ライドシェア解禁を主張
ソフトバンク孫正義社長
ライドシェア反対を訴えデモ行進する自交総連などのハイタク8団体=5月23日、東京都内 |
ソフトバンクグループの孫正義社長は7月9日、講演で、日本でライドシェアが禁止されていることについて「こんなばかな国がいまだにあるということが信じられない」と述べたと報道されています。
しかし、ライドシェアは解禁どころか禁止・規制に向かうのが世界の流れで、日本が時代遅れだというのは事実に反しています。
世界では規制強化
【解説】孫氏は、ライドシェア解禁がすすまないことを非難し、「(ライドシェアで)交通の混雑が減り、事故が減り、需要と供給をマッチできるということが米国や中国、欧州などいろいろな国で起きている」と指摘したとされますが、まったく逆の言い分です。
ニューヨークでは、増えすぎたライドシェアによる渋滞解消のため台数を規制する条例が制定されました。
中国では、ライドシェアドライバーによるレイプ殺人が相次いで起き、その危険性が国民に知れ渡りました。
欧州では、司法裁判所がライドシェアをタクシーと同等に扱う規制強化を決定しています。
自己利益のために
このような世界の流れに反して、孫氏がライドシェア解禁を求めるのは、自らが出資したライドシェア企業が日本でも自由に営業できるようにして、もうけるためです。
ソフトバンクグループは、世界中のライドシェア企業に出資して、その総額は150億ドル(1兆6500億円)を超えます(下表)。この巨額投資を回収して利益を上げようという利己的な目的のために、規制をなくして公共交通の安心・安全を犠牲にすることは許されません。
ライドシェアの危険、規制強化の動き
▲中国・滴滴出行 3か月で2度のレイプ殺人事件
2018年5月5日、滴滴出行のライドシェアサービスを利用した21歳の女性が男性ドライバー(27)に乱暴され殺害された。ドライバーは父親名義で登録、過去にセクハラのクレームがあったのに調査されていなかった。滴滴が業務改善にとりくむと発表した矢先の8月24日、再び20歳の女性が男性ドライバー(27)に乱暴され殺害された。被害者から「山道を通ってる。助けて」とメールを受けた友人がすぐに滴適に連絡したが、対応が遅れるうちに事件が発生した。
▲米・ニューヨーク ライドシェア規制法制定
ニューヨーク市議会は2018年8月8日、ライドシェア車両に対する新規営業許可の発行を1年間停止、ドライバーに最低賃金を設定する条例を可決した。市内のライドシェア車両は15年に1万2600台だったのが3年で8万台に増加。一方、正式な免許を受けているタクシーは1万3500台で固定されている。増えすぎた車両で大渋滞が発生、収入が激減したタクシードライバーが17年末から7か月で6人も自殺していた。
▲EU司法裁判所 ライドシェア規制強化の判決
EU(欧州連合)の最高裁にあたる司法裁判所は2017年12月、ウーバーは輸送サービス業であり、タクシーと同等の規制を受けるとの判断を示した。ウーバーは、ドライバーと乗客を仲介するだけなので、規制の緩いオンラインサービス業だと主張したが、退けられた。欧州では、一般ドライバーが自家用車で乗客を乗せるサービスは、ほぼ禁止され、ウーバーは「運輸関連法に従いプロのドライバーと事業を展開する」と表明せざるを得なくなっている。
さらに減車が必要
すべての地域で供給過剰
準特定地域の需給状況・適正車両数
タクシー特措法にもとづく準特定地域の需給状況・適正車両数が各運輸局から8月に公示されました。
準特定地域は、供給過剰となるおそれがある地域として9月1日現在、全国で115地域が指定され、毎年、適正車両数が公示されます。前年に続いて、すべての地域で供給過剰状態であり、増車枠は出ませんでした。
最近、タクシーの減車の幅は鈍っていますが、依然として需要より多くの車両が存在しているということで、運転者一人あたりの営収を増やすためには、減車が必要ということです。
準特定地域は10月から6解除、1追加で110地域となり(2面)、いっそう供給過剰が深刻な特定地域は今年、奈良市域と倉敷が解除、大阪・河北が新規指定され、指定延長を含め26地域となっています。
6地域解除、1地域追加
110地域へ減少
準特定地域 10月1日公示
