自交労働者No.860、2015年2月15日

労働条件改善の約束を果たせ 特定地域の指定に責任ある対応を

横断幕でアピールする大阪の仲間=2月2日、近畿運輸局前
横断幕でアピールする大阪の仲間=2月2日、近畿運輸局前

 自交総連は1月30日〜2月2日、全国いっせい宣伝行動にとりくみました。この行動は2002年2月1日にタクシー規制緩和(道路運送法改悪)が実施されたのを忘れず、安全で乗りやすいタクシーの実現、運転者の労働条件の改善を求めて毎年実施しているものです。春闘総決起の呼びかけと労働条件改善、輸送の安心・安全、実効ある規制強化における政府・行政、企業の社会的責任を追及する宣伝戦としてとりくみました。

いっせい宣伝行動
全国でビラまき、対話

待機中のタクシーにビラを配布する宮城の仲間=2月2日、仙台駅
待機中のタクシーにビラを配布する宮城の仲間=2月2日、仙台駅
窓を開けビラを受け取ってくれる乗務員=2月1日、福島駅
窓を開けビラを受け取ってくれる乗務員=2月1日、福島駅
ビラを手渡し説明する東京の仲間=2月2日、新宿駅
ビラを手渡し説明する東京の仲間=2月2日、新宿駅
ビラを手渡す神奈川の仲間=2月2日、横須賀市内
ビラを手渡す神奈川の仲間
=2月2日、横須賀市内
待機中の乗務員に声をかける福岡の仲間=2月2日、博多港国際ターミナル
待機中の乗務員に声をかける福岡の仲間=2月2日、博多港国際ターミナル
乗務員と対話する鹿児島の仲間=2月2日、鹿児島中央駅
乗務員と対話する鹿児島の仲間=2月2日、鹿児島中央駅

 【宮城】宮城地連は2月2日に仙台駅前で実施しました。宣伝カーからは、地連の本間委員長が、改正タクシー特定地域特措法の問題点を説明し、タクシー運転免許の早期実現こそが労働条件改善への道であると呼びかけました。行動には建交労の仲間も支援にかけつけ、トラック業界でも問題になっている規制緩和の弊害について訴えました。
 【福島】福島地連は2月1日に実施しました。この日は、雪と強風で新幹線が止まった影響で、市内、駅ではすぐに実車となり、短い時間の対話でしたが、「アベノミクスはダメだ」「消費税が上がって生活が大変」などの意見が多く聞かれました。
 【東京】東京地連はゾーン形式で実施、各ブロックが主要ターミナル駅での宣伝にとりくみました。乗務員との対話では「消費税増税の影響がはっきり表れ、景気も悪すぎる」「カード手数料負担は撤廃するべきだし、まだまだ車も多いね」「12月は少しよかったけど、年が明けたらきついよ」などの声が聞かれました。
 【神奈川】神奈川地本は2月2日、3ブロックに区分けして実施しました。消費税増税の影響で上がらない営収に悩む声が多く、「減車をすぐにでも実施させるよう行政に働きかけてほしい」と強い要望もありました。こうした状況を打破するため、みんなで協力し合い、タクシー運転免許を早急に実現することが必要だと感じました。
 【大阪】大阪地連は2月2日、近畿運輸局前での宣伝行動、同局および大阪労働局への要請行動にとりくみました。大阪地連の秋山委員長は「01年当時からわれわれは供給過剰を再三指摘してきた。国交省は規制緩和の失敗を認め、規制改革会議に迎合せず、特措法の趣旨である労働条件改善の約束を果たせ」と指弾しました。
 【福岡】福岡地連は2月2日に実施、駅や空港の乗り場を回り、ビラを配布しました。運賃裁判の行方などを気にしている方が多く、同一地域で運賃にバラつきが出ることを懸念していました。
 この日は、市民病院不当雇止め裁判傍聴支援、福岡市要請行動とも連携し、一日を通した行動となりました。
 【鹿児島】鹿児島地連は2月2日に宣伝行動を行いました。対話した乗務員からは、「売上が減少してやっていけない」「1日の平均が7千円くらいで今日は昼から620円が2回、どないしよう…」などの声が聞かれました。また、「あなたたちが回ってきてくれるから話すことができる」「組合を組織していくのは大変だろうけど、がんばってほしい」といった激励の言葉もいただきました。

労働条件改善に役立つ規制が必要

法の目的を外れ指定地域を限定

特定地域指定基準

 改正タクシー特定地域特措法にもとづく準特定地域の需給状況と適正車両数が1月27日に各運輸局より公示され、30日には特定地域の指定基準が決まりました。

需給状況の公示

 【解説】全国153の準特定地域の需給状況は、改正特措法で毎年8月に公示するとされていたものが特定地域指定基準策定の遅れで延ばされていたものです。
 主な地域の状況は左上の表のとおりで、実車キロの最近5年間の動向などから算出されます。必要車両数というのはほぼ適正車両数の下限と一致し、この数が実在車両数より多ければ増車が可能となり、全国で福島・郡山と新潟・新発田で増車可能枠が出ました。

