自交労働者No.914、2018年2月15日

賃上げ、職場権利確立

許すな白タク・新たな規制緩和

地方公共交通の充実を

第40回中央委員会

  自交総連は1月23、24の両日、東京・全労連会館で18地方85人が参加して第40回中央委員会をひらき、「許すな白タク・新たな規制緩和、賃上げ、職場権利確立」をスローガンとする春闘方針を決めました。

団結がんばろう=1月24日、東京・全労連会館

団結がんばろう=1月24日、東京・全労連会館




城委員長あいさつ

城委員長
城委員長

  安倍政権は、改憲賛成派の議席が3分の2を超えたことで、改憲発議に向けて意欲的に動いています。
  この安倍9条改憲に反対する世論をなんとしても盛り上げ、可視化する必要があります。3000万署名を集めて国会に届けるなど、労働者と国民が広く結びついた運動を拡げましょう。

働き方改革を阻止

  また安倍政権は、労働者をさらに過酷な環境に追い込む「働き方改革」をすすめています。雇用によらない働き方こそライドシェアであり、「働き方改革」そのものです。
  シェアリングエコノミーでの請負労働制は、労働条件決定や社会保障における労働者保護の観点が欠如しています。
  政府はライドシェアを突破口に「働き方改革」を進めようとしています。絶対阻止しなければなりません。

組織拡大に邁進まいしん

第40回中央委員会=1月23日、同所

第40回中央委員会=1月23日、同所

  ハイタクでは、産別の枠を超えた8団体の共闘が対ライドシェアで進展中です。その奮闘で、日本への本格的侵入は防いでいます。
  ライドシェア企業は、日本においてタクシー事業者との連携をすすめるように方向転換していますが合法化への意欲は捨てておらず、実現した時にすぐにでも対応できる体制を取ろうとしています。「ひさしを貸して母屋(日本業界)を取られる」ことにならないか危機感は増します。
  白タク合法化への対抗策として我々は、労働条件の改善で新たな労働者を迎え入れ、住民の移動権をまもる地方公共交通を充実させる必要があります。
  今春闘は、改憲阻止、ライドシェア・白タク合法化阻止、労働条件の確実な改善が求められます。そのためにも、各地方・単組で組織拡大に邁進し、産別自交総連の存在意義を示そうではありませんか。

第40回中央委員会参加者数



来賓あいさつ

平和憲法を無傷で次世代へ

小田川議長
小田川議長

 全労連・小田川義和議長  労働法制の問題では、「働き方改革」や国家戦略特区という名の規制緩和が同時に動いている。軌を一にし情報共有したい。
 安倍首相の改憲は、献身的に災害救助にあたる自衛隊ではなく、安保法制によってアメリカの戦争に加担する自衛隊を憲法に書き加えることを意味する。
 改憲発議を阻止するため、平和憲法を次世代に無傷で残すという強い思いで、3000万人署名を集めてもらいたい。



議論深め闘争をさらに強化

田辺弁護士
田辺弁護士

 顧問弁護団・田辺幸雄弁護士  日本の中でも、相乗り輸送アプリや配達など隙間労働という形のシェアリングエコノミーが広がっている。一方欧米では隙間型の労働に規制をかける動きが強まっている。自交総連のライドシェアに反対する運動もそうした大きな流れの中でさらに重要性を増していく。
 歩合給の割増賃金をめぐる国際自動車の裁判は、残業代だけでなく色んな分野に影響があると思われる。裁判の行方を今後も注目してもらいたい。



2年がかりで全員一致の加盟(京都)

12地方の代表16人が発言

中央委員会討論



若者へわかりやすく伝える

(1)土橋さん
(1)土橋さん

 (1)埼玉・土橋隆一さん  白タク合法化問題など世論へ訴えかけるには組織力が重要だ。菊池書記長の言葉にあったように学習を重ねて、組合活動や労働組合に興味がない若い人へわかりやすく伝えることが鍵となる。



タクの質向上で白タク阻止

(2)舞弓さん
(2)舞弓さん

 (2)東京・舞弓義隆さん  地連では白タク阻止闘争として、自治体要請や宣伝行動にとりくんでいる。豪州ではタクシーの質が悪さが進出を許す原因となった。日本でもタクシーの質の向上がライドシェア阻止に必要だ。



何度も説明し理解を得る

(3)松下さん
(3)松下さん

 (3)静岡・松下靖史さん  今春闘では組織強化を第一に掲げたい。掛川タクシーでは譲渡譲受により他会社で働いていた人たちが新しく仲間になった。様々な声に耳を傾け、何度も説明し理解してもらえるよう団結したい。



全員参加で春闘をたたかう

(4)松田さん
(4)松田さん

 (4)京都・松田隆司さん  当労組は要求を会社に提出しても誠実に対応されず、企業内組合の限界を感じた。2年がかりで仲間との対話と親睦を重ねて理解を得、昨年全員一致で自交総連に加盟した。今春闘は全員参加でたたかう決意だ。



