自交労働者No.882、2016年2月15日

16春闘 安全破壊の白タク合法化とめよう

国民本位の政治へ

低賃金打破、組織の拡大

第38回中央委員会

 

最後に団結がんばろうを唱和する参加者
最後に団結がんばろうを唱和する参加者

 自交総連は1月26〜27日、東京・全労連会館で第38回中央委員会をひらき105人が参加、「賃上げ、職場権利の確立 政治を変え、白タク合法化阻止」と位置付けた2016年春闘方針を賛成多数で決定しました。25〜26日には弁護士交流会がひらかれました。

城委員長あいさつ

城委員長
城委員長

 安倍政権は憲法と民意をないがしろにして、戦争する国づくりとグローバル競争国家づくりの「2つの暴走」をますます強権的に加速させています。
 発足以来、政府の経済政策によって、大企業の利益は増えたものの、溜め込むだけで労働者の賃金に反映されず、消費や投資が落ちこみました。
 タクシーの長引く需要低迷の原因も、日本全体の労働者を覆う「低賃金」です。日本全体の懐を暖める施策である「最低賃金の大幅引き上げ」を求める運動を、すべての労働者とともに推進していくことが重要です。
 また「一億総活躍社会」などと吹聴し、若者や女性、高齢者、外国人労働者などを非正規雇用の安上がりの労働力として酷使しようとしています。新経済連盟は、ライドシェアによって働き方革命が起こり、「一億総活躍社会」の実現に貢献するとうたい、安倍政権の悪政と一体となっています。参議院選まで5か月、国民のたたかいで政府を変え、国民本位の政治への道を開く歴史的岐路となっています。

白タク阻止闘争

 

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 ライドシェアと称した白タク行為を道路運送法を変え実現しようとする動きが活発になっています。スキーバスの事故は、利益のみを考える旅行業者の仲介が要因で、ライドシェアも無責任なIT仲介業者を通しての運用であることが問題です。
 この危険極まりないライドシェアが導入されれば、ハイタク労働者の労働条件の悪化をもたらします。その行く先はタクシーの安全の崩壊です。すでにサンフランシスコでは、利用者とタクシー労働者をウーバーに取られ、最大手のイエローキャブが破綻したと報じられています。
 海外で問題視され、国内でも利用者に受け入れ不安がある中、なぜ導入を進めるのか。IT仲介業者が労せず、儲けを独り占めしようと安倍首相との友達関係の中で画策していることが問題です。
 3月8日には、「安全破壊の白タク合法化阻止・ハイタク労働者総決起集会」が2000人規模で行われます。まずはこのとりくみを成功させ、白タク合法化を阻止するための闘争を大きく拡げていきましょう。

組織の強化拡大

 自交総連が運動を前進させ、こうした攻撃に対し、歯止めを掛けていくことが求められる情勢です。それには組織の強化拡大が重要です。
 自らの職場で未組織労働者を組織化し、幹部活動家の育成にとりくむことが必要です。

安倍政権に歯止めを

弁護団で白タク反対意見書

来賓あいさつ

ライドシェアの危険性議論

林弁護士
林弁護士

 顧問弁護団・林治弁護士 弁護士交流会でライドシェアを議論した。国は規制改革の目玉としようとしているが、問題点や危険性を国民に知らせていくことが大切だ。弁護団でも意見書をつくる。その他、成績を理由にした雇止めや会社譲渡、組合つぶしなどの事例を議論した。勝利のため奮闘していきたい。

2000万署名とりくもう

小田川全労連議長
小田川全労連議長

 全労連・小田川義和議長 スキーバス事故で規制緩和の弊害が改めて明らかになった。ライドシェアも規制緩和の攻撃だ。安倍政権のもとで広がる格差に歯止めをかけるのが労働組合の役割、全労連は最低賃金1000円以上、労働時間規制強化を掲げている。戦争法廃止の2000万署名を強く位置付けてとりくんでほしい。

政治を変え、白タク合法化阻止へ

賃上げ、職場権利の確立

タクシーの安心・安全が武器

討論 11地方16人が発言

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若い人が入ってくるように

福島・藍原さん
福島・藍原さん

 (1)福島・藍原茂夫さん 運転者登録制度の講習が県北地区で始まった。浜通りではまだスケジュールもない。間に合うのか。試験制度が始まったら新しい人が入ってくるのか不安だ。ライドシェアに立ち向かうにはタクシーの安心・安全が武器になる。春闘では労働条件を改善して若い人が入るようにしたい。

