自交労働者No.831、2013年10月15日

消費税増税 賃金減って支出は増える

タクシー経営にも大打撃

中止求め最後まで運動を

 安倍首相は10月1日、消費税を来年4月から8%に引き上げることを表明、財政再建のために必要で、5兆円の景気対策などをすれば増税しても景気が落ち込むことはないと説明しましたが――

9月27日に行われた「消費税大増税ストップ!! 国民集会」のようす
9月27日に行われた「消費税大増税ストップ!! 国民集会」のようす
 【解説】労働者・国民の賃金が上がっていないことは統計でも明白です。この状態で消費税を上げれば、消費不況は避けられず、税収自体も減って財政再建にもなりません。しかも、消費税増税で国民から取った分を法人税減税で大企業に還元するという、露骨な大企業優遇です。

 仮に消費税が8%になった場合、乗客が減ってタクシーの営収は大幅に減ることが想定されます。支出は増えるのに賃金は減り、労働者には大変な生活苦になります(図1、2)。

 事業者にとっても、赤字でも必ず納税しなければならない消費税の負担は深刻です。

 図3は、事業者の負担がどのくらい増えるかを試算したもの。

 年間営収2億円の企業で現在の消費税納税額は714万円ですが、8%になると、営収が変わらないとしても納税額は1111万円に跳ね上がります。営収が10%減った場合でも、納税額は逆に増えて1000万円です。これを支払える企業がどれだけあるでしょうか。労働組合がないところでは、労働者の賃金を削ってねん出するということになりかねません。

 4月実施までには、臨時・通常国会があります。増税中止を求めて最後まで力をつくして運動することが大切です。

図


消費税増税反対で一致

宮城4労組が労使共同声明を発表

労使共同声明
労使共同声明
 【宮城】仙都タクシー、辰巳タクシー、仙台タクシー、KM仙台タクシーの4組合・会社はそれぞれ、来年4月からの消費税増税実施中止を求める労使共同声明を発表しました。

 消費税増税は、大幅な減収をまねき事業の存続自体をも危うくするものです。自交総連は、労働組合と経営者という立場の違いはあるものの、安心・安全なタクシーの実現、中小企業経営と労働者の生活安定をめざす上では共通の考えに立っているとして、タクシー事業の将来展望にも深くかかわる消費税増税に反対するために協力・共同のとりくみを進めています。


会場あふれる5000人

消費税大増税ストップ!! 国民集会

 9月27日、「消費税大増税ストップ!! 国民集会」が東京・日比谷野外音楽堂で開かれました。

 全労連や東京土建、全商連、日本消費者連盟など35団体でつくる実行委員会が主催した集会には全国から5000人以上が参加し、場外にも人があふれ熱気に包まれました。自交総連は東京地連の仲間が参加しました。

 リレートークでは、「消費税増税中止を求める被災3県アクション」の代表が登壇。いわて生協常務理事の女性は「復興を妨げる増税は中止して」と呼びかけました。

 また、日本共産党の志位和夫委員長は「中小業者は消費税が5%でも販売価格に転嫁できずに身銭を切ってようやく納めている状況だ。もし増税が強行されれば、倒産や廃業が激増する。雇用の7割を支える中小企業の営業を破壊する暴挙は断じて許せない」と発言、「増税に反対する多数の国民の声を結集して増税法案を廃案に追い込もう」と訴えました。

 集会後は銀座を通って東京駅までデモ行進、「安倍首相は国民の声を聞け!」「増税やめるまでたたかおう!」などの声をあげながら歩きました。

5000人が参加した国民集会=9月27日、日比谷野外音楽堂 横断幕や旗を掲げてデモ行進する自交総連の仲間
5000人が参加した国民集会=9月27日、日比谷野外音楽堂 横断幕や旗を掲げてデモ行進する自交総連の仲間


除染作業の展望見えず

福島で総会、被災地を視察

全労連民間部会

 全労連民間部会は9月26日、第20回総会を福島県いわき市で開きました。全労連の結成後、民間の労働組合が結集して、自由闊達な議論の中で、労働者の権利を守る共同を広げてきた民間部会の歴史が紹介され、新年度方針を決めました。

 総会では、「原発事故発生2年半、福島の今」について伊東達也・住民運動全国センター代表、「原発労働現場の実態」について渡辺博之・日本共産党いわき市議の記念講演を受けました。