実効性ある労働時間短縮を

(5)山本さん
(5)山本さん

 (5)大阪・山本雅広さん  軽井沢事故以降もバスの死亡事故は相次ぎ、その原因は運転者の過労にある。今後も国交省に対し総務省発出の勧告に従った改善と、規制緩和の見直し、実効性ある労働時間短縮を求めていく。



ともに奮闘しがんばろう

(6)横田さん
(6)横田さん

 (6)高知・横田春吉さん  高知では、土電ハイヤー労組が未払い賃金請求訴訟、北部交通ユニオンが営業所間の格差是正を求めて団交とストで、それぞれ会社とたたかっている。自交総連としてともに奮闘し、がんばろう。



挑戦と努力で組織拡大を

(7)中村さん
(7)中村さん

 (7)福岡・中村朗さん  ライドシェア問題では白タクの乱暴事件など実例を伝えて危険性を世論へ訴え、組織拡大では挑戦・努力が実を結ぶと信じて実行したい。また私としても臥薪嘗胆で雇止め裁判をたたかっていく。



魅力ある業界づくりが必要

(8)中座さん
(8)中座さん

 (8)神奈川・中座恵太さん  地本では、5月から京浜地域で稼働する配車アプリの手数料を乗務員負担としないよう神タ協へ申し入れを行った。また若手が入ってこないことを危惧している。魅力ある業界づくりが必要だ。



道交法闘争で組織拡大

(9)岸田さん
(9)岸田さん

 (9)東京・岸田正勝さん  地連では未組織労働者へ組合の重要性を訴えたり、組合員を守る道交法闘争が組織拡大につながっている。今後も学習会を開催し、事故・違反をなくし、免許証を守るたたかいを強化する。



現実的にかみ砕いた訴えを

(10)宮坂さん
(10)宮坂さん

 (10)埼玉・宮坂裕之さん  白タク阻止のためには、最低限移動できればいいといった価値観の人々へ、歴史を知る世代が現実的にかみ砕いた訴えを行うことが必要だ。私も含めた若い世代も奮闘し、がんばっていきたい。



交渉の成果で373台減車

(11)杉原さん
(11)杉原さん

 (11)鹿児島・杉原良二さん  鹿児島市のタクシー協議会で373台の減車への方向付けがされ、私たちの交渉の成果を感じた。ライドシェア阻止、組織拡大、労働条件改善などにむけ、これからもがんばっていきたい。



個人加盟から組織拡大へ

(12)吉田さん
(12)吉田さん

 (12)長崎・吉田敏雄さん  県労連を通じた労働相談で、個人加盟の乗務員が自交一般に加入することになった。本人も会社に仲間を増やして自交総連の旗をあげたいといっており、今後も組織拡大にがんばっていきたい。



見える闘いで組織拡大を

(13)吉根さん
(13)吉根さん

 (13)北海道・吉根清三さん  歩合給から時間外手当を引くことを可とする国際交通の判決は、断固阻止しなければならない。私たちは経営者に法律を守らせるという労働者の原則にたちかえるべきで、労働者に見える闘いが組織拡大につながる。




総括討論


広範な労働者とともに奮闘

(14)田村さん
(14)田村さん

 (14)東京・田村清隆さん  東京地連の今後の課題としては、手数料収入を目的としたライドシェア企業によるタクシーとの協業の動きへの注視や、労働条件改善につながらない事業者の活性化11項目反対、改憲阻止の3000万署名の推進などを展開していく。
 組織強化・拡大に粘り強く挑み、制度・政策要求の実現、労働条件改善にむけ、産別を超えて広範な労働者とともに奮闘したい。



署名活動は組織拡大の機会

(15)運天さん
(15)運天さん

 (15)大阪・運天武史さん  大阪地連は昨年、白タク合法化阻止の月1回の宣伝行動や、在阪タクシー産別5団体と阪タク協による共同の大規模宣伝行動を実施した。今後も、ライドシェア、二種免許緩和、またも浮上中の大阪都構想への反対運動を強化する。また、改憲阻止の署名活動では、これを組織拡大の絶好の機会とし、運動の正当性をわかりやすい言葉で未組織の人々に語りかけていく。



異常な運賃改定問いただす

(16)東海林さん
(16)東海林さん

 (16)宮城・東海林銀次さん  今春闘でも、白タク阻止や労働条件改善を求めていく。
 1月、仙台市で認可された運賃値上げは、2・62%と異常な低率改定であり、査定において人件費が実績年度を下回った、労働条件改悪となっている。今後、地連では東北運輸局に問いただし、労働条件改善についても具体的な措置を取らせる予定である。



