自交労働者No.799、2012年5月1日

国民生活つぶす消費増税ストップ

会場あふれる5000人

労組・団体が共同集会

東京・日比谷野音

4・12国民大集会=東京・日比谷野音
4・12国民大集会=東京・日比谷野音
4・12国民大集会に参加した東京地連の仲間=4月12日、東京・日比谷野音
4・12国民大集会に参加した東京地連の仲間=4月12日、東京・日比谷野音

 国民生活をつぶす消費増税許すな――4月12日、全労連・国民春闘共闘と民主団体、個人が共同した「消費税大増税ストップ4・12国民大集会」がひらかれ、会場の東京・日比谷野外音楽堂からあふれる5000人が全国から参加しました。東京地連から105人が参加しました。

 全労連・大黒作治議長が、消費増税反対の闘いを発展させようと訴え、よびかけ人の主婦連・山根香織会長は「弱いものいじめの大増税に断固反対しましょう」、ジャーナリストの斎藤貴男さんは「どこの世界に命をかけて国民をつぶすという首相がいるでしょうか」とよびかけました。日本共産党・志位和夫委員長があいさつしました。


生活できないと悲鳴

現地で対話、宣伝

東北宣伝キャラバン

閑散とした駅前でじっくり対話する宣伝隊=4月14日、秋田・鷹ノ巣駅(北秋田市)
閑散とした駅前でじっくり対話する宣伝隊=4月14日、秋田・鷹ノ巣駅(北秋田市)

 自交総連は、未組織労働者の組織化に向けての東北宣伝キャラバン行動を4月11〜18日に実施しました。(詳報は次号)

 キャラバンでは、各地で宣伝と対話をするとともに、主な市役所を訪問、タクシーの現状と自交総連の政策を知らせて、乗合・福祉タクシーの充実を要請しました。

 各地とも運転者は高齢者が圧倒的に多く、駅で4〜5時間待ちはざら、タクシーでは生活できないと嘆きの声が聞かれました。

 8日間で1900キロを走破、本部・宮竹書記次長、宮城・富中有さん、高橋公明さん、安田勢一さんが全日程参加、山形・池田智行さんが前半、福島・赤井幸一さん、鎌田誠貴さんが後半に参加したほか、それぞれ地元の組合員、県労連から応援の仲間が参加しました。

図


新加盟のなかま  (815)東京・自交総連開進交通労組

労組の必要性痛感

 【東京】板橋区にある開進交通に働く仲間は4月7日、自交総連開進交通労働組合(於保〈おぼ〉文夫委員長、4人)を結成しました。

 昨年6月、社長の一声で勤務時間が変えられたことなどを契機に、劣悪な労働条件への不満が噴出、労働組合の必要性を痛感した有志が東京地連に相談して結成の準備をしてきました。結成後すぐにビラを作成し、加入を呼びかける宣伝を開始しています。


解雇の一方で新規募集

静岡・石川タク争議

富士急系列に連続宣伝

富士急静岡バスの営業所前で抗議する石川タクシー労組と支援の仲間=4月10日、静岡・富士市内
富士急静岡バスの営業所前で抗議する石川タクシー労組と支援の仲間=4月10日、静岡・富士市内

 【静岡】石川タクシー富士宮労組支援共闘会議は3月28日の富士急本社宣伝に続き、4月10日には富士市の石川タクシー富士と富士急静岡バスに抗議・要請行動を行いました。

 石川タクシー富士は、会社解散・全員解雇をした富士宮と同じ社長で、富士宮のタクシー業務を引継いで営業、静岡バスは組合事務所の土地所有者で、明け渡しを要求してきています。

 参加者は「富士宮では全員解雇をして富士で新規募集をするとはどういうことか」「事務所明け渡し交渉は争議が解決してから」と怒りの声をあげて訴えました。


国交省に規制強化を要請

経産省に原発反対

東京

交通運輸の規制強化を訴える東京地連の仲間=4月12日、東京・国交省前
交通運輸の規制強化を訴える東京地連の仲間=4月12日、東京・国交省前

 【東京】4月12日、国民春闘勝利4・12中央行動が行われ、霞が関で省庁要請行動などがとりくまれました。

 国土交通省前では、交通運輸の規制強化などを訴え、東京地連の平澤春闘オルグが、乗務員負担や累進歩合の改善を重点に春闘をたたかっていると決意表明しました。

 経産省では原発再稼働、TPP参加反対、財務省では消費増税反対、総務省では公務員賃下げ反対などを訴えました。


有休未付与なくせ

大阪 業界の体質改善を

労働局・運輸局・協会宣伝

大阪タクシー協会前での宣伝・要請行動=4月12日、大阪市内
大阪タクシー協会前での宣伝・要請行動=4月12日、大阪市内

 【大阪】有給休暇未付与や最低賃金法違反、さらには事業者が負担すべき経営コストの労働者への押しつけなど、世間の常識からかけ離れたタクシー業界の体質を変えるため、大阪地連は4月12日、大阪労働局・近畿運輸局前での宣伝行動、大阪タクシー協会前での宣伝と要請行動にとりくみました。

