自交労働者No.794、2012年2月15日

運転者優位のタクシー免許を

消費税増税ストップ、悪政阻止

第34回中央委員会

第34回中央委員会の最後に団結がんばろうを唱和する参加者=1月26日、東京・全労連会館
第34回中央委員会の最後に団結がんばろうを唱和する参加者=1月26日、東京・全労連会館
 自交総連は1月25〜26日、東京・全労連会館で第34回中央委員会をひらき117人が参加、「職場・地域で共同拡げ、賃金底上げと権利確保、景気の回復を」をスローガンとする2012年春闘方針を満場一致で決定しました。24〜25日には関係弁護士交流会がひらかれました。

飯沼委員長あいさつ

飯沼委員長
飯沼委員長

 タクシー活性化法が施行されて3年目を迎えた。減車闘争の一定の前進にも関わらず、賃金増の点ではまだ不十分だ。非協力事業者へは指導させて適正台数に近づける必要があり、経営者の社会的責任が問われている。

 事業者団体は、タクシー事業法をめざしているが、その前に活性化法の検証が必要。規制強化に反対はしないが、労働者・利用者軽視、事業者優位のものであってはならない。運転者優位のタクシー運転免許の実現こそが必要である。

春闘の4つの重点

 春闘前進に向け、(1)産別統一闘争の強化、横断的な労働条件の確立、法違反一掃をめざす、(2)権利主張を貫き、関係法令、通達を活用して経営責任を追及する、(3)職場組織、地連・地本の力量を質量ともに強化拡大する、(4)消費税増税など悪政ストップの先頭に立って奮闘する――4点を強調したい。

 貧困と格差に反対する運動が世界に広がっている。上位1%のための経済システムを、99%のわれわれの連帯で変えていこう。

表


来ひんあいさつ

大企業の内部留保の還元を

大黒議長
大黒議長
 全労連・大黒作治議長 政府は、公務員の賃下げと衆院比例定数削減を露払いに消費税引き上げを狙う一方で法人税は減税する。消費税増税に大義はなく、大企業・金持ち優遇批判の世論を高めよう。春闘では、大企業の内部留保を最賃の引き上げなどに回して国内に還流させることが景気回復になる。

全タク連の最賃対策に対処

田辺弁護士
田辺弁護士

 顧問弁護団・田辺幸雄弁護士 全タク連の時間管理リーフは、最低賃金対策だ。勤務の途中に長い休憩時間を取らせたり、車が止まっている時間のカットを提案している。労働条件の決定、変更は労使の合意による、労働契約は仕事と生活の調和に配慮するという労働契約法の規定を生かして闘ってほしい。


職場で、地域で、組織拡大へ

11地方15人が発言

討論

放射能に負けずにがんばる

福島・松本さん
福島・松本さん
 (1)福島・松本武さん 福島は原発事故と風評被害で米や名産のあんぽ柿など農産物が出荷できず甚大な被害を受けた。県外への移住者も多いが、昨年暮れ20人の組合員で5000部のカレンダーを配布し、お客確保に努めた。福島は放射能に負けないでがんばる。

春闘では統一要求書を準備

東京・河野さん
東京・河野さん
 (2)東京・河野勝さん 多摩地域は地域協議会が目標とした車両数にほぼ達しているが、非協力事業者もあり、減車の完全実施にむけ行動を強めて行きたい。春闘では多摩地域独自の統一要求書も準備しとりくんでいく。宣伝行動、学習を強化し組織拡大もめざす。

職場なくなる不安を払拭へ

静岡・市村さん
静岡・市村さん
 (3)静岡・市村直之さん 春闘アンケートで「職場がなくなる不安」が9割を超えた。12春闘ではこの不安を払拭しどう闘っていくのかが課題だ。浜岡原発問題では営収の維持という点から複雑な問題もあるが停止・廃炉にむけ運動を進めていきたい。

裁判に勝利し職場復帰へ

三重・高橋さん
三重・高橋さん
 (4)三重・高橋紀郎さん 私の解雇事件で1月18日、第12回目の裁判が行われた。本人尋問はじめ組合側から自交総連・元書記次長の久賀さんが証人として証言してくれた。裁判官からの和解提案もあるが、なんとしても裁判に勝利して職場復帰をかちとる。

バス労働者の拡大をめざす

大阪・山本さん
大阪・山本さん
 (5)大阪・山本雅弘さん 国交省「バス事業のあり方検討会」が出した中間報告には、過労運転防止、走行距離規制など事故防止にむけた具体案は盛り込まれていない。さらなる規制強化を求めていく。今春闘ではバス労働者の組織拡大もめざしていく。

