若者に夢と希望を与える業界へ
労働組合の存在意義かけた闘い
第37回中央委員会
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春闘勝利をめざし団結がんばろうをする参加者=1月28日、東京・全労連会館 |
自交総連は1月27〜28日、東京・全労連会館で、『勝ちとれ賃上げ、変えよう政治、くらしと職場の危機突破 2015年春闘』をスローガンに第37回中央委員会をひらき、春闘方針を決定しました。中央委員会では16人が発言、活発な議論が交わされました。決定した春闘方針では、労働条件改善の「公約」履行にかなう特定地域の指定と“まともな行政対応”を厳しく追及することなどが確認されました。
城委員長あいさつ
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城委員長 |
今春闘は、労働組合の存在意義をかけた闘いが求められています。安倍首相は、昨年につづき、経済界に賃上げ要請をし、経団連も一定程度応じる姿勢を示しています。
本当に景気をよくし、賃金を上げようとするならば、最低賃金の大幅引き上げで社会全体の賃金の底上げを図ること。非正規から正規への転換を図ること。そして、それが実行できるような中小企業への助成などの政策を打ち立て実行するべきです。
安倍首相の賃上げ要請は、私たち労働組合からすると、労働者を分断し、労働組合の団結を崩し、形骸化を狙っているという側面もあるのではないかとさえ思えてしまいます。首相が賃上げを要請して賃金が上がるならば、労働組合の存在意義はありません。賃金・労働条件の改善は、降ってくるものではなく、労働組合がたたかって勝ちとるものだからです。
改正特定地域特措法の実態
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20地方106人が参加してひらかれた自交総連第37回中央委員会 |
国交省が公表した特定地域の指定基準案は、政府の諮問機関である規制改革会議の意向を受けたもので、実働実車率といった新たな指標を持ち出し、東京などを外すことを前提に作成された感が強く、極端に稼働が落ち込むか実車率が低下していないと指定されないといった内容です。適正化活性化法の下で努力した所が外れた形となっており、立法趣旨と大きく離れてしまっています。
社会的水準の賃金・労働条件を確立するためには、平和な社会であること、国民生活が豊かなこと、乗務員と利用者が優遇される制度の確立が重要です。若者に夢と希望を与える業界になってこそ、「労働力不足」の問題も解決します。
自交総連は40年にわたって諸外国のタクシー事情の調査・研究を行ってきました。その上で、個人資格を基本とした「タクシー運転免許」構想を打ち出しています。私たちの政策の優位性、運動の正当性に確信を持ち奮闘しましょう。
今日の情勢は、何が起きても不思議ではありません。自交総連の運動を前進させ、規制緩和への逆流を押し返し、規制強化の方向を確かなものとするためには、組織の強化・拡大が重要です。力をあわせて自交総連を強く大きくしていこうではありませんか。
全員参加の春闘で大幅賃上げかちとろう
各地のとりくみ交え議論
中央委員会討論 13地方16人が発言
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提案議案を採決する参加者 |
賃下げ「合理化」はね返す
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(1)野さん |
(1)北海道・野正之さん 今春闘では、逆提案をしてくる事業者が多く出てくることが予想されます。減車もせず、乗務員に劣悪な労働を強いておきながら、「会社が大変だ」は通用しません。賃下げ「合理化」をはね返し、大幅な賃上げを要求してたたかう決意です。また、春闘と並行してたたかわれる統一地方選挙では、地方から政治を変えるため全力で奮闘します。
支部同士協力してがんばる
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(2)後藤さん |
(2)山形・後藤一司さん 山形にある2支部は自主経営組合です。消費税の引き上げや米価の下落によって利用者が減少、経費もふくらむ一方で、ベースアップができない苦しい状態がつづいています。乗務員の確保がむずかしく、組合員の高齢化も問題になっています。支部同士で協力し、対策を検討してがんばっていきたいと思います。
若い人入る良い労働条件を
