自交労働者No.924、2019年1月15日

将来がきまる正念場の年「安心・安全」なタクシー、地域公共交通を守ろう

新年への抱負〜心機一転をめざす仲間から〜

 新年に当たって、自交総連の全国各地の組合員から決意を聞きました。



仲間を増やして組合運動に励む

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  長崎・佐世保タクシー労働組合 白岩英博さん
  新年あけましておめでとうございます。
  自交総連に加入して初の年明けですが、新年あけると共に、タクシー業界におきましては、非常に厳しい時代が待ち受けています。白タク・ライドシェア、無料タクシーなど、頭の痛い問題が山積みの状況ですが、ここは組合員一同協力して乗り切ろうと思っています。
  長崎県の県北地域で仲間を増やして、地域一番の賃金・待遇をかちとるために、組合運動に励みます。


既存組合ではだめだと加盟

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  北海道・旭川小鳩交通労働組合 木村知良さん
  02年の規制緩和による低運賃の新規参入や増車で、事業者が安売り合戦に走った結果、運転者へ低運収・低賃金が一気に襲い掛かりました。
  私の働く小鳩交通の運収も低下の一途。食べていけない賃金では若者は辞めていくばかりで、慢性的な乗務員不足の状況でした。
  会社は保有車両の半分近くを減車するも、利用者は右肩下がりで働く者のモチベーションも下がる一方です。
  更にライドシェアなどの攻撃が、新たな規制緩和としてテーブルに載せられています。これを許しては、公共交通機関としてのタクシーの役割さえ雲散霧消となってしまいます。全力で阻止しなければならないと日々の学習を含め、世論には積極的にアピールすることを考えています。
  自交総連加盟に至ったのは、既存の労働組合ではだめだ、新しい労働組合を立ち上げ、「安心・安全」なタクシーを再構築しようと考えたためです。当初8人で結成し、今は倍増の16人となりました。
  地連の運動方針を基礎に、どういう運動ができるか模索しながらの毎日ですが、今後ともご指導よろしくお願いいたします。共にがんばりましょう。


正しいと胸はれる会社にしたい

  神奈川・箱根登山ハイヤー支部 那賀智恵美さん
  私たちは労働委員会へ3回斡旋をしました。会社は、嘘・屁理屈を並べたてるばかりで真面目に解決する姿勢がなかったので、救済命令申し立てをしました。
  その後も不誠実団体交渉・差別的取り扱い・支配介入・不当労働行為を繰り返す会社。私たちの宣伝行動に対して、他組合員―非組合員が風評被害だと訴えてきました。根拠のない噂ではなく真実なので風評被害には当たりません。
  何が正しいのかを見てください。真実を見極めて正しい判断をして欲しい。
  私たちは、間違っていることは間違っていると、はっきり言える人でいたい。会社を正しい、誰にでも胸はって言える箱根登山ハイヤー株式会社にしたい。泣き寝入りはしません。
  応援よろしくお願いいたします。


認識の差を縮めていきたい

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  京都・比叡タクシー労働組合 長谷浩さん
  新年明けましておめでとうございます。私はタクシー歴5年、今の会社に入ってまだ2年の新米ですが、この2年でライドシェア問題を組合の教宣で知り、そして委員長の要請により昨年9月から書記長の任を承りました。
  18年4月の京都地区運賃改定、6月に施行されたサンドボックス制度など、私たちの働く環境は激動の時期を迎え、本年で近い将来の動向が決まる正念場の年と考えます。
  しかし、それらの環境に対し、世間一般の方、我々ハイタク労働者の一般の方の認識は低く、組合の活動に携わっている者とは差が生じているのが現状であります。
  従って私の今年の抱負としましては、この差を少しでも縮めることに尽力し、組合活動に繋げていきます。