霞ヶ関やテレビ局前で宣伝

東京・佐藤さん
東京・佐藤さん

 (2)東京・佐藤英夫さん 安倍首相の発言で道路運送法改悪、ライドシェアを一点突破させようとしている。世論に知らせるために東京地連では昨年末、霞が関で宣伝。大手3労組でTV局前で宣伝した。関心は高かった。海外で白タクサービスが認知されているところは、タクシーのサービスが悪い。日本では全く必要性はない。

ロボットタクの実証実験

神奈川・荻野さん
神奈川・荻野さん

 (3)神奈川・荻野誠さん 関東ブロック幹部学校に出て、講師の勉強の姿勢が参考になった。アメリカではGMがリフトに5億ドル出資して自動運転車の研究をしている。リスクを利用者にわかりやすく広める運動が必要だ。神奈川では2〜3月に湘南ライフタウンでロボットタクシーの実証実験をする。今後の脅威になると思う。

一体となって地方交通確保

静岡・氏原さん
静岡・氏原さん

 (4)静岡・氏原正行さん 石川タクシー争議支援に感謝する。県労委での闘争となったが、今後も協力をお願いする。白タク合法化を特区で実施するというが、暴行、強盗など問題が起きている。ライドシェアは安心・安全がない。地方では、デマンドタクシーなど、業界、労働者、利用者一体となって方針を出していくべきだ。

規制緩和が生んだバス事故

大阪・山本さん
大阪・山本さん

 (5)大阪・山本雅弘さん バス部会では規制緩和の是正を求める運動を繰り返し、去年の国交省交渉でも、旅行会社の無理な行程・低運賃押し付けで、スキーやインバウンドのバスでまた事故が起きると言ってきた。監査を強化しても、根本を変えねば事故は防げない。公示運賃が上がった分を安全に回すべきだ。

全労連と一緒に運輸局要請

高知・横田さん
高知・横田さん

 (6)高知・横田春吉さん 全労連の四国総行動で3月7日に四国運輸局に要請する。その内容は◇ライドシェアを認めないこと◇高知、高松を特定地域に指定すること◇安心・安全のためにタクシー運転者の労働条件を改善することなど。四国はとくに賃金が低く、最賃以下もある。若い人に魅力ある給与にしなければならない。

自力で交渉し賞与かちとる

福岡・古賀さん
福岡・古賀さん

 (7)福岡・古賀文紀さん バスとタクシーがある甘木観光で組合をつくって4年、一昨年は地連に入ってもらって回答を出させたが、昨年は自力で交渉に臨み、外国人観光客が多数、福岡県に入り、燃料代が下落していると交渉し、総額夏1000万円、冬1300万円の賞与をかちとった。組合がなかった時には賞与は夢だった。

白タク容認の政治家出すな

北海道・吉根さん
北海道・吉根さん

 (8)北海道・吉根清三さん 白タク合法化は規制緩和の流れのなかで進んできた。徹底してたたかうには、春闘方針にもある2000万人署名とあわせ参院選で白タクを容認・推進する政治家を国会に出さないという方針を打ち出すべきだ。最賃1500円以上と時間外・深夜の割増賃金支払いをわかりやすく提起してほしい。

団交30回、最賃支払わせる

青森・藤田さん
青森・藤田さん

 (9)青森 藤田基夫さん ひまわり交通労組では組合員があと少しで過半数になる。最賃について1年、30回以上団交した。会社は経営状況が悪いとして、賃率引き下げを言ってきたが、乗務員は給料5〜6万円で最賃も支払われていない。最賃を支払うことで12月に調印した。弘前、青森すべての地域で最賃問題を解決したい。

軽減詐欺の消費税10%阻止

東京・相楽さん
東京・相楽さん

 (10)東京・相楽哲也さん アベノミクスは、大企業に利益をもたらしたが、物価値上がりや消費税増税で低所得者を苦しめている。軽減税率は据え置き税率で軽減詐欺だ。10%増税阻止しなければならない。非正規労働者、ブラック企業が増えている。これではタクシーの需要は増えない。参院選では野党に選挙協力を求めたい。

悔しさを吹き飛ばしたい

大阪・運天さん
大阪・運天さん

 (11)大阪・運天武志さん 昨年は残念ながら初乗り運賃510円を認める判決が出され、橋下維新政治を終わらせられなかった。こうした「自由競争で業界が活性化」という主張をする人々が高級・底辺のタクシー二極化を思い描いている。世論もおかしさに疑問を持ってきている。参院選挙では去年の悔しさを吹き飛ばしたい。

闘争の財政措置30万円目標

福岡・小田さん
福岡・小田さん

 (12)福岡・小田孝さん 昨年、組合員の相談で春吉タクシーに団交を求めたが会社は拒否、二度のあっせんを経て団交を行った。内田書記長の一喝により、有休取得と公休出勤の両立を認め、1人当たり年間3万円相当の賃上げとなった。白タク阻止闘争の財政措置は30万円を目標。機関紙をくばり組織拡大にも力を入れている。