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(3)山崎さん |
(3)福島・山崎良博さん タクシーは「労働力不足」が深刻化しているといわれていますが、福島市内でも約100人が不足しているといわれています。労働条件が良くならない限り、若い人は入ってきません。
今年で結成20周年を迎える福島地連は、組合員の減少というきびしい状況にありますが、元気だけは失わないように心がけて奮闘していきます。
2万人自交総連めざし団結
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(4)石野さん |
(4)埼玉・石野正英さん 今春闘では、累進歩合制度、足切りの廃止を最重要課題と位置付けています。93号通達や特措法の附帯決議などを活用して交渉を行っていきます。
組織拡大の遅れは、闘争力の低下と運動推進の足止めにもなりかねず、タクシー運転免許など政策要求の実現もむずかしくなります。2万人自交総連の回復をめざし、団結して組織拡大にとりくみましょう。
交通基本法で移動権保障を
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(5)舞弓さん |
(5)東京・舞弓義隆さん 春闘方針に加えて、国民の移動権を規定する交通基本法の実現を前進させることを要求します。法律に「移動権」の文字が入れば、国がそれを保障しなければならなくなります。それにより、運転者の資質向上が求められることとなり、自交総連が掲げるタクシー運転免許への接近にも結びつきます。
争議勝利めざし1万筆署名
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(6)氏原さん |
(6)静岡・氏原正行さん 石川タクシー富士宮の予告なしの解散、全員解雇の争議は、足かけ5年目の闘争となりました。これまでの宣伝、抗議行動にひきつづき、最高裁にも署名を提出したいと思っています。今回は1万筆を集めることを意思統一しました。勝利判決が出されるよう、皆様のご支援をお願いします。
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各地からの発言を聞く参加者 |
志持ち組織拡大へとりくむ
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(7)林さん |
(7)なら・林克己さん 奈良では、タクシー経営者から、自交総連の組合は作らせないと言われていましたが、今後も組織を大きく前進させていく決意です。志を持ってとりくみ、若手の専従者、幹部の育成にも力を入れていきます。
3、4月に組織拡大と、不当に雇い止めされている服部タクシーの組合員についての署名にとりくむ大宣伝行動を計画しています。
特措法には期待できない
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(8)中村さん |
(8)福岡・中村朗さん 改正タクシー特定地域特措法は、供給過剰の抑制に期待できるものではありません。あらゆる方法で運動を構築し、改善の糸口を自分たちで切り開いていく必要があります。
福岡地連は今春闘で、地域との結びつきで労働条件と利用者サービスを高めること、最低賃金を払わない悪質事業者を一層する運動を通して組織の強化・拡大を図ることを中心にたたかいます。
災害協定締結にむけ運動を
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(9)松村さん |
(9)東京・松村知治さん 行政と災害防災協定を結ぶ事業者が全国的に増えてきました。東京でも、いくつかの事業者が協定書を交わしています。事前に協定書を結んでいれば、避難所にタクシーが駆けつけ、負傷者を搬送することができます。これは公共交通機関としての社会的責任を果たすチャンスです。ぜひ、すべての単組で協定締結にむけた運動を進めていただきたいと思います。
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資料に目を通す参加者 |
若年層にたたかう姿見せる
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(10)足立さん |
(10)神奈川・足立光信さん 支部では高齢化が進んでいます。未組織の乗務員にどうやって加盟してもらうかを考え、速やかに実践しなければなりません。そのためには、労働組合の意義を理解してもらうことが重要です。また、組合活動に時間をとられたくないと考えている若年層もいるようですが、まず自分たちのたたかう姿を見せる必要があります。
