国交省は対策見直せ関越道バス事故 4月29日、関越自動車道で7人が死亡する高速ツアーバスの重大事故が発生しました。自交総連では「見解と要求」をまとめ、背景を分析、国交省などに改善を要求していくことにしています。 バスを運転していた43歳の運転者は、疲れて居眠りをしていたと供述、金沢から東京までの行程545キロを交替運転者なしの1人で運転していました。ツアーを企画したのは大阪のハーヴェストホールディングスという旅行会社、バスを運行していたのは千葉の陸援隊という貸切バス事業者です。 違反だらけの事業者 事故を起こした会社は、規制緩和以降の貸切バス事業の問題点を体現しているような問題事業者です。運転者は違法な日雇いで休息期間には別の仕事をしていたとされ、まともな運行管理も点呼もなく、旅行会社から別の2社を介在して東京―金沢往復を公示運賃の半値以下の15万円で受注していました。 自交総連の指摘を生かさない国交省 こうした貸切バスの問題点は、規制緩和による過当競争を背景とするもので自交総連が再三にわたり指摘してきたものです。 交替運転者の配置指針が1日670キロとされたことについて、08年の制定当初から、運転者の疲労の実態に合わず、500キロ以下とするように要請してきました。 総務省の行政評価の調査に協力して的確な勧告がなされたにもかかわらず、それを受けた国交省のバス事業のあり方検討会での論議が勧告に応えないものとなっていることから、昨年10月、運賃ダンピング、アルバイト雇用の実態などを指摘して、旅行業者への監督強化、深夜運行の2人制義務化などの改善を申し入れました。しかし、この要請の趣旨は生かされず、不十分な最終報告が3月に出されたばかりでした(前号既報)。 貸切バスの安全を守るために、規制緩和の反省と適切な対応を国交省・観光庁・厚労省に求め、近く交渉していくことにしています。 消費増税阻止へ方針5月中春闘最終決着へ第2回中闘 自交総連は5月8日、第2回中央闘争委員会(第4回常執)をひらき、春闘の最終決着にむけた方針を討議、関越道のバス事故についての見解と要求(別項)、消費増税阻止に向けた方針も確認しました。 春闘は、一部で解決がみられますが、まだ多数が闘争中であり、5月中の最終決着めざし、地方ごとに統一行動の独自設定と団体交渉を促進、すでに確認している解決基準((1)賃金増、一職場一重点要求の実現(2)政策要求の合意(3)「合理化」許さず、納得いく中身での集約)をふまえて、未解決組合への援助など個別対策を重視することとしました。 また、労働者と事業に決定的な打撃を与える消費増税阻止のとりくみを各地で強化することにしました。 組織拡大では、到達点が7地方7組合198人であり、引き続き職場内外で加盟呼びかけを積極的に行い、地方(地域)労連と連携して組織化していくこととしました。 賃上げで内需拡大など訴え第83回メーデー 5月1日、各地でメーデーの集会・デモが行われ、第83回中央メーデーは東京・代々木公園で2万人余りが参加しました。 自交総連の仲間も各地で参加、多すぎるタクシーを減らせ、賃上げで内需拡大などを訴えました。 各地のデモでは、消費増税反対、TPP参加反対、原発なくせ・再稼働反対などのプラカードが目立ち、暴走する野田内閣への抗議の声が響きました。
有休なく乗務員負担あり兵庫・岡山で宣伝大阪と京都地連
新大阪駅から出発した宣伝隊は、JR尼崎駅→阪神尼崎駅→西宮北口駅→新神戸駅→三宮駅→西明石駅の順にタクシープールをめぐりました。対話した乗務員の約半数が有休はないと答え、嘱託者の割合が高く、ほとんどが私はアルバイトと話していました。 2日目は、姫路駅→相生駅→倉敷駅→岡山駅で宣伝。姫路では、足切り36万円以上で賃率48%、切ると35%、身障者割引の10%までも乗務員負担などの実態が明らかになりました。岡山県内でも、有休がない、手数料、事故弁済金は3万円まで乗務員負担などの答えがありました。 最終日は、不当な雇止め解雇をされている岡山地連山陽交通労組の山上書記長と合流、争議解決の要請書を会社に提出しました。 乗務員負担撤廃指導を関東運輸局へ請願東京・埼玉・神奈川
飯沼委員長が、法律や通達を守らない事業者には行政が責任をもって指導すべきだ、とあいさつ。本部、神奈川地本、埼玉地連、首都圏交運共闘から連帯あいさつを受け、各ブロック代表が決意表明しました。参加者は「このままでは生活できない」などの思いを伝えて、1人ずつ請願書を提出しました。 随行車表示をペイント化運転代行の健全化対策
