自交労働者No.833、2013年11月15日

タク事業関連3法案が衆院通過

減車や低額運賃対策

新「特定地域」は限定

待機車両でいっぱいの駅前で宣伝する仲間=3月20日、横浜駅
待機車両でいっぱいの駅前で宣伝する仲間=3月20日、横浜駅
 自民・公明・民主の3党は10月30日、タクシー活性化特措法等改正案(議員立法)を国会に提出、審議がはじまりました。

 法案は、現在のタクシー活性化特措法の改正とあわせ、道路運送法改正、タクシー業務適正化特措法改正の3法を改正するもので、順当にいけば今国会で成立する見込みです。

 【解説】現在、特定地域では自主的・協調的減車がとりくまれていますが、減車をせず低額運賃を採用している事業者には強制力がないことから、法改正が準備されてきました。

 改正案では、現在の特定地域は「準特定地域」へ移行し、新たにより強力な規制をかける「特定地域」を指定、減車勧告・命令や下限割れ運賃の変更命令を発することができるようにします。

 また、運転者の登録制を全国に拡大するとともに、指定地域(政令市)では、講習受講・効果測定で可能だった登録要件を試験合格とします。

実効性は指定要件などにかかる

 こうした改正案の目的は積極的意義をもつものですが、実際には、今後詳細が決まる特定地域の指定要件、命令等の発動基準などが関わってきます。衆院での審議の中では、新「特定地域」の指定は相当厳しい基準が適用され、限られた地域になる模様です。

 提案議員(自民党・金子元国交相)が、「増車や運賃は原則自由」という道運法の1階部分は変わっていないと答弁しているように、規制緩和を根本的に改めるものではありません。


組織拡大の可能性明るい

新宣伝カーでキャラバン

埼玉地連

ビラを配布する埼玉の仲間=10月28日、春日部駅
ビラを配布する埼玉の仲間=10月28日、春日部駅
 【埼玉】埼玉地連は、秋の組織拡大のとりくみの一つとして、10月から県内組織拡大キャラバンを鉄道路線別に行っています。48駅78か所で宣伝を行いビラや機関紙の配布も1000枚を超えようとしています。

 埼玉は、組織拡大4か年計画の初年度目標は達成しましたが、今年度はどうなるか、特に組合幹部は危機感をもっています。そうした中で、地連では組織改革委員会の報告に沿った総括を行い、今後の活動を決定。宣伝カーも購入し、幹部が責任と誇りをもって宣伝行動を行える状況をつくろうとアイデアを出し合い奮闘しています。問い合わせや悩み相談が数多くよせられている現状をみれば、組織拡大の可能性は明るいと判断できます。

 今回のキャラバン行動では、多くの幹部がみずから宣伝行動に参加させてくれと名乗りを上げたことや、宣伝の工夫をみんなで考えたことで組織強化が前進し、団結もよりいっそう深まりました。


国民的諸課題に積極的対応を

組織拡大で相互援助・協力

関東ブロック総会

次年度運動方針などを決定した関東ブロック総会=11月4日、東京都内
次年度運動方針などを決定した関東ブロック総会=11月4日、東京都内
 【東京】関東ブロック協議会は11月4〜5日、第35回総会を開催し、5地方(東京、神奈川、埼玉、静岡、山梨)から14人が出席しました。

 2012年度運動総括では、石川タクシー富士宮労組の裁判闘争の経過や、5地方でおこなった宣伝行動についての報告がされました。また、次年度の運動方針では、国民的諸課題への積極的な対応やブロック内少数地連に対する組織の強化・拡大における相互援助・協力の体制強化をはかることなどを決めました。次年度の役員は、議長に川崎一則(東京)、副議長に市野隆(神奈川)、市村直之(静岡)、事務局長に吉田貴一(埼玉)各氏、その他幹事が選出されました。


労働条件改善めざし協力・共同

交運共闘が共産党と懇談

議員らに説明する交運共闘の仲間(手前)=10月10日、衆議院議員会館
議員らに説明する交運共闘の仲間(手前)=10月10日、衆議院議員会館
 交運共闘は10月10日、日本共産党の穀田恵二衆議院議員・国会対策委員長、辰已孝太郎参議院議員らと懇談し、交通運輸労働者の労働条件改善、政策要求実現で協力・共同を進めていくことを確認しました。

