自交労働者No.916、2018年4月15日

許すな白タク・新たな規制緩和

460人が国交省前に集結

3・7中央行動

 

参加人数

 自交総連は3月7日、「安心・安全なタクシーを守れ、白タク合法化、新たな規制緩和反対!」「安倍『働き方改革』反対、改善基準の改正・法制化、最賃引き上げ!」を掲げた3・7中央行動を実施し、460人が参加しました。

シュプレヒコールする参加者=3月7日、千代田区・国土交通省前
シュプレヒコールする参加者=3月7日、千代田区・国土交通省前

  国土交通省前で10時から決起集会を行い、城委員長があいさつ。裁量労働制の導入をめぐる虚偽データ問題が浮上した政府の働き方改革関連法案を批判して、「雇用によらない働き方」を推奨する動きに連動したライドシェア導入の危険を指摘、海外ライドシェア企業と国内タクシー事業者との安易な協業、新たな規制緩和に警鐘を鳴らし、安心・安全確保のためにも労働条件改善をかちとる春闘にしようと訴えました。全労連の野村副議長、交運共闘の田中事務局長、公務部会の岡部代表委員がそれぞれ宣伝カーから連帯あいさつしました。
  早川副委員長が請願書を読み上げ、参加者がひとりずつ請願書を国交省の係官に提出する中、東北・関東・関西・九州の各ブロックの代表が決意と抗議の発言を行いました。
  その後、厚生労働省でも個人請願を行いました。
  12時15分から、厚労省・人事院周辺で、全労連・国民春闘共闘による決起集会がひらかれ、2000人が結集しました。集会後、国会までデモ行進を行いました。
  午後からは代表による国交省、全タク連との交渉を実施しました。

プラカードで怒りの声を表明=同日同所 請願書を読み上げる早川副委員長=同日同所
プラカードで怒りの声を表明=同日同所 請願書を読み上げる早川副委員長=同日同所

ジャスタビ規制検討せず

「何もしない」姿勢を厳しく追及

国交省交渉

要請内容を読み上げる城委員長=3月7日、千代田区・国土交通省内会議室
要請内容を読み上げる城委員長=3月7日、千代田区・国土交通省内会議室

  国交省交渉で組合側は、前回の交渉に続きレンタカーを利用したジャスタビなどの白タク営業を放任せず、法改正も含めて国交省が利用者の安全について責任をもつべきだと追及しました。
  国交省は、利用者にタクシーと同様に安全が確保されたものではないと周知徹底したいとするだけで、現状では新たな規制は検討していないと答えました。
  「安全面に問題があると認めているのに、規制のための議論すらしていないのか。省として何もしないのか」という厳しい追及に、係官は無言のまま何も回答しませんでした。
  タクシー運賃の改定に際して運転者の労働条件の改善に資さない人件費の査定となる事態が生じている問題では、3月の仙台市の運賃改定で2・62%という異常な数値が出ており現在の算定方式を見直すべきだと指摘。省側は、仙台の数字は地域の実情が反映されたものではないかとし、現時点で見直しは検討していないと答えました。

全タク連と交渉

 組合側は、海外ライドシェア企業との連携について慎重に対応するように求めました。
  全タク連側は、外国人旅行者が母国のアプリでタクシーを呼べないのは違和感があると国交省からも言われたためで、海外企業の言いなりに運賃を自由に変えるつもりはなくメーター運賃制は死守する、慎重のうえにも慎重にやると回答。オリンピック対策という面が大きく、選手村との輸送を事前確定運賃で安くやれという話もあるとし、労働条件に影響があるものはしないと答えました。

