自交労働者No.837、2014年2月1日

2014年春闘/許すな「合理化」、賃上げの獲得

規制緩和への逆流を押し返そう

第36回中央委員会

改正法を実効あるものに

春闘勝利をめざし団結がんばろうをする中央委員会参加者=1月29日、東京・全労連会館

春闘勝利をめざし団結がんばろうをする中央委員会参加者=1月29日、東京・全労連会館

 自交総連は1月28〜29日、東京・全労連会館で、『職場・地域に依拠し、許すな「合理化」、賃上げの獲得 2014年春闘』をスローガンに第36回中央委員会をひらき、春闘方針を満場一致で決定しました。中央委員会では16人が発言、活発な議論が交わされました。決定した春闘方針では、タクシー特定地域特措法施行について、行政対応の後退を許さず、実効性の担保をはかる観点でとりくむことなどが確認されました。

城委員長あいさつ

城委員長

城委員長

 秘密保護法の強行採決や消費税増税、生活保護改悪、社会保障解体などの暴走を進める安倍政権と国民との間で矛盾と怒りが広がっています。タクシーにおいては、消費税増税に伴い、現状の売上が確保されなくとも消費税分は納税しなくてはならないことから、経営自体が危ぶまれています。増税の名を借りた新たな運転者負担創設などの攻撃に対抗する闘いが求められます。賃下げ「合理化」提案については、安易な妥協や激突主義に走らず、納得いく明確な説明と根拠をもって対応することが大切です。日常的に会社の経営状況を分析しておくことも忘れてはいけません。

組合の社会的責務問われる

 昨年、改正タクシー特定地域特措法が成立し、昨日から施行されました。特定地域の指定要件など、運用基準によっては実効性に疑問が残るものとなっています。これに消費税増税が重なれば、深刻な事態が懸念されます。改正法が実効性を発揮するかどうかは、事業者が附帯決議を含んだ内容をどれだけ積極的に遂行するかにかかっています。公共交通にふさわしい労働条件を確立し、世界に誇れるタクシーとするためにも、社会的責任を果たすことが求められます。我々の運動によって、内容を充実かつ実効あるものにしなければなりません。
 今春闘の「3・6中央行動」では500台のタクシー車両と人員500人による国交省請願行動を企画しています。規制緩和への逆流を押し返し、規制強化への方向を確かなものとするため、タクシーの需給バランスをコントロールする制度を確立する必要があります。重要なことは、企業が社会的責任を果たすことです。他方で、労働組合の社会的責務もまた問われています。我々自交総連は一致する課題での業界、労働団体との共同を呼びかけ、いっそうの運動強化をはかっていきます。
 今回の改正法が十分に機能しない場合、それは日本のタクシーの存続に関わる状況を生み出すともいえます。日本のタクシーを若者が入ってくる魅力ある業界とするためにも、自交総連が提唱しているタクシー運転免許の実現をめざします。我々の政策の優位性、運動の正当性に確信を持ち奮闘していこうではありませんか。


全員参加の春闘で勝利をつかもう

職場・地域に根ざして要求実現

中央委員会討論 11地方16人が発言

以前の元気な地連をめざす

(1)福島・山崎さん

(1)福島・山崎さん

 (1)福島・山崎良博さん 2014年春闘を通して、ふたたび自交総連の存在を示し、経営者に対しては労働者優位の闘いを、労働者に対しては労働組合の必要性をねばり強く訴えます。減少した組合員数を元に戻そうと奮闘している各単組の報告は大変に嬉しく最高の薬になっています。以前のような元気な福島地連になって、明るい報告ができるようがんばります。

知識の引継ぎが今後の課題

(2)東京・吉永さん

(2)東京・吉永さん

 (2)東京・吉永利秀さん 地連では、生活の糧である免許証を守るということと組織拡大を視野に、道交法闘争に力を入れています。私たち乗務員にとって、事故・違反は「明日は我が身」の問題ですから、こうしたとりくみの成果を機関紙や壁新聞で知らせれば興味を持ってもらえ、組織拡大につながると思います。
 今後の課題は、運動の中心になってとりくんできたベテランの高齢化にともなう技術や知識の引き継ぎです。