県労連と一緒に組織拡大

高知・横田さん
高知・横田さん

 (6)高知・横田春吉さん 県労連と一緒に宣伝したところ、水揚げが少ないとして雇止めされた労働者から電話があった。本人は既に退職していたが、雇用保険の相談に乗り自交総連に入り就職先で組合を作ると決意している。県労連を巻き込んで拡大していきたい。

無法な経営者とたたかう

鹿児島・北井さん
鹿児島・北井さん
 (7)鹿児島・北井良夫さん 新加盟した山元交通労組では、結成通告に行ったら不法侵入として警察を呼ばれた。組合員は乗務停止とされたが、やめさせた。労働相談でも、一日でも休めば歩率が40%になるなど法律無視の経営者がいる。不当行為とたたかい、減車もさせていきたい。

罰金是正や有休付与重点に

大阪・久保さん
大阪・久保さん
 (8)大阪・久保義雄さん アンケートでは60歳以上が67%。手取り15万円位の賃金では子育て世代は生活できず、年金受給者、独身者しか来ない。減車して労働条件改善につなげたい。関協の罰金是正、嘱託者への有休付与など権利確保を重点にしていきたい。

政策提言と賃上げ実現を

東京・斉藤さん
東京・斉藤さん
 (9)東京・斉藤孝行さん 自動車教習所は、免許取得人口が減り、10年で100校以上が閉鎖するサバイバル時代。当校でも、経営者は新入社員は契約社員で入れたいと言っているが、組合が阻止している。春闘では政策提言と賃上げの実現をめざしていきたい。

最低賃金訴訟4人が原告に

神奈川・大滝さん
神奈川・大滝さん
 (10)神奈川・大滝信一さん 生活保護より低い最低賃金は憲法違反だとして県労連の仲間と国を提訴、地本からも4人が原告に加わっている。京浜交通支部の組合員は病気で生活保護を受けていた時より、復職したときの賃金の方が安い。早く時給1000円以上に。

賃金増まで減車にこだわる

京都・浅井さん
京都・浅井さん
 (11)京都・浅井大二さん 京都の減車率は8%。減車しない会社がいい思いをしている。労働者の賃金がアップするまでこだわる。京都は16年間運賃値上げがないので適正化をめざす。活性化法を活かしてたたかうが、根本的には、運転者優位の制度、タクシー運転免許が必要だ。

減車すすんだ結果、営収増

福岡・中村さん
福岡・中村さん

 (12)福岡・中村朗さん 交通労連、私鉄総連と共闘し、悪質な会社を告発したことで減車がすすみ、11月には日車営収が11%増になった。違法な長時間乗務抑制の効果もある。組織拡大でも、どうせダメだという幹部の意識改革をして、実増10%を必達目標とする。

総括討論

減車へ1車2人以上を提案

宮城・石塚さん
宮城・石塚さん
 (13)宮城・石塚潤さん 仙台の減車は13・6%で目標の23〜31%からはかけ離れている。地連では1車2人以上を提案、超過勤務の違反告発、定年も示して減車を促進する。春闘では、震災特需の黒字分を乗務員に還元させなければならない。最重要課題として組織の拡大にとりくみ、東北キャラバンでは空白の岩手で成果を出したい。

手数料や累進歩合の廃止を

東京・梅田さん
東京・梅田さん
 (14)東京・梅田裕一さん 減車は一定の前進をしたが労働条件改善までいかない。春闘では、労働条件改善を検証し、カード手数料の撤廃、累進歩合の廃止などをめざし、産業別労働協約にとりくみたい。組織拡大では、月2回の宣伝を継続し10%増をめざす。消費税が上がったら売上大幅減は確実。断固反対していこう。

橋下独裁反対の共同拡がる

大阪・山本さん
大阪・山本さん
 (15)大阪・山本均さん 貧困と格差が拡大し閉塞感が拡がるなかで、これに乗って橋下市長が当選したが、言っていることは小泉改革と一緒だ。独裁許すなの共同が拡がり、憲法違反の2条例反対の運動をしている。組織拡大では、20%増やさなれば実増10%にならない。消費税、TPP反対の政治闘争にも全力をあげる。


