闘い通じ幹部・活動家の育成を
|
団結がんばろうをする大会参加者=10月19日、東京・すみだリバーサイドホール |
自交総連はこの間、各地の地域協議会において、実効ある減車を追求してきました。
事業者に減車を促し、非協力的な事業者に対しては世論で包囲するとともに、行政には法違反の取り締まりを要求してきました。
こうした運動により、地域間で減車率において差はあるものの、全国的に見て規制緩和時点を下回る台数にまで減車させることができました。
タクシー減車の実現は、今まで増えることはあっても、減ることはなかったタクシーの台数を初めて減少させたと言う点、そして、その実現には各地の地域協議会での奮闘、実効ある減車を求めた自交総連の運動と政策提言が原動力となった点に確信を持つことが必要です。
飯沼委員長
|
今、減車に非協力的な事業者に対する調査・指導の強化と、事業再構築の効果の検証が最大の課題となっています。しかし、活性化法の主たる目的である乗務員の労働条件改善という点でみると、いまだに不十分で、確実な賃金増、労働条件改善には適正台数実現への減車闘争を引き続き強化しなければなりません。
私たちは今後の運動を通じて、真の問題解決をはかるため、「安心・安全な輸送」「誇りと働きがい」「地域貢献」を確実なものにするタクシーシステム確立の流れを作り出さなくてはなりません。
職場での闘いを基礎に、企業の枠に閉じこもらず、産業別統一闘争を重視することが重要です。経営団体、政府・行政に対し確実な賃金増をはかるために適正車両数の実現、需要拡大を軸とする景気回復を求める闘いを継続します。
こうした闘いを通じて、幹部・活動家の育成と組織拡大が強く求められています。
自交総連にとって、組織強化拡大は、緊急な課題です。
今、未組織の職場では、権利侵害がひどく、劣悪な労働条件のなかで労働組合を結成し、自交総連への加盟が続いています。
空白県での加盟も二つの県で実現しました。一方で、既存組合の解散・消滅もみられます。
その要因は、減車による組織減や、高齢化とともに役員の担い手がいないことによる組織消滅、金銭問題による解散も目に付きます。組織点検と幹部活動家の育成が急務です。
政権交代から2年、何のための政権交代だったのか厳しく問われています。
深刻なデフレ、円高が続き、欧州での財政危機による金融不安が広がりをみせるなか、政府は、年金支給開始年齢の引き上げ・高齢者医療制度の改悪・TPP参加・消費税増税など労働者・国民への攻撃を強めています。
私たちは、自交労働者の要求実現と国民的課題と結合し運動を構築していきましょう。
前に並んで紹介される当該労組の参加者=10月18日 |
各争議組合の代表より、この間の闘争経過と勝利するまで闘うことの決意表明が行われました。
石垣副委員長が争議支援のカンパの呼びかけをし、会場から15万328円が集まりました。
(1)山形・池田智行さん 山形は鶴岡と庄内2支部とも自主経営をしている。経営が軌道に乗っているときはいいが、赤字になると責任のなすり合いになる。一人ひとりが社長、経営者であると自覚し、団結なくして、成功はない。震災以降、厳しい環境だが、団結して苦境を乗り越え、前を向いてがんばっていく。
(2)福島・荒川光義さん 相馬市から来た。原発から40キロの風光明媚な観光地だったが、津波で一変してしまった。亡くなった組合員、家族も多い。原発事故の影響で福島県では人口流出が続いている。国と東電は責任を果たせ。福島に原発はいらない。地に足をつけて働くことが復興の第一歩と信じて団結してがんばる。
(3)埼玉・渡辺好雄さん 不当解雇で復職後の有休請求権を認めさせた八千代労組の裁判は全国の労働者への朗報だ。幹部活動家の育成と組織拡大が強く求められ、組織後退は自交総連の浮沈にかかわる問題として重視する必要がある。埼玉では900人から1000人を超える組織になった。2000人めざし奮闘したい。
(4)東京・仲秀久さん 個人タクシー労組では、06年に129人と組織拡大が停滞した時に対象者と要求を見直した。全事業者を対象に自交総連組合員の合格者の自宅訪問も行い、要求では道交法闘争に力を入れてきた。死亡事故等の不起訴7件、処分軽減8件などの成果を宣伝、300人の組織を確立することができた。
