自交労働者No.912、2017年12月15日

国民本位の交運運輸政策を

全力で労働条件改善へ

国交省前に800人が集結

11・8中央行動

 自交総連は11月8日、交運共闘の仲間とともに11・8中央行動を実施しました。全体で約800人、自交総連からは、419人が参加しました。

シュプレヒコールを行う参加者=11月8日、千代田区・国土交通省前

シュプレヒコールを行う参加者=11月8日、千代田区・国土交通省前

9条改憲阻止を

行動の参加者、署名数

  国土交通省前で10時半から決起集会を行い、交運共闘・城議長(自交総連中央執行委員長)があいさつ。先の総選挙における市民と野党共闘の前進に触れ、なんとしてもアベ9条改憲を阻止しようと強調しました。
  さらに交運労働者の過労死問題について指摘し、改善基準告示の法制化や国土交通労組が要求する監査要員の増員で長時間労働を是正し、国民本位の交通運輸政策の前進と交運労働者の労働環境改善に全力をあげようと訴えました。
  続いて全労連・小田川議長が連帯あいさつ、JAL争議団、全厚生争議団の代表が不当解雇撤回の支援を訴えました。
  参加者が請願署名を手渡している間、内田常執が自交総連を代表し決意表明しました。
  その後、厚生労働省でも同様に個人請願を行いました。

3500人結集

  12時15分からは、日比谷野外音楽堂で、全労連・春闘共闘の決起集会がひらかれ、3500人が結集しました。集会後、国会までデモ行進を行いました。
  午後からは、自交総連の代表が国交省・厚労省と交渉を行いました(参照)。

緩和ありき」ではない

警察庁交渉

安全確保のため慎重に検討

警察庁交渉=12月6日、千代田区・警察庁内

警察庁交渉=12月6日、千代田区・警察庁内

  自交総連は12月6日、城委員長ら6人で警察庁交渉を行い、二種免許の取得要件の緩和を行わないことを要請しました。警察庁交通局運転免許課の高梨課長補佐(警視)らが対応し、安全確保が重要なことは認識していると答えました。
  庁側は、規制改革実施計画の閣議決定を受けて、有識者による調査研究をしており、今年度は免許保有年数の要件、来年度は年齢要件を含めた総合的な検討を行い18年度中には結論を出すとしたうえで、タクシー運転や乗客対応の難しさ、緩和すれば事故が増えるなどの組合側の指摘に対して、安全確保が重要なので慎重に検討している。決して「緩和ありき」ではないと答えました。

「許すな白タク・規制緩和」

第1回中央執行委員会

18春闘方針案を討議

  自交総連は12月6〜7日、自交共済事務所で第1回中央執行委員会をひらき、18春闘方針案を討議しました。
  会議では、ウーバーや中国の滴滴出行などが国内のタクシー企業と提携して進出の動きを強め、貨客混載や二種免緩和など新たな規制緩和の動きも起きているなど情勢を分析し、春闘方針案では「許すな白タク・新たな規制緩和 賃上げ、職場権利確立 18春闘」をスローガンに、@白タク合法化阻止A社会的水準の労働条件確立B国民的課題C組織拡大の4つの焦点でたたかうことを提起しています。
  春闘方針を決める中央委員会は1月23〜24日に東京・全労連会館で行うことを決めました。

働き方改革は危険

交運研セミナー

長時間労働の実態を報告

働き方改革を考えるセミナー=11月26日、東京・ホテル機山館

働き方改革を考えるセミナー=11月26日、東京・ホテル機山館

  交通運輸の労働組合と学者で構成する交運研は11月26日、交通運輸における「働き方改革」を考えるセミナーを開催しました。
  埼玉大学前学長の上井嘉彦氏が、「『働き方改革』の虚と実」と題して講演。安倍「働き方改革」は、@同一労働同一賃金というが、正規と非正規の格差是正にならない、A時間外労働の上限規制はできたが、過労死基準の規制では長時間労働は是正されない、B多様な就業形態の名で雇用関係のない働き方を検討している。ライドシェアはその典型で危険だ――として、働き方推進関連法の成立を防がなければならないと強調しました。
  タク、鉄道、貨物、航空、港湾など各職場から長時間労働の実態が報告がされました。