警察庁と国交省は3月29日、「安全・安心な利用に向けた自動車運転代行業の更なる健全化対策」をまとめました。
運転代行の白タク行為などが絶えないことから、両省庁が昨年10月に実態調査を実施。その結果、白タク行為があるうえ、利用者や飲食店も違法であるとの認識が薄いなどの問題点が明らかになり、業界全体の健全化をはかるための対策を取りまとめたものです。 今後、実施に向けた検討を開始し、パブリックコメント等の手続を経て順次実施する予定としています。 運転代行業の健全化対策の概要【白タク行為等の違法行為の根絶】 ・随伴用自動車への表示のペイント化(表示板貼り付け方法を認めない) 【利用者の安心感確保のための改善】 ・損害賠償措置の概要の説明義務化 売上げ20〜35万円、生活できない組合ない職場が多い東北キャラバンの報告 自交総連は4月11〜18日に未組織宣伝東北キャラバン行動を実施しました。行動の特徴を宮竹書記次長が報告します。(4面に参加者感想) ◎ タクでは食えない
各県とも若年者は少なく年金併用の乗務員が多く、年金と農業が主でタクシーはアルバイトという人もいた。 乗務員との対話では、「タクシーだけでは生活できない」「タクシーが多すぎる」「経営者がワンマン」「この稼ぎで会社が潰れないか心配」など、多くの仲間から切実な問題が出された。 労働組合のない職場が圧倒的に多かった。最低賃金を知らない、保障されていない乗務員もかなりの数となっている。 県労連、地域労連の役員、書記さんが宣伝に協力してくれた。 市役所にも要請
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アンケートを手に乗務員と対話する赤井さん(左)=4月16日、青森・八戸駅 |
最大の原因は地域経済の落ち込みにあります。他に就職先もないことから、解雇されることを恐れ、不満をあらわにできないまま、最低賃金も有休ももらえず、乗務員たちは必死に耐えていました。
労働組合に対する不信感があるのか、自ら活動したいという人はほとんどいませんでした。「自交総連は違います」と呼びかけますが、全自交以外の労組の存在を知らない人がほとんどで、理解されるには引き続き宣伝活動を行わなければならないと思いました。
駅、病院、空港などでビラを配り、会話しながらアンケートをとりました。
厳しい状況が続いていました。1か月に15日以上出て売上が30万円前後、歩合率42〜48%でしたので、最低賃金以下の人が多いのに、会社の保障はなく、嘱託の人は社会保険がない、有休ないとひどい状況です。組合は全自交がほとんどで、あまり活動していない感じでした。
代行の白タク行為やダンピングなど問題がたくさんあると言われましたので、組合に興味を持っていただいて、仲間を増やすように、がんばっていきたいです。
アンケート調査では、年金をもらいながらの乗務員がほとんどで「タクシーの給料だけでは、生活ができない」という話が多く聞かれました。最低賃金について尋ねると、最低賃金法は知っていても「時給金額がわからない」「最賃に抵触または会社で差額分を支払っているか、わからない」、また労働条件の変更についても会社が勝手に変更しているなどの話を聞くことができました。
市役所要請行動を行い、各駅を回り、タクシー業界の厳しい状況を感じた宣伝キャラバンへの参加でした。
盛岡駅では、全自交と交通労連の人が中心でした。朝の時間帯はスムーズに動きますが、午後になると3〜4時間待ちになり、やっと乗車しても、最近は近場が多く売上が思うように上がらず、1日1万5000〜2万円の売上が平均です。いい時で1か月35〜40万円。最賃が引っかからないように、基本給がうまく操作されているそうです。
ある運転手は全自交が宣伝行動をしていると勘違いをして、全自交は何もしてくれないのでアンケートには協力しないと言い、自交総連ですよ、と言ったら申し訳ない協力しますといろいろ話してくれました。
盛岡の運転手さんたちも、何とか今の状況を切り崩して自交総連に加盟させ、もっといい生活、いい環境を作ってあげたいと思いました。
職場権利の点検(6)
残業(時間外労働)や深夜労働(22時〜5時)をした場合は割増賃金が支払われなければなりません。計算するには、労働時間が正確にわからなければなりません。右表のような勤務ダイヤにもとづき、実際の時間で計算します。