京丹後市(きょうたんご)・養父市(やぶ)
住民を実験材料にするな
「市からの説明ない」との声
関西B 市民宣伝
京丹後市内で対話する関西Bの仲間=4月5日 |
【大阪】自交総連関西ブロックは4月4〜6日、ウーバーの配車・決済システムを利用した自家用有償旅客運送の実証実験が行われる京都府京丹後市と国家戦略特区としてライドシェア導入に意欲を示している兵庫県養父市を中心に「白タク合法化阻止市民宣伝」にとりくみ、同ブロックの10人(大阪7、京都3)と東京地連、福岡地連各1人の計12人が参加。市民に白タク・ライドシェアの危険性を知らせるとともに、過疎地住民の足を確保する方策として国の補助金増額や交通事業者が「企業の社会的責任」を果たすことの必要性などを訴えました。
宣伝のマイクを握った大阪地連・秋山委員長は「ウーバーは京丹後市を足がかりにして大都市進出を狙っている。一私企業の利益のために利用者を実験材料にするなどもっての外だ」と強調しました。JR養父駅で対話した男性はライドシェアについて「市からの説明がない。特区で何をするかは“いま緒に就いたばかりです”以外何も言わない」と憤っていました。
京都駅で市民に訴えかける=4月4日 |
ライドシェア問題を講演
プロの乗務員として怒るべき
大阪第29回自交労働学校
今村書記長の講演に聞き入る参加者=3月29日、大阪 |
【大阪】大阪地連は3月29日、「第29回自交労働学校」を大阪自交会館で開催。自交総連本部・今村天次書記長がライドシェア・白タク合法化問題を中心に講演を行いました。
今村書記長は「ライドシェア事業者は、運転者は誰でもいい、という発想だからいろんな問題が起こる。運転者に仕事を与えて中抜きするだけ。労働時間も健康状態も管理せず、問題が起こったら全て運転者の責任。そんなことで安心安全な公共交通になるのか」と批判。「世界的に評価の高い日本のタクシーを守れるかどうかの岐路に立っている。タクシー乗務は誰でもできる仕事ではない。プロの乗務員として怒らねばならない」と語気を強めました。
楽天株主総会にむけて宣伝
輸送の安全破壊するな
東京地連
横断幕を持つ東京の仲間=3月30日 |
【東京】東京地連の白タク対策会議は、白タク合法化を推進する新経済連盟の三木谷氏が代表をつとめる楽天の株主総会が開催された3月30日、品川駅高輪口と総会会場となったホテルの周辺で宣伝行動を実施、56人が参加しました。
城委員長はじめ対策会議のメンバーがライドシェアと称する白タクの危険性と、「リフト」に多額の出資をして自ら役員に就任した三木谷氏が安倍首相をはじめ政府の中枢にその合法化をはたらきかけている実態を訴えました。
参加者は「楽天・三木谷社長は危険な白タク合法化で輸送の安全を破壊するな」の横断幕と「白タク断固阻止」などのプラカードを掲げ、ビラ800枚を配布しました。
社会的責任を果たせ
富士急本社で抗議
石川タク争議支援
富士急本社前で抗議行動を行う仲間=4月5日、山梨・富士吉田市 |
6年にわたって不当な企業解散・解雇とたたかっている静岡・石川タクシー富士宮労組を支援し、親会社である富士急の責任を追及する行動が4月5日、山梨県の富士急本社前でとりくまれました。
静岡の支援共闘会議、自交総連関東ブロックの仲間約80人が集まり、本社前と河口湖駅前で宣伝し、子会社の解散・解雇を主導した富士急は社会的責任を果たして団体交渉に応じろと訴えました。
駅前ではバス3台を並べて宣伝の姿が観光客から見えないようにするなどの富士急の姑息な対応に怒りの声が上がりました。
地域の足を守れ
白タクより補助増額を
参議院国交委
辰已参院議員 |
日本共産党の辰已孝太郎参院議員は3月23日、国土交通委員会で10日の質問につづき特区における自家用有償旅客運送制度の問題をとりあげました。
辰已議員は、現行の自家用有償旅客運送制度は例外であるため通常の運送事業より安全基準が緩和されていると指摘し、運転者の労働時間の管理はどうするのかと質問しました。
国交省藤井自動車局長は、運行主体と運転者の間に雇用関係が必ずしもないことを認め、運転者の兼業も禁じられていないとしました。
兼業が可能なら過密労働の問題が起こらない保証はないと追及すると、運行頻度が少なく労働過多になる状況は想定しがたいと無責任な答弁を繰り返しました。
さらに、将来的に観光客の増加により事業営業が可能になっても特区の自家用車の輸送を続けるかについては、特区区域会議が決めることも明らかになりました。