国土交通省は10月1日付で改正タクシー特措法(活性化法)にもとづく準指定地域の指定・解除を決め、各運輸局が公示しました。
指定解除は、埼玉=県南東部交通圏、群馬=東毛交通圏、静岡=伊豆交通圏、三重=津交通圏、大阪=河南交通圏、福岡=大牟田市の6か所でした。
追加指定は1か所で、福島=いわき市が再指定を受けました。
準特定地域は、115から110地域に減少しました。指定解除された地域は増車が可能になります。
解除の5地域はいずれも実働率の低下により一部の指標で要件を外れたといっても、供給過剰状態は解消していません。増車が行われれば、たちまち営収が低下してしまうことが予想されます。
新基地反対 玉城デニー氏が勝利
県民の意思結集し翁長県政引き継ぐ
沖縄県知事選挙
辺野古への米軍新基地建設問題を最大の焦点としてたたかわれた沖縄県知事選挙は9月30日、投開票され、新基地建設阻止を掲げるオール沖縄の玉城デニー候補が、安倍政権の全面支援を受けた佐喜真候補を破って当選しました。急逝した翁長知事の遺志を継ぎ、辺野古に基地はつくらせないという県民の固い決意が示されました。
安倍政権は、市街地の真ん中にあり危険な普天間基地の移設先として辺野古に巨大な新基地を建設する計画を強引にすすめています。しかし、普天間基地は即時閉鎖・撤去、新基地建設反対が県民の多数の声で、4年前の知事選で翁長知事を誕生させました。
政権の総力戦破る
政権は当初、翁長知事との面会さえ拒み、強引に基地建設の工事をすすめ、政権と直結する知事を誕生させて新基地反対をあきらめさせようと、自民・公明・維新の態勢で総力をあげましたが、自公支持者の1〜3割弱の離反も招き、県民の結束を崩すことはできませんでした。
玉城氏は、新基地建設反対を貫くとともに、保育無料化、中高生のバス通学無料化など県民のくらしを守る政策を打ち出し、無党派層から7割の支持を獲得しました。
自交総連は中執で玉城デニー候補の推薦を決定して推薦状を送り、各地方でも沖縄の知人に声をかけるよう呼びかけました。
厚労省へ共同推薦書を提出
中労委・労働者委員の公正な任命求め要請
中央労働委員会・労働者委員の公正な任命を求める共同推薦提出行動=9月25日、東京・厚生労働省 |
全労連と純中立労組、マスコミ関係労組などは共同して、中央労働委員会労働者委員の公正任命を求め、9月25日に労働者委員候補推薦書の共同提出行動を行いました。
中央労働委員会には15人の労働者委員がいますが、以前はすべて連合が独占、08年以降、連合以外から1人は任命されるようになりました。本来は様々な潮流に応じて、組織人員に比例して任命されるべきもので、連合以外から2人以上任命されて当然です。
今回、全労連から北口明代さん(生協労連)、純中立から田中広喜さん(新聞労連)の2人を共同で推薦し、2人とも任命するよう要請、各組合が推薦書を提出し、厚労省の担当者に公正な任命を強く求めました。
「役立つのでまた参加したい」
道交法学習会を開催
東京地連
18年全都道交法学習会=8月1日、東京・深川江戸資料館 |
【東京】東京地連は8月1日、深川江戸資料館で2018年全都道交法学習会を開催しました。神奈川地本や建交労の仲間も含めて27組合156人が参加しました。
第1部では実例に基づいたタクシーと一般車との交通事故を寸劇で再現され、第2部では江東法律事務所の中村優介弁護士が「もしも交通事故を起こしたら―事故発生とその後の流れ―」をテーマに講義を行いました。
寸劇の内容に沿って、質疑応答形式で参加者と内容を確認していき、事故後の対応で過失を取られないための重要なポイントを解説しました。
続いて、岸田道対委員長が活動報告で地連が実施した警視庁要請行動における要点を解説しました。警察の通達を活用して加点を取り消した南部ブロックの実例を紹介しました。
参加者からは、「事故が起こったときの心構えについて、レジュメだけではわかりづらい点が寸劇によってイメージしやすくなった」「この学習会はとても役立ちます。また参加したい」などの感想が寄せられました。
タクシーが潰される
駅前で白タク阻止宣伝行動
大阪地連
白タク合法化阻止宣伝に奮闘する大阪の仲間=9月11日、大阪・難波駅前 |