全国バス部会設立へ連帯を
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(11)山本さん |
(11)大阪・山本雅弘さん 厚労省は80時間を超える残業をきびしく取り締まるとしていますが、改善基準告示は80時間を超える残業を許しています。行政に対し、緩すぎる改善基準告示を改定するよう運動していきます。3月には宮城でバスのシンポジウムを企画しています。全国バス部会設立にむけて連帯を強めていきましょう。
労働相談から組織の拡大へ
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(12)横田さん |
(12)高知・横田春吉さん ヤマトホームコンビニエンスの労働者から時間外割増賃金をもらっていないとの相談を受け、全労連四国地区協議会で対応し、組合員を増やすことができました。同社の非正規労働者は四国に多数おり、組織拡大につなげていければと考えています。
労働者の権利守るため奮闘
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(13)平田さん |
(13)鹿児島・平田政廣さん 昨年12月の賞与で、会社は、設備投資などで赤字だからという理由で減額提案、組合のない4営業所の賛成があったとして減額支給しましたが、非組合員も反対の意見を持っていました。そこで、白紙撤回の署名活動をしたところ、所長が乗務員を呼び出し、署名をしたか問いただす不当介入をしています。労働者の権利を守るためがんばります。
総括討論
希望を持って働ける業界に
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(14)冨中さん |
(14)宮城・冨中有さん 特定地域の指定基準案では、仮に仙台が指定されても、200台ほどの減車で指定基準を外れてしまいます。問題解決にはタクシー運転免許が必要です。
事業者に対しては、若い人が入ってくるよう、基本給を設けることや家族手当をつけることなどについて、労使協議で話し合うことを提案しています。自由に意見交換ができる場をつくり、希望を持って働ける業界にしたいと思います。
橋下・維新政治終わらせる
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(15)松下さん |
(15)大阪・松下末宏さん 大阪のタクシー乗務員の高齢化は深刻で、労働条件のきびしさから、若者や働き盛りから見放されています。固定給を設けるなど、安定した賃金への改定が緊急課題です。
統一地方選挙では、安倍「暴走」政治と対決し、橋下・維新「強権」政治の終えんをめざします。共闘を前進させ、労働者・国民が安心して暮らせる日本、大阪の再構築にむけ全力をあげて奮闘する決意です。
運転者優位のしくみ確立へ
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(16)平澤さん |
(16)東京・平澤収さん 今春闘で東京地連は、公共交通機関として、経営者の社会的責任を履行させる闘いと春闘要求を結合してたたかいます。地域貢献と運転者優位のしくみの確立にむけ、労働条件改善要求を柱とした産業別労働協約の締結をめざす集団交渉を追求します。
また、東京を特定地域に指定させる運動、安心・安全をおびやかす規制緩和を許さない闘いを構築します。
賃上げ、実利・実益の確保を
組織増めざし対話と宣伝広げよう
執行部答弁
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今村書記長 |
執行部答弁に立った今村書記長は、総括討論3人を含む16人の発言内容にふれながら、まとめを行いました。
同氏は第1に、自由に移動する権利(交通権)とタクシー規制緩和の関係について言及。規制緩和は、都市部には供給過剰にもとづく貧困化の進行や安心・安全と環境の破壊をもたらしてきたが、郡部等では廃業、撤退を引き起こし、移動の権利そのものを奪ってきたと指摘しました。
その上で、混迷を深めている改正特措法の実効性も念頭におきながら、新しい視点からの政策提起と運動の方向性がこの春闘で試されると述べました。
第2には、権利意識を高める学習と宣伝を重視することの意義について強調。交通事故負担金や運転者負担制度の廃止等の課題においては、地域的一掃の視点での闘いなしに大きな前進をかちとることはできないと述べました。