絶対に一時金をかちとる

鹿児島・北井さん
鹿児島・北井さん

 (13)鹿児島・北井良夫さん 各地連・地本の闘いが参考になった。鶴丸交通労組の闘争方針としては第一に賃上げを求めていく。減車をすれば運収は上がる。会社は減車や実質賃下げによって今年度は黒字になっている。この春闘では絶対に一時金をかちとりたい。地連としては、組織拡大、組合員の数を増やしていきたい。


総括討論

上部団体組織を超えた共闘

宮城・澤口さん
宮城・澤口さん

 (14)宮城・澤口敏夫さん 白タク合法化阻止のとりくみとして、タクシー事業者6社と共同で反対の声を強めると合意し、上部団体組織を超えた共闘を全自交宮城地本に申し入れ、会合の開催が決まった。乗合タクシーの拡大なども阻止につながる。改正特定地域特措法に伴う減車も運輸局に求めた。市営地下鉄開業問題では、タクシーとの関わり方の模索も進めている。

規制強化を働きかけたい

大阪・松下さん
大阪・松下さん

 (15)大阪・松下末宏さん 憲法と民意をないがしろにする安倍政権へ、共同を加速させ、国民世論で反撃してきた。労働者の権利の蹂躙を行う大阪・橋下政権には、反維新という大義に確信をもつ必要がある。共同をさらに前に進め、安倍政権を退陣に追い込み、橋下維新を駆逐しなければならない。ライドシェアを絶対阻止し、全国の仲間と規制強化を働きかけたい。

組織強化・拡大を続けたい

東京・平澤さん
東京・平澤さん

 (16)東京・平澤収さん 労働条件改善のため実行すべきことは組織強化・拡大だ。未組織宣伝にとりくみ、ビラを乗務員へ配布し、自交総連への結集を呼びかけた。組織拡大では、独自のATU交通共済があり、急な罰金の対応などに役立っている。組織強化では、幹部育成などのため学習活動を行った。白タク合法化に対抗するため今後も組織強化・拡大運動を続けたい。

賛成多数で春闘方針を決定=1月27日
賛成多数で春闘方針を決定=1月27日

政策と共同で危機突破

要求提出、意識向上を

執行部答弁

今村書記長
今村書記長

 執行部答弁に立った今村書記長は、討論の中で明らかになった教訓的事例や補強意見をふまえ中央委員会のまとめを行いました。
 第1に、“今こそ政策と共同の力を発揮し、危機突破を”と述べ、すべての組合が白タク合法化問題の学習会を重視し、そこで学んだ組合員が、対話と宣伝など外に打って出ることの重要性を指摘。さらにそれぞれの地元で合同のビラ宣伝や集会、共同アピールなど多種多様な共同を模索し実現につなげるよう呼びかけました。
 第2に、賃上げや労働条件改善の課題は、労働組合本来の本業主義にもとづくものだとし、春闘における要求提出の重要性を指摘。減車や賃上げ等における経営責任や行政責任追及の闘いのすべては、そこから始まると述べました。
 第3には、7月に行われる参院選挙を前にして、政治を変えることの大切さについて言及。国民春闘という闘いの過程を通じて、安心・安全な輸送確立と政治のあり方、平和と民主主義、景気動向と経済政策など“知ること”を通じての労働者意識の向上に寄与するとりくみを強化するよう呼びかけました。

