自交労働者No.865、2015年5月1日

要求獲得へ最後までたたかいぬく

行動強化し追い上げをはかる

春闘最終決着へむけ奮闘

4・17中央行動でデモ行進する東京の仲間
4・17中央行動でデモ行進する東京の仲間

 自交総連の2015年春闘が終盤戦を迎えています。要求獲得にむけて最後の追い上げに奮闘する各地の仲間に、進ちょく状況と決着にむけた今後のとりくみについて報告してもらいました。

経営難続く中小企業で苦戦

 【北海道】北海道では、各単組が統一要求をいっせいに提出しましたが、4月23日現在、妥結組合はありません。回答については、ほぼ現状維持で、何社かが逆提案を示しています。ベア回答を出す大企業とは裏腹に、経営難が続く中小零細では、春闘どころではないといった状態で、札幌交通圏では、1〜3月の営収がここ数年なかったほどの大幅なマイナスでした。
 しかし、こうした現状にめげることなく、引き続き「労働条件の改善・賃上げは事業者の社会的責任であること」を第一に、解決を迫り、春闘勝利をめざし奮闘する決意です。

賃金体系改善が大きな課題

 【宮城】要求実現にむけ、各単組が団交にとりくんでいます。個別の交渉では打開がむずかしい面もあるため、今後は集団交渉の実現にむけてとりくみを強めていきます。
 新規の労働者が入ってこない中、稼働率が低下しており、減車や適正運賃を求めるのと同時に、賃金体系の改善が大きな課題となっています。とりわけ、最賃をベースとした固定給設定を追求しています。経営側は「固定給をつけると年金をもらっている人が働かなくなる」「水揚げ以上に給料を持っていく人が出てくる」などと難色を示しています。しかし、中には「若い人を入れるためには固定給が必要」との見解を示す経営者もおり、こうした声をいかに広げていけるかが鍵になりそうです。

統一行動で追い上げはかる

東京ハイヤータクシー協会との交渉=4月10日、都内
東京ハイヤータクシー協会との交渉=4月10日、都内

 【東京】要求提出状況(4月22日現在)は、71組合中58組合で、了解および了解の方向は6組合です。主な回答内容は、生産協力金などの直接的な有額回答のほか、カード手数料全廃や足切り減額など間接的なものも見られます。そのほか、カーナビ全車入れ替えや、車内カメラ全車設置など職場要求の前進もあります。
 地連としてのとりくみでは、行政・関係団体への要請行動(ハイヤー・タクシー協会、労働局、東京都・警視庁、タクシーセンター、関東運輸局交渉)を実施しました。
 今後は、4月末決着にむけ、4月23日〜25日のゾーンで門宣・明け集、全集にとりくみ、追い上げをはかります。

三役同席の団交で解決迫る

乗務員にビラを渡す大阪の仲間=4月17日、なんば駅
乗務員にビラを渡す大阪の仲間=4月17日、なんば駅

 【大阪】今春闘は、近年続く営収減の影響を労使が認識している中での闘いになります。ここ数年の春闘アンケートの結果を見ても、賃上げ要求額1万円が一番多い回答になるなど、現場の疲弊が如実に表れています。
 要求提出状況(4月22日現在)は、タクシーが27組合中25組合、技職・職場2組合中2組合、バス5組合中3組合。妥結は、タクシー2組合、バス1組合です。一部を除き団交は行われているものの、総じてゼロ回答に等しい内容で、長期化が懸念されます。主な妥結内容は、現行労働条件プラス職場要求を獲得したうえで、5千円〜2万円の解決金の獲得などです。今後、宣伝行動を強化し、三役同席の団交で解決を迫っていきます。

組合結成後初めてベア獲得

 【福岡】福岡では、1組合が妥結し、他の組合は団体交渉を継続しています。
 妥結した甘木観光労組は、ベースアップを重点要求として団交にのぞみました。昨年の長崎国体などの特需により一定の収益増があったことを理由にベア回答を強く要求。2回目の団交で、固定給社員の基本給1000円アップ。タクシー乗務員は1000円分の賃率を上げることで妥結しました。ベースアップの獲得は組合結成後初めてです。
 交渉を継続している組合は、燃料代負担が減っている分を賃金改善に回すよう主張しており、ほとんどの会社が「ゼロ回答はしない。何らかの改善は検討する」と返答しています。

働くルールの破壊許さない

800人が省前要求行動、デモ行進

全労連・国民春闘共闘 4・17 中央行動

国会周辺をデモ行進する参加者=4月17日
国会周辺をデモ行進する参加者=4月17日

 全労連・国民春闘共闘は4月17日、「15春闘勝利4・17中央行動」を実施し、国会議員要請、厚生労働省前要求行動、国会請願デモを展開しました。
 午前中は、「労働法制改悪反対、最低賃金制度の改善、交契約法の制定など長時間労働の抑制と良質な雇用の確立を求める」国会議員要請行動を実施。公務・民間・地域から参加した仲間がそれぞれ議員事務所を訪問し、要請書を渡しました。
 午後1時から厚労省前で行われた要求行動には約800人が参加、東京地連からは19組合93人が参加し、「すべての労働者の大幅賃上げを!」「働くルールの破壊は許さないぞ!」などと声を上げました。
 その後、国会までデモ行進を行いました。この日は、翁長沖縄県知事と安倍首相の会談が行われる日でもあり、翁長知事を激励する行動の参加者と「新基地建設反対」のエール交換が行われるなどの一幕もありました。