【大阪】自交総連大阪地連は9月11日、毎月恒例の白タク合法化阻止市民宣伝と組織拡大宣伝にとりくみ、難波・高島屋前を皮切りに天王寺、堺東、三国ヶ丘の各駅でのべ20人が奮闘しました。
宣伝のマイクを握った吉田副委員長は「ライドシェアの運転者は労働者としての権利が一切保障されない」「アメリカではウーバーの運転者が起こした人身事故についてウーバーが責任を認めず大問題になっている。安心・安全を担保できない者に公共交通を担う資格はない」と指弾。
松下書記次長は「夜中に女性・子どもが一人でも安心して利用できる、世界に誇れる日本のタクシーが潰されようとしている」「タクシーだけではなく地方の赤字路線バスも維持できなくなる」と訴えました。
安心・安全掲げて奮闘
安心・安全守り白タク対抗
福島第24回定期大会
福島第24回定期大会=9月23日、福島・サンライフ福島 |
福島地連は9月23日、第24回定期大会をひらきました。あいさつした荒川副委員長は、労働者の要求実現のためには改憲ねらう安倍政権を退場させなければならないと訴え、ライドシェアに対抗するためにも運転者の労働条件をよくして安心・安全を守ろうと呼びかけました。
討論では、待機所の建て直しを実現した(大森労組)など各組合が春闘の経過を報告、東北地連への組織合流を含む運動方針を決めました。
ライドシェア阻止へ奮闘
東京第137回定期大会
東京第137回定期大会=9月26日、東京・北とぴあ |
【東京】東京地連は9月26日、第137回定期大会を開催、51組合210人が参加しました。
主催者を代表して城委員長は、ライドシェア阻止のため「安心・安全」を掲げて奮闘していくとあいさつしました。議案は賛成多数で採択され、城委員長の団結がんばろうで終了しました。
委員長=城政利(再)▽副委員長=徳永昌司(再)、中村雅一(新)、堀井一也(新)▽書記長=舞弓義隆(新)
協力体制で新スタート
神奈川第64回定期大会
神奈川第64回定期大会=9月27日、神奈川・横浜市従会館 |
【神奈川】神奈川地本は9月27日、第64回定期大会をひらきました。神奈川県労連の山田事務局長、日本共産党・神奈川県委員会の高山労働組合部長、本部の早川副委員長より力強い叱咤・激励をもらいました。
大会では、役員改選選挙が実施され、現行執行部4人が信任投票で留任となりました。地本の現状は厳しい状況が続いていますが、冨松委員長を執行部全員で盛り上げ、各支部からも協力体制で臨むことを確認。新たなスタートを切りました。
道交法闘争で組織拡大を
山口第55回定期大会
山口第55回定期大会=9月27日、山口・下関市勤労福祉会館 |
山口地連は9月27日、第55回定期大会をひらきました。広島(元広島地本の仲間)から4人が4時間かけてかけつけ、大会を盛り上げました。
本部の城委員長が、「白タク合法化阻止闘争と取り組むべき課題」について講義しました。組織拡大では、道交法闘争も視野に入れてとりくむことが、実利実益につながると訴えました。
委員長=坂本一雄▽副委員長=守重正一▽書記長=川端輝彦(いずれも再)
われら自交総連 (8)財政
たたかい支える財政複数で扱うのが重要
教宣活動と並んで労働組合のたたかいを支えるうえで欠かせないのが、財政です。こちらも専門部の役割ですが、担当者や特定の部員任せにせず、普段からみんなで協力し合って運用することが重要です。
必要な金額を
財政の基本は組合費です。その額は組合によって違いますが、必要な活動を支えるだけの金額でなければなりません。
第二組合などは1000円程度の会費で安上がりだと宣伝することがありますが、何もしなければ財政も要りません。労働者の利益を守って会社や行政とたたかう組合ならば、そのための活動費が必要です。また全国の仲間と連帯するために、地連・本部、地域労連・県労連への加盟費も必要となります。
当然、一定の金額となりますが、組合員の収入も勘案しつつ、必要な金額を組合員の合意で決めます。
必ず会計監査を
組合費はみんなの公金ですから、有効・適切に使わなければなりません。詳しい財政実務は省きますが、正確な記帳と定期報告・会計監査は欠かせません。
労働組合とはいえ、管理が不十分だと使い込みなどが起こることがあり、最悪の場合は組合解散に結びつくこともあります。
財政は、絶対に担当者ひとり任せにせず常に複数で扱う、会計監査を行うことを常識にする必要があります。