価値観の共有が運動の源

(3)神奈川・山田さん

(3)神奈川・山田さん

 (3)神奈川・山田茂さん 地本中央委員会を、発言や議論を通じて相互の価値観で共有できる部分を見つけだす場と考え、運営を見直しました。共有できる価値観こそ運動の源であり、それが確認できた時、信頼という最高の人間関係を作り出すのだと思います。

消費税増税に最後まで反対

(4)静岡・氏原さん

(4)静岡・氏原さん

 (4)静岡・氏原正行さん 4月からの消費税増税に伴う運賃値上げで客足の減少が懸念されます。最後まで反対の声を上げていかなければなりません。業界にとっては厳しい逆風が吹くことが予想されますが、今春闘こそは乗務員の賃上げにつながるような要求を出さばければいけないと思います。国が「景気が良くなった」と言うならば、その言葉を逆手に取り、賃上げ・待遇改善の要求を出しましょう。

運賃改定を増収につなごう

(5)京都・森長さん

(5)京都・森長さん

 (5)京都・森長達也さん これまで、秋春の交渉時や、タクシー協会との懇談会などで、運賃改定は増収に直結し、多重運賃の収れんにもつながるということをねばり強く訴えてきました。地連がこれからも京都のタクシー運転者の労働運動の中心であり続けるためにも、今回の運賃改定をなんとか増収に結びつけたいと思います。

バス部会つくり連帯しよう

(6)大阪・山本さん

(6)大阪・山本さん

 (6)大阪・山本雅弘さん バスは60人の命を預かる仕事です。その乗務員が契約・アルバイト、低賃金では安全は担保されません。今春闘は、消費税増税や燃料高騰などにより厳しい闘いとなりますが、仕事に見合う賃金、雇用の正社員化、「改善基準告示」の見直しを求める運動に奮闘します。全国でもバス部会を作り、連帯して運動を前進させようではありませんか。

成果を教訓に仲間を増やす

(7)高知・横田さん

(7)高知・横田さん

 (7)高知・横田春吉さん 高知では、タクシー運転者の高齢化が進み、平均年齢が62歳となっており、宣伝行動をしていても組織拡大の難しさを実感しています。しかし一方で、厳しさをチャンスに変えて組織拡大の成果につなげている全国の仲間がいることには日々励まされます。こうした成果を教訓にして、こつこつと仲間を増やしていく決意でがんばります。

4か年計画初年度目標達成

(8)福岡・中村さん

(8)福岡・中村さん

 (8)福岡・中村朗さん 組織強化拡大推進4か年計画1年目の目標を超え、45人の純増となりました。今年は、消費税増税、運賃改定とタクシー労働者にとっては苦難の年になりそうです。改正タクシー特定地域特措法には、特定地域の指定基準など運用面で不透明部分が多いと思います。こういう時こそ、執行部は「七難八苦をうけたまわり八面六臂のごとき手腕を発揮する」ことと願います。

改正法の実効性確保に全力

(9)北海道・松任さん

(9)北海道・松任さん

 (9)北海道・松任正博さん 改正タクシー特定地域特措法が真に実効性が伴うものとなるよう全力でとりくみます。法改正を労働条件改善の絶好のチャンスととらえる一方で、減車に伴う雇い止めなどの事態に対してこれまで以上に立ち向かう決意です。
 連帯した闘い抜きでは勝利は難しいと思います。組織力の回復こそ連帯のための大きな力となり、自交労働者のくらし改善に結びつくと確信し、運動にまい進します。

地域に根ざした運動進める

(10)東京・相楽さん

(10)東京・相楽さん

 (10)東京・相楽哲也さん 地域労組と連携した国民的要求実現をめざすとりくみについて、目に見え音に聞こえる活動を活発にして世論を喚起し、大きな運動のうねりをつくっていかなければなりません。東京地連は、中央省庁を抱える組織としての役割と責任を果たし、労働組合としての本領を発揮していくために、地域に根ざしたとりくみをこれからも進めていきます。