ライドシェアは雇用破壊

大阪地連

労使共同でシンポ開催

在阪タク労働5団体と阪タク協が集結=11月28日、大阪・ドーンセンター

在阪タク労働5団体と阪タク協が集結=11月28日、大阪・ドーンセンター

  【大阪】自交総連を含めた在阪タクシー労働5団体と大阪タクシー協会は11月28日、白タク合法化阻止に向けた労使共同のとりくみとして「ライドシェアを考えるシンポジウム」を大阪市中央区でひらき、タクシー労働者、法人・個人事業者を中心に300人以上が参加しました。
  基調講演を行った首都大学東京・戸崎肇特任教授は「『働き方改革』で雇用破壊が浸透していく。ライドシェアは雇用破壊につながる」「会社制度のもとで社員の福祉を確保してきたタクシー事業が、個人請負に完全に変わってしまう。運転者は保険もなく、年収も確保されない」と警鐘を鳴らしました。
  労働5団体を代表してあいさつを行った全自交大阪地連・加藤直人委員長は、「シェアリングエコノミーの波及でハイタク以外にも多くの産業で労働者の権利が根底から崩されようとしている。若い人たちにそのことをしっかり訴えていく」と力を込めました。

48時間ストライキ決行

高知地連

営業所間の格差是正を

街頭宣伝をする北部ユニオンの仲間=11月27日、高知県庁前

街頭宣伝をする北部ユニオンの仲間=11月27日、高知県庁前

  【高知】県内山間部で自治体からの補助を受けて路線バスを運行する北部交通の北部ユニオンは11月27〜28日、各営業所間の格差是正を求めて48時間ストライキを行いました。
  同社の柳瀬営業所は、川口営業所に比べ拘束時間や実労働時間、運行距離に大きな差があり、しかも残業代が固定給のため賃金は同じになっています。北部ユニオンは、これを不合理として配置転換や勤務変更を求め団体交渉を重ねましたが、前向きな回答がなかったためストライキに踏み切りました。当日は県庁前で宣伝行動を実施し、支援を訴えました。
  比江森委員長は、「労働条件の格差を解消し、安心・安全にバス運行をすることが目的。粘り強く要求し続けます」と語りました。


新加盟のなかま  (842)京都・新京和タクシー労組
84人が新たに結集

  京都市南区にある新京和タクシー労組(松田隆司委員長、84人)は大会を開いて自交総連加盟を決議、12月4日に地連で承認されました。
  同社はトキワと京滋が合併してできた会社。組合は企業内として活動していましたが、松田委員長が以前に京聯労組の組合員で、京都ハイタク共闘にも参加してきました。地連からの働きかけで産別に結集して職場をよくしていきたいと加盟に至りました。

各地の大会

組織あげ憲法署名とりくむ

北海道第58回定期大会

北海道第58回定期大会=10月22日、湯の川観光ホテル祥苑

北海道第58回定期大会=10月22日、湯の川観光ホテル祥苑

  【北海道】北海道地連は10月21〜22日、第58回定期大会を開催しました。
  大会では、白タク・ライドシェア阻止と安倍政権による平和と生活破壊の悪政を許さない運動に全力でとりくむ基本方針を決定しました。とくに安倍9条改憲を阻止する3000万人署名に組織をあげてとりくむことを最重点課題として確認しました。
  委員長=渡辺聡▽副委員長=野正行▽書記長=吉根清三(いずれも再)

