自交労働者No.910、2017年10月15日

労働条件改善を

依然として減車不十分

供給過剰で営収低下

需給状況公示


国土交通省にむけて怒りの声を上げるタクシー労働者=15年3月4日、東京・国土交通省前
国土交通省にむけて怒りの声を上げるタクシー労働者=15年3月4日、東京・国土交通省前

 準特定地域の17年度の需給状況・適正車両数が各運輸局から8月中に公示されました。116の準特定地域すべてで、実在車両数が必要車両数を上回り、供給過剰状態であることが改めてわかりました。公示は、タクシー特措法(活性化法)にもとづくものです。同法の目的は規制緩和で供給過剰となったタクシーを減らして運転者の労働条件を改善することですが、依然として減車が不十分で、労働条件が改善されていない実態がつづいていることになります。
 公示された需給状況は、準特定地域について、前年度の輸送実績をもとに適正な台数を上限〜下限の幅で計算したものです。適正車両数の下限が必要車両数で、実在車両との差が増加可能車両数です。図1をみると、全国で一番供給過剰がひどかった水戸県央交通圏では、下限より370台も多く、上限と比べても315台も多いことになります。全国だと、1〜2万台程度は供給過剰です。
 供給過剰は1台当たりの営収の低下をもたらします。例にあげた水戸のある茨城県では、図2のように00年(規制緩和前)と比べて営収は35%減っているのに、車は19%しか減っていません。その結果、1台当たりの営収は20%減ることになりました。
 改正タクシー特措法は施行から3年ごとに効果を検証し、5年後には所要の措置を講ずるとしています。すでに3年以上経過している現在、いっそうの減車をはじめ労働条件の改善のための実効ある措置が必要です。


表01

表02

※その他の地域はこちら

平和守る国へ10月22日総選挙

憲法を生かす3000万署名スタート

「憲法こわすな」と改憲に反対する市民=5月3日、大阪・扇町公園内
「憲法こわすな」と改憲に反対する市民=5月3日、大阪・扇町公園内

 10月22日投票の衆議院選挙が間近に迫っています。この選挙は、安倍首相の憲法改悪の野望を阻止し、国政に立憲主義を取り戻すという、これまでにない特別に重要な意義をもつ選挙となります。
 安倍首相は憲法9条改憲を公言、総選挙で改憲勢力が3分の2以上を確保すれば、一気に強行するつもりです。そして9条に自衛隊の存在を明記するとしていますが、この自衛隊は、戦争法が強行されたもとで、米軍とともに世界中どこでも集団的自衛権の名で戦争することが可能になっています。9条の戦争放棄、交戦権の否定を実質的に死文化してしまうものです。
 選挙直前に保守の新党ができましたが、この党も憲法改定を掲げており、各党がどのような態度なのかをよく確かめる必要があります。
 総選挙では、改憲を阻止、戦争法を廃止して平和を守る国にするのか、戦争をする国になるのか重大な選択が問われています。


 改憲阻止のとりくみとして、全労連は「安倍9条改憲NO! 全国市民アクション」が提起する3000万人署名の達成をめざしています。自交総連でも、4月20日までに10万筆、組合員一人10筆を目標に全力で署名にとりくむことにしました。
 署名は、(1)憲法第9条を変えないでください。(2)憲法の平和・人権・民主主義が生かされる政治を実現してください――というシンプルな2項目だけです。
 各地連・地本に署名用紙を送付しています。当面の最重点署名として、優先的に集め、集まった署名は本部に送ってください。

総選挙闘争方針を発表

広域地連も可能となる規約改正案

第5回中央執行委員会

 自交総連は9月6〜7日、東京・上野区民館で第5回中央執行委員会をひらきました。
 会議では運動方針案を討議し、第40回定期大会の構成を確認しました。
 また、役員体制・機構検討委員会の中間報告を受け、現在、都道府県単位で構成されている地連・地本の体制を地方によってはブロック単位など広域の地連も可能とするように規約改正を準備することを確認しました。
 中執後、急きょ総選挙が行われることとなったため、本部では緊急に昨年12月の中執で確認した総選挙闘争方針の情勢部分を一部改定して、改憲阻止、白タク合法化ストップを争点とする総選挙闘争方針をまとめ発表しました。

※総選挙闘争方針の全文はこちら

加入人員5000人へ

未加入地方への対策強化

自交共済第36回総会

開催あいさつを行う早川副会長=9月7日、東京・上野区民館
開催あいさつを行う早川副会長=9月7日、東京・上野区民館

 自交共済は9月7日、第36回総会を東京都上野区民館でひらき、全労済の担当者を含めて合計28人が参加しました。
 自交共済の加入状況は、昨年から326人減の13地方4247人(17年5月末現在)となっています。総会では、加入人員を5000人にすることを目標に、未加入地方への対策強化や各地方に共済担当者を置き体制強化をはかるなどとした第35期活動計画を採択しました。
 質疑討論では、各地方から加入促進のための意見があがり、活発な議論が行われました。加入単位や最低人数についての質問も出され、今後の運営委員会で議論することが決まりました。

各地の大会

組織拡大へ決意

白タク問題に理解深める

福島第23回定期大会

 【福島】福岡地連は9月24日、サンライフ福島で第23回定期大会を開催しました。
 あいさつで藍原委員長は、「自交総連に入っていて良かった、とみんなに思ってもらえるように頑張ろう」と話しました。
 討論では、ライドシェアなどの問題に理解を深め、各単組とも高齢化・人手不足など不安を抱えている思いを共有しました。
 委員長=藍原茂夫▽副委員長=荒川光義、松本武▽書記長兼会計=沼倉喜久雄(いずれも再)


