約1万3000台が減車申請全国の減車状況
タクシー活性化法に基づく減車(休車含む、以下同)の状況を、運輸局等の資料から自交総連がまとめました。概要は表のとおりです。
全国では約1万3000台の減車が申請され、これは基準車両数(ほぼ規制緩和後のピーク時)と比べると2万台余りの減少となり、すべて実施されれば、全国の台数は規制緩和前に戻ることになります。 【解説】減車の進展はみられますが、地域によってかなり差があります。主要都市の申請削減率は新潟交通圏の20%〜福岡交通圏の2%まで開きがあります。申請しても実際に減らすのはこれからです。さらに、いまだに申請していない事業者や削減率が低い事業者がかなりあります。全体が減車する中で自分だけ減車しなければ、その会社だけ不当利得を得ることになり、許されません。 また、申請どおりの減車がすべて実施されたとしても不十分です。それは表のcとgを比較してみればわかります。減車後の車両数はほとんどの地域で協議会に提示された適正車両数をなお上回っています。しかも、運転者にまともな労働条件を保障するという点では、適正車両数自体も多すぎます。 今後、減車をしない、あるいは不十分な会社を世論で包囲するとともに、「活性化法の目的は労働条件の改善」(国交省交渉での回答)という観点で効果を検証していくことが必要です。 減車と運賃競争の解消をタクシー事情考えるシンポ開催石川
地連の井上書記長をはじめ、タクシー協会、石川運輸支局、金沢市交通政策課、石川消費者団体連絡会がパネラーとなり、減車と運賃競争の解消をどうすすめるかについて意見を交わしました。 金沢交通圏では、減車がすすんでおらず、譲渡・合併により下限割れ運賃が拡大しています。 シンポジウムでは、最初にコーディネーターの前田達夫金沢大学名誉教授が「このまま事態を放置すれば公共交通としてのタクシーの未来はない」と提起し、各パネラーから「減車に協力しない事業者に対する働きかけをいっそう強めたい」(支局)、「市の交通政策や環境問題からも減車は必要」(金沢市)、「タクシー運転者の状況を聞くと、運賃が安いばかりがいいとは思わない」(消費者団体)などの発言がありました。 井上書記長は「減車に協力している事業者を優良事業者として優先乗り場をつくるなど政策的な差別化をすべき」と訴えました。視覚障害者団体からも「良質なサービスのためにも値下げ競争より利用補助の拡大を」とフロア発言があるなど活発な討論が行われました。 不当解雇者は47人26組合・支部が長期争議自交総連では、厳しい情勢のもと、不法・不当な経営の攻撃に全国で26組合・支部の仲間が長期争議をたたかい、不当に解雇されている組合員も47人にのぼります。 悪政、不況・規制緩和・18歳人口の減少などは、ハイタク・観光バス・自教経営を直撃し、無責任な経営者は犠牲を労働者に転嫁しようとリストラ「合理化」を強行。倒産・企業譲渡、一方的賃下げ、不当解雇が続発しています。 秋田・横手観光タクシー労組は会社が倒産しましたが、譲渡譲受による自主経営への道を探り前進しています。 静岡石川タクシー富士宮労組は、突然の会社解散で全員解雇、組合事務所に泊り込んで奮闘中です。 その他の解雇事件で特徴的なのは、定年を迎えるにあたっての継続雇用拒否などの雇い止めが目立つことです。とくに組合員であることを理由とした継続雇用拒否が見られるため、今後は、高年齢者雇用安定法などを活用して、継続雇用や、再雇用の基準を明確化していくなどの対策が必要です。 労働条件確保の責務を果たせ厚労省・国交省交渉を実施交運共闘法違反の取り締りの強化を