※詳細はこちら

組合員を救い、増やす

道交法闘争について講義

大阪自交労働学校

第31回大阪自交労働学校=3月27日、大阪市浪速区・自交会館
第31回大阪自交労働学校=3月27日、大阪市浪速区・自交会館

  【大阪】大阪地連は3月27日、自交会館で第31回自交労働学校をひらきました。
  東京地連の道交法対策委員の矢部誠さんが道交法闘争について講義を行いました。
  矢部さんは「『お上に逆らっても勝てるわけがない、無駄なことはやめろ』と言われたこともありましたが、やれば組合員を救うことができる、なおかつ増やすことができるんです」と強調。免許取り消し、免停90日以上の場合に行われる聴聞について、「当日に弁明しても負ける」として、目撃者の証言や独自の現場検証結果など、こちらに有利な証拠を集めた上で、出頭日までに「加点入力停止の申し立て」や「不起訴要請書」を担当部署に提出しておくことが大事と説きました。

実効ある監督を

実態聞いて対処したい

バス部会交渉・総会

バス部会による国交省交渉=4月6日、千代田区・国土交通省内会議室
バス部会による国交省交渉=4月6日、千代田区・国土交通省内会議室

  自交総連バス部会は4月6日、宮城、大阪、福岡の代表が参加して国交省交渉と第4回総会をひらきました。
  交渉では、規制緩和の根本的見直しをしないことが、総務省から二度も勧告を受ける結果になっていると追及、運賃に関して旅行業者への手数料キックバックが書面など表に出ない形で続いていることや学校関係からの下限割れ要求などの実態を示して、実効ある監督と参入規制の強化を求めました。省側は、実態をよく聞いて対処したいとの姿勢を示しました。
  総会では、部会長に石垣副委員長、事務局長に大阪・山本雅弘さんを再任、来春闘の統一要求と公正取引委員会交渉などを計画することを確認しました。

※詳細はこちら

重点要求の実現へ

春闘のたたかい方を決定

第1回中闘

  自交総連は4月5日、自交共済事務所で第1回中央闘争委員会(第2回常執)をひらき、春闘の今後のたたかい方を決めました。
  3月8日にひらいた中執で決めた当面する対策を受けて、各地方では要求提出がすすみ、一部で回答も出ています。
  しかし、まだ未提出の組合も残されていることから、一職場一重点要求の設定を含めて全組合からの要求提出を追求しつつ、4月23〜27日を統一行動ゾーンとして交渉・回答引き出しを集中させることにしました。
  春闘解決の基準は、@賃上げ、重点要求の実現、A白タク合法化阻止、政策要求での共同の確認、B納得いく内容での全体的合意と労働協約締結――の3点を重視し、決着させていくことを確認しました。


この成果を全国に

高知・土電ハイヤー労組

歩合給からの年休手当の控除は無効

未払い賃金21万3千円かちとる

  【高知】土電ハイヤー労組は3月16日、年次有給休暇手当未払いとカットされていた歩合給の差額賃金を請求した事件で、高知地方裁判所より、二人で21万3千円の支払い判決をかちとりました。
  同社の賃金は名目上支払われた年休手当を、そのまま歩合給から差し引き、満勤でないとして歩合率も3%低い47%にするというものです。高知簡易裁判所に少額訴訟を起こし、16年2月21日には請求額の全額支払い判決をかちとりましたが、会社はこれを不服として控訴し、高知地裁で控訴審が争われていました。
  判決では、@年休をとれば歩合率が低く据え置かれる措置は、年休取得を抑制し違法となる、A年休手当を歩合給から控除することは、実質的に年休手当が支給されないことと同じ結果となるとし、「公序に反して無効」としました。労組の主張を全面的に認め、会社に対し未払い賃金の支払いを命じました。
  会社は期日までに上告せず、控訴審判決が確定しました。

