すべての労働者を視野に運動を
消費税増税阻止しよう
第35回 中央委員会
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春闘勝利をめざし団結がんばろうをする中央委員会参加者=1月17日、東京・全労連会館 |
自交総連は1月16〜17日、東京・全労連会館で、『賃上げと安定雇用・働く権利の確保を、組織の強化拡大 2013年春闘』をスローガンに第35回中央委員会をひらき、春闘方針を満場一致で決定しました。中央委員会では16人が発言、活発な議論が交わされました。決定した春闘方針では、2万人以上の組織をめざす4か年計画を定め、それに合わせて各地方で目標を決めて実践していくことにしています。
城委員長あいさつ
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城委員長 |
この3年間、タクシー活性化法のもと減休車がすすみましたが、依然として十分な労働条件改善には至っていません。新たな減車や需要喚起を運転者資格制度の確立とともに追求していきます。タクシーのサービスを考えた時、運転者の質の向上にこそ業界の未来があります。労働条件を改善し、若い労働者が入ってくる業界に変えなければなりません。
観光バスでは、ツアーバスの事故に示されるように過当競争の弊害は一刻の猶予も許されない段階です。自動車教習所でも、少子化による生き残り競争で人件費の削減攻撃が行われています。
こうした問題に対して、行政と業界・経営者の責任の追及、賃金の底上げ闘争が求められていますが、1企業1組合の企業内の運動だけでは要求は前進しません。すべての自交労働者を視野に入れて、政策を提起し、運動の先頭に立つことが重要で、ここに自交総連の産別組織としての存在意義があります。
労働条件改善で勤労者の購買力強化
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22地方113人が参加してひらかれた自交総連第35回中央委員会 |
安倍政権は、金融緩和と公共土木事業で内需拡大をしようとしていますが、外部からの一時的な需要注入策ではなく、勤労国民の消費購買力を強化することこそが必要で、労働者の権利の強化、最低賃金の引き上げ、社会保障の拡充などをまず行うべきです。
とくに消費税増税は、タクシーの需要を減少させ、大幅な賃金低下、事業の存続さえ危うくする最悪の政策で、阻止しなければなりません。
拡大目標実現へ
社会全体の賃金の底上げなくして自交労働者の労働条件改善はありません。正規雇用だけでなく、すべての労働者を対象に組織化をはかるうえで、既存の労働組合の幹部活動家が組織者となり、力量をつけなければなりません。日常活動を重視し、拡大の気風をつくり、魅力ある自交総連を確立して、4か年計画の目標を実現しようではありませんか。
全国的にストライキが少なくなっています。いざという時にたたかえなければ要求は前進しません。フランスやドイツではストで圧力をかけ交渉するのは当然です。日本でも強い労働運動をつくって現状を打開していきましょう。
魅力ある自交総連を確立して現状を打開しよう
各地のとりくみ報告交え議論
中央委員会討論 12地方16人が発言
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提案議案を採決する参加者 |
各地からの討論を聞く参加者 |
労働者減り減車さらに必要
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(1)大阪・運天さん |
(1)大阪・運天武史さん 大阪では60歳以上の運転者が多数をしめ、団塊世代が退職した後の労働力不足が心配されている。労働者が減少しているならばますます減車の必要性がある。規制緩和を強行した行政やそれに悪乗りした事業者に需給バランスの適正化やバラバラ運賃の是正を訴えるため、今一度職場全体の共通認識にする必要がある。
学習会で基本方針など勉強
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(2)福島・富田さん |
(2)福島・富田一茂さん 被災地では避難地域の見直しで徐々に人が帰ってこれる状況が生まれつつあるが、いまだに15万人が避難生活をつづけている。
会社では人手不足が深刻で、休日出勤や長時間労働が問題になっている。地連では学習会を開催し、情勢や基本方針を勉強している。今後もみなさんに指導してもらいながらがんばっていきたい。
組織の違いをわかりやすく
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(3)埼玉・石野さん |
(3)埼玉・石野正英さん 春闘方針『国民春闘と結合した闘い』に関連して、国民春闘共闘埼玉には民間の組合員が少なく、賃金体系が違う他の構成員と意思統一するのはなかなかむずかしい。
県労連と国民春闘共闘の組織的な違いがわかりにくい。組織方針案にも違いがみられず、一般の組合員は理解していない。本部からも全労連に対して意見を出してほしい。
日常活動に組合の存在意義
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(4)東京・二階堂さん |
(4)東京・二階堂諭さん 北部において8人で立ち上げた組合がある。事務所もなく、労基法なども知らなかったが、「生活と権利を守る」という熱意があった。東都の事務所に明番ごとに集まり積極的に教宣活動を実施。3年で61人にまで組織を拡大した。日常活動なくして労働組合の存在意義なしを実践しており、見習うべきところがあると思う。