必ず前進かちとろう

発言に学び春闘にとりくむ

執行部答弁

菊池書記長
菊池書記長

  執行部を代表して答弁した菊池書記長は、各地の発言・経験を持ち帰って春闘にとりくもうと呼びかけました。
 運転者負担の解消(神奈川)、職場権利の確保(北海道)が提起されたことに触れ、経営者との交渉では、権利問題も重視して一職場一重点要求を決め、説得的な交渉が必要になると強調しました。
 白タク合法化阻止闘争では、大規模な大衆行動も提案されたが、ハイタク労働8団体との共同を重視し、時機を見て国民にアピールする行動にとりくみたいとしました。
 組織拡大については、2年がかりで議論して全員一致で加盟を決めた京都や職場の全員を組合員にしたという北海道、個人加盟で結集して職場の組織化にとりくみたいと決意しているという長崎などの発言に励まされたとし、3000万署名を集める対話が拡大につながる(大阪)、若い人にかみくだいて訴えることが必要(埼玉)などの発言に学んで、必ず前進をかちとろうと訴えました。

新たな白タクアプリを報告

不当労働行為事件について討論

第40回弁護士交流会

第40回弁護士交流会=1月22日、全労連会館

第40回弁護士交流会=1月22日、全労連会館

  自交総連第40回弁護士交流会が1月22〜23日、東京・全労連会館で開催され、10地方から弁護士24人と城委員長、早川副委員長が参加、中執が傍聴しました。
 交流会では、本部弁護団・菅弁護士が『シェアリングエコノミーと労働者の権利』と題し、実質白タク行為の相乗り輸送アプリ『CREW(クルー)』やシェアリングエコノミーをめぐる諸外国の動きについて基調報告を行いました。
 特別報告では、(1)札幌交通・賃金の一方的変更で道労委不当命令を受けた行訴事件=北海道・齋藤耕弁護士、(2)太宰府タクシー・乗客からのクレームを理由として地連委員長を62歳で雇止め=福岡・梶原恒夫弁護士――の2つの報告があり、活発な意見が交わされました。
 その他の参加弁護士から、弘前タクシーの未払い賃金請求事件や国際自動車労組の残業割増賃金請求事件、配転差別事件なども報告され、討論しました。

タクシー規制強化を

全国いっせいに宣伝

2・1宣伝行動

  自交総連は2月1日、全国いっせい宣伝行動にとりくみました。この行動は02年同日のタクシー規制緩和実施を忘れないために、毎年実施しているものです。
 大阪地連は近畿運輸局前や主要4駅で規制強化を求める宣伝行動にとりくみました。
 東京地連は、27の各駅ターミナルで、合計2600枚のビラを配布しました。

大阪地連の怒りの大行動=2月1日、大阪・近畿運輸局前

大阪地連の怒りの大行動=2月1日、大阪・近畿運輸局前

タクシー乗務員に話しかける東京の仲間=2月1日、東京・赤羽駅前

タクシー乗務員に話しかける東京の仲間=2月1日、東京・赤羽駅前

2018年春闘アンケート 7割が「生活苦しい」

75%が前日の疲れ取れない

11時間未満の休息期間 タク37%、バス67%

図1

 自交総連の2018年春闘アンケートを紹介します。
 【回収率】回収枚数は18地方5617枚、回収率35・4%です。配布・回収体制を見直し、全組合員がアンケートに回答できるようにしてください。

平均年齢が上昇

 【勤続・経験・年齢】平均年齢は、ハイタク58・0歳、自教47・4歳、観光バス52・6歳で、自教以外は前年より上がっています。ハイタクの年齢構成は60歳以上が前年の50%から48%にわずかに下がりました。

◎ 平均勤続・経験・年齢の推移(ハイタク)
図2
◎ 年齢構成(全体)
図3

賃上げ要求2.6万円

 【生活実感】生活実感では、かなり苦しいとやや苦しいを合わせると67%、前年より減っていますが、他の産業と比べると多くなっています。

◎ 生活実感
図4

 【賃上げ要求】平均要求額は2万6352円(前年2万7327円)でした。

◎ 賃金引上げ要求
図5

居眠り運転29%

 【運転への影響】タクシーでは居眠り運転経験が29%、バスでは21%でした。
  前日(前回乗務)からの休息期間と疲労の質問では、休息期間が11時間未満の人がタクーでは37%、バスでは67%いました。
  前日の疲れが取れないがタク75%、バス60%、交通事故を起こしそうになったがタク68%、バス55%、安全確認がおろそかになるがタク59%、バス48%でした。
  前回乗務の疲れが回復せずに運転をして安全に影響が出ていることがわかります。休息期間11時間以上の法制化、改善基準告示の改正が急務です。

◎ 仕事で運転中の経験(タクシー乗務員)
図6−1
◎ 仕事で運転中の経験(バス乗務員)
図6−2

賃金、退職金に不満

 【職場での不満】@賃金が安い61%、A退職金がない33%、B労働時間が長い28%の順でした。地方ごとにかなり違いがあります。

 【政府に対する要求】上位3つは、@景気対策45%、A白タク反対38%、B増税中止37%でした。

◎ 職場での不満(複数回答)
図7
◎ 政府に対する要求(複数回答)
図8