自交労働者No.793、2012年2月1日

賃金を増やして景気回復を

新春宣伝、行動に決起

2012年春闘スタート

写真
日本経団連前で、賃上げして内需拡大をと訴える参加者=1月17日、東京・大手町
写真
乗降を手伝いながら乗客と運転者に宣伝する仲間=1月6日、東京・池袋駅前
写真
横断幕をもってデモ行進する大阪地連の仲間=1月17日、大阪市内
 新春から2012年春闘スタート――新年早々から全国で新春宣伝、要求行動がとりくまれ、春闘のスタートが切られました。

 東京では1月6日に全労連・国民春闘共闘が新春宣伝を実施。東京・新宿・池袋・霞が関で宣伝しました。

 池袋での宣伝行動では、東京地連の組合員がタクシーのりばで乗客の乗降を手伝いながら利用者や運転者にビラをまきました。

 東京地連は、この日、都内の13駅頭で「減車非協力事業者に適正な減車を求めています」「運転者の賃金・労働条件の改善が安心・安全なタクシーにつながります」というビラを配って、運転者・利用者に訴えました。

経団連を包囲

 1月17日には、春闘闘争宣言行動として、東京・大手町の日本経団連の包囲行動や厚労省要求行動が実施され、東京地連からも参加しました。

 経団連前では、500人の参加者が、賃上げを拒否する経団連を批判し、大企業の内部留保の活用で賃上げと消費税増税阻止をかちとろうとシュプレヒコールをあげました。

 大阪でも同日、ターミナル宣伝と関西経済連合会への要請行動など「怒りの労働者総行動」が行われ、大阪地連からも仲間が参加し、デモと宣伝を行いました。


組織拡大を重点に

第2回常任中央執行委員会

実増10%以上めざす

写真
組織拡大目標などを論議した第2回常執=1月10日、東京・自交共済会議室
 自交総連は1月10日、第2回常任執行委員会をひらきました。

 会議では2012年春闘で、減車の確実な実行をめざすとともに、重点課題として組織拡大を重視、3〜5月に拡大月間を設定し、職場内未加入者への対話と加入呼びかけ、中立・企業内組合への訪問、空白県対策とともに、すべての地連(本)が、実増10%以上の目標を掲げてとりくむこと、本部として東北ブロックを重点対象地域としてキャラバン行動を予定することを確認しました。

 また、春闘の諸要求実現をめざし、3月8日に東京で中央行動を実施することが決まりました。


消費税14年8%、15年10%計画

大企業は減税、大資産家は優遇

野田内閣

 政府・与党は1月6日、消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%へ引上げることを柱とする「社会保障と税の一体改革」素案を決定、社会保障の切捨てと消費税増税をしゃにむにおし進めようとしています。

 【解説】消費税は所得の低い者ほど負担が大きくなる大衆課税です。実施されれば、景気は一気に冷え込み、タクシー・観光バスの売上も激減、しかも運転者にとっては、売上から内税となっている消費税が引かれて賃金計算されるため、賃金も減少します。まさに自交労働者にとっては死活問題で、産業自体の存続に関わります。

 政府やマスコミは、社会保障費の増大などをまかなうためには消費税を上げざるを得ないと説明していますが、本当に他に財源はないのでしょうか。

大企業・大資産家

への優遇は継続

 グラフにみるように、現在の所得課税は、年収1億円までは負担率が上がっていく累進課税ですが、それを超えると逆に負担率が下がっていきます。大資産家の富の源泉である株や証券への課税が異常に優遇されているからです。

 大企業は97年から09年までの間に利益剰余金等を101兆円も増やし、それを証券等への投資に回すほど溜め込んでいます(表)が、法人税減税が既に決まっています。

 大企業や大資産家に適正な課税をすれば、十分に財源が確保できるはずですが、そこには一切手を着けずに、国民に消費税増税を押し付けるやり方を許すわけにはいきません。

表


8割が生活苦しく、運転中の危険も

事故起こしそうが75%

12春闘アンケート 高齢化が急速に進行

 自交総連の12春闘アンケートの結果がまとまりました。

 【回収】回収枚数は前年より1759枚減って8677枚です。各地方は回収率向上へ奮闘をお願いします。

60歳以上が46%

 【勤続・経験・年齢】年齢構成は60歳以上が前年より4ポイント増えて46%に達しました(図1、2)。

図1

図2

 ハイタクの年齢構成の変化が図3で、高齢化が急速に進行していることがわかります。

図3

82%が生活苦しい

 【生活実感】苦しいの計は82%で前年の85%よりわずかに減りました。年金を受給しつつ勤務している人が増えたため、まあまあと答えた人が増えた(前年12↓今年15%)結果です(図4)。