厚労省にむかってシュプレヒコール
厚労省にむかってシュプレヒコール

労働条件改善の約束果たせ

特措法の実態を伝える

大阪地連統一行動

賃上げや減車などのスローガンを掲げたトラック、ダンプ、タクシー車両が行進=4月5日、仙台市
宣伝カー上から訴える大阪・秋山委員長とビラを配る仲間=4月17日、新大阪駅

 【大阪】大阪地連は4月17日、自交総連全国統一行動の一環として、新大阪駅、南海なんば駅、堺東駅で宣伝行動を展開。30人が参加して「国は労働条件改善の約束を果たせ」とアピールしました。
 マイクを握った地連・秋山委員長は「国交省が規制改革会議の圧力に屈して(改正タクシー特定地域特措法を)骨抜きにしてしまった」「新特定地域には、6つもの要件を満たさなければ指定されず、指定されたとしても機能しないよう幾重にもハードルが盛り込まれており、はらわたが煮えくりかえる」と語気を強めました。
 さらに、「地域協議会を前にタクシー協会が揺れており、特定地域指定同意でまとまるか先を見通せない」「大阪市域が指定されるよう協会は結束すべきだ」と訴えました。

賃上げめざし一緒にたたかおう

公務・民間の仲間が共同で宣伝

模擬団交を行う大阪の仲間=3月31日、大阪・自交会館
道行く人にビラを配る公務・民間各組織の仲間=4月16日、東京・有楽町マリオン前

 4月16日、全労連主催の「公務・民間共同宣伝行動」が東京・有楽町で行われました。
 この行動は、全労連が設定した「統一行動ゾーン」(4月15〜17日)の一環としてとりくまれたもので、公務・民間の労働組合が共同して、道行く人にビラの入ったティッシュを配ったり、「労働組合に入って一緒にたたかいましょう」と呼びかけました。宣伝カーの上では各単産の代表がマイクを握り、自交総連本部の菊池書記次長が、大幅賃上げや最低賃金の引き上げなどを訴えました。
 帰宅時間ということもあって通行人が多く、時おり足を止め発言を聞く人や、話しかけてくる人もおり、職場環境や生活の悪化、政治への不満などが聞かれました。

千葉3地域で「不同意」

特定地域候補 協議会での合意状況

 タクシー特定地域特措法にもとづき特定地域の候補とされた29地域のうち、千葉県の京葉、東葛、千葉交通圏の地域協議会が4月10日にひらかれ、特定地域の指定に同意しないことを議決しました。特定地域になるには協議会の同意が条件なので、3地域は特定地域にはならず、準特定地域のままとなります。
 京葉と東葛の協議会に出席した自交総連千葉地本の小林委員長は「労働者は生活保護以下の賃金になっている。労働条件改善のために減車をすべき」と主張しましたが、事業者のなかでは不同意が8割(台数ベース)を占めました。
 【解説】改正特措法は昨年1月に施行されましたが、今年1月にようやく29の特定地域候補が決まりました。
 本来、同法は、運転者の労働条件改善のために、実効性のある減車等をすすめる特定地域を定めるはずのものでした。しかし、その特定地域が規制改革会議の横やりで絞られたうえ、候補となっても不同意地域がでたのでは、何のための法改正だったかということになります。
 千葉の事業者の多くは、減車はしたくないという意向だったとされますが、労働条件の改善は行わず、減車もしないのでは、わがままとしか言いようがありません。他の地域でも不同意が出る可能性があり、事業者自身が働きかけて議員立法で成立した改正特措法の意味が問われます。
 仙台市など6地域では同意され、運輸審議会に諮問されることになります。

表

産別を超え7団体が団結

東京ハイタク労組代表者会議発足

 4月8日、東京のハイタク労組7団体の代表が都内で会合を開き、「東京ハイタク労働者会議」を立ち上げました。
 会合は、特定地域指定問題にかかわって東京地連の呼びかけで開催されたもので、会議設立の目的を「東京に集うすべてのハイタク労組が労働者の社会的地位・経済的地位の向上をめざす」とすることで現段階での合意を形成しました。会議には代表者を置かず各団体が横並びの体制で協議し、協力できる部分については前向きにとりくむ方向性などを確認。当面の重要課題は地域協議会の分科会への対応。行政への圧力、利用者へのアピールも強化していく方針です。
 参加を決めた7団体は、自交総連東京地連、KPU東京地連、全中労東京、私鉄東京ハイタク労連、中労協、新運転東京、交通労連東京都支部です。


時代に対応し変化できる組合に

政策闘争と産別運動の必要性学ぶ

東京地連 ATUカレッジ

班ごとに討論する参加者=4月15日、東京・南部労政会館
班ごとに討論する参加者=4月15日、東京・南部労政会館

 【東京】東京地連は定期的に行っている学習会のATUカレッジを4月14、15の両日に開催し、計47人が参加しました。今回のテーマは「政策闘争と産別運動の必要性」で、本部の菊池書記次長が講義を行い、4、5人の班に分かれて討論しました。
 【参加者の感想】
 ◇グループ討議で企業主義の克服の意識を三役が持つことが大事だと解りました。交渉で要求をかちとっていけるよう自身もがんばってまいります。
 ◇組織拡大と共同の発展がなければ政策闘争は絵に描いた餅になる。これからの時代に対応して変化できる組合にならないと拡大は困難になると思います。私個人では微力ではありますができることをやっていきたいと思います。