日々の仕事に正当な評価を
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(5)静岡・氏原さん |
(5)静岡・氏原正行さん 安倍内閣は景気対策というが、消費税を上げたら乗客は減る。反対していかなくてはならない。
浜松市では景気の低迷がつづき、組合員の中にはなかなか仕事にやりがいを見い出せない人もいる。今こそ本当の意味でのやりがいのある職場づくりをめざし、日々の仕事を正当に評価させ、賃上げにつながるようにしたい。
運賃適正化で賃金アップを
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(6)京都・浅井さん |
(6)京都・浅井大二さん 地連では、減車、運賃適正化、交通政策を3大方針としてとりくんでいる。地域協議会や本会議開催を要求するとともに、経営者団体にも懇談を申し入れており、春闘前半で運賃改定の動きをつくるべく奮闘している。運賃改定の必要性、最賃問題で学習会を開きプレッシャーをかける。組織拡大もあわせて頑張っていきたい。
逆境でこそ底力が試される
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(7)福岡・中村さん |
(7)福岡・中村朗さん 4か年計画のもと、10%以上の純増のため具体的な目標をすえて奮闘する。単組では、組織拡大委員会を立ち上げ全力で努力した結果、組合員が過半数を超え、チェックオフなどの事案を解決することができた。悪化する労働条件を打破できる要因は組織拡大である。労働者が団結し、たたかってこそ人間らしい生き方ができる。
自主経営と組合活動で奮闘
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(8)山形・本間さん |
(8)山形・本間裕昭さん 山形では、運賃のダンピングが普通に行われている実態があり、昨年にはスクールバスの入札で時間単価1000円で落札した会社があるなど、安全・安心が果たされていない。地連は2支部が自主経営だが、経済悪化の中で会社と組合を両立するのが困難になっている。課題は人員不足で、若い人が入ってこないこと。組織拡大に奮闘したい。
乗務員負担撤廃にとりくむ
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(9)東京・月村さん |
(9)東京・月村隆浩さん 高額な乗務員負担を押し付ける「東京無線グループ」に対する署名運動を実施。会社によって負担率も乗務員の意識もバラバラだったが、地道な運動で約2千筆の署名を集めることができ、検討しているとの答えを引き出すことができた。昨年のとりくみにおける反省を土台に、今後も乗務員負担撤廃に全力でとりくむ。
組織拡大でバス問題解決を
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(10)大阪・伊藤さん |
(10)大阪・伊藤文男さん 関越道のバス事故後も長時間労働などの問題は改善されていない。路線バスの運賃を下げる動きもある。利用客の多い中学・高校の教育委員会に強引な値引きを防ぐための適正運賃の指導申し入れを行い、国交省からの通達を徹底させるとの返答をもらった。組織を拡大して政府の検討会に入ることが問題の解決になると思う。
落ち込んだ組合員数を回復
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(11)鹿児島・杉原さん |
(11)鹿児島・杉原良二さん 一時、組合員が50人にまで落ち込んだが、現在は5単組120人まで回復。鶴丸交通でも7人から50人近くまで増やした。自教の岩井観光グループでも組織を拡大した。それでも鹿児島にいる4千人を超えるタクシー労働者からするとまだこれからで、4か年計画のもと、さらなる組織拡大運動を展開していきたい。
観光収入のマイナスが影響
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(12)長崎・吉田さん |
(12)長崎・吉田敏雄さん タクシー特定地域が延長されたが、まだ協議会が行われておらず、問い合わせたところ3月初旬までには開催したいとのこと。
長崎の消費関連指標はマイナスが続いている。レジャー施設の入場者数が減少しており、乗客数はすべての月でマイナス。4か年計画を参考にしながら、1人でも多く加入を増やしていきたい。
タク労働者へ総がかり作戦
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(13)北海道・松任さん |
(13)北海道・松任正博さん 昨年末に予定していたタクシーシンポは選挙で予定を変更したが、春闘で実施する。道労連も力を入れているホットラインも開設する。
朝日交通の未払い賃金裁判では札幌地裁で勝利的和解が成立した。支えてくれた全国の仲間に心より感謝する。
総選挙の結果、規制緩和論者が出てきた。ますます労働組合の役割が大切だ。
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資料に目を通す中央委員会参加者 |
総括討論
タク運転免許法実現へ努力
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(14)大阪・松下さん |
