経営者の社会的責任が問われる
自交総連は1月31日、全国いっせい宣伝行動にとりくみました。この行動は2002年2月1日にタクシー規制緩和(道路運送法改悪)が実施されたのを忘れず、安全で乗りやすいタクシーの実現、運転者の労働条件の改善を求めて毎年実施しているものです。今年は改正タクシー特定地域特措法の施行日が1月27日であることから、その内容および春闘における課題での宣伝を重視したほか、消費税増税にともなう問題点を含めた宣伝戦としてとりくみました。
1・31宣伝行動 全国でビラまき、対話
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満杯のタクシープールで宣伝する宮城の仲間=1月31日、宮城・仙台駅 |
【宮城】宮城地連は17人が参加し、仙台駅前でビラ400枚を配布。タクシー特定地域特措法の問題点、争議への支援、組合への結集などを呼びかけました。対話した乗務員からは「消費税増税をなんとかしてほしい」という声が多く聞かれました。宣伝を聞いていた女性は「息子がタクシーで働いているが賃金が安く仕事が大変だと言っている。相談に乗ってほしい」と話し、チラシを受け取っていました。
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雪の中で、宣伝・対話する福島の仲間=1月31日、福島駅前 |
【福島】福島地連は、7人が参加して福島駅周辺で約60枚のビラを配布しました。
乗務員との対話では、4月からの消費税増税によって利用客が減少することへの不安が多く聞かれました。また、増税にともなう運賃の改定がどうなるのかなどの質問も多くありました。雪の影響で空車が少なく短い対話でしたが、ビラの受け取りもよく手応えを感じました。
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ビラを渡して話しかける東京の仲間=1月31日、東京・蒲田駅 |
【東京】東京地連は30単組132人が参加して、都内31か所で宣伝行動を行いました。
乗務員との対話では、改正タクシー特定地域特措法の問題や都知事選、消費税増税、乗務員負担などについて多岐にわたって話すことができました。
【神奈川】神奈川地本は、県下24地域で宣伝行動を実施し、700枚のビラを配布しました。乗務員との対話の中で、組合加盟には躊躇しつつも、個々には言いたいことはあるという人が多く、組織拡大の可能性を感じました。
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横断幕を掲げ訴える大阪・京都・和歌山の仲間=1月31日、大阪・近畿運輸局前 |
【大阪】大阪地連は、改正タクシー特定地域特措法の実効性確保を求める宣伝行動を近畿運輸局前、新大阪駅、南海なんば駅で行いました。行動には京都地連と和歌山地連の仲間もかけつけ、全体で85人が参加しました。宣伝でマイクを握った秋山委員長は「供給過剰や安売り運賃の是正など、問題解決に向けて特措法の実効性、経営者の社会的責任が鋭く問われている」と指摘しました。
【福岡】福岡地連は20人が参加してビラ200枚を配布、乗務員との対話を行いました。対話した人からは、「アベノミクスで景気が良くなった実感がない」「多すぎるタクシーが駅プールからはみ出し、駅の規制が厳しくなって仕事がやりづらい」などの声が聞かれました。
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ビラを渡しながら対話する長崎の仲間=2月1日、長崎市内 |
【長崎】長崎地連は市内ガススタンドで宣伝と対話を行いました。改正タクシー特措法についてのビラを配布し、対話した乗務員からは、「準特定地域に指定されたのは知っていたが、中身が全く分からなかったので、すごく興味がある」との声が多く聞かれ、詳しい説明は春闘学習会に来て聞いてくださいと宣伝しました。今回のビラ配布はとても反応が大きく、春闘学習会が楽しみです。
解散・解雇事件の控訴審はじまる
支援の仲間が高裁前で宣伝
石川タク富士宮
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通行人に呼びかける静岡、東京、埼玉の仲間=2月6日、東京高裁前 |
静岡地連石川タクシー富士宮労組の全員解雇事件の控訴審が2月6日、東京高裁ではじまりました。
何の予告もなく会社を解散して即日全員解雇、補償も再就職のあっせんもないというひどい手口にも関わらず、一審では昨年9月、会社の行為を免罪する不当判決が出されました。
東京・埼玉から数十人の応援を得て高裁前で宣伝、席からあふれる傍聴者が見守るなか、当該の諏訪部委員長が意見陳述し、労働者の生活を奪う解雇をこんな乱暴なやり方ですることは認められない、高裁で改めて審理をしてほしいと訴え、裁判長も、新たな鑑定書などを慎重に審理することを表明しました。
茨城・関鉄タクシー労組
組合員を狙い撃ちにした雇止め
県労委 65歳以上の雇用を確認