特定地域指定基準

 昨年末からパブリックコメントを募集していた特定地域の指定基準は1月30日、ほぼ原案どおりに策定されました。
 需給状況の公示で示された適正車両数の上限を上回っている地域は指定されず、その他に左下の表に書いてある実働実車率や実車キロ・営収などの指標が基準となります。
 東京特別区と大阪市域で試算したものが同表の下二つです。東京は実働実車率の指標が条件をクリアできず指定されない見込みです。大阪は指標はクリアしていますが、協議会の同意などのハードルが残っています。

法改正の趣旨逸脱

 この指定基準は、規制強化を敵視する規制改革会議が昨年6月に、特定地域は台数で全国の半数を有意に下回るようにせよなどと横槍を入れたものをそのまま受け入れて、なるべく特定地域が少なくなるようにつくられたといわざるを得ないもので、自交総連ではきびしく批判する評価と意見(ホームページの闘争情報参照)を出しました。
 運転者の労働条件を改善するために供給過剰地域を特定地域に指定して減車等を行うという改正特措法の本来の目的からは、大きく外れた基準となったことは、国会でもきびしく検証されなければなりません。
 適正な基準に改めさせるとともに、原点に立ち返って、規制緩和の害悪を真剣に反省し、適切な規制のあり方、運転者の数で調節するタクシー運転免許の法制化を含めた新たなタクシーのあり方を検討するべきです。

表
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2015春闘アンケート 職場の不満を要求にまとめよう

賃金への不満がダントツ

長時間労働が安全運転に悪影響

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 自交総連の15春闘アンケート結果を紹介します。
 【回収率】回収枚数は23地方8458枚で、回収率は47・9%でした。前年より143枚減っています。
 組合員の声を把握し、春闘での要求をまとめていく上で大切なアンケートとして、各地方は回収率の向上へ奮闘をお願いします。

60歳以上が48%

 【年齢】ハイタクの平均年齢は前年より0・3歳下がって57・1歳でした。
 ハイタクの高齢化は進行しており、07年に33%だった60歳以上は49%に達しています。

◎ 年齢構成(全体)
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◎ タクシー・ハイヤー乗務員の年齢構成の推移
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【雇用形態】定時制・嘱託、派遣、その他を合わせた非正規雇用の割合は28%でした。6年前のアンケートでは19%でしたから、着実に増えています。

76%が生活苦しい

 【生活実感】「かなり苦しい」と「やや苦しい」を合わせると76%で前年より1%減、「まあまあ」が前年と同じ20%でした。年金を受給しつつ勤務している人などが多いからと思われます。
 それでも、苦しいが7割を超えるのは、他の単産が5〜6割程度なのと比べると特別多い数字です。

◎ 生活実感
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8割が増税に反対

 【消費税増税と安倍政権について】消費税増税について聞いたところ、反対が80%(前年71%)と圧倒的多数でした。
 安倍政権の政治運営と政策については、「不安」47%と「やや不安」25%を合わせた72%の人が不安を感じているという結果でした。

◎ 消費税増税について
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◎ 安倍政権について
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25%が居眠り経験

 【運転への影響】タクシー、バス等の運転乗務員に、運転中の経験を聞きました。
 「よくある」と「時々ある」を合わせた割合は、「交通事故を起こしそうになった」がタク60%、バス34%、「安全確認がおろそかになる」がタク55%、バス41%、「居眠り運転をしたことがある」がタク25%、バス14%となりました。
 居眠り運転の経験がタクシーで4分の1もあるという結果です。安全が求められる公共交通機関ではあってはならない数字です。
 居眠り運転や安全確認がおろそかになるのは、疲労によるもので、その原因は長時間労働です。適切な労働時間(休息期間)の規制と、労働時間を守って働いても最低限の収入が確保できるように労働条件を改善しなければ、安全は確保できません。

◎ 仕事で運転中の経験(タクシー乗務員)
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◎ 仕事で運転中の経験(観光バス乗務員)
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73%が賃金に不満

 【職場での不満】上位3つは、(1)賃金が安い73%(2)有休が取れない26%(3)強盗等の不安25%でした。
 定時制・パートに限った要求では、(1)契約更新の不安26%(2)正社員との格差17%(3)労働時間短い15%でした。
 春闘要求のなかで重視する必要があります。
 賃金が安いというのはほぼ全地方で1位ですが、2位以下は地方によって異なっています。自己負担が多い、割増賃金不払いなど、労働者の権利が侵害されているケースもあります。地方ごとに不満の内容を把握し、要求にまとめていくことが大切です。

◎ 職場での不満(複数回答)
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再稼働のスイッチ押させない

川内原発再稼働阻止へ3000人

集会には全国から約3000人が参加=1月25日、鹿児島市・天文館公園
集会には全国から約3000人が参加=1月25日、鹿児島市・天文館公園

 【鹿児島】1月25日、鹿児島市の天文館公園で、「ストップ川内原発再稼動! 1・25全国集会」が開かれました。集会には、九州各県はじめ全国各地から約3000人が集まり、「再稼動のスイッチは押させない!」という想いを確認。その後、市の中心街をデモ行進しました。
 九州電力は、昨年9月に原子力規制委員会に、川内原発は「新基準に適合する」と判断されてから、昨年内の再稼動をねらっていましたが、反対運動の高まりによって延期さざるを得ない状況になっています。
 この行動には、鹿児島地連からも5人が参加しました。集会では、岩井観光労組の日高あやめさんが、アピール提案を読み上げ、大きな拍手に包まれました。

デモ行進する鹿児島の仲間
デモ行進する鹿児島の仲間