自交労働者No.852、2014年10月1日

阻止に向けて全力をあげる

大阪「自由化特区」に抗議

 自交総連は9月17日、大阪府・市が共同で「タクシー自由化特区」提案を行っていることに対し、抗議声明を出しました。

他に波及せぬよう声上げる

城委員長

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 改正法の内容は、規制と規制緩和政策を盛り込んだものになっており、このことがそもそもの問題であると自交総連はこれまで指摘してきた。特定地域に指定されるためには、30万人以上の都市の場合、関係地方公共団体の長の合意が必要とされているが、これを法に盛り込んだ時点で今回のことは想定されていた。今後、他の地方にも今回のことが波及しないよう、ひきつづき声を上げていく。また、事業者側に対しても、法で定められてからという受け身の姿勢ではなく、改正法本来の目的に照らして公共交通機関として求められる業界に転換していくという強い意思を持ってもらい、供給過剰の解消、運転者の労働条件の改善などを実行するよう求めていく。

静観する業界にも警鐘を

大阪地連・秋山委員長(本部副委員長)

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 大阪は、地連発行の機関紙で「タクシー産業をつぶす気か・特区は言語道断・業界挙げた反対運動が求められる」と抗議。いつもの橋下流パフォーマンスだが、静観する業界にも警鐘を鳴らした。現状認識も理解もない橋下市長が、タクシー特措法と改正法の施行に関わった国会議員に対し、タクシーを知らないと馬鹿呼ばわりをし、事業者に対しても既得権の擁護と罵った。市長の言う「新規参入できる基準を満たす優良な会社」がどこの誰なのか影もちらつく。また、根拠もなく大阪の都市格下落の原因がタクシー労働者にあるかのような侮辱的発言をした事は断じて許せない。選挙公約を破り続け、労働組合を弾圧し、中労委・地裁で断罪された自身こそが早期退陣し、大阪の都市格を上げろと言いたい。

(声明)大阪・橋下市長の「タクシー自由化特区」提案に抗議する

2014年9月17日 自交総連

  1. 大阪市は8月29日、大阪府と共同で、「都市格を高める『より良質なサービス』を提供するタクシーに対する規制緩和について」とする国家戦略特区への追加提案を行った。提案内容は、「特区制度を活用し、安全面・接遇面、労働環境などで一定水準を上回る優良な事業者に対して、運賃や台数についての規制を緩和する」というものである。橋下徹・大阪市長は同日の定例会見で、改正タクシー特定地域特措法を「バカげた法律」と非難する一方、運賃や台数についての規制を緩和(=自由化)する特区申請を認めるよう政府に要望すると述べている。
     提案が政府に認められれば、今秋の臨時国会に提出される国家戦略特区法改正案に盛り込まれ、大阪が現実的に「タクシー自由化特区」となることが懸念される。加えて、この問題は改正タクシー特措法にもとづく特定地域指定にも重大な影響を与え、事業の将来にとっても見逃すことができない。

  2. タクシーの規制緩和は2002年2月に実施され、たちまち大量増車や運賃競争の激化で全国的に様々な弊害がまきおこった。とりわけ大阪では、タクシー台数の急増による異常な供給過剰状態に加え、50種類を超えるバラバラ運賃・値下げ競争が発生した。交通事故の増加に加え、名義貸し、「チャブリ」(客引き)などの違法行為も出現し、安心・安全や輸送秩序が損なわれるとともに、運転者の労働条件は大幅に悪化し、貧困化現象が社会的問題となった。
     タクシー労働者や利用者・国民、事業の将来にとって、規制緩和は何ら良い結果をもたらさなかった。こうした規制緩和失敗の反省の上に立って、2009年にタクシー特措法がすべての政党の賛成、全会一致で成立した。その法の下で、一定の規制強化が実現し、さらに昨年、公定幅運賃や特定地域での“強制減車”を可能とする改正法がみんなの党以外の賛成多数で成立した。これには橋下氏が代表を務める日本維新の会(当時)も賛成している。

  3. 橋下氏は「一番サービスの良い、乗務員にとっても労働環境の良いタクシー会社を集める」と主張しているが、規制緩和を適用する事業者の労働条件やサービス水準については、「これから詰める」として何ら具体的な基準は明らかにしていない。むしろ、これまで日本維新の会がワンコインタクシーなど低額運賃政策をとる事業者を評価する国会質問等を繰り返してきたことを思い起こせば、特区では、名義貸し類似行為やリース制など利益を先取りする経営手法が公認されることも懸念される。
     自交総連は、短絡的な発想による大阪府・市の「タクシー自由化特区」提案を断じて容認できない。我々は阻止に向け全力をあげるとともに、安心・安全、誇りと働きがい、地域貢献をはかる政策の実現をめざし奮闘していく決意である。