九州運輸局と交渉を実施

九州ブロック学習会

九州ブロック学習会=3月11日、福岡市博多区・福岡県労連大会議室内
九州ブロック学習会=3月11日、福岡市博多区・福岡県労連大会議室内

  【福岡】九州ブロックは3月11日〜12日、福岡県労連大会議室で18年春闘学習会を開催しました。
  本部の菊池書記長の講演後に、鹿児島、長崎、佐賀、福岡の各地での問題点や現状報告がありました。九州の観光地や空港での中国人相手の白タクらしき事例も報告されました。
  12日には、九州運輸局と交渉を実施。海外ライドシェア事業者と提携するタクシー事業者が、手数料等を運転手負担とする問題について、局側は、タクシー特措法における附帯決議を踏まえ事業者にしっかりと周知徹底したいと回答しました。
  九州各地から16人の参加で学習会と九州運輸局交渉を終了し、各地で今春闘を闘い抜く決意を確認しました。

ハイタク年収294万円、格差は203万円

タクシーと他産業労働者の労働条件比較 2017年

  17年のタクシー労働者と他産業労働者の労働条件比較がまとまりました。
  タクシー労働者の平均年収は294万2500円、前年より5万8800円増えました。産業計男性労働者の年収も3万4900円増えて497万1300円になっていますので、格差は202万8800円と少し縮まりました。
  地方ごとにみると、タクシーで年収400万円台となったのは東京のみ。300万円台が17府県、200万円台が29道県でした。
  1時間当たりの賃金は、タクシーが1275円、産業計が2258円で、格差は983円(56%)でした。
  注.資料は、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(賃金センサス)。タクシー、産業計労働者とも男性、企業規模10人以上。全国平均は単純平均で出しています。業界紙等で報道される数値(加重平均)と異なります。

※データはこちら

廃案へ追い込もう

「働き方改革一括法案」提出

  「働き方改革一括法案」が4月6日、閣議決定され国会に提出されました。
  【解説】安倍内閣はこの法案を、長時間労働是正、非正規労働者の差別をなくすなどと説明していますが、内容は正反対で、長時間労働を容認して差別を固定化するものです。
  自交労働者にとっては、ライドシェアの導入と連動した雇用によらない働き方を拡大する方向が示されていることが極めて危険です。
  データねつ造が発覚して裁量労働制の拡大は法案から削除されましたが、法案自体を廃案にさせなければなりません。


働き方改革一括法案

われら自交総連 (4)労働組合の組織形態と原則

団結のための労働組合の3原則とは

  自交総連は、全労連をナショナルセンターとする産別組織です。今回は、こうした労働組合の組織形態や組織原則を解説します。

組織の形態

  労働組合の基礎組織(単組)には、企業ごとに組織された企業別労働組合と一人でも加入できる地域の個人加盟労働組合という二つの形があります。日本では、企業別労組が多くみられますが、働き方が多様化している現在では、個人加盟労組の重要性が増しています。
  同じ産業の労働組合が集まって自交総連のような全国産業別労働組合(産別)をつくります。自交総連のなかでは各地方ごとに地方本部(地本)・地方連合会(地連)をつくっています。
  さらにいくつもの産別があつまって全労連というナショナルセンター(全国組織)をつくっています。全労連には各県ごとの地方組織も加入しています。
  全国的な行動の統一や政府、経営者団体などを相手にする場合には産別やナショナルセンターの役割が欠かせません。

組織の原則

 労働組合に加入している労働者一人ひとりの考え方や要求はさまざまです。そうした仲間が団結していくために確立されてきたのが労働組合の3原則です。
 @一致する要求での団結と行動の統一=さまざまな意見のなかで共通する課題、一致する要求について団結すること。要求が決まったら全員が統一して行動していくことが大切です。
 A資本からの独立=資本というのは経営者のことです。経営者は労働組合の力をそごうとして、組合幹部を懐柔したり、自分のいうことを聞く組合(御用組合)に変質させようとします。こうした手口に乗らず、資本から独立していることが必要です。
 B政党からの独立=要求で一致する政党とは協力・共同して闘いますが、さまざまな思想をもった組合員が団結するためには、政党支持をおしつけたり、組合費から政党にカンパしたりすることは許されません。


図