交通運輸労働者の労働関係法違反の取り締りの強化などを要請には「交通運輸関係は重点的に監督している。国交省と連携を図り、相互通報などを活用して今後も実効ある監督指導に努める」と回答しました。 また、地域別最賃を1000円以上にすることなどについては、「政府の戦略で、2020年までの早期に平均1000円とすることが政労使の合意で決まっている。それまでの間の引き上げ額については、経済情勢を踏まえて決めていく」と回答しました。 この他、労働者派遣法の抜本改正の早急な実施を要請、経済界が規制を強化すると雇用が失われると言っていることについて質問すると、「いきすぎた規制緩和の結果、さまざまな問題が生じた。これを適正化し、労働者の雇用の安定を図るため、改正案を国会に提出している。派遣を全面的に禁止するわけでなく、労働者を保護するための改正なので、雇用が失われるということはない」としました。 来年の通常国会に法案提出
交通基本法の法案提出にむけた進行状況については、「6月に出した『基本的な考え方』をふまえて現在法案検討小委員会を立ち上げ、意見をとりまとめ、来年の通常国会に提出したい。ただ、基本法だけでは『絵に描いた餅』になりかねないので、関連施策が重要だ」としました。 交通労働者の労働条件確保の責務が国にあることや、地域公共交通活性化のための国の役割については、「国の調整機能は当然で、県が変わったら道路の規格が変わるとかいうことがあってはならない。地域の行政に関わるものは地方に移していこうという考え方はある」としました。 また、財政措置に関して、「公助」「共助」などの表現によって国が責任を回避する懸念はないか質すと、「福祉などでは税だけでなく社会保障があり、みんなで支えるというしくみがあるが、交通にはこういうしくみがないという問題意識を示したものだ」としました。 全事故件数は111件ハイタクの事故が大幅増加過酷な労働実態浮き彫りに健康状態に起因する事故件数 2009年の全事故件数は、99件→111件と昨年より12件も増加し、タクシーの事故も、前年(28件)より大幅増の42件となりました。 バス・トラックも含めた全111件のうち、脳出血など脳血管疾患が33件、心筋梗塞など心臓疾患が29件で、深夜を含む不規則労働の場合は、脳や心臓の重大疾患が多いことが指摘されています。 乗客や他車の安全、自らの命を削ってでも走らなければならないほど乗務員の労働が過酷であることが浮き彫りになっています。 減休車の状況は不十分だ「地域性考慮し対応している」九州ブロック運輸局交渉
要請内容は、タクシー特措法に基づく特定事業計画の減休車状況、積極的巡回監査、自動認可運賃の下限割れなどについて行い、交渉の中で「減休車の状況は不十分であるが、運輸局の評価はいかがなものか」「省内において、とりくみは統一されていないのか」などの質問があげられました。 答弁に応じた外西昭二旅客二課長は「地域性なども考慮し、それに応じた対応をしている」「現在、特定事業計画が90%以上の事業者で提出されており、残りの事業者に対しても提出を促しているが、現時点での評価はしていない。今後の状況に応じてヒアリング等も行っていく」と回答しました。 また現場の声として、悪質な運転代行業者による白タク行為の実態などを報告すると、「運輸局も警察当局と情報交換を行っているので、通報していただきたい」と答えました。 その後、場所を移し、九州ブロック総会を行い、各地の地域協議会の進捗状況や、春闘にむけての闘いや教育・宣伝にむけての今後の方針を決めました。 適正車両数実現を事業者への力指導要請中国ブロック運輸局交渉 要請では、「活性化法」の趣旨の柱である「労働者の労働条件向上につながる減車」を強調し、まず、局が示した「適正車両数実現」が緊急課題であるとしました。にもかかわらず、広島県では6か所の「特定地域」に対し、経営者が提出した「事業計画」の減車目標は、最高が呉市Aで14・69%、計画書すら提出してない地域が2か所あることを指摘し、「適正車両実現」にむけた強力指導を強く要請しました。 宣伝行動は、広島市内を中心に15か所で「運輸行政・経営者の責任で適正車両実現を!」の独自ビラ約250枚を配り、労働者と対話しました。どの乗務員も減車の話題には興味を示し、自交総連への激励が多く寄せられました。 |