 両議員は衆参の国土交通委員で、参議院では先の選挙で共産党が躍進した結果、国土交通委員をかちとることができました。

 交運共闘の藤好議長、菊池事務局長らは、消費税増税・TPP参加が交運労働者におよぼす影響、国民の交通権確立や労働条件改善などの課題を説明し、議員からは、労働者の賃金を増やして景気回復、安全・安心の確保などで労働者の声を聞き、協力して奮闘していきたいとの決意が述べられました。


交運労働者の健康問題など講演

交運研が政策研究集会

交通政策課題や健康問題などの報告を聞く参加者=10月26日、神奈川・伊東温泉ハトヤホテル
交通政策課題や健康問題などの報告を聞く参加者=10月26日、神奈川・伊東温泉ハトヤホテル
 交通運輸政策研究会(交運研)は10月26〜27日、神奈川・伊東温泉ハトヤホテルで「第7回交通問題研究集会」をひらきました。自交総連からは大阪と東京の仲間12人が参加しました。

 26日の記念講演では労働科学研究所・慢性疲労研究センターの佐々木司博士が「運輸交通労働者の健康・安全問題」と題して記念講演を行い、睡眠と疲労についてさまざまな研究データを用いて説明しました。

 基調報告は関西大学の西村弘教授が、10月に実施したベトナムでの現地調査の報告をもとに、これからの日本の交通政策を設計していくうえでの課題について説明しました。

 翌日は、八王子合同法律事務所の尾林芳匡弁護士が、交通運輸労働における委託・下請け・民営化の問題について講演しました。その後、参加者は5つの分科会に分かれ、交通運輸政策や安全規制のあり方、労働時間などについて、それぞれの職場実態や経験を紹介しながら討論を行いました。


タクシー19件を送検

送検や指導事例を公表

厚労省

 厚生労働省は10月8日、全国の労働局や労働基準監督署などが、自動車運転者(トラック、バス、タクシーなど)を使用する事業場に対して行った監督指導や送検の状況を公表しました。

 従来、法違反・改善基準違反状況の監督結果は公表されていましたが、個別の指導事例や送検結果は公表されていませんでした。同省では、引き続き監督指導を強化し、指導に従わない悪質な事業場に対しては、送検を行うなど厳正に対応していくとしています。

 タクシーの指導事例では、オール歩合・累進歩合制で最低保障給の定めがなく、最低賃金法違反を確認した事業者を指導して、労働時間に応じた賃金保障が行われる制度の創設及び累進歩合制を廃止させた例、送検事例では、労働基準監督官から運転者の最低賃金法違反について繰り返し是正勧告されたにもかかわらず、是正しなかったため、悪質と判断し、会社と代表者を送検した事例などを例示しています。

表


各地の大会

当面200人の地連を目標

鹿児島第41回大会

鹿児島地連第41回定期大会=10月6日、鹿児島市内
鹿児島地連第41回定期大会=10月6日、鹿児島市内
 【鹿児島】鹿児島地連は10月6日、第41回定期大会を開催しました。

 新年度運動方針は、組織拡大4か年計画を実行し、当面200人の地連を目標に、入ってよかったと思える組合にするため全力を注ぐこと、さらなる減車へのとりくみと公共交通にふさわしい労働条件を獲得することが確認されました。

 委員長=山崎秀文(新)▽副委員長=平原昭三郎、平田政廣、上村礼文(新)▽書記長=瀬戸山実義

団結して生活破壊政策阻止

静岡第36回大会

静岡地連第36回定期大会=10月7日、浜松・西塚区画整理記念館
静岡地連第36回定期大会=10月7日、浜松・西塚区画整理記念館
 【静岡】静岡地連は10月7日、第36回定期大会を開催しました。

 郡司委員長はあいさつで「消費税増税や年金改悪など、われわれの生活を破壊する政策を、全員が団結して阻止すべき」と述べました。新規加盟1単組以上の組織拡大目標や、一審で不当判決を受けた石川タクシー富士宮労組の高裁での闘いを全力で支援する運動方針を採択しました。

 委員長=郡司孝▽副委員長=太田則之 (新)、氏原正行▽書記長=市村直之

運動の成果確信し組織前進

京都第65回大会

京都地連第65回定期大会=10月8日、京都工業会館
京都地連第65回定期大会=10月8日、京都工業会館
 【京都】京都地連は10月8日、第65回定期大会を開催しました。