安心・安全を掲げて奮闘

東京第135回定期大会

東京第135回定期大会=9月27日、北とぴあ

東京第135回定期大会=9月27日、北とぴあ

 【東京】東京地連は9月27日、北とぴあで第135回定期大会を開催し、41組合187人が参加しました。
 城委員長が「ライドシェア阻止のため『安心・安全』を掲げて奮闘していく」とあいさつ。その後、自交総連本部から菊池書記長、首都圏交運共闘会議、日本共産党、関係弁護団の来賓あいさつがありました。
 午後からは川崎書記長が議案を提案し、全体討論ののち議案が賛成多数で採択され、城委員長の団結がんばろうで終了しました。


組織拡大へ宣伝行動を実施

山口第54回定期大会

 【山口】山口地連は9月28日、下関市内で第54回定期大会をひらきました。あいさつした坂本委員長は、総選挙で安倍政権を倒すチャンスだ、白タク合法化反対、自交総連の政策を応援する党を伸ばそうと訴えました。
 本部菊池書記長が情勢を講演、広島からも参加があり、組織拡大のため宣伝行動を実施することなど決意を固めあいました。
 委員長=坂本一雄▽副委員長=守重正一▽書記長=川端輝彦(いずれも再)


厳しい状況打破へ一致団結

神奈川第63回定期大会

神奈川第63回定期大会=10月2日、かながわ労働プラザ

神奈川第63回定期大会=10月2日、かながわ労働プラザ

 【神奈川】神奈川地本は10月2日、かながわ労働プラザで第63回定期大会を開催し、合わせて52人が参加しました。
 来賓あいさつでは、はたの君枝衆院議員(現在は前衆院議員)から力強い激励の言葉を貰いました。
 討論では、事務所移転や今期は執行部を4人体制にすることなどを確認し、厳しい状況を打破していくために組合員全体の一致団結が必要であるとの意思統一を行いました。

改善基準緩すぎる

過去を顧み現状に生かす

大阪バス部会総括学習会

大阪バス部会総括学習会=8月28日、大阪・自交会館

大阪バス部会総括学習会=8月28日、大阪・自交会館

 【大阪】大阪地連バス部会は8月28日、自交会館で17年度総括学習会を開催し、運動総括と決算報告を承認し、役員を再任しました。
 学習会では、大阪地連の庭和田書記長が、「『改善基準』が緩すぎるからバスやトラックで重大事故が多発している」と指摘。さらに安倍政権の働き方改革について、「自動車運転者は残業1か月100時間以下とされているが、次の国会で決まったとしても5年間の猶予がつく。お墨付きを与える形で改善されないまま時が過ぎる可能性がある」と強調しました。
 原水爆の惨禍をまとめたDVDの視聴後、「労働組合運動は平和でなければ成り立たない。過去を顧みて現状に生かす活動を考え、行動してほしい」と締めくくりました。


この成果を全国に

福岡・はかたタクシー労組

120日分手当と解決金かちとる

廃業後も労働組合は継続

はかたタクシー労組の仲間たち
はかたタクシー労組の仲間たち

 【福岡】はかたタクシーは福岡市でもっとも歴史の長いタクシー会社でしたが、17年9月より放漫経営によって存続できなくなりました。
 春頃から流れ始めた廃業の噂やデマで右往左往することが多くなり、私たちは正確な情報を全社員に知らせることが重要だと考え、会社との団交速報は掲示板に随時貼り出し、組合員・非組合員を問わず説明会を繰り返し行ってきました。
 この非常事態で闘う労働組合の重要性に気づいた数人が仲間に入ったものの退職者が後を絶ちませんでしたが、組合に残った5人は会社側の不誠実な対応への怒りを団結する力に変え、たたかい続けました。
 会社側は経営再建は不可能との判断を崩さず、残った組合員の生活を守るために私たちは8月29日和解に応じ、組合員1人120日分の解雇予告手当と組合事務所移転解決金をかちとりました。
 会社はなくなりましたが、労働組合は次の職場に移動してもそのまま残すことが決まりました。この成果を糧に、今後もたたかっていきます。

最賃以下で長時間労働

日本労働弁護団と市民会議

ウーバードライバーの実態報告

ライドシェアについて討議を行う=9月30日、東京・星陵会館
ライドシェアについて討議を行う=9月30日、東京・星陵会館

 9月30日、日本労働弁護団と交通の安全と労働を考える市民会議の共催で「シェアリングエコノミーってなんだ? ライドシェアから考える」の集会が都内で開かれました。
 アメリカからタクシードライバーを組織している労組のデサイ氏、ウーバードライバーのカラスコ氏が参加しました。
 デサイ氏は、労働者を個人事業者扱いし大儲けするウーバーの商売は公正ではないと告発、カラスコ氏は、ウーバードライバーになった直後は巨大なチャンスが与えられたと思い高収入だったが、ウーバーはドライバーを増やし、一方的に運賃を切り下げたため、今では最低賃金以下で、長時間労働しなければ家族を養えないと実態を報告しました。

8割の事業場が違反

より多くの監督実施を

16年事業場監督結果

 【解説】自動車運転者を使用する事業場に係る労働基準関係法令・改善基準告示の16年分違反状況が明らかになりました。
 労働法令違反は、タク87%、バス79%とほぼ8割の事業場が違反している異常な実態となっています。告示違反もタク41%、バス54%と高い割合です。
 監督実施数は、軽井沢スキーバス事故を受けて貸切バスの集中監督があったため全体で4381件と前年より増えましたが、12年には6007件監督しています。監督を実施すれば必ず違反が見つかる状態にあるので、日常的にさらに多くの事業場に入っていく体制づくりが求められます。


表03