自交労働者No.775、2011年4月1日

東北地方に甚大な被害

津波で社屋や営業車流れる

東日本で巨大地震発生

 3月11日午後2時46分ごろ、三陸沖を震源とする巨大地震が発生し、東北地方を中心に甚大な被害が生じました。巨大津波を受けた岩手、宮城、福島の被害は甚大で、宮城・福島両地連の組合員も多数が被災しました。現在、自交総連本部では、安否の確認を続けています。

営業再開にむけ全員で努力

 巨大な津波が押し寄せ、街に壊滅的な被害を与えた東日本大震災。今でも多くの被災者が、避難所での避難生活を余儀なくされています。

 宮城地連や福島地連に加盟する各単組・支部の組合員の中には、本人や家族の死亡、行方不明者も多数出ています。さらに、自宅の倒壊や、流出も出ています。

 また、直接的な被害にあわなかったものの、家に帰れない組合員が組合事務所で寝泊りしたり、ガソリンが手に入らないために、自家用車が動かせず、職場まで自転車で通うなどの不便をきたすなか、今後の営業再開にむけ、全員が努力をしています。

 その一方で、社屋や営業車の大半が津波に流されてしまい、廃業も危惧されるなど、復興にむけて困難な状況が続いています。

液状化など都内でも被害

 また、この大地震の被害は、都内でも発生し、日本交通の新木場営業所では、液状化現象で、営業所内は泥で埋まり、建物が歪むという被害や、日の丸自動車交通の足立営業所では、パーキングタワーが故障するなどの被害もでました。

 ※自交総連本部では、今後の支援・救援対策を立てる予定です。決まり次第、連絡します。


力を合わせ被災地支援を

困難ななかでも復興にむけ活動

宮城・福島両地連から報告

 震災によって大きな被害を受けた宮城・福島両地連では、懸命に組合員の安否確認が続けられ、復興に向けたとりくみもすすめられています。地震当日や、困難ななかでの活動のようすを伝える報告が届きましたので紹介します。

協議会出席中に被災

宮城地連書記長 石垣 敦

石垣書記長
石垣書記長
 私は、本間委員長と仙台市内のホテルでひらかれたタクシー協議会に出席中に地震にあいました。

 開催されて1時間半ほど経過したころ、突然、会場のホテルが大きな揺れに襲われ、協議会に参加していたメンバーは全員机の下に隠れましたが、揺れている間は、天井からシャンデリアが落ちてくるなど、とても危険なものでした。

 地震が収まったところで、外に逃げることになり、通常の出口に向かいましたが、煙が立ち込めてきて、ホテルの従業員の指示で非常口から外に出ることになりました。

一歩間違っていたら死亡

 私たち二人はすぐに地連事務所に向かい、吉田専従執行委員が、机の下に隠れて、身の安全を確保していました。幸いにも、ロッカーの倒れ方がよかったおかげで、吉田専従執行委員にケガがありませんでしたが、一歩間違っていたら死んでいたかもしれません。

携帯電話の充電ができず

 地震翌日から、携帯電話を使って組合員の安否確認を行いましたが、なかなかつながらず、また、電気が止まってしまったために、携帯電話の充電もできず、思うようにすすみませんでした。

 16日に事務所に行くことができたので、片づけを行い、そのころから徐々に組合員とも連絡がつくようになり、宮城では、本部で伝えられているような状況となっています。

権利侵害を許さず断固闘う

 地震以降、宮城地連加盟の組合では、復興にむけて奮闘していますが、会社からは、この震災を理由にさまざまな権利侵害が行われ、連絡がつかなかったからと会社を解雇され、相談にきた乗務員もいます。

 宮城地連では、労働組合として、労働者を守る立場から、このような権利侵害を許さず、断固闘うために、3月31日には執行委員会もひらき、全員で闘うことの意志固めを行い奮闘しています。

 全国の仲間のみなさんには、今回の実情を理解していただき、支援をお願いしたいと思います。

机がじゃまし扉開かず

福島地連書記長 沼倉 喜久雄

沼倉書記長
沼倉書記長
 地震当日、私は明番であったため、福島市の自宅で一人で寝ていました。すると突然大きな揺れを感じ、とっさに、水槽が倒れて水がこぼれては大変だと思い、激しい揺れの中必死に水槽を押さえましたが、それでも揺れが激しく、水槽の水の大半が私の体にかかりました。

 家の中はタンスが倒れ、本棚から本が落ちるなど、さまざまな物が散乱しました。

こんな場所にコピー機?

