだ始まったばかりである。すべての自交労働者の災いとなった規制緩和の弊害を将来に残してはならない。そのために、みんなの力で、地域における適正な車両数となる減車を確実なものにしようではないか。

 政治・経済情勢は劇的な変化を遂げており、7月に行われた参議院選挙では、国民が旧政権と何ら変わらぬ新政権に期待感が持てず、民主党が大敗する結果となった。経済不況は、あらゆる産業の需要を落ち込ませ、タクシー・ハイヤー、自動車教習所、観光バスの利用者減へとつながっている。そのことが、規制緩和の弊害にさらされている自交労働者に追い討ちをかけ、事業そのものが存続の危機にある。こうした厳しいときこそ労働組合の出番であり、その役割の発揮が求められている。国民的要求である景気の回復、格差と貧困の解消、増税反対、平和な社会の実現へむけ、国民的共同のたたかいで政治の民主的転換をはかり、人間らしく暮らしやすい社会に改善させようではないか。

 自交総連が、結成以来歩んできた道程は、けっして平坦なものではなかったが、広範な労働者を視野に団結を力としてたたかえば、情勢をかえられることを自交総連の歴史が証明している。その要(かなめ)となったのは一人ひとりの自交総連の仲間の力である。みんなの要求実現を確かなものとするために、自交労働者の資質の向上とあわせ、労働組合の社会的影響力をもっと高めようではないか。そして、タクシー運転免許の法制化を実現し、地域に貢献できるタクシー事業をめざそうではないか。

 そのために、すべての運動を組織拡大に結びつけ、自交総連に多くの新しい仲間を迎えいれることを、すべての仲間に呼びかけるものである。