(14)大阪・松下末宏さん 大阪では雇用があっても食べていけない非正規労働者が4割に達している。不法な会社を一掃し、労働者優位の産業にするためにタクシー運転免許法の実現にむけ努力する。
新政権による規制緩和復活を阻止するため世論の多数派をめざす闘いが求められている。組織拡大では、具体的な目標と計画を立て推進体制を作る。
適正実車率で労働条件改善
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(15)東京・平澤さん |
(15)東京・平澤収さん 東京地連は、「乗務員負担制度」の撤廃と「累進歩合制度」の廃止などを重点課題として掲げ、適正な実車率の実現を労働条件改善の要と位置づけて今春闘をたたかう。
また、国民共同の闘いとして、自交労働者と関連事業に取り返しのつかない被害を与える消費増税に断固として反対していく。増税反対の世論を拡げ、消費増税法の廃止にむけ全力でたたかう。
公共交通のあり方を示す
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(16)宮城・冨中さん |
(16)宮城・冨中有さん 特定地域に再指定された仙台市でも労働条件は改善していない。地連では減車と組織拡大を春闘方針とし、多くの仲間を取り込んで公共交通としてのタクシーを示していく。
毎月定例の宣伝行動ではさまざまな相談が寄せられるようになったが、とくにバス労働者からの相談が多い。バスシンポジウムを計画しており、公共交通がどうあるべきか考えていきたい。
みんなで決め、みんなで行動
4か年計画目標達成に全力を
執行部答弁
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今村書記長 |
執行部答弁に立った今村書記長は、「春闘をとりくむにあたり、考えるべき最大のテーマは、“今、何をなすべきか”ということだ。この問いに対し、中央委員会参加者それぞれが、その答えを見出す必要がある」と述べ、3つの課題の重要性に言及しました。
第1は、「みんなで決め、みんなの力を合わせ、みんなで行動を」の観点を大切にし、春闘にとりくむこと。特に、要求提出や3・12〜15いっせい地域行動の成功にむけて指導性を発揮するとともに、上部団体の違いを超えての職場・地域内共同を前進させるために奮闘するよう呼びかけました。
第2は、地域を足場に、社会のあり方を変える春闘として前進をはかること。この場合、「労働組合の存在意義」の視点を重視し、悪政ストップ、生活危機打開をめざす公務・民間共同の春闘推進に全力をあげることが重要だ。こうした労働者の闘いは、変革を願う広範な国民を大きく励ますことができると述べました。
第3は、「組織強化拡大推進4か年計画」の初年度の目標達成(600人以上の実増)にむけて全力をあげること。
すべての地連(本)が独自の4か年計画を策定し、具体的なとりくみ強化によって必ず組織的前進を果たすことの重要性を強調しつつ、春闘前進にむけて決意を表明しました。
来賓あいさつ
みんなで喜びあう組織拡大
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根本副議長 |
全労連・根本隆副議長 規制緩和に対抗して、減車・規制強化を求めていく自交総連の闘いが労働者・国民の共感を呼んでいる。
北海道では、タクシー弁護団も結成されて、道労連も一緒にビラをまくということで、単産と地方が協力してやる最初の典型ができた。そうしたとりくみを全国にひろげ、自交労働者の組織拡大をみんなで喜びあうよう一緒に奮闘していきたい。
賃上げで若い労働者確保を
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小賀坂弁護士 |
本部顧問弁護団小賀坂徹弁護士 タクシー労働者には65歳以上の方が多く、東京では4分の1、大阪では3分の1にもなる非常に特殊な年齢分布となっている。65歳以上の雇用を考えなければならない。
また、急速な高齢化は低賃金で家族を支えきれないことに原因がある。大幅賃上げをして、タクシー業界に若い労働者が入ってこれるようにしないといけない。
会社解散、解雇事件など報告
31人の弁護士が参加
第35回 関係弁護士交流会
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31人の弁護士が参加した第35回関係弁護士交流会=1月15〜16日、東京・全労連会館 |
1月15〜16日、東京・全労連会館で、自交総連第35回関係弁護士交流会がひらかれ、31人の弁護士と城委員長が参加しました。
交流会では、戸舘弁護士が「高年法改正と今後の課題」と題して、タクシー労働者にみる高年齢者の雇用問題などについての基調報告が行われました。
続いて特別報告として、(1)名鉄四日市タクシーユニオン・不当解雇事件=三重・福井悦子弁護士、(2)防府構内タクシー支部・不当解雇事件=山口・横山詩土弁護士(文書報告)、(3)入間川タクシー労組・会社解散・全員解雇事件=埼玉・山元勇気弁護士、(4)飛鳥交通横浜支部・未払賃金請求事件=神奈川・堀沢茂弁護士の4つをとりあげ、報告がありました。
また、参加各弁護士からも各地の事件について報告がされ、これからの闘争などについて交流を深めました。
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