辰已議員は、地域の足がない場合の例外的制度を成長戦略のため使うのは安全上問題と追及したうえで、白タク解禁よりも、過疎地域のデマンドタクシーなどの補助制度である地域公共交通確保維持改善事業の年間予算30億円を増額し、地域の足を守るべきと要求しました。
白タク合法化阻止 危険な白タク ライドシェア
特区で自家用車による運送を導入
限定少なく内容あいまい 特区会議の決定で実施可
国家戦略特区法改正案が3月11日、閣議決定されました。
この改正案は、ライドシェアの解禁、白タク合法化をねらう新経済連盟などの提案を特区諮問会議が取り入れ、まず特区で自家用車による運送を導入しようというものです。
法案は、事前の国交省との調整を経て一定の制約があるようにもみえますが、国会質問を通じてその内容は限定の少ないあいまいなものであることが明らかになりました。
内容はあいまい
事業を実施する主体は、市町村・NPOなどとされていますが、企業のダミーのようなNPOがつくられることも想定され、配車アプリを提供するのはウーバーなどライドシェア企業です。
輸送の対象は、観光旅客を主たる目的とするとされ、ビジネス客でも誰でもいいということです。
事業が実施される地域は一般事業によることが困難ということだけで、過疎地でも市街地でも制約がありません。
この事業を申請するのも更新するのも特区会議で、地域の事業者との協議が必要とされていますが、合意が条件とは書かれていません。
乗合タクへ補助を
過疎地での住民の足を確保するためには、すでに各地で行われている、コミュニティーバスやデマンドタクシー、乗合タクシーなどのしくみを充実させることの方が大切です。過疎地型の乗合タクシーはすでに全国3000コースで実施されています。
こうした輸送への補助制度として地域公共交通確保維持事業が行われていますが年間予算は30億円程で十分ではありません。予算を増やせば、必要な地域でもっと事業を充実させることができます。
国家戦略特区法改正案の要旨
(道路運送法の特例)
○国家戦略特別区域会議(特区会議)が自家用有償観光旅客等運送事業を定めた区域計画を申請し認定を受けたときは、同事業を道運法第78条第2号に規定する自家用有償旅客運送とみなす。
○自家用有償観光旅客等運送事業とは、市町村、NPOその他国土交通省令で定める者(農協、生協、公益法人等)が行う、一の市町村の区域内における外国人観光旅客その他の観光旅客の移動のための交通手段を提供することを主たる目的として有償で自家用自動車により行われる旅 客の運送であって、一般旅客自動車運送事業者によることが困難であるもの。
○特区会議は、市町村、当該事業の実施主体、関連する一般旅客自動車運送事業者の協議を経た後でなければ、国家戦略特別区域自家用有償観光旅客等運送事業を定めることができない。
春闘の闘い方議論
一職場一重点要求の実現
第1回中闘
自交総連は4月7日、第1回中央闘争委員会(第3回常執)をひらき春闘の今後の闘い方を決めました。
情勢の論議では、燃料費の値下がりで会社が黒字決算となり、賃上げを獲得している組合もあることが報告されました。
関西ブロックからは、特区での自家用有償制度を利用したライドシェアを計画している京丹後市・養父市への宣伝行動の様子が報告されました。
ウーバーなどの実態がほとんど知られていないこと、地域の足を守る切実な住民要求を理解することの重要性が明らかになりました。
今後の闘い方は、解決に際しては、(1)一職場一重点要求の実現、(2)白タク合法化阻止など政策での共同、(3)納得いく内容での全体的合意を重視することとしました。
白タク反対の意見書作成
危険性を法的側面から解明
顧問弁護団会議
白タク=ライドシェアの危険性を法的な側面から解明する意見書の作成がすすんでいます。
自交総連本部の顧問弁護団が協力して執筆をすすめているもので、行政・経営・利用者・国民にも分かりやすく危険性をアピールするものとして活用する予定です。
第2回目の検討会議が4月6日にひらかれ、小賀坂、菅、田辺、林の各弁護士が分担して書いた第1稿を検討しました。
内容は、「ライドシェアの合法化に反対する意見書(仮題)」として、(1)道路運送法の規定とライドシェア、(2)ライドシェのしくみと問題点、(3)不正競争によりタクシー経営基盤と労働条件を破壊するライドシェア、(4)国家戦略特区制度の問題点、(5)過疎地域での公共交通充実の課題――の5章建てです。
新経済連盟や特区諮問会議での推進意見への反論も含めてライドシェアの危険性を分析しています。
次回21日の会議を経て、5月には完成させて、各方面へ配布し、白タク合法化阻止闘争に活用していきます。