 「スーパーで買い物をしたお客さんがクレジットカードを使った場合、レジ係の労働者は手数料を賃金から引かれるでしょうか。受益者負担と称して労働者に負担させているのはタクシー業界だけです!」労働局・運輸局が入る合同庁舎前の宣伝行動では、ビラやマイクでタクシー業界の実態を告発しました。

 タクシー協会前では「DX車使用料などと称して減価償却費を労働者に課す事業者があるが、生産設備投資や営業コストは会社が負うべきものだ」と強調しました。園田委員長ら4人が要請書を提出、応対した井田常務は「協会としても法令遵守にむけ周知、啓発などしているが、なかなか実態は伴ってこない。法違反のないよう指導していきたい」と述べました。


自教の課題 熱心に討議

タクシー、組織拡大も

鹿児島・春闘学習会

講演する斎藤委員長
講演する斎藤委員長

 【鹿児島】鹿児島地連は4月9日、谷山北公民館において春闘学習会をひらき、タクシーと自教の組合員41人が参加しました。

 本部の鈴木副委員長と東京地連下北沢自教労組の斉藤委員長が講演を行い、予想以上の参加者で資料が足りなくなるほどでした。

タクシーと自動車教習所の仲間が参加した学習会=4月9日、鹿児島市内
タクシーと自動車教習所の仲間が参加した学習会=4月9日、鹿児島市内

 自教関係では、正規の指導員が少なく非正規が多くなっている現状が出され、「閑散期の営業活動はどうしているのか」などの質問に「口コミが一番の効果がある」などの答えがあり、高齢者講習の問題点、低賃金状態をどのようにして打破していくのかなど熱心な質疑が行われました。

 タクシー関係では、事故負担金の対策、組織拡大の必要性など有意義な学習会となりました。


業務限定なく、雇止めも

有期雇用法制の改正案提出

 【解説】国会に、有期雇用法制と高齢者継続雇用制度の改正法案が提出されています。

有期雇用の規制は導入せず

 有期雇用法制は、不安定で低賃金の労働力として経営者に利用されてきた6か月とか1年契約の雇用形態を規制するのが目的ですが、最も肝心な、雇用は無期が原則で有期雇用は臨時的業務に限定するという規定が経営側の意向で導入されませんでした。その他も、抜け道が多い欠陥法案です。

高齢者継続雇用の選別禁止

 高齢者の継続雇用制度の改正は、基準を設けて継続雇用者を選別できるしくみを廃止し、希望者全員の継続雇用を義務付けるもので、一歩前進です。ただし、すでに労使協定で選別基準がある場合は当面有効で、年金支給年齢にあわせて段階的に希望者全員雇用を義務付け、13年後に65歳までとします。

表


1人あたり424万円

沖縄では248万円の低さ

法人タクシーの売上

 法人タクシーの輸送実績(10年度)の統計が公表されました。

 ハイヤーや福祉専用を除く法人タクシーは全国で約20万台、このタクシーが稼ぎ出した総売上は1兆5755億円です。これを、1台あたりにすると785万円、運転者1人あたりにすると424万円にしかなりません。

 1人あたりの売上が低い10地方が下の表ですが、沖縄では年間248万円。これでは賃金は100万円台とならざるを得ません。


職場権利の点検(5)

運転者負担 協定なしで控除は違法

国交省も、労働者負担の軽減を指導

 タクシー業界では、会社の設備やサービスであり、本来、使用者が当然負担すべき費目が運転者負担とされている例があります。

 小売店でお客さんがクレジットカードで買い物をした時に、その手数料が販売店員の給料から引かれるなどということはありえませんが、タクシーでは、売上が多少とも増えるなら…という運転者の弱みにつけこんで、経営者は「受益者負担」などといって負担を押し付けています。

 非常識な運転者負担は、タクシー運賃改定の審査の際にも問題となって、07年の改定時の通達で国交省が事業者に「運転者の労働条件の改善措置を講ずること」を指導、「その際、賃金水準のみならず、実質的な労働者負担の軽減や手当て類の創設等これに関連して講じた措置についても併せて公表すること」と指示しています。

 当然、すぐに廃止して、運転者に還元すべきものです。

賃金からの一方的控除は労基法違反

 運転者負担を賃金から一方的に控除(天引き)している場合は、労基法違反です。

 賃金は「全額払い」が原則で、控除できるのは税金・社会保険料のほかは、労使協定を結んだ「事理明白なもの」に限ります。

 対象費目を具体的に特定して労働者が負担するということを定めた負担協定と、それを賃金から控除することができるという控除協定がそれぞれ必要で、両方あるいはどちらか一つが欠けても控除はできません。

 協定なく控除されていないかどうか、職場で点検しましょう。

非常識な運転者負担の例

○クレジットカードやタクシーチケットの手数料

○メーター、無線機器、GPS、スタッドレスタイヤ等の代金

○車内マット、座席カバー、制服代

○黒塗りタクシー等高級車両の使用料

○病院等特定施設への入構料、施設使用料

○交通事故の賠償金、修理費用

○障害者割引、福祉タクシー券

○LPGの値上がり分

賃金は全額払い 労基法24条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、…法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。


 第1項ただし書後段は、購買代金、社宅、寮その他の福利、厚生施設の費用、社内預金、組合費等、事理明白なものについてのみ、法第36条の時間外労働と同様の労使の協定によって賃金から控除することを認める趣旨である。(昭27・9・20基発675号)