ひとりでも多く仲間増やす

高知第36回定期大会

高知第36回定期大会=10月22日、高知城ホール

高知第36回定期大会=10月22日、高知城ホール

  【高知】知地連は10月22日、第36回定期大会を開催しました。
  大会では、本部の菊池書記長の講演後、ライドシェア問題や土電ハイヤー労組の年休手当請求訴訟、バス職場・北部ユニオンのリストラ解雇撤回のたたかいなどについて討論しました。そしてライドショア阻止、ひとりでも多くの仲間を増やすことなどを最重点課題とする18年度運動方針を決定しました。
  委員長=樫原正彦▽書記長=横田春吉(いずれも再)

運動に邁進し前進かちとる

長崎第26回定期大会

長崎第26回定期大会=11月12日、長与ふれあいセンター

長崎第26回定期大会=11月12日、長与ふれあいセンター

  【長崎】長崎地連は11月12日、第26回定期大会を開催しました。
  古澤委員長はあいさつで、組織存続が危機的状況にあると語り、講じてきた打開策と共に新たな策を考え実行していくとしました。
  本部の早川副委員長のタクシーの現状報告・今期運動予定を聴き、運動に邁進しなければ前進はかちとれないとの確信を再確認しました。
  委員長=古澤誠也▽副委員長=開田幸治、中村末夫▽書記長=松永利秋(いずれも再)

ライドシェア絶対入れない

大阪第72回定期大会

大阪第72回定期大会=11月14日、不死王閣

大阪第72回定期大会=11月14日、不死王閣

  【大阪】大阪地連は11月14〜15日、第72回定期大会を開催し、18年度運動方針案を全会一致で決めました。
  福井委員長はあいさつで、「絶対にライドシェアは入れないという強い意志でたたかう」と強調し、市民宣伝と学習の強化を訴えました。庭和田書記長は、「白タク合法化推進論者にはタクシーなんて誰でもできる≠ニ我々を見下す素地がある」と指摘すると共に、二種免許取得のハードルを安易に下げる動きを批判しました。

交運共闘 オーストラリア交通事情調査

それぞれ国のケースを教訓に

タクシーの質的要件がウーバーへの対抗策

RTBU(鉄道・トラム・バス)労組と懇談

RTBU(鉄道・トラム・バス)労組と懇談

  交運共闘・海外交通事情調査団は11月12〜18日、オーストラリアで第2回海外交通事情調査を実施し、メルボルン、シドニーの2都市を訪問しました。
  期間中、タクシーとウーバーの試乗、現地労組との懇談、州の交通省副大臣との面会などを行いました。

現地の交通実態

  公共交通の中心は、メルボルンではトラム(路面電車)、シドニーではバスと地下鉄です。タクシーは公共交通機関と位置づけられていないようで、バスレーンはあっても、タクシーレーンはありませんでした。
  メルボルンのタクシーは、初乗り3・6A$(現在1A$=約85・19円)で爾後は1q毎に2・19A$加算です。運転者は、ウーバーの影響で売上が下がったと話しました。
  ウーバーは5人乗車でホテルまでの1・8qを利用し、運賃は10A$でした。試乗した運転者は、昼間は携帯会社に勤めつつ、ドライバーとして17〜23時まで働いており、売上は気にしていないと語りました。

タク同様の扱いに

  オーストラリアは連邦制で、法律は州政府ごとに制定されています。メルボルンのあるVIC州の交通省の副大臣は、「自家用車には車検がないこともあり、安全面の車検制度やウーバー社・ドライバー双方への税徴収などの法的整備を行い、タクシー同様の扱いをする」と語りました。メルボルンでは、日本のようにタクシー配車アプリがなく、ウーバーアプリは管理なども含めて優れているとのことです。
  一方、シドニーの運輸労組は、「ウーバーはアプリ配車などの面でタクシーが追い付いていなかったことや、規制法律がなかったことから広がってしまった。一方、タクシーには移民労働者の問題があり、英語も話せないドライバーの集団でできた会社もある」と語り、質的要件がウーバーのへ対抗策と感じました。
  ライドシェアを禁止した国、導入された国、入口で止めている日本。それぞれのケースを考え、教訓とすべきです。