(5)神奈川・黒田謙一さん 飛鳥支部では、割増賃金を請求したところ、会社は10年8月から組合員だけメーター制限=残業禁止をしてきた。賃金が7〜8万円減る。140人の組合員が58人になって借金をする人も出た。県労委で不当労働行為が認定され、最低賃金も支払わせ、5月から解除させた。中労委でも断固たたかう。
(6)静岡・郡司孝さん 春闘では、震災と景気悪化の影響の中、有休改善や定年延長63歳から65歳をかちとった。今後も自交総連の組織を背景にたたかっていく。拡大では、10年前は260人で10人が定時制、現在は180人で80人が定時制だ。手取り10万円そこそこで30代、40代の人がやめていく現状を変えなければならない。
(7)大阪・山本雅弘さん バス部会では、あずみの観光バスの事故以来、劣悪な労働実態を明らかにし、総務省の調査にも協力、勧告がでたが、国交省のあり方検討会の審議は、逆に規制緩和にすすんでいる。高速ツアーバス規制でなく、乗合バスの規制緩和をしようとしている。安心・安全を守るため運動を全国に広げたい。
(8)東京・片岡敏康さん 被災地支援で営業車を現地にとどけた。今後も10円カンパにとりくむ。全国の仲間にも呼びかけたい。方針で地域分権という言葉があるが、これは、民主党政権がすすめている国の責任を投げ捨て、住民生活・福祉切り捨ての「地域主権改革」と紛らわしい。適切な表現に改めた方がいい。
(9)石川・金子久男さん 金沢では違反で処分された9社のうち5社が下限割れの会社。ある新免会社は、2度処分されたとたん事業譲渡した。安い運賃でも儲かるといっていたのは大ウソだった。減車は目標に届いていないが、1台当たり運収が規制緩和後初めて前年を上回った。さらに減車と運賃競争の解消を求めていきたい。
(10)三重・高橋紀夫さん 解雇裁判を闘いながら有休取得問題、事故損害金、障害者割引の乗務員負担を改善させてきた。裁判では解雇の狙いが、組合つぶしだということが明らかになった。1年3か月裁判が続いたが、次回の裁判後には裁判官から和解も勧告される予定だ。未払い賃金の解決、職場復帰めざしてがんばっていく。
(11)大阪・吉田栄二さん 大阪では売上の低さから退職や運転者のジプシー化が起きている。各地域で20%の減車を合意しているが、ワンコインなど応じない事業者もいる。目標実現にむけがんばりたい。乗禁地区で乗車させた会社は処分されることになった。行政、業界ぐるみで違法状態改善にむけたとりくみも始まっている。
(12)京都・曽野武浩さん 京都では10%の減車を確認したが、MKのように減車に応じない事業者もあって現在7・89%に留まっている。地連では中立組合も巻きこみ、地域協議会での獲得目標を議論してとりくみを進めている。業界の立て直しと運転者の労働条件改善にむけ減車と適正運賃実現をめざしがんばっていく。
(13)奈良・多米博幸さん 09年8人で組合を結成した。会社は団交ばかりか組合さえも認めなかった。労働委員会では勝利したが、運動で会社を包囲することが解決の近道と組織拡大を重点にとりくみ現在24人になった。今月新たに2人が加入する。組合員が増えて団交も実施でき、チェックオフ、組合掲示板の設置も実現した。
(14)福岡・安武一洋さん 労働3団体で宣伝や最賃告発闘争なども計画して減車にとりくむなか、大手企業が交渉に応じ、最賃の支払い、賃金制度改善、減車を実施した。協力・共同が実現した背景には、自交総連が地域で労働者の権利を守って一貫して闘ってきた実績と長い間に築いてきた信頼の深さ、人間関係がある。
(15)鹿児島・山崎秀文さん 9月に山元交通労組ができて地連に加盟した。結成直後に全員が下車勤になったが、賃金全額を払わせ解決した。闘う中で団結も強化された。県労連には労働相談がある。空白県に自交総連の組織をつくるには本部の力が必要。地域の仲間とともに組織拡大にとりくんでいく。
(16)宮城・澤口敏夫さん 震災当日はライフラインの破壊、公共交通がストップするなか、マスコミの移動、帰宅困難者の移送に奮闘し公共交通としての役割を果たした。中型車への小型料金適用、タクシー会社の復旧、震災を口実にした権利侵害阻止にとりくむなかで、2組合が新たに加盟。既存の組合でも拡大が進んでいる。
(17)大阪・松下末宏さん 労基法違反、改善基準告示違反に対するとりくみを強化している。行政も特措法違反の集中取り締まりを始めた。破産も出ている。原因は放漫経営だが、乗務員の労働モラルもある。