また、くらしと職場の危機突破にむけて、犠牲転嫁の「合理化」に反対し、賃上げ獲得、実利・実益の確保をめざす闘いに全力をあげようと呼びかけました。
第3は、組織強化拡大推進4か年計画3年目となる15年春闘で、反転攻勢、組織増への道筋をつけるに値する成果をめざし、すべての地方組織が奮闘することの大切さを強調。未組織宣伝用のぼり旗を活用し、対話と宣伝を各地で広げようと訴えました。
2015年春闘アピール
自交総連は本日、『勝ちとれ賃上げ、変えよう政治、くらしと職場の危機突破 2015年春闘』をスローガンとする春闘方針を決定した。
安倍政権の経済政策・アベノミクスによって、内需は温まるどころか個人消費が押し下げられる結果となり、タクシー・ハイヤーの需要は大きく落ち込んでいる。昨年1月に改正タクシー特定地域特措法が施行され、公定幅運賃や新特定地域制度が導入されたが、営収増につながる有効な手立てとして機能していない。経営者は、目先の利益のみを優先する事業活動に終始し、その犠牲は労働者に押しつけられている。倒産・廃業は増加傾向にあり、労働条件の悪化、人手不足、運転者の高齢化と相まって事業の将来が危ぶまれている。
自教では、入所者の減少を背景に、激化する料金値引き競争のもと、パートや契約指導員の導入、長時間労働の押し付け、賃金削減や労働者の権利を奪う攻撃が激しくなっている。観光バスでは、コスト削減のために運転者の賃金・労働時間・雇用が急速に悪化し、相次ぐ重大事故が社会問題になっている。
くらしと職場の危機を打開するためには、団結してたたかう以外に道はない。劣悪な労働条件への怒りを組織し全員参加でたたかえば、必ずや要求実現の展望を切り開くことができる。
今春闘は、タクシー・ハイヤー、観光バスにとって、売り手市場という有利な条件のもとでたたかわれる。すべての職場で切実な要求を前面に掲げ、「労働組合があってよかった」と、成果を実感できる春闘にしていこう。
多くの悩みや不満をもつ未組織・未加盟労働者は増加している。こうした仲間に手をさしのべ、情勢や自交総連の運動を伝え、一人でも多くの仲間を結集しよう。組織の力をつけ、魅力ある自交総連とするために、職場・地域から集中した組織拡大のとりくみを開始しよう。
今春闘は、統一地方選挙と重なり、地方から政治の流れを変えるための重要な闘いとなる。組織された労働者の力を生かし、広範な労働者・国民との共同で政治の民主的転換をめざそう。安倍暴走政治に痛打を与え、安心・安全な地域社会を築くためにともに奮闘しようではないか。
解雇事件、行政訴訟など報告
29人の弁護士・修習生が参加
第37回 関係弁護士交流会
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第37回関係弁護士交流会=1月26日、東京・全労連会館 |
1月26〜27日、東京・全労連会館で、自交総連第37回関係弁護士交流会がひらかれ、29人の弁護士・修習生が参加しました。
交流会では、本部顧問弁護団の小部弁護士が「関係弁護士交流会の発展をめざして」と題して基調報告を行い、弁護士交流会の今後にむけて、参加者からの意見や問題提起を求めました。
続いて特別報告として、(1)なみはや交通労組・不当解雇事件=大阪・藤木邦顕弁護士、(2)関鉄タクシー労組・不当解雇事件=茨城・谷萩陽一弁護士、(3)三共自校労組・中労委の不当命令取消の行政訴訟=神奈川・伊藤幹郎弁護士の3つをとりあげ、報告がありました。
また、参加各弁護士からも各地の事件について報告がされ、これからの闘争などについて交流を深めました。
参加者が思い出語り合う
故 中山喜一郎さんを偲ぶ会
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全国・各界からの参加者が中山さんの思い出を語り合った=1月28日、東京・全労連会館 |
自交総連元委員長・東京地連書記長だった故中山喜一郎さんを偲ぶ会が1月28日、全労連会館で行われ、全国・各界からの参加者が中山さんの思い出を語り合いました。
中山さんは1929年生まれ、51年から東京でタクシー運転者となり労働運動に身を投じ、76年から東京地連書記長、90年から本部委員長を務め、自交労働運動の発展に多大な貢献をし、昨年7月に亡くなりました。
偲ぶ会では、中山さん、故福永さん(元委員長)とともに闘った菅頭康夫元委員長、緒方靖男日本共産党副委員長、小部正治弁護士らが回顧の言葉を述べ、原則的でかつ柔軟な姿勢で労働者の利益を守るために一生をささげた中山さんの思い出を語りました。