自交労働者No.832、2013年11月1日

力を合わせて自交総連を強く大きく

統一闘争による運動強化を

歴史と教訓に学び組織拡大に奮闘

第36回定期大会

 自交総連は10月16〜17日、東京・全労連会館で第36回定期大会をひらき、150人が参加し新年度運動方針を確立しました。大会では、機関紙コンクール・写真コンテストの表彰、争議組合の紹介が行われ、討論では総括討論を含む19人が発言。方針・予算などの議案が満場一致で採択されました。

城委員長あいさつ

城委員長
城委員長
 大企業が世界で活動しやすいグローバル競争国家か、それとも、憲法を活かし、働く人々や国民が幸せに暮らせる日本か、そのせめぎあいが、今日の情勢の最大の特徴です。

 今、安倍政権の暴走が危険な段階に入りつつあります。消費税増税、TPP参加、憲法改悪、生活保護費の削減などの政策を次々と繰り出してきています。さらに、企業が従業員を自由に解雇できたり、時間無制限で働かせ割増賃金も払わなくて済む「解雇特区」や職種や職場を限定した「限定正社員」の導入も画策しています。

 これらを許してしまえば、石川タクシー富士宮労組の全員解雇事件に象徴されるような、企業の一方的で横暴な解雇が正当化されることになり、労働者は安心して働くことができなくなります。なんとしても総力をあげて、これらの企てを阻止しなければなりません。

社会的水準の労働条件へ

団結がんばろうをする大会参加者=10月17日、東京・全労連会館
団結がんばろうをする大会参加者=10月17日、東京・全労連会館
 自交総連は、タクシーの主人公である利用者・乗務員が主体の枠組みを追求していきます。利用者利便の向上、安心・安全を確保するためにも、労働者の賃金・労働条件を社会的水準に引き上げることが必要です。

 また、高齢化社会を見通した公共交通機関としてのタクシーの発展と合わせて、利用者から信頼される制度政策闘争にもとりくんでいかなければなりません。

 誰もが自由で安全に移動できる交通権の確保、環境問題については地域ごとに具体的な政策を持って運動を進めていきます。

運動の成果全国に拡げよう

 運動の前進には、組織の強化・拡大が必要不可欠です。現在、組織的後退には一定の歯止めをかけてはいるものの、大きく前進をかちとるまでには至っていません。世代交代の時期を迎えて、質・量両面からの総合的な対策が求められています。

 自交総連の結成当時は、経営者団体の自交総連敵視シフト、省庁交渉も門前払いの状況で「ハイタクの孤児」と揶揄(やゆ)されました。しかし、そうした中でも労働者魂を発揮し、労働者と世論から支持される政策を掲げ、ねばり強くたたかい組織を倍化。自他共に認める社会的存在を確立してきました。

 厳しい情勢の中にあっても、半歩ずつでも前進し、気がついたら5歩、10歩と進んでいた。そんな労働運動をしていこうではありませんか。

 現在、いくつかの地方で組織拡大の大きな成果をあげています。これらは今後の運動にとっても極めて重要な教訓的成果といえます。ひきつづき運動の成果を全国に拡げ、職場の労働者の一致する不満や要望・要求を課題の中心に据え、統一闘争による運動を強化していきましょう。

 歴史と教訓に学び、徹底した組合民主主義を貫き、仲間の英知とエネルギーをくみ取り、組織強化・拡大に奮闘しようではありませんか。私もその先頭に立って奮闘していく決意です。共にがんばりましょう。

表


3万人の回復へ共にがんばろう

各地のとりくみなど報告

14地方19人が発言

大会討論

運動の力でTPPに反対を

運天さん
運天さん
 (1)大阪・運天武史さん 大阪交運共闘のベトナム調査の報告。現地のタクシー労働者は休みもろくに取らず毎日11時間半の長時間労働で1日平均200キロ走行。月の売り上げから営業車購入のローン返済やリース料、燃料費などが引かれて手取りは4万円ほどしか残らない。ベトナムは国の政策として労働力の輸出に力を入れており、TPPによって労働力の移動が自由化すればわれわれは国際的な賃下げ競争の中に放り込まれることになる。運動の力で絶対に阻止しよう。