 震災翌日、私は出番であったため、会社に向かい、その途中で地連事務所に寄りましたが、なかなか扉が開かず、力を強くして押してみると、少しだけ開いたので、中を見ると、机がじゃまをして扉が開かない状況でした。

 その後、なんとか中に入ると、食器棚からはコップなどが落ちて割れたり、本棚は倒れ、コピー機は、「こんな場所に置いてあったか?」と思うようなところにまで移動していて、揺れのすごさを改めて実感しました。

思うように安否確認できず

 すぐに組合員の安否確認を始めましたが、携帯電話はつながりにくく、また、テレビのニュースで、相馬市のほうの被害が大きいことを知り、地連に加盟する組合があるため、確認に行こうと思いましたが、ガソリンがなかなか手に入りにくい状態で、移動ができず、思うように安否確認がとれない状況が続きました。

放射能汚染により近づけず

 16日には、執行委員会で対策会議をひらく予定でしたが、大半の役員がガソリン不足により移動できない状況となり、現在もまだ、対策会議をひらけていない状況です。また、相馬市の方向は原発事故による放射能汚染により、近づけないのも現状です。

 まだまだ、被災地域でのライフラインの復旧も不十分で、地連や組合活動の復興に時間がかかりますが、これから少しづつ復興にむけ活動していきますので、全国のみなさんには支援をお願いしたいと思います。


富士急は首切りの責任をとれ

激励集会に50人超

石川タクシー富士宮労組

 突然の会社解散・解雇から1年以上経過した3月6日、富士宮市の三園平区民館で、石川タクシー富士宮労組を激励する闘争支援決起集会がひらかれ、50人を超す参加者が集まりました。

改めて団結を固めよう

横断幕を抱えて決意表明=3月6日、富士宮・三園平区民館
横断幕を抱えて決意表明=3月6日、富士宮・三園平区民館
 【静岡】笠をかぶった富士山がくっきりと見える好天気の中、決起集会は富士地域労連の山下一郎事務局長の司会で始まり、支援共闘会議の議長である林克静岡県評議長は「事件から1年以上経ち、改めて団結を固める場としていきたい」と冒頭あいさつしました。

 続いて自交総連本部の宮竹光男書記次長は「労組の交渉申し入れにまったく応じない富士急は大企業として相応するのか。まったく腹立たしい」と感想を述べ、菊池和彦書記次長は「砦である組合事務所を、みなさんの支援で引き続き確保することが重要だ」と訴えました。

裁判闘争に勝利しよう

 みどり合同法律事務所の萩原弁護士は、松川事件を例にあげて「力を合わせて市民の支援を広げ、大衆的裁判闘争に発展させて勝利しよう」と訴えました。

 また主任の荻大祐弁護士からは、これまでの口頭弁論と、今後の裁判の争点や方向性についての報告がなされました。

会社許せない気持ち高まる

 当該組合の諏訪部みゆき委員長からは、この1年間の支援のお礼が述べられ「会社を許せない気持ちが日増しに高まっていく。富士急に偽装解散を認めさせ、首切りの責任をとらせるまで闘い抜く」と強い口調で決意表明しました。

 決起集会は富士地域労連の塚原一志議長の団結がんばろうで、参加者全員が「必ず勝利する」と闘争意志を固めて終了しました。


現状打開で将来展望切り開こう

自動車パレードに84人、54台参加

神奈川

ボディーステッカーでアピールしながら車両デモを行うタクシー=3月6日、横浜市内
ボディーステッカーでアピールしながら車両デモを行うタクシー=3月6日、横浜市内
 【神奈川】恒例の自動車パレードが3月6日、11時から横浜山下埠頭に結集して開催され、自交総連からは30台のタクシーと34人が、その他、ダンプ5台、トラック3台、海上コンテナ5台など、総勢84人と54台が参加しました。

 山下埠頭で行われた集会は『2011春闘勝利、港湾・交通運輸産業の現状打開で将来展望を切り開こう!』と神奈川交運共闘会議・市野隆議長(自交総連神奈川執行委員長)のあいさつで開始、水谷神奈川労連議長、古谷首都圏交運副議長が連帯あいさつにかけつけました。

 集会後参加車両は、「賃上げ・まともな運賃 許すな増税・憲法改悪」などと書かれたステッカーを車両に貼り、山下埠頭から、県庁前・みなとみらい・桜木町をパレードしました。


政減車へ事業者団体としてイニシアチブを

賃金改善のため適正台数までもっていきたい

全タク連要請・懇談

全タク連へ要請する飯沼委員長=3月9日、市ヶ谷・自動車会館内
全タク連へ要請する飯沼委員長=3月9日、市ヶ谷・自動車会館内
 自交総連は3月9日、飯沼委員長他7人が参加し、全タク連と要請・懇談を行いました。全タク連からは富田会長他7人が対応しました。

 要請は、適正車両数実現にむけ、事業者団体としてイニシアチブをとることなど、5項目を行い、富田会長は「事業者にとって減休車は身を切られる思いだが、乗務員の賃金を改善するために適正台数までもっていきたいと努力している。景気が上がってくれば、一気に効果が出る。東京ではあと100万円くらいは改善していきたい」としました。

 また、「法律を守る会社がつぶれて、守らない会社が生き残るという現状をどうにかすべきだ。運転者の資格制度を考えていかざるを得ないのではないか」と質問すると、「特措法でできることはやりきりたい。減車をやりきった後で、運転者の制度などは考えていきたい」と応じましたが、「任意の減車では限界がある」としてタクシー事業法の必要性を強調しました。

 最後に組合側は、全タク連が全国の業界にむけて指導力を発揮するよう強く要請しました。