 総会の翌日、参加者は福島第一原発事故被災地を視察、いわき市内からバスで避難指示解除準備区域の楢葉町、居住困難区域の富岡町へ入りました。

 今も夜間の立ち入りが制限されている街は、除染のための車両と労働者のみが行きかい、除染作業で出た汚染土壌などを入れた膨大な量のビニール袋が耕作できない田畑に置かれています。最終的な保管場所は決まっていません。

 常磐線富岡駅前では、立ち入り禁止だったために、津波で全半壊した家屋がそのまま残され、崩壊した駅舎と線路は雑草で覆われていました。

 現地を見れば、収束も、今後の作業の展望も見えない実情がよくわかります。

除染作業で出た汚染土壌などを詰めたビニール袋の山。あちこちの田畑に大量に置かれている。 津波で駅舎が崩壊した常磐線富岡駅。立ち入り禁止が続いたため家や商店も全半壊したまま放置されている。
除染作業で出た汚染土壌などを詰めたビニール袋の山。あちこちの田畑に大量に置かれている。 津波で駅舎が崩壊した常磐線富岡駅。立ち入り禁止が続いたため家や商店も全半壊したまま放置されている。


復興の遅れ再認識

福島の被災地を視察

埼玉地連

津波によって流された居住地の跡=9月2日、福島県いわき市
津波によって流された居住地の跡=9月2日、福島県いわき市
 【埼玉】埼玉地連は9月2〜3日に三役執行委員を中心に東日本大震災被災地の視察を行いました。

 当日は、福島県いわき市四倉港沿岸部や避難所を視察、調査を行いました。メンバーの中には被災地出身の人もいて、震災前との変わりようを説明しました。あらためて復旧・復興の遅れを認識し、労働組合が積極的に政治に関わっていく責任があることを再確認しました。


各地の大会

労働者と国民の共同を強調

東京第127回大会

東京地連第127回定期大会=9月25日、北とぴあ
東京地連第127回定期大会=9月25日、北とぴあ
 【東京】東京地連は9月25日、第127回定期大会を開きました。あいさつした城委員長は、安倍政権の暴走をくい止めるための労働者と国民の共同を強調、運転者の賃金・労働条件向上のため、タクシー運転免許制定、組織拡大にとりくもうと訴えました。

 討論では、拡大のための宣伝行動や道路運送法闘争での成果、消費税増税の危険性などが報告され、新年度運動方針を決定しました。スト権も94%の賛成で確立しました。

原点に立って団結の強化を

福島第19回大会

福島地連第19回定期大会=9月30日、サンライフ福島
福島地連第19回定期大会=9月30日、サンライフ福島
 【福島】福島地連は9月30日、第19回定期大会を開催しました。

 新年度の方針では、原発事故からの現状をふまえ、原発再稼働反対▽消費税増税で起こり得る事態への対策▽乗務員の高齢化・乗務員不足に対する事業の健全化▽公共交通にふさわしい労働条件・社会的地位の向上をはかるため、労組の原点にたって団結を強化することを確認しました。

 委員長=山崎良博(新)副委員長=荒川光義、松本武▽書記長=沼倉喜久雄

現状変えられる労働組合を

山梨第45回大会

山梨地連第45回定期大会=10月1日、甲府市勤労者福祉センター
山梨地連第45回定期大会=10月1日、甲府市勤労者福祉センター
 【山梨】山梨地連は10月1日、第45回定期大会を開き、「団結を強くし、現状を変えられる労働組合を創ろう」をスローガンとする運動方針を決めました。窪田委員長は、消費税が8%になればタクシーの乗客がますます減ると指摘、運動強化を呼びかけました。

 減車運動の継続、労働条件悪化阻止、組織拡大などの方針を確立しました。

 委員長=窪田静雄▽副委員長=向山雅夫(新)▽書記長=大原俊樹(新)

産業危機打開へ組織拡大を

宮城第37回大会

宮城地連第37回定期大会=10月5日、宮城県印刷会館
宮城地連第37回定期大会=10月5日、宮城県印刷会館
 【宮城】宮城地連は10月5日、第37回定期大会を開催し、62人が参加しました。

 大会では、本部の今村書記長が記念講演を行いました。運動方針の提案後は6人が発言。元キュット労組の斉藤さんが争議解決のお礼のあいさつ。グリーンキャブ争議でたたかっている鴻巣さんと田中さんが支援を訴えました。

 タクシー産業の危機打開にむけ、地連の組織拡大に奮闘することを意思統一し、大会を終えました。