運賃値上げを賃金アップに

浅井さん
浅井さん
 (2)京都・浅井大二さん 月に1回の京都駅前宣伝で運賃改定の必要性を訴えてきた。今後は、運賃値上げを確実に実現し、それを賃金アップに結び付けることが重要。運賃、減車、交通政策を地連の3大方針としてたたかう。また、それらを実現する保障となる組織拡大にもひきつづきとりくんでいく。

勝利まで全力でたたかう

諏訪部さん
諏訪部さん
 (3)静岡・諏訪部みゆきさん 解雇撤回裁判で不当判決が出された。判決は、意見書の分析を無視し、使用者の解雇自由を容認するものであり、絶対に許すことができない。これを許せば、労働者は安心して生活などできなくなる。全国の労働者の先頭に立つ決意で団結し、勝利するまで全力でたたかう。

改善基準改正へ運動を強化

服部さん
服部さん
 (4)大阪・服部一弘さん バス労働者の労働時間は全産業の労働者に比べ年間550時間も長く、過労死率は他産業に比べ4〜6倍になっている。バス部会は、今後も長距離運行の規制につながる改善基準告示改正にむけて運動を強めていく。行政に対しての働きかけには全国の仲間の連帯が必要だ。各地連でもバス部会を立ち上げて、共に運動を前進させよう。

支えてくれた仲間に感謝

山上さん
山上さん
 (5)岡山・山上均さん 約2年にわたる雇い止め裁判が決着しました。支えてくれた全国の皆さんにお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

学習を重視し後継者つくる

徳永さん
徳永さん
 (6)東京・徳永昌司さん タクシー労働者の平均年齢が高まり、役員の世代交代が進む中で、組合員から信頼されなければ組織の拡大はできないとして学習活動に力を入れている。執行部の人が若い組合員に声をかけ、組合の業務や役員としての考え方を一つ一つ身につけてもらい、次世代の後継者づくりにとりくんでいる。今後もひきつづき産別強化のための学習活動を重視していく。

幹部活動家の育成が急務

石川さん
石川さん
 (7)東京・石川武美さん 世代交代による幹部活動家の育成が急務となっている。地連教育活動委員会では、労働学校やATUカレッジ、勤労者通信大学の受講を促進。組合の存在意義や、労働法の基礎知識、教宣学校や会計・監査の学習会を行っている。これらの活動は必ずや将来につながるものとして今後も力を入れていく。

たたかうことで組織が拡大

中村さん
中村さん
 (8)福岡・中村朗さん 新加盟の甘木観光労組は、春闘での要求実現や夏の賞与交渉などで大きな成果をあげた。組合のがんばりが職場で評価され、職場過半数まで組織化が進んだ。たたかうことで組織拡大した典型的な例だと思う。福岡地連の組合員数は、定年退職等の減少があったものの、みんなの奮闘で増員することができた。要求と方針を明確にし、強固な地連建設にむけ団結して奮闘していく。

勤務形態工夫し時短に成功

北井さん
北井さん
 (9)鹿児島・北井良夫さん 鹿児島では適正車両数1350〜1430に対し、いまだに1846両余りの車が走っている。また、ほとんどが1人1車制で車両が余っている会社が多い。そうした中で、完全夜型と完全昼型がペアを組むことで運収を下げることなく時間短縮することに成功した。さらに、それがモデルケースとなって勤務形態を工夫する人が増え、事業所全体での減車を進めることができた。地方・地域にあった方法で減車は可能になると思う。

裁判闘争で組合の意義学ぶ

氏原さん
氏原さん
 (10)静岡・氏原正行さん 石川タクシー富士宮労組の裁判闘争を通じて、組合活動の意義を学んだ。この経験を組合員に伝え、入ってよかった、参加してみたいと思えるような組織をつくっていきたい。組織拡大については、1人でも入れる個人加盟型の「地域タクシー労働組合」の設置を推進していく。