みんなで団結すれば大きな力に

労働条件改善には組合が必要

1年で5地方6組合が加盟

 自交総連には、この1年間で5地方6組合の新しい組合が加盟しました。困難を乗り越え、解雇撤回や割増賃金の支払い、有休改善など一歩一歩着実に前進しています。組織拡大4か年計画の実践に向け、この1年間に新加盟した組合から3つの組合を紹介します。

地連の闘いぶり見て決意

未組織宣伝全国縦断行動でビラを配布する仲間
未組織宣伝全国縦断行動でビラを配布する仲間

 新たに加盟した6組合の加盟形態は、未組織の組織化が3組合、個人加盟からの結成が1組合、他産別からの脱退が1組合、共闘組合からの加盟が1組合でした。
 加盟に至った理由は、「個人加盟の組合員が周囲にも呼び掛けて結集した」「以前に自交総連の組合があったが消滅してしまい、会社からの攻撃をきっかけに再結成した」などです。再結成した組合は、「前回の反省を生かして今度はしっかりと基礎を固めたい」と決意を語っています。
 そのほか、地連の闘いぶりを見て結集を決意したという例や、組合としての活動だけでなく、自交共済などのとりくみについても合わせて紹介することが効果を発揮したという例も見られました。とくに、組合活動の経験のない未組織の労働者にとって、地連からの助言や資料が役に立ったという声が多く聞かれました。

新加盟組合から一言

権利の上にあぐらをかかず

北海道・長栄交通労組 加藤政則委員長

今年の北海道メーデーに参加した長栄交通労組の仲間
今年の北海道メーデーに参加した長栄交通労組の仲間

 自交総連に加盟してからもうすぐ1年になります。途中で前委員長が退職し、後を引き継ぐこととなりました。地連からは「権利の上にあぐらをかくな」と教えられ、また、情報なくしては交渉もできない≠ニいう教訓にも学び、日々組合員と議論を重ねながら、経営者側ともよく話し合いをできるようになりました。
 これからも、一つでも二つでも労働条件を変えていく決意です。なんとしても仲間を増やし、よりいっそう連帯の力になれるようにがんばっていきます。

絆と力と知恵を結集して

福岡・春吉タクシー労組 小田孝委員長

 今年、私には大きな出会いがありました。それは、自交総連と仲間と法律です。自交総連に入り、労働者の団結の力で職場改善、権利をかちとることができることを知り衝撃を受けました。そして、全国の仲間が、苦しみながらも組合運動に奮闘していることを知りました。当労組は現在、駐停車違反の社内処分(1回目6乗務、2回目2か月間の出勤停止)を適正化するため奮闘中です。安心・安全、生活や環境、人権を守るためには、全国の労働者の絆と力と知恵を結集して共にたたかう必要があります。みんなで団結すれば大きな力になります。

働きやすい職場をめざして

福岡・毎日交通労組 塚本徹委員長

 当労組は、6月24日に結成、同時に地連に加盟しました。当社の経営側は、乗務員不足による稼働率の大幅な落ち込みを理由に、労働条件を改善することが困難と言っています。しかし、いくらタクシー産業の現状が厳しいとはいえ、会社は、最低賃金を払わない、勤務時間が隔勤から日勤に変わると退職金の対象とならなくなるなど、通常では考えられないいい加減な経営をしています。こうした問題を少しずつ正していき、みんなが働きやすい職場づくりをめざしたいと思います。

◎1年間の新規加盟組合

13・10・9 北海道・長栄交通労組
14・2・15 大 阪・なみはや交通労組
  5・1 福 岡・春吉タクシー労組
  6・24 福 岡・毎日交通労組
  7・22 奈 良・服部タクシー労組
  9・11 東 京・省東自動車労組

注)機関紙に掲載していない組合は含まれていません。


各地の大会

責任持ってやれるかが重要

山口第51回大会

山口地連大会で講義する本部の今村書記長=9月18日、下関市勤労福祉会館
山口地連大会で講義する本部の今村書記長=9月18日、下関市勤労福祉会館

 【山口】山口地連は9月18日、下関市勤労福祉会館で、第51回定期大会を行いました。大会では、本部の今村書記長が講義、「決める事は簡単だが、本当にできるのか。責任を持ってとりくめるのか。地連の力量が問われている。組合の基本を身につけ、力に変えなければならない」と強調しました。新年度運動方針は、全会一致で可決されました。
 委員長=坂本一雄▽副委員長=守重正一▽書記長=川端輝彦(いずれも再任)


新加盟のなかま  (831) 東京・省東自動車労組

全員組織化めざし奮闘

 【東京】共闘組合だった板橋区の省東自動車労組(直井信一委員長、126人)の正式加盟が、9月11日の東京地連中央委員会において確認されました。
 組合員数は全乗務員190人うち126人。全員の組織化をめざして奮闘中です。直井委員長は「これを機に組織強化・拡大をより進めて学習会や諸行動に複数で参加し産別運動の一翼を担えるようにしたい」と決意を語っています。