方針、実践、総括を念頭に

実増10%以上の目標を

執行部答弁

今村書記長
今村書記長
 執行部答弁に立った今村書記長はまず、“闘いにはサイクルがあり、結果を総括する時が必ずやってくる”とし、そのことを念頭に置いた上で春闘を準備し、とりくむことが必要だと述べました。

 とくに、闘いは、「方針」をつくりあげ、そして次に行動計画の「実践」をはかることを経て、最終的に闘いを集約することになるが、「総括」では、獲得内容や闘い方のみならず、団結力や組織力、労働者意識の面での前進にかかわる点検・評価を行い、次の闘いに反映させていくことが不可欠になると指摘しました。

 個別問題における答弁とまとめでは、(1)減車闘争と景気回復運動を継続強化し、行政責任や企業の社会的責任を追及する中で、確実な労働条件改善の展望を切り開く、(2)すべての組織が実増10%以上の拡大目標を設定し、みんなの力を寄せた具体的なとりくみ強化によって組織的前進を果たす、(3)消費税増税ノーの闘いや政治のあり方、社会のあり様を変える運動を、労働組合の重要な任務として位置付け、その先頭に立って奮闘する――として、春闘前進の決意を表明しました。


役員の一部交替を承認

 第34回中央委員会では、地方での役員の交替に伴って2人の中央執行委員の交替を承認しました。

 新中央執行委員
山梨 窪田靜雄(59)
静岡 市村直之(40)


春闘アピール

2012年1月26日
自交総連第34回中央委員会

春闘アピールを提案する埼玉・吉田常執
春闘アピールを提案する埼玉・吉田常執
 自交総連は本日、『職場・地域で共同拡げ、賃金底上げと権利確保、景気の回復を 2012年春闘』をスローガンとする春闘方針を確立した。

 自交労働者をとりまく情勢は、日本経済の深刻な悪化と昨年3月に発生した東日本大震災の影響で需要が回復されず厳しい状況となっている。

 また、消費税増税、年金・医療の改悪につながる社会保障と税の一体改革や、農林水産業の壊滅を招く輸出入の全面自由化、金融、医療、商工業、労働分野まで規制撤廃の対象となる「TPPへの参加」は、日本経済と国民生活に深刻な打撃を与えることが予想される。

 タクシーでは活性化法施行から2年が経過し、減車闘争は一定の前進をかちとったが、労働者の生活は一向に改善されず、最低賃金や生活保護基準以下という異常な低賃金が常態化し、まともに生活することすらできない状況下におかれている。

 自教労働者は、少子高齢化による入所者の減少を背景に、料金値引きや長時間労働、人件費の削減、契約指導員の拡大など状態悪化が進んでいる。

 観光バスでも、過当競争が激化し、無理な運行計画の押し付けなど、輸送秩序を無視した長時間労働の押し付けが続けられ安全性が危惧されている。

 こうした状態を打開するために、2012年春闘では労働組合の原点に立ち返ったとりくみが重要である。職場で組合民主主義を徹底し、労働者が抱いている現状に対する不満、要望を要求にまとめ、解決するため全力で闘いを進めることが求められる。

 2012春闘は、労働組合の存在意義がするどく問われ、その真価が試される闘いの場でもある。企業主義を克服し、産業別、地域別統一闘争を重視して、事態改善にむけ実利・実益の獲得をめざし奮闘しよう。

 また、春闘をたたかうなかで、職場と地連(本)の力を質・量ともに強化拡大して、組織拡大を確実に達成していくことも緊急の課題である。職場内や地域で、無権利状態に放置されている未組織労働者の組織化が前進しなければ抜本的な賃金・労働条件の改善は実現しない。我々の周りには多くの未組織・未加盟の労働者が存在している。こうした仲間たちと悩みや不安を共有し、その問題の解決にむけ共同を拡げ、仲間に迎え入れていこう。自交総連は2012年春闘をたたかうなかで、未組織労働者との総対話を重視し、要求実現の要となる組織拡大を必ず実現させる決意である。


全国から29人が参加して交流

全タク連の時間管理策を検討

第34回関係弁護士交流会

29人の弁護士が参加した自交総連第34回関係弁護士交流会=1月24〜25日、東京・全労連会館
29人の弁護士が参加した自交総連第34回関係弁護士交流会=1月24〜25日、東京・全労連会館
 自交総連第34回関係弁護士交流会が1月24〜25日、東京・全労連会館で各地方から29人の弁護士が参加して開催されました。