自分の行動に自信と責任を

山崎さん
山崎さん
 (11)福島・山崎良博さん 「全盛期の地連を取り戻すため力を貸してほしい」との熱い要請に根負けし、64歳にして3度目の委員長に就任した。自分たちの行動に自信と責任を持って活動すれば必ず数は増えると信じている。また、組織勢力を元に戻すためには、まず自分が元気な姿を見せなければならない。60歳以上の皆さん、私たちには経験と実績という宝物がある。年齢という数字などに負けずにパワーを見せつけよう。

競う気持ちで組織拡大を

石野さん
石野さん
 (12)埼玉・石野正英さん 組合員1人1人がやる気スイッチを入れれば3万人自交総連の回復は可能だ。埼玉地連は全国で1番組合員を増やしている。各地方も「埼玉地連に負けてられるか」という競争するような気持ちを持ってもらいたい。高齢化が進む日本でお客様の重要な足となり、また災害時でも動くことのできるタクシーの利便性を国民にアピールしていくためにも組織の強化・拡大へむけ共にがんばろう。

組合運動への期待を感じる

吉田さん
吉田さん
 (13)長崎・吉田敏雄さん 安倍首相が消費税増税実施を発表したことを受けて、長崎の大手タクシー会社などは、増税分を運賃転嫁しないと経営が成り立たないといっている。この情報を聞いた乗務員からは「組合としてなにかしないのか」との質問が多くあり、自交総連の運動が期待されているのをヒシヒシと感じる。今回の消費税増税、運賃改定を組織拡大のチャンスととらえ今後のとりくみを強化していく。

介護個人タクシー支部設立

小嶋さん
小嶋さん
 (14)神奈川・小嶋光好さん タクシー会社勤務、個人タクシーに次ぐ第3の道として、介護個人タクシーでの自営という道を切り開きたいと考え、昨年6月に介護個人タクシー支部を設立した。3年以内に県内最大の介護タクシー労組を結成できるように努力する。会社を辞めてもすぐに加入できる間口の広い組合組織を作り上げていきたい。

労使一体となって増税阻止

松任さん
松任さん
 (15)北海道・松任正博さん 組織拡大については、高齢化で苦戦しているが「やると決めたらやる」を目標に毎月定例の宣伝行動や総掛かり作戦などで奮闘し、今月も新たに組合が結成、加盟した。さらなる組織拡大に結びつくよう地連として親身な対応を行っていく。消費税増税に対しては、労使一体となって声を上げることが重要であり、12月に開催予定のタクシーシンポジウムは事業者団体にも参加を要請した。

増税で運収下がり客離れる

松任さん
後藤さん
 (16)山形・後藤一司さん 消費税が上がれば運収は下がって客も離れていく。また、地元には農家が多いのでTPPによる影響も大きい。こうした問題に対して地連や各支部で連携してとりくんでいきたい。
表彰状を受け取る写真コンテストの受賞者
表彰状を受け取る写真コンテストの受賞者 資料に目を通す参加者
新年度運動方針を決定した第36回定期大会
新年度運動方針を決定した第36回定期大会


総括討論

労使共同で政策にとりくみ

相沢さん
相沢さん
 (17)宮城・相沢道彦さん 「タクシー政策第3次案」を提案した。内容は、公共交通機関としてのタクシーの位置付けを明確にすること、公的補助制度の確立、タクシー協議会の発展、災害時のタクシーの活用法、運転者登録制度の強化などで、春闘においては経営者と共同でとりくんだ。タクシーの適正化については、1車2人制や預かり減車を実施していくことを運輸局にひきつづき要請していく。

加入のメリット大きく宣伝

松下さん
松下さん
 (18)大阪・松下末宏さん 地連の組織拡大4か年計画にもとづく自主的な拡大目標の設定、具体化を図るよう各単組に指示した。タクシー・バス労働者への呼びかけを継続して実施した結果、労働相談が増え新たな組合を迎えることにつながった。今後も、嘱託、定時制、パートなどさまざまな雇用形態の労働者も含め、だれでも気軽に加入できるような条件を整え、働きかけを強めていく。同時に共済制度など組織加入のメリットも大きく宣伝していく。

