自交労働者No.847、2014年7月1日

お客さんより車の数が多すぎる

増税や高齢化で最悪な状況

北海道「生活苦しい」の声多い

ブロック別未組織宣伝全国縦断行動

写真
待機中の乗務員に話しかける仲間=5月31日、旭川
写真
自交総連へ結集を呼びかける松任書記長=5月30日、札幌
写真
事業所訪問を行い、経営者からも話を聞いた=5月31日、旭川

 自交総連が3月上旬から5月下旬にかけてとりくんだリレー式のブロック別未組織宣伝全国縦断行動が終了しました。東北ブロックでの行動を終えた宣伝カーは5月18日、最終地点となる北海道に引き継がれ、各地で働く仲間の声を響かせました。

 宣伝では、本部作成のビラと地連独自の未組織宣伝用ビラを客待ち中の乗務員に手渡し対話を行いました。
 生活が苦しいという声が多く、「お客さんより車の数が多すぎる。今日は公出だけど、3000円くらいしかもらえないんだよ」と話す乗務員もいました。対応した松任書記長は「それはあからさまな最賃法違反です。たたかえば会社に払わせることができますよ」と知らせ、仲間をつくって地連に相談するよう勧めました。
 日頃から宣伝を行っているおかげか「タクシーのことで一生懸命なのはあんたたちだけだね、頑張ってよ」と励ましの声をいただくこともありました。

継続した宣伝するしかない

 行動を通して実感したのは、市内で一番にぎわうはずの駅前が閑散としていて、地方都市の疲弊はアベノミクスによる物価高騰と消費税増税で最悪な状況にあるということです。北海道には「限界集落」と言われる地域が602地域あるとされていますが、これでは“限界都市”もあり得ると感じざるを得ない状況でした。乗務員の高齢化も深刻で、「とにかく継続した宣伝をつづけていくしかない」と参加した仲間は共通認識を新たにしました。

写真 写真
ビラを渡し対話をする仲間=5月31日、旭川 車を降りて話を聞きに来てくれる人=5月30日、札幌


賃金制度の問題どう解決する

(共)小池議員が質問主意書

 日本共産党の小池晃参議院議員は6月19、タクシー業界における累進歩合制賃金と乗務員負担制度に関する質問主意書を提出しました。
 質問主意書は、改正「タクシー特定地域特措法」について、改正法の附帯決議では、累進歩合制や乗務員負担の廃止、バランスのとれた給与体系の再構築を行い運行の安全を確保するなどの内容が記されているが、明確に改善したという状況が見受けられないと指摘。そのうえで、4つの質問事項(下)を記しています。

表


実質的な需給調整効果ある

タク免許構想について学習

東京地連

写真
ディスカッションのようす=6月15日、埼玉県秩父
写真
そば打ちを体験する参加者

 【東京】東京地連青年部は6月15〜16日、埼玉県秩父で泊り込みの学習会を行いました。
 講師の本部・菊池書記次長は、はじめにタクシー規制の必要性を説明し、そのうえで、運転免許によって実質的な需給調整効果があると説明しました。また、地連の舞弓副委員長が、自交総連が06年に行ったロンドンタクシーの調査報告を資料に、ロンドンにおけるタクシー運転免許制度について講義、試験システムの概要などを説明しました。参加者は試験の難易度の高さに驚いていました。
 講義の後は、運転免許制度を東京で導入することについてディスカッションを行いました。参加者は自身の経験をもとに活発に議論を交わしました。
 2日目は、そば打ち体験を行いました。悪戦苦闘していた参加者でしたが、できあがったそばを食べ「自分の打ったそばの味は格別」と満足げでした。


高裁 実態無視の不当判決

上告し運動強め解決めざす

静岡・石川タクシー富士宮労組

写真
雨の中、訴えの声を上げる支援の仲間=6月12日、東京高裁前

 【静岡】石川タクシー富士宮労組の会社解散・全員解雇争議で東京高裁は6月12日、一審に続いて会社の責任を免罪する不当判決を言い渡しました。
 予告もなく、再就職の手当てもなく、夜中に車両を撤去し、社屋をバリケード封鎖して、即日解雇を言い渡すというやり方について高裁は、労働者への事前説明や打撃軽減の手続きが取られていなかったと認定しながら、しかし、そのような手続きをとってもそれに見合う成果が期待できない場合は解雇権の濫用とならない、と意味不明な論理で解雇を有効としました。
 同労組と支援共闘会議、弁護団は18日に開かれた全員集会で、不当判決に屈せず、上告して運動も強めて解決をめざすことにしました。


川内原発の再稼働反対

鹿児島県庁前に1000人

写真
川内原発再稼働に反対して集まった人たち=6月13日、鹿児島県庁前

 【鹿児島】九州電力・川内(せんだい)原子力発電所(薩摩川内市)の再稼働めぐって県議会が開かれた6月13日、「6・13県議会『再稼働させない』行動集会」が、県庁前で開かれました。
 1000人以上の参加者が集会や議会傍聴を行い、伊藤祐一郎県知事と県議に再稼働反対を要請。九州電力鹿児島支社までデモ行進し、再稼働をやめるよう申し入れました。行動には、自交総連からも鹿児島地連の仲間4人が参加し、50筆分の署名を提出しました。
 伊藤知事は記者団の質問に対し、避難計画については「(原発から)10キロまでで十分だと思っている。(30キロまでは)作らない」と発言しましたが、30キロ圏内には22万人の市民が暮らしており、要援護者の他自治体への受け入れ体制もできていません。


山田線復旧 JRの責任が問われる

岩手三陸鉄道の復興状況を調査

交運共闘

写真
4月6日に全線復旧、運行を再開した三陸鉄道の車両=6月11日、宮古駅
写真
宮古市の担当課長らとの懇談=6月10日、宮古市役所

 交運共闘は6月10〜11日、岩手県宮古市で震災後の鉄道の復興状況等を調査しました。
 4月に南・北リアス線が全面復旧した第3セクターの三陸鉄道(三鉄)では、震災直後からの復旧への奮闘、乗客を増やす工夫などを聞きました。
 一方で南・北リアス線の中間に位置するJR山田線はいまだに工事さえ始まっていません。赤字路線切り捨ての意図から鉄道復旧に消極的だったJR東は、今年になって復旧後三鉄に移管するという提案をしてきましたが、移管後は線路の維持・運営費補助などで自治体の負担が増します。これをJR東が長期的に支援できるかが課題で、莫大な内部留保を抱えるJR東の公共輸送事業者としての責任が問われています。


増税で運賃上がっても運送収入は低下

14年安全運転実態調査

 2014年の安全運転実態調査がまとまりました。この調査は、労働時間を守って運行するテスト車と通常の営業所平均を比べることで、普段の労働がどの程度オーバー労働になっているかを調べるものです。
 今年は4月から消費税増税により各地とも初乗り運賃が約3%、20円上がっています。しかし、運送収入は各地とも若干の低下となっています。テスト車では、最高の東京が4万2155円、最低の福岡が2万185円でした。大阪を除き通常営業の方が運収で1〜3割ほど高くなっており、その分、労働時間を延長しているということです(上表)。
 過去の推移をみるために、東京の運収と実車率を示したのが下のグラフです。運収は、97年の消費税増税不況、02年の規制緩和、08年のリーマンショックなど節目ごとに大きく落ち込み、運賃は1・5倍以上になっているのに、依然として80年代の水準を回復していないことがわかります。

表

拡大図はこちら

グラフ

拡大図はこちら