 城委員長を迎えて開催した大会では、重点課題としてとりくんだ運賃適正化と、組織の強化拡大を中心に議論がなされ、われわれの運動なくして運賃改定の動きは作れなかったということを確信にして、教宣活動を中心に運動の輪をひろげることなどを確認しました。

 委員長=浅井大二▽副委員長=福田徹、森長達也▽書記長=石原敏雄

組合員が4年連続で増勢

埼玉第42回大会

 【埼玉】埼玉地連は10月12日、「自交総連埼玉地連を強化・拡大し、公共交通機関で働くにふさわしい労働条件を」をスローガンに第42回定期大会をひらきました。大会では、一時減った組合員数が08年以降連続増勢になっていることが報告され、いっそうの宣伝強化や個人加盟組合の機能を底上げすることなどを決めました。

 委員長=吉田貴一▽副委員長=小倉清充▽書記長=石野正英▽書記次長=神山勝彦、廣中正己、佐藤守

幹部活動家の早期育成を

北海道第54回大会

北海道地連第54回定期大会=10月21日、定山渓観光ホテル山渓苑
北海道地連第54回定期大会=10月21日、定山渓観光ホテル山渓苑
 【北海道】北海道地連は、10月20〜21日、第54回定期大会を開催しました。

 大会では、1年間の総括を行うとともに、最大議案として「組織拡大4か年計画」の達成にむけてのさらなる運動の強化と、次代を担う幹部活動家の育成を早期に実現させなければならないとして議論が交わされ、定期的な幹部労働学校と、タクシーシンポジウムの開催を決定しました。

 委員長=渡辺聡▽副委員長=吉根清三▽書記長=松任正博

一人でも多く組合員増やす

高知第32回大会

 【高知】高知地連は10月20日、第32回定期大会を開催しました。

 大会では横田執行委員長代行が、全国大会で確立した2013年度運動方針の要旨を報告。地連としても新たな役員体制のもとで、全ての組合員が一致団結して、一人でも多くの組合員を増やすこと、組織の強化拡大や課題解決にむけた運動の前進などの新年度運動方針を全会一致で決めました。

 委員長=樫原正彦(新)▽書記長=横田春吉(新)

労働条件改善のチャンス

広島第48回大会

 【広島】広島地本は10月30日、第48回定期大会を福山市で開催しました。

 大会では、内田常執(福岡)が講演。タクシー活性化法改正案が国会提出されたことにふれ「タクシーは規制強化に向けて動いている。労働条件改善の絶好のチャンスだ」と強調しました。

 また、広島のタクシー労働者の27年間の賃金推移や全国平均より低い減車率なども示され、労働条件改善の近道は組織拡大であることを確認しました。

特措法改正案について学習

長崎第22回大会

 【長崎】長崎地連は、11月3日に第22回定期大会を開催しました。

 大会では1年間のたたかいの総括、新たな運動方針、新年度の役員案などすべての議案を満場一致で可決しました。また、本部の今村書記長がタクシー活性化法改正案の解説と、労働組合における情勢の特徴と重視すべき課題についての講演を行いました。

 委員長=古澤誠也▽副委員長=開田幸治、中村末夫▽書記長=松永利秋

自主再建闘争の成功めざす

山形第53回大会

山形地連第53回定期大会=11月4日、鶴岡市勤労者会館
山形地連第53回定期大会=11月4日、鶴岡市勤労者会館
 【山形】山形地連は11月4日、第53回定期大会をひらきました。

 あいさつした釼持委員長は、安倍内閣の暴走により、TPPでは安心・安全が失われ、消費税増税では中小企業は丸ごと負担増になると指摘しました。

 活動では、職場集会の欠席者が少なくなるなど前進も報告され、みんなが関心をもって自主経営、自主再建闘争の成功をめざすとともに、周辺の未組織労働者に働きかけ組織強化をめざしていくことを確認しました。


新加盟のなかま  (826) 北海道・長栄交通労組

バラバラでは問題解決しない

 【北海道】札幌市にある長栄交通に働くなかまは10月9日、自交総連長栄交通労組(吉川貴志雄委員長、23人)を結成し加盟しました。

 同社には数年前から個人加盟の組合員がいましたが、労働条件の一方的変更や差別的取り扱いが強まる中、地連がオルグを行い、労働者がバラバラでは問題は解決しないと助言。全自交組合とも合流し、地連のこれまでの闘いぶりを見て加盟を決意しました。