図4

 【家計の負担と節約費目】家計で実際に節約している費目では、食費や光熱費など絶対必要な費目でも工夫して節約している様子がわかります(図5)。

図5

 【賃上げ要求】3万円以上と答えた人が47%です(図6)。

図6

運転中の危険

 【労働時間】労働時間が長いと答えた人は63%になり、適当と答えた人の倍以上になります(図7)。

図7

 【運転への影響】乗務員に仕事で運転中の経験を聞いたところ、交通事故を起こしそうになったがタク75%、バス69%、安全確認がおろそかになるがタク68%、バス63%、居眠り運転をしたことがあるがタク32%、バス40%となりました(図8)。長時間労働のために安全運転ができなくなっている深刻な実態です。

図8

賃金が安いが1位

 【職場での不満】賃金が安いが第1位なのは全国共通ですが、2位以下は地方ごとにかなり差があります。地方の集計をみて対策を立てる必要があります(図9)。

図9

原発ノーが85%

 【原発】原発について初めて聞いたところ、早くなくすと徐々に減らすを合わせて、なくしたいという人が85%でした(図10)。

図10

 【政府への要求】昨年は年金が1位でしたが、今年は景気対策が1位でした。震災復興や増税反対にも強い関心が示されています(図11)。

図11


タクシーの現状 何とかしなければ

北海道 タクシーシンポに89人参加

写真
89人が参加した北海道の第2回タクシーシンポジウム=11年12月20日、札幌・かでる27
 【北海道】北海道地連は昨年12月20日、札幌市内で第2回タクシーシンポジウムをひらき、89人が参加しました。シンポは、道労連、札幌地区労連、タクシー弁護団、北海道国公労連の協力で実行委員会をつくり開催しました。

 第1部では、道労連名知議長が、タクシー労働者のおかれている現状を何とかしなければならない、と主催者あいさつ。北海学園大学川村准教授が交通政策とタクシー労働者の労働条件について講演しました。タクシー弁護団の山田弁護士は割増賃金や最低賃金が支払われない違法状態の現状と裁判闘争について説明。本部石垣副委員長が自交総連の規制緩和反対闘争の経過と今後の課題について報告しました。

 第2部では、パネルディスカッションが行われ、裁判をたたかっている札幌交通新労組の佐々木書記長は、「いまやタクシー労働者が生活苦からダブルワークまでして、本業では眠気も抑えられず事故も増大している。悲惨な現状を変えるためには連帯してたたかう以外ない」と報告。会場からは「タクシー労働者に対する会社の扱いは何十年も変わっていない。今日ここに参加して、改めて一人ひとりが考えなければならないことがわかった」などの発言もありました。


死亡給付を10万円減額

自交共済 4月から改定実施

 自交共済は1月10日、東京・自交共済事務所で第1回運営委員会をひらき、今年4月1日からの共済給付額の改定を決めました。

 下表のように、死亡や重度障害の場合に支払われる産別給付金を20万円から10万円に減額、結婚や子の出生祝い金を増額します。

 自交共済は組合員の助け合いとして、利益を出さずに運営していますが、近年、高齢化や過酷な労働から死亡数が急増しています。現行の給付額のままでは収支がマイナスとなり、共済事業自体の存続ができなくなるため、昨年の総会で死亡給付の10万円減額を確認し、その他の部分での一部増額等の詳細を検討してきました。

 新しい給付額は4月1日以降に発生した事由に適用されます。

表


在職中の死亡者数が急増

高齢化、過酷な労働が影響か

 自交共済で組合員の死亡給付が急増しています。背景には高齢化と過酷な労働実態があります。

 自交共済は約7000人が加入する共済で、加入者はすべて現職の組合員です。加入者数は減少傾向なのに、04年度に27人だった死亡者は年々増えて、09年度に55人、10年度に51人と50人を突破。11年度も前半期のみで24人を数え、例年後半期の方が増えることから年間では50人以上が予想されます。

 この急増の背景には、60歳代以上の加入者が増えていること、規制緩和以降の営収減で長時間労働・過労に至る人が増えていることがあります。

 11年度前半期の死因をみると、24人中ガンが9人、自殺が4人、脳血管疾患が2人となっています。この期ではありませんでしたが過去の累計では心臓疾患も上位にきます。いずれも、長時間労働により心身のバランスが崩れていることから発症が促進されているもので、過酷な労働実態を表しています。

表


年間100件超 続く

運転中の病気による事故

規制緩和後に急増

 営業車運転中の急死・急病での事故は年間100件(2010年)――国土交通省の「運転者の健康状態に起因する事故」の調査でわかりました。

 この調査は、バス、ハイヤー・タクシー、トラックの運転者が営業車を運転中に急病になり、交通事故に至ったものを集計したもので、病気の種類は、脳出血か心筋梗塞で運転不能になるケースがほとんどです。

 規制緩和前の01年は、バス・ハイタク・トラック合わせて22件でしたが、規制緩和以降急増し、02年には47件、09年には111件に達しました。10年はわずかに減って100件でしたが、依然として大台を超える深刻な状況です。

グラフ