地域独特の問題への対応を

(11)大阪・松原さん

(11)大阪・松原さん

 (11)大阪・松原伸一さん 春闘スローガンにある『職場・地域に依拠し』とは、地方にとって重要なキーワードだと思います。大阪では、規制緩和前から供給過剰の状態が続いており、バラバラ運賃、ダンピング運賃により、安心安全を担保できない状態にあります。今回の改正法には不透明な面があるため、大阪独特の問題解決のためにも継続した運動が不可欠です。

組合民主主義と団結が大事

(12)福岡・古賀さん

(12)福岡・古賀さん

 (12)福岡・古賀文紀さん 組合結成からもうすぐ1年が経ちます。自分の感情で組合活動をしてはいけないこと、徹底した組合民主主義を貫くこと、そしてなによりも団結力が一番大事だということを勉強した1年でした。今春闘では組合結成からの課題である基本給のベースアップを勝ちとるべく、執行部と組合員一丸となってがんばります。

夢と働きがいのある職場へ

(13)鹿児島・平原さん

(13)鹿児島・平原さん

 (13)鹿児島・平原昭三郎さん 自主経営として開業してから5年が経過しました。組合運動と経営の二足のわらじで大変ですが、組合員全員で一致団結し、鹿児島の労働組合の拠点として夢と働きがいのある職場をめざします。労働組合の大切さを訴えるには、まず幹部が学習を怠らないことが大切だと思います。労働者の相談に親身になって応じ、一人でも多くの仲間を増やすよう奮闘します。

総括討論

幸せに生きる権利は平等

(14)大阪・運天さん

(14)大阪・運天さん

 (14)大阪・運天武史さん 労働組合は差別の問題に対して敏感であるべきだと思います。財界・大企業が非正規雇用労働者を雇用の調整弁として簡単に使い捨てるのも、労働者を人としてみていない一種の差別だと思います。幸せに生きる権利は、学歴や能力、国籍を問わず誰にでも平等にあるはずで、それを奪う権利は誰にもありません。

最賃基本とした給与体系へ

(15)宮城・冨中さん

(15)宮城・冨中さん

 (15)宮城・冨中有さん 若者が入りやすいよう、最低賃金を基本とした給与体系に変えるよう交渉を進めています。職場は定年後の嘱託者が主力となっているため、その人たちの要求に応える活動をしていかなければなりません。会社に対しても、嘱託者の雇用について組合と協定をむすぶことなどの要求を出しています。全国キャラバンでは空白県である岩手で学習会、電話相談を行います。

改正法の内容遵守させよう

(16)東京・田村さん

(16)東京・田村さん

 (16)東京・田村清隆さん 改正道路運送法には、労働規則として過労運転防止が明記されており、改正タクシー特定地域特措法の附帯決議には、累進歩合制の改善指導と乗務員負担制度の見直しがうたわれています。事業者みずからが成立を望んだこの法律の内容をどれだけ積極的に遵守、遂行させ、労働条件改善につなげるかが重要です。実効性確保にむけ、3・6中央行動に全力でとりくみます。


「合理化」跳ね返し賃上げ獲得

執行部答弁

全国縦断行動を成功させよう

今村書記長

今村書記長

 執行部答弁に立った今村書記長は、総括討論3人を含む16人の発言内容にもふれながら、3つの課題の重要性について言及し、まとめを行いました。
 第1には、前日の弁護士交流会で話題となった“何をもって勝利というか”に関わる命題での問答を紹介しつつ、その答えは、組織が強く大きくなったかどうかにあると指摘。春闘で要求獲得をめざすことはもとよりのこと、組織拡大の必要性を訴えました。
 第2には、“3つの危機”に抗して労働者の利益と事業の将来を切り開くために職場・地域を拠り所とし、「合理化」を跳ね返し、賃上げを獲得する闘いに全力をあげようと述べました。
 加えて、タクシー特定地域特措法の実効性確保を求める闘いでは、その運動を通じて、タクシー運転免許制定の必要性や有効性が必然的に高まっていくことが強調されました。
 第3は、“賃上げ、安定雇用の確保で真の景気回復を”の視点を大切にして国民春闘にとりくむこと。特に世論を喚起し、自交労働者の決起を促すためにも、ひとつひとつの行動を大きく成功させることが重要と述べ、1・31宣伝行動や3・6中央行動、続く3・13いっせい地域行動及びブロック別未組織宣伝全国縦断行動(3〜5月、九州→北海道)にむけて万全を期すよう呼びかけました。