労働者・国民目線の政治へ

平澤さん
平澤さん
 (19)東京・平澤収さん タクシーが魅力ある産業として羨望されるよう、労働条件改善にむけ全力でたたかうとともに、組織強化拡大4か年計画の目標達成にむけ奮闘する。さらに、自交労働者と関連事業に取り返しのつかない被害を与える消費税増税に断固反対し、国民共同の闘いとして世論を拡げたたかっていく。TPP参加や憲法改悪、原発再稼働など政治の暴走を止め、労働者と国民の目線で行う政治に転換させていくことも労働組合の役割である。


「知は力なり、数は力なり」

「4か年計画」2年目の目標達成を

執行部まとめ

今村書記長
今村書記長
 執行部答弁に立った今村書記長は冒頭、台風26号による大会への影響が懸念されたにもかかわらず、参加予定者の奮闘によって、ほぼ定刻に始まり予定時間内に終了することができると感謝の意を表明。その上で、討論の中で出された教訓的事例や要望意見をふまえつつ、大会のまとめを行いました。

 組織の強化拡大では、知は力なり、数は力なり≠ニいう大会討論での言葉を引用し、この原則を銘記してとりくむことの重要性を強調しました。

 『知』の問題では、基礎知識や自交総連の基本政策についての学習に加え、(問題が発生したら、どう判断しどう対策を講じていくかなど)実践的学習の必要性を指摘。『数』の課題では、未組織宣伝等におけるブロック内共同や地方労連との連携を模索し、「4か年計画」2年目の目標達成をはかるよう呼びかけました。

 誇りと働きがい、魅力ある職場の確立と明るい日本の未来にむけての課題では、職場・地域で産業別統一闘争としてたたかうとともに、組織された労働者の力を生かし、国民的共同の先頭に立つよう訴えました。


最後までたたかう決意

長期争議組合がカンパ訴え

前に並んで紹介される当該労組の参加者
前に並んで紹介される当該労組の参加者
 大会には事業所閉鎖、不当解雇や賃金差別とたたかう3地方の長期争議組合から3人(静岡・石川タクシー富士宮、広島・グリーン分会、神奈川・三共自校)が参加し、前に並んで紹介されました。

 各争議組合の代表より、この間の闘争経過と勝利するまでたたかうことの決意表明が行われました。

 石垣副委員長が争議支援のカンパの呼びかけをし、会場から12万3600円が集まりました。


副委員長に秋山氏

あいさつする秋山副中央執行委員長
あいさつする秋山副中央執行委員長
 第36回定期大会では、園田公作副中央執行委員長の逝去にともなう、副中央執行委員長の補充を承認しました。新役員は次の通り。

 副中央執行委員長=大阪・秋山民夫(67歳)


国民的共同の運動を発展させよう

来賓4氏のあいさつ

国民的共同の運動を発展

大黒議長
大黒議長
 全労連・大黒作治議長 くらしと平和を守る国民的共同の運動をこれまで以上に発展させるため、1日も早く増勢に転じ、社会的影響力を発揮しよう。次世代を担う人たちには、労働運動のおもしろさや、自分たちが動けば職場や地域が変化することを実感し「変革の法則」を大いに学んでほしい。

規制強化へ全力を尽くす

辰已議員
辰已議員

 日本共産党・辰已孝太郎参議院議員 利用者の命にかかわる自交産業に、過度な競争や規制緩和を持ちこむことが安全軽視につながり、いずれ取り返しのつかない悲劇を起こしてしまうことは、一連のバス事故をみても明らかである。タクシー関連3法案など、規制強化の方向に党として全力を尽くしていく。

移動権保障できる公共交通

藤好議長
藤好議長
 交運共闘・藤好重泰議長 交運労働者の適切な賃金・労働条件が確保されないかぎり、安心・安全は担保されない。賃金引き上げ、労働条件の改善めざして共にがんばろう。それと同時に、地域住民が必要とする移動権を保障できるような公共交通をつくっていこう。

なんとしても高裁で勝利へ

田辺弁護士
田辺弁護士
 本部顧問弁護団・田辺幸雄弁護士 石川タクシー富士宮の解雇撤回裁判の不当判決について、労働者の権利を無視した冷たい判決が出されたことは非常に残念だ。今度は東京高裁での闘いがはじまる。全国の皆さんのご支援をいただきながらなんとしても勝利したい。