自交労働者No.846、2014年6月15日

組織化に特段の対応が必要

東北宣伝 再雇用心配で二の足

ブロック別未組織宣伝全国縦断行動

 

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病院に送迎を行っているタクシー乗務員との対話=5月17日、秋田県横手市内
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組合結集を訴える宮城地連・澤口副委員長=5月17日、青森駅
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病院に送迎を行っているタクシー乗務員との対話=5月17日、秋田県横手市内

  自交総連が3〜5月の期間で行っている「ブロック別未組織宣伝全国縦断行動」の東北ブロックからの報告です。

多くの会社で運転者負担

 東北ブロックの宣伝行動は5月9〜18日、福島、岩手、秋田、青森で行いました。
 消費税増税にともなう営収の変化について聞き取りを行ったところ、多くの人が乗り控えで営収が下がっていると回答しました。一方で、営収が下がっているのは増税の問題だけではないという声もありました。「街に活気がなく、利用者は病院に通うお年寄りだけで今後が大変」「一日当たりの営収が1万円あれば良い方で職があるだけまし」という声も聞かれました。また、運転者負担については、高齢者割引や障害者割引、事故負担金などが、数年前から数多くの会社で実施されているようでした。
 組合活動をすることによって定年後の再雇用に影響が出るのではないかと心配する人が多く、組織拡大が進まない要因もそのあたりにありそうです。会社を攻める材料はあるものの、たたかうことに二の足を踏んでいるのが現状で、特段の対応が必要であると感じました。
 今回の行動は、これまでにないほど多くの労働者と対話することができ、有意義なものとなりました。改善点として、各地域にあったチラシを作ることが必要であると感じました。


岩手で自交総連の旗揚げめざす

県労連と共同で総掛かり宣伝

東北ブロック

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待機中の乗務員に話しかける東北ブロックの仲間=5月12日、盛岡駅

 東北ブロックは5月12〜14日、東北の空白県である岩手県で総掛かりの宣伝行動にとりくみました。
 行動にはいわて労連からも応援がかけつけ全体で16人が参加し、労働者との対話やアンケート、会社訪問などを行いました。対話した乗務員からは「営収が下がり大変」「有休をまともに取ることもできない」「事故を起こすと給料から引かれてしまう」などの声が聞かれ、たたかう労働組合の存在がいかに重要かを説明しました。また、14日には電話相談や公民館での相談会・懇談会にもとりくみました。
 いわて労連では現在、個人加盟労組の準備も進めており、東北ブロックと共同での旗揚げ作戦にひきつづきとりくんでいきます。


要求前進・団結力・拡大で総括

春闘の中間総括などで議論

第5回常執

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春闘中間総括を行った第5回常執=6月5日、東京・自交共済事務所

 自交総連は6月5日、自交共済事務所で第5回常任中央執行委員会をひらき、春闘の中間総括などを論議しました。
 春闘は6月4日現在で要求提出63%、回答53%、解決25%となっていますが、「合理化」提案が出されて闘争中のところを除き主要な組合では決着しつつあり、現行賃金体系維持+解決金・一時金、乗務員負担の改善、職場要求前進などを獲得しています。
 議論では、稼働率低下の影響が大きく、4月以降も一人あたりの営収は落ちていない、通常の運賃改定をした京都では改定分の増収となっている、累進歩合廃止や乗務員負担改善ではまだ十分な改善とは言えない、政策要求への回答は特定地域の指定待ちになっているなどの現状が報告され、それをふまえて、要求前進・団結力強化・組織拡大の観点から総括していくことになりました。
 組織拡大については、全国キャラバンの成果や教訓をふまえて評価していくことにしました。


全国的にバス部会を

各地のバス労働者が現状報告

全国バス労働者交流会

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団結ガンバロウで交流会を締める参加者=6月6日、東京・日比谷図書文化館

 自交総連は6月6日、全国バス労働者交流会を開催し、7地方から25人(バス8組合)が参加しました。
 城委員長のあいさつの後、本部の菊池書記次長が、バス労働者が置かれている現状や、今後のとりくみについて問題提起しました。
 その後、各地方のバス労働者から報告がありました。報告では、「宣伝を行う中で、既存の組合(自交総連以外の組合)があっても組合として機能していない。それどころか、不利益協定ばかり結んでしまうなど不満の声をよく耳にする」「せっかく組合に入ってもらっても争議が解決したとたん脱退してしまったり、会社自体が廃業してしまうなどで組織数が伸びない」などの悩みがありました。
 一方で、「タクシー会社でバス事業も持っている所を切り口にして組織拡大を進めている」「観光バスが集まるイベント会場での宣伝や、リーフレットを作成して効率的に宣伝を行っている」「組合結成後、着実に要求を獲得している」といった前向きな報告もありました。そのほか、全国的にバス部会を増やしていくこと、ポスターなどの宣伝物を作ってほしいなど、本部への要望もありました。
 今回の交流会では、バス労働者の要求実現のためには組織拡大が急務であることを共通認識とし、今後、全国のバス労働者どうしが積極的に情報を共有していくことなどを確認しました。