2014年春闘アピール

2014年1月29日 自交総連第36回中央委員会

春闘アピールを提案する京都・石原常執

春闘アピールを提案する京都・石原常執

 自交総連は本日、『職場・地域に依拠し、許すな「合理化」、賃上げの獲得 2014年春闘』をスローガンとする春闘方針を決定した。
 安倍内閣は「アベノミクス」と称し、円安や株価上昇を誘導し、景気を好転させたと宣伝しているが、自交労働者の賃金・労働条件は依然として劣悪なままで、安心・安全をないがしろにした過当競争にさらされている。今後、労働法制が規制緩和されれば、雇用や権利が破壊されるおそれもある。
 いまこそ、自交労働者のたたかう底力を発揮し、将来展望をかけての春闘、組織拡大春闘として奮闘し、必ずや前進をかちとろうではないか。
 今春闘でとりくむ第1の課題は、賃金・労働条件の改善である。タクシーでは、賃上げプラス減車・輸送効率向上による実収入増で生活改善をめざそう。「タクシー特定地域特措法」改正は成立したが、法律が真に実効性を発揮するかどうかは、今後の行政の対応、具体化にかかっており、世論に訴える私たちの運動が重要である。運転者の労働条件改善という法改正の本来の目的が実現するよう、これまで以上に運動を強めなければならない。ハイヤー・自教・観光バスでは、賃上げとともに経営環境の改善を重視し、職場政策要求へのとりくみで将来展望を切り開こう。
 第2の課題は、組織の強化拡大である。要求闘争の前進は、たたかう基盤の強化なしにはありえない。同じ悩みや不安を抱える仲間に、正確な情勢と自交総連の運動を伝え、労働組合の存在感を示すことで、要求実現の要(かなめ)となる強く大きな組織を実現させよう。
 第3の課題は、国民的共同のとりくみである。消費税増税や社会保障切捨て、TPP参加、憲法改悪、原発再稼働などの国民的課題に対して、全労連・地方労連とともにたたかい、政治の民主的転換をめざすことが大切である。とりわけ消費税増税については、大幅な運収減をまねき、事業の存続さえも危うくするものとして、中止を求め最後までたたかおう。
 私たちは、ここに掲げた課題の実現をめざし、自交総連の総力をあげて2014年春闘をたたかう決意を固めるとともに、全国の自交労働者の仲間に共に立ち上がることを呼びかける。


会社解散、解雇事件など報告

第36回 関係弁護士交流会

33人の弁護士が参加

33人の弁護士が参加した第36回関係弁護士交流会=1月27〜28日、東京・全労連会館

33人の弁護士が参加した第36回関係弁護士交流会=1月27〜28日、東京・全労連会館

 1月27〜28日、東京・全労連会館で、自交総連第36回関係弁護士交流会がひらかれ、33人の弁護士と城委員長が参加しました。
交流会では、小賀坂弁護士が「最近の行政訴訟にみられる判決の傾向」と題して、タクシー規制に関わる行政訴訟事件の概要と問題点についての基調報告を行いました。
 続いて特別報告として、(1)年次有給休暇請求権事件(埼玉・八千代交通労組=横山佳純弁護士)、(2)割増賃金未払請求事件(三重・名鉄四日市ユニオン=福井悦子弁護士、北海道・札幌交通労組他=斉藤耕弁護士、(3)会社解散(譲渡)、全員解雇事件(埼玉・入間川タクシー労組=山元勇気弁護士、静岡・石川タクシー富士宮労組=萩原繁之弁護士)の3つをとりあげ、報告がありました。
 参加各弁護士からも各地の事件について報告がされ、これからの闘争などについて交流を深めました。
 また、昨年6月に埼玉・八千代交通事件弁護団が、年次有給休暇請求権事件において重要な最高裁判決を獲得したとして、特別表彰が行われました。横山法律事務所・横山佳純弁護士に自交総連、顧問弁護団より表彰状と金一封が贈呈されました。