タクシー運転免許の法制化で、乗務員の質の向上を行い、減車を通して1車あたりの乗車率を上げることが求められている。
(18)東京・川崎一則さん 要求実現も財政問題もすべて組織拡大にかかっている。労働組合が労働者の生活と権利を守るための組織なら、未組織労働者は労働者でありながら労働組合に結集しないという矛盾を抱えている。東京地連は自交総連の最大組織という自覚のもと、未組織労働者の組織化に全力をあげていく。
今村書記長
|
また、自教、観光バスの部会設立については、設立を検討する場を設けることを明らかにしました。
この他、東京地連が開始した、宮城・福島両地連への毎月10円カンパについては、「この行動に呼応しながら、それぞれの地方に持ち帰って、前向きに検討していただきたい」と呼びかけました。
最後に今村書記長は、「今後新しい困難な局面がたちはだかるかもしれないが、すべての自交労働者の持てる力を結集し、組織の強化・拡大を念頭に運動に奮闘していこう」と訴えました。
大会宣言を読み上げる福島・沼倉中央執行委員 |
2002年に強行された規制緩和に対し、われわれは“道理ある主張、政策は原則的な闘いの継続によって生かされる”と、展望を持って運動を進めてきた。規制緩和に対する闘いは、中央、地方でも多彩にとりくまれ、その結果、規制強化にむけたタクシー活性化法が成立し、地域協議会が設置された。地域協議会では労働条件改善を目的とした適正車両数が合意され、それぞれの地域ではいま、確実な減車の実現にむけ運動が展開されている。
自交総連が一貫して要求してきた減車の推進は、これまでの粘り強い、不屈な運動によって獲得した成果である。組合員の総力でかちとった今日の到達点を確認し、この成果に甘んじることなく、魅力と働きがいある事業の再生と、タクシー運転免許の実現をめざして運動を強化する。
一方、政権運営で混迷を深める民主党は、選挙で掲げた公約を投げ捨て、自民党との大連立で構造改革路線の推進や庶民増税を進めようとしている。
規制緩和路線への回帰やさらなる増税は、ハイヤー・タクシー、観光バス、自教労働者の生活をさらに悪化させるだけでなく、危機的状況に置かれている事業そのものの存続さえ脅かすものである。
悪化する事態阻止にむけ、自交労働者と事業の明るい未来、国民生活の向上、政治革新をめざすあらゆる勢力との共同を追求し運動を進める。
自交総連は結成以来、自交労働者の労働条件改善にむけて奮闘してきた。その戦闘性と政策の優位性はこれまでの運動実績が実証している。いま必要なのはその到達点にふさわしい組織の確立である。低賃金、雇用不安、無権利状態に苦しむ仲間に手を差し伸べ、その仲間とともに、自交労働者の労働条件を改善するのは自交総連の責務である。この期待に応えるため、すべての運動を組織の強化拡大に結びつけ、一人でも多くの未組織労働者を仲間に迎え入れるためとりくんでいく。
自交総連は、くらしと雇用、権利を守るため、すべての自交労働者の先頭に立って奮闘する。
大黒議長
|
全労連・大黒作治議長 震災復興のありかたがこれからの日本の道を示している。ルールある経済社会を作るのか、規制緩和復活、構造改革に戻るのか。
全労連は討論集会をひらき、今後10年間の運動方向の展望を来年の大会で決めるための討論をする。
穀田議員
|
日本共産党・穀田恵二衆議院議員 規制緩和に反対し、タクシー台数を減車させることができたのは、みなさんの運動の成果だ。引き続き、労働条件改善にむけて奮闘していただきたい。
みなさんとともに、要求に基づく国民大運動を草の根から起こしたい。
藤好議長
|
交運共闘・藤好重泰議長 復興関連の巨大な公共事業で、現場の労働者は、算定された賃金の半分しかもらえない。がれき撤去特別措置法では国が統一した契約内容を作るとなっている。
安全に必要な賃金・労働条件を国は保障するべきだ。
小部弁護士
|
顧問弁護団・小部正治弁護士 民主党は、原発、消費税、米軍基地などに関して悪政を推進している。だからこそこれらを変えるために自交総連の運動が必要である。
全国の争議の特徴、65歳や70歳での解雇攻撃が続いている。みなさんと勝てる方法を編み出していきたい。
今大会で役員を退任されたみなさん
緒方満(副中央執行委員長・福岡)▽森長達也(会計監査・京都)
緒方副委員長
|
森長会計監査
|