【茨城】茨城県つくば市にある関鉄タクシー労組は12月19日、組合員の継続雇用拒否事件で、茨城県労委で勝利命令をかちとりました。
同組合は、10年11月に結成、賃下げを元に戻させるなど積極的に活動していたところ、12年7月に坂野委員長と上野さんを、65歳の定年に達したとして継続雇用を拒否してきました。同社では、本人が希望すれば定年後も70歳までは嘱託として再雇用されることになっており、これまで病気以外で継続雇用されなかった人はいません。このため、12年に組合が不当労働行為の救済を申立てていました。
命令は、会社は2人について、12年7月以降よりひきつづき雇用しているものとして取り扱わなければならないとしています。
特定地域の指定基準は先送り
改正タク特定地域特措法施行
準特155地域指定、公定幅運賃は4月から
【解説】改正タクシー特定地域特措法は、これまで特定地域とされていた地域を準特定地域とし、その中で特に供給過剰がひどい地域を(新)特定地域に指定します。この特定地域に指定されなければ、強制減車などの措置は発動されません。
このため、どの地域が特定地域なるかが注目されますが、特定地域の指定基準は法施行時には決まりませんでした。確定は、消費税転嫁の公定幅運賃認可が一段落する4月以降にずれ込む模様です。
準特定地域の指定基準は、旧特定地域の指定基準と同じ基準となり、155の旧特定地域がそのまま移行しました。
公定幅運賃は、準特定地域でも適用されますが、その幅は現行の自動認可運賃の幅と同じで、消費税の転嫁と同時に適用となるため、3月には公示され、各社が届出、4月から適用開始となります。
累進歩合制度の廃止指導を徹底
また、国交省と厚労省からそれぞれ累進歩合制度の廃止について指導を徹底するとの通達が出されました。法改正時の国会附帯決議を履行するためです。
監督指導を実施した際には、累進歩合制度が採用されてないか必ず確認し、採用されていた場合は、文書で指導するとしています。交付する文書は「累進歩合制度を廃止するよう指導します」「改善状況については、〇月〇日までに報告してください」となっています。
自交総連2014春闘アンケート
7割が消費税増税反対
高齢化が急速に進行
職場の不満は(1)賃金(2)有休(3)強盗
自交総連の14春闘アンケートを紹介します。
【回収】回収枚数は前年より330枚増えて8601枚で、回収率は51・5%です。各地方は回収率向上へ奮闘をお願いします。
60歳以上が48%
【勤続・経験・年齢】平均年齢は前年より0・2歳増の57・2歳で、年齢構成でみると、60歳以上が48%となっています(図1、2)。ハイタクに限った年齢構成の変化(図3)は、07年に33%だった60歳以上が今年は49%に達しました。
78%が生活苦しい
【生活実感】「かなり苦しい」と「やや苦しい」を合わせると77%で前年の78%より若干減りました。高齢化が進行しているため、年金を受給しつつ勤務している人などで、「まあまあ」と答えた人が年々増え、今回は20%になりました(図4)。
消費税反対は71%
【消費税増税・原発再稼働】消費税増税は、反対71%、賛成9%と圧倒的に反対が多数です。
原発再稼働についても、反対61%、賛成11%と反対が半数を大きく超えています(図5、6)。
居眠り経験が27%
【運転への影響】仕事で運転中の経験で、安全確認がおろそかになるが「よくある」と「時々ある」を合わせて、タク57%、バス50%。交通事故を起こしそうになったがタク63%、バス54%。居眠り運転をしたことがあるがタク27%、バス24%となりました(図7)。居眠り運転が2〜3割もあるというのは、絶対安全が求められる公共交通機関ではあってはならない数字です。
その原因は長時間労働です。適切な労働時間(休息期間)の規制と、労働時間を守って働いても最低限の収入が確保できるように労働条件を改善しなければ、安全は確保できません。
「有休取れない」2位
【職場での不満】(1)賃金が安い74%(2)有休が取れない28%(3)強盗等の不安27%が上位3つでした(図8)。
定時制・パートに限った要求では、(1)契約更新の不安23%(2)正社員との格差19%(3)労働時間短い9%でした。
賃金が安いというのは、毎年ダントツで1位の不満ですが、2位の有休が取れないというのも、毎年上位にきています。申し出れば取りたいときに取れる、取っても賃金・一時金が下がらないという有休の権利を、春闘要求のなかでも重視する必要があります。
賃金が安いというのはほぼ全地方で1位ですが、2位以下は地方によってかなり異なります。職場がなくなる不安が前年同様多く、山口76%、佐賀69%、東京ハイヤー43%など、かなり高くなっている地方もあります。
タクシー以外の職場では、技職、バス、その他で労働者の人権無視が上位に入っており、パワハラ・セクハラなどの問題が多いことがうかがえます。
地方ごとに自分の地方で多い不満をよく把握し、要求にまとめていくことが大切です。
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