自交労働者No.845、2014年6月1日

要求提出183組合、45組合が決着

各地で今後の課題など確認

 

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4・10中央行動で減車や労働条件改善をアピール=4月10日、厚労省前
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闘争委員会で今後の闘い方を議論する東京の仲間=5月14日、都内

 自交総連2014年春闘は5月27日現在、183組合が要求を提出、そのうち93組合が回答を引き出し、45組合が妥結または了解しています。また、各地では今春闘での運動の到達点と今後の課題について闘争委員会などで確認が行われています。

スト背景に早期解決めざす

 【東京】東京地連は、2014年春闘の重点要求として「累進歩合制賃金と乗務員負担制度の撤廃」を掲げてたたかってきました。
 5月27日時点で、28組合が了解または了解の方向です。各職場では、「定時制賃率を隔日勤務に合わせる」「乗務員負担撤廃」「足切2千円引き下げ」「嘱託交通費支給(1乗務350円)」などの回答を引き出しています
 未解決組合については、第7波統一行動(全員集会またはストライキ)を背景に早期解決をめざすこととしています。

春闘決着後もとりくみ継続

 【宮城】5月10日現在、7つの職場で決着しており、政策合意や職場要求改善、福利厚生費の支給等を獲得しています。今後は、未解決労組への支援を強めていきます。
 仙台市内では、運賃値上げにともない、賃率を引き下げてくる会社も出てきています。また、事故や割引運賃を労働者に負担させているところもあり、労働相談が相次いでいます。
 業界に若い労働者を受け入れるための要求については、今後の重要な課題でもあるので、春闘が決着した後もとりくみを強化していきます。

会社から大幅合理化提案も

 【大阪】大阪地連の春闘状況は、タクシー関係29組合中、妥結に至った組合は6組合。バスは6組合中、2組合です。妥結内容は現行労働条件維持、解決金2万円〜8千円で、特徴的なのが、各職場とも重点要求の乗務員負担の軽減および福利厚生をかちとっていることです。事故負担金を半額にした組合や、1万5千円負担を5千円にし、その負担金も共済会に繰り入れるなど、福利厚生を拡充しています。現在交渉中の単組も合意に近づいていますが、一職場一重点を追求しています。一方、関中グループに代表される大幅合理化が提案される組合もあり奮闘中です。


タクシーシンポジウム開催

業界の未来へ向け労使で共闘

北海道

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パネルディスカッションのようす=5月23日、札幌市中央区「かでる2・7」

 【北海道】改正タクシー特措法の施行を受け組織された地連実行委員会は5月23日、「第3回タクシーシンポジウム」を札幌市内で開催しました。
 シンポジウムは二部形式で行われ、第一部では、本部の今村書記長が「タクシー事業を巡る諸問題と将来展望」と題して特別報告を行いました。事業者団体として特別報告を行った道ハイヤー協会照井専務理事は、「年収200万円そこそこの乗務員の賃金をなんとかしなければ業界の未来はない」と訴えました。
 第二部は、北海学園大学経済学部の川村准教授がパネルディスカッションを行いました。パネリスト参加の地連松任書記長は、現場からの報告をしたうえで「産業の未来なくして労働条件の回復はない。労使で改正特措法を手にしたからには労使でタクシーの未来に向けて共闘していく」と発言しました。
 シンポジウムには70人もの参加があり、とりわけ事業者を交えての開催は大変意義深いものがありました。


未組織宣伝全国縦断行動

自交総連に感謝と応援の声

多すぎるタクシーに不満

関東ブロックが茨城、福島で宣伝

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タクシープールでのビラ配布=5月9日、茨城・つくば駅
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乗務員に聞き込みを行う仲間(つくば駅)
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宣伝カーの上からの訴え(福島駅)