 交流会では、本部顧問弁護団・田辺弁護士が『全タク連リーフ「時間管理と勤務シフト」の検討』と題して、全タク連が考える、最賃法違反逃れにむけた時間管理の問題点について基調報告を行いました。

 続いて行われた特別報告では、(1)八千代交通労組・有休請求権確認事件=埼玉・横山佳純弁護士、(2)生田交通支部・支配介入、不当解雇事件=神奈川・堀沢茂弁護士(病気のため当該支部が代理報告)、(3)岩井観光グループ労組・便宜供与事件=東京・戸舘圭之弁護士、(4)三和交通清田労組・割増賃金請求事件=北海道・山田佳以弁護士、平澤卓人弁護士――の4つの問題を取り上げ、報告が行われました。

 また、各地方から参加した弁護士からも、雇止め事件、賃金未払い事件、不当労働行為事件、会社解散に伴う全員解雇事件などが報告され、これからの運動にむけ交流を深めました。


タクシー事業法制定問題に関する対応について

自交総連
(2012.1.24 第2回中央執行委員会確認)

 自交総連は1月24日に開いた第2回中央執行委員会で、事業者や一部労働団体が推進し、民主党議員連盟が議員立法提案を予定しているタクシー事業法案について、見解をまとめました。

 民主党タクシー政策議員連盟は2011年12月2日、「一般乗用旅客自動車運送事業法案(仮称、略称=タクシー事業法)概要」を再改定し、関係者に公表した。その内容と特徴は、以下のとおりである。

 基本方針の部分
〈いずれも、従来案を踏襲〉

 (1)道路運送法からタクシー事業に関する事項を抜き出し「一般乗用旅客自動車運送事業法(仮称)」を新たに制定。

 (2)タクシー業務適正化特別措置法の内容は、原則としてこの法案にすべて取り込む。

 (3)タクシー活性化法は廃止する。なお、事業者の責務等の一部規定をこの法案に取り込む。

 概要の部分

〈(3)、(5)、(6)を追加、タクシー行政権限の地方委譲部分は削除〉

 (1)事業の許可を免許に改めるとともに、3年毎の更新制を導入。

 (2)需給調整措置の復活(免許基準への需給要件の追加、適正台数の設定=3年毎の見直し、免許更新の際の減車措置、増減車の認可及び休廃止の許可)。

 (3)個人タクシーの営業譲渡を禁止。

 (4)運賃・料金は営業地域毎に定めた適正運賃等の範囲(3年毎に見直し)内。

 (5)運輸規則の一部規定を法律に引き上げるとともに、運転者の過労防止等に関する規制を新設。

 (6)運転者の登録制、タクシー適正化事業等を全国的に実施。

 自交総連は、タクシー事業法制定問題について、以下の方向での対応をはかっていく。

 タクシーの規制緩和政策を抜本的に改め、安心・安全、誇りと働きがい、地域貢献を保障しうるタクシー政策への転換が求められている。その根幹をなす政策課題が、需給調整機能の確保と適正運賃の問題であり、国家資格としてのタクシー運転免許の制定である。

 現状を見れば、タクシー活性化法をもってしても、今日タクシーが抱えている諸問題の根本的解決には至らないだろうと推測される。タクシーの特性からして、規制緩和が抱えた矛盾は、結局のところ需給調整機能と適正な運賃の確保の問題であり続けている。この点についていえば、タクシー事業法案は、需給と運賃の本来のあり方に立ち返る重要性をもっているものと考える。

 一方、タクシー規制強化の方向は、労働者・国民軽視、法人企業優位のものであってはならない。さらに、法案は、独占禁止法の適用除外や期限付き免許制などハードルの高い課題をも残したままである。

 これらの問題解決を可能とする“運転者優位の仕組み”の確立、職業に対する誇りと働きがいをタクシー運転者に与える方策として、国家資格としてのタクシー運転免許の制定が、今後の検討課題として重視される必要がある。


新加盟のなかま  (812)なら・自交総連帝産キャブ奈良労組

企業閉鎖とたたかう

 【なら】奈良市にある帝産キャブ奈良で働く仲間が自交総連帝産キャブ奈良労組(石原博光委員長、25人)を結成して2月1日、なら合同労組に正式加盟しました。

 同社は昨年10月31日に企業閉鎖、乗務員全員解雇を強行し、譲渡譲受の話も進んでいます。解雇の3日前にオブ加盟、団体交渉を求め、裁判、労働委員会でもたたかい、団交拒否については1月17日に勝利命令が出ました。