春闘アピール

2016年1月27日 自交総連第38回中央委員会

 自交総連に結集している仲間のみなさん。
 いよいよ、16年春闘が始まりました。16年国民春闘は、私たちのくらしと日本社会の将来にとって歴史に残る重要な闘いです。自交総連は、この春闘を「賃上げ、職場権利の確立 政治を変え、白タク合法化阻止」と位置付け、全力をあげてたたかいます。
 タクシー事業は、未だ解消されない供給過剰と景気低迷のもとで、深刻化する労働力不足と高齢化、相次ぐ倒産・廃業など危機的な事態にみまわれています。加えて、新たにタクシー破壊ともいうべき白タク合法化問題が急浮上し、輸送の安心・安全、労働者のくらしと権利が、根本から脅かされようとしています。この危機的状況を打破するためには、全員が一丸となり組織の総力をあげてとりくむ以外に活路はありません。
 自動車教習所では、入所者の減少が料金値引き競争を激化させ、パートや契約指導員の導入や賃金切り下げ、長時間労働への依存など労働条件の劣悪化が続いています。観光バスでは、コスト削減のための賃金抑制、労働時間の延長、そして権利破壊が後を絶ちません。早く、安くを売り物にした経営戦略や安全輸送をないがしろにした生き残り策に歯止めをかけ、職場環境と労働条件の改善のために力をあわせましょう。
 安倍政権は、戦争法、TPP参加、原発再稼働、辺野古基地建設の強行など民意を置き去りにした強権的な暴走政治を進めています。日本の針路を左右する歴史的な情勢の下で、春闘での前進を力に国民的な共同を広げ、安倍政権退陣への流れをつくりあげましょう。戦争法の廃止、憲法守れの声を上げ、2000万署名の実現を軸に、平和と民主主義を求める国民的共同の世論を高める一翼を担いましょう。
 16年春闘は、自交労働者にとって、売り手市場という有利な条件のもとでの闘いです。経営者が劣悪な労働条件を大きく改善し仕事への魅力を高めなければ、労働力の確保はできず事業の存続さえ危ぶまれることになります。企業の社会的責任を自覚させ、納得できる回答を迫りましょう。
 たたかう運動の力を信じ、自交総連の存在価値を示す絶好の時です。4か年計画最終年の年、すべての組織が拡大の成果をあげ、3万人の回復へ、その道筋をつくりあげようではありませんか。

ライドシェア問題を報告

各地の事件討論

第38回弁護士交流会

 

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 自交総連第38回弁護士交流会が1月25〜26日、東京・全労連会館で開催され、地方から弁護士27人と城委員長、早川副委員長が参加、中執が傍聴しました。
 交流会では、本部顧問弁護団・田辺弁護士が『「自家用ライドシェア」(白タク問題)の検討』と題して、新経済連盟が推進するスマホアプリを利用した自家用車による有償輸送のライドシェア問題の背景や論点について基調報告を行いました。
 続いて行われた特別報告では、(1)江別ハイヤー・勤務成績不良を理由とする継続雇用拒否事件=北海道・神保大地弁護士、(2)入間川タクシー・会社解散(譲渡)、全員解雇事件=埼玉・山元勇気弁護士、(3)なみはや交通・組合員全員解雇事件=大阪・横山精一弁護士――の3つの報告が行われ、活発な意見交換が交わされました。
 また、その他の参加弁護士から、石川タクシーの全員解雇事件や一方的勤務変更、残業割増賃金などの事件も報告され、討論しました。

政策闘争が不可欠

安心・安全なタクシーをめざして

タクシー政策研究集会

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 1月27日午後から東京・全労連会館でひらかれた自交総連タクシー政策研究集会には、14地方86人が参加しました。

菊池書記次長
菊池書記次長

 菊池書記次長が「安心・安全、持続可能な公共交通を担うタクシーをめざして」と題する政策委員会報告を説明。他産業の半分という劣悪な状態におかれているタクシー労働者の賃金・労働条件を改善していくためには政策闘争が不可欠だと指摘し、タクシー特定地域特措法の不備が明らかになり白タク合法化の動きも出ている今日の情勢に合わせて、安全・利便性を担保する運転者の労働条件確保とタクシー運転免許の実現にむけた政策を解説しました。

3地方が特別報告

山形・佐藤書記長
山形・佐藤書記長
東京・川崎書記長
東京・川崎書記長
大阪・庭和田書記長
大阪・庭和田書記長

 山形地連・佐藤正人書記長が地域交通政策の到達点と課題として、11年越しに乗合タクシーを実現し、スクールバスなど自治体からの業務委託で地域住民の足を守っている経験を報告しました。
 東京地連・川崎一則書記長は、白タク合法化の動きと初乗り距離短縮運賃問題について、規制改革会議や安倍内閣の国民無視の規制緩和戦略を指摘しました。
 大阪地連・庭和田裕之書記長は、地域協議会の現状と減車、運賃問題について、ワンコインやMKグループなど身勝手な事業者が値下げ戦略や規制緩和を提起して協議会を混乱させ、おおさか維新も特区を提案している大阪の現状を報告、減車を実現しないと労働条件改善にならず、もう猶予がないと危機感をにじませました。

特区は憲法違反

 感想を述べた顧問弁護団の林治弁護士は、ライドシェアの実態を国民に知らせていくことの重要性を強調し、田辺幸雄弁護士は、ライドシェアを国家戦略特区で実施しようとしていることについて、特定の地方にのみ適用する法律を勝手につくることは憲法の基本を壊すと指摘しました。
 3人が参加した国土交通労組の後藤智春副委員長は、自交総連が提起する政策は国民本位のものであり、その実現を国交省のキャリア官僚に要求して国の政策に反映させねばならないと述べました。
 埼玉・東京・大阪・福岡から5人が会場発言しました。