 自交総連が3〜5月の期間で行っている「ブロック別未組織宣伝全国縦断行動」の関東ブロックからの報告です。

 関東ブロックは5月9日、関鉄タクシー労組(茨城)の仲間を中心に、茨城県内の各駅頭で宣伝行動を行いました。
 つくば駅では、昔、自交総連千葉地本にお世話になったという乗務員さんと話をすることができました。感謝の言葉とともに「茨城でも、なにかあれば自交総連に協力したい」という心強い声をいただきました。なにより、関鉄労組の仲間が元気よく駅頭での宣伝を行っていたことは、今後の茨城の組織化に期待を持てるものでした。

 その後、福島県に移動し、東北ブロックと合流。福島駅にて宣伝を行いました。東北と関東合同の宣伝でお互いの交流を深めることができました。
 福島の街中は、震災復興工事の影響か、飲み屋街はにぎわっている様子でしたが、多くの乗務員は、タクシーの1台当りの営収には繋がっていないと話し、多すぎるタクシーの不満を訴えていました。


監督行政の責務を果たせ

バス部会が近畿運輸局と交渉

大阪地連

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交渉する大阪地連バス部会の仲間(右)=4月24日、近畿運輸局

 【大阪】大阪地連バス部会は4月24日、近畿運輸局に対して、観光バスの輸送秩序・安全確保に関する要請を行いました。
 組合側は冒頭、2012年の関越道事故を受けて見直された「交替運転者の配置基準」が施行された以降も健康状態に起因する重大事故が多発していることを指摘したうえで、夜間運行は距離に関係なく2人乗務にすべきだと訴えました。そして、厚生労働省と連携して「改善基準」を法制化し、監督行政として責務を果たすことを要請しました。
 また、改善基準違反を前提とした旅行行程を組んでいる旅行業者に対して厳重な措置を講じることを求めました。局側は「監査要員を毎年一定数増員しているが、まだ十分とはいえない。今後、体制の充実を図っていく」と回答しました。
 その他、緊急時に乗客の安全を確保するため、補助員(バスガイド・車掌)を乗務させることや、避難訓練の義務化などを要請し、局側は「要請について本省に上告する」と応じました。


各地の大会

次期役員を担う人材を育成

なら第36回大会

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なら合同労組第36回定期大会=5月11日、なら合同労組事務所大会議室

 【なら】なら合同労組は5月11日、第36回定期大会を開き、30人以上が参加しました。
 林委員長が13年度活動報告と総括、14年度運動方針を提案しました。方針では、なら合同労組の「再構築」を強調。実数3百人の組合をめざすことや次期役員を担う人材を育成していくことを提案しました。大会は、和やかな中にも引き締まったものとなりました。
 委員長=林克己▽副委員長=森本昌代、多米博幸(新)▽書記長=小松秀之


新加盟のなかま  (828) 福岡・春吉タクシー労組

一人の呼びかけから結成へ

 【福岡】福岡市博多区にある春吉タクシーで働くなかまは5月1日、自交総連春吉タクシー労組(小田孝委員長、4人)を結成し加盟しました。
 地連の個人加盟労組に加入していた小田委員長が、他の労働者に結成を呼びかけたところ、賛同者が集まり結成に至りました。組合は、すでに確保している職場の組合掲示板と地連機関紙を活用しながら、さらなる組織拡大にとりくんでいます。


売上低下・長時間労働も影響

高齢化が進む地域で増加

2013年度交通事故統計

 2013年中の交通事故の統計がまとまりました。全体の事故件数が減る中で、バスやタクシーの事故件数も減少していますが、地域によっては増加しているところがあります。
 【解説】前年と比べ、バスは約11%、タクシーは約8%事故件数が減少しています。逆に、10件以上増加した地域は、バスは、長崎の22件。タクシーは、秋田11件、島根15件、愛媛19件、長崎43件でした。いずれも乗務員の高齢化が深刻な地域です。
 また、走行キロ当たり発生率では、タクシーは自動車全体の2倍近い発生率(12年、100万キロ当1・6、全自動車0・9)となっていて、売上の低下と長時間労働が事故を引き起こしている事情は変わりません。


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