「旅行社の手数料値上げは制度趣旨に反する」

バスの安全確保と労働条件改善を求め国交省と交渉

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要請書を手渡す城委員長=6月6日、国交省内

 自交総連は6月6日、全国から集まったバス労働者とともに国土交通省と交渉を行いました。
 交渉では、旅行事業者に対する規制強化や、公共団体による競争入札で下限割れ契約を認めないことなどを要請。省側は「悪質なものは継続的に監視していく。競争入札については届出を下回る落札があれば自治体の長に通知し技術的助言を行う」と回答。また、新制度で運賃が上がった分、手数料を多くとる旅行社が出てきているとの指摘には、「制度の趣旨に反すると認識している」と回答しました。


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取材からパソコンの操作まで

新聞づくりの基礎を学ぶ

東京地連 教宣学校

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教宣部員の指導にメモを取る参加者=6月1日、熱海
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宿に戻り編集作業をつづける参加者

 東京地連の教宣学校が神奈川・静岡の仲間含めて29人が参加して6月1〜2日に熱海で行われました。
 「新聞づくりの基本」「文章の書き方、写真の載せ方」の講義を受けた後5班に分かれて新聞を作成、取材では熱海のタクシー労働者や旅館の管理人さんらに話を聞いて記事にし、当日の夜から翌日の午前中までかけてB4表裏の紙面を完成させました。
 初めての人も多くいましたが、各班に教宣部員がついてパソコンソフト「パーソナル編集長」の使い方を指導して組み上げました。紙面には「パソコン自体不得手な私でしたが新聞作りを通し、他労組の方々と親睦を深められた」(東都・石塚さん)などの感想も載せられています。


組合員を職場へ戻せ

なみはや交通前に80人

大阪・争議支援総行動

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会社に向かって抗議の声を上げる参加者=5月22日、大阪府門真市
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会社側に解雇撤回を迫る支援の仲間

 【大阪】5月22日、大阪争議支援総行動が行われ、なみはや交通の会社前行動には80人が結集、「社長は組合員全員を即刻職場へ戻せ!」とシュプレヒコールが響き渡りました。
 同社では、社長が燃料高騰を理由に乗務員を個別に呼びつけ賃下げを迫ったことから、7人が決起して組合を結成、今年2月に自交総連に加盟しました。しかし、その後の団交で会社側は「組合は認めない、自交総連とはいっさい交渉しない」と表明し、最終的には組合員全員に対し解雇通知を出してきました。会社が解雇撤回要求に応じず、解雇の具体的理由も明示しないことから、組合は4月8日、大阪地裁に仮処分申請を行いました。
 同労組の松岡委員長は、「皆さんの力を借りながら最後まで正々堂々とたたかっていく」と決意表明しました。


この成果を全国に

神奈川・三共自校

中労委の控訴を棄却

東京高裁 組合勝利の県労委命令が有効

 【神奈川】三共自動車学校の不当労働行為救済命令取消請求事件で、中労委が東京地裁判決に対し控訴していた事件は、4月23日に控訴棄却の判決が言い渡されました。
 この事件の発端は、当該の会社での、一方的賃下げや、組合員の一時金差別などの不当労働行為でした。10年1月に県労委で勝利しましたが、翌年5月に中労委で県労委命令を全否定する逆転の不当命令が出されました。
 そのため、東京地裁に不当命令取消しの行政訴訟を起こしました。そして、13年5月に中労委の命令を取消し県労委の命令が有効とされる勝利判決が出ていたものです。
 三共自校支部の佐藤支部長は、「弁護団や地本・各支部、湘南労連のお力添えをいただきありがとうございました。長い闘いとなりましたが、団結の力で勝利することができました。現在、他にも同様の争議が係争中ですが、今回の判決を受けて進展があるものと思われます。ここで気を緩めることなくねばり強くたたかっていきます」と話しました。