仲間を増やし闘い成し遂げよう

安倍政権から国民本位の政治へ

中央執行委員長 城 政利

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  謹んで新年のごあいさつを申し上げます。
  安倍政権は、入管法改定や漁業法、水道民営化など、十分な審議もせず強行採決するなど、国民無視の政治を強めています。これらは安倍政権の行き詰まりのあらわれです。
  格差社会の拡がりが、出生率を押し下げ少子高齢化、労働者不足という状況を作り出し、大企業優遇政策の結果、税収面でも取りやすい所から取る消費税増税という悪政を進めています。安倍政権から国民本位の政治へ変える必要があります。
  ライドシェアの状況は、首相の諮問機関である規制改革推進会議や未来投資会議を中心とした議論で、規制のサンドボックス制度を活用し合法化しようとする動きが顕著です。
  一方ライドシェア企業は、日本の法律が障壁となっていることから、少しでも利益を上げるためにタクシー事業との連携を進めて自分たちを認知させ、次のステップに繋げようとしています。その先には、タクシー事業者が下請け化され、牛耳られ潰されていくことが想定されます。
  今年は、ライドシェア合法化阻止の闘いで重要な年となります。仲間を増やし、規制緩和反対闘争を思い起こすような闘いをともに成し遂げましょう。

全面的に協力したい

大津市で宣伝と市職員労組と懇談

関西ブロック

大津市職員労働組合連合会・小川委員長(左)と意見交換する大阪・京都地連の仲間=12月3日、滋賀県大津市
大津市職員労働組合連合会・小川委員長(左)と意見交換する大阪・京都地連の仲間=12月3日、滋賀県大津市

  【大阪】自交総連関西ブロックは12月3日、危険な白タク・ライドシェア解禁の国家戦略特区申請が出されている滋賀県大津市(越直美市長)を中心に宣伝にとりくみ、大阪・京都地連から12人が参加。京都駅を皮切りに大津市内の瀬田駅、大津京駅で市民や待機中の乗務員に向けて白タク合法化阻止を訴えました。
  大阪地連の吉田英二副委員長は、「ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、ライドシェアを行う海外企業に巨額出資し、自身の儲けのために解禁せよ≠ニ政府に圧力をかけている」と告発し、「ライドシェアを導入した諸外国では事件・事故が多発し、問題として再規制の流れになっている。こんな危険な仕組みを日本に入れてはならない」と語気を強めました。
  午後からは、大津市職員労働組合連合会の小川治彦委員長と懇談。大津市のライドシェア導入への進捗状況や越直美大津市長の市政運営について率直に意見交換しました。
  小川委員長は、「市長は自分の意見に異論を唱えるものはすべて部署替えしイエスマンのみを周りに置いて市政運営している。ライドシェアもそうした一環なのかも。今後、署名や情報交換など全面的に協力したい」と要請を快諾してくれました。

自交総連も参加させよ

改善基準告示改正の検討準備

交運共闘省庁交渉

国交省と交渉する交運共闘のメンバー=12月7日、千代田区・国交省内
国交省と交渉する交運共闘のメンバー=12月7日、千代田区・国交省内

  交運共闘は、11・8中央行動で提出した個人請願の内容について12月7日、厚労省・国交省と交渉を行いました。城議長(自交総連委員長)、菊池幹事(自交総連書記長)が参加しました。
  厚労省では、働き方改革法の附帯決議で自動車運転者の労務改善基準告示の改正が指摘されたことから、改正の議論の場をつくる準備をしているとしたため、その検討の場に自交総連の代表も入れるよう強く要請しました。
  国交省では、規制のサンドボックス制度について「ライドシェアは道運法違反であり、法違反の制度を実証実験することは認めない」という認識に変わりはないかと確かめ、変わりはないと確認しました。

※交渉内容の要旨はこちら

有休手当の支払いかちとる

長期争議の紹介

長期争議組合の一覧

  自交総連の長期争議組合は昨年12月時点で5地方8組合でした。
  内容は不当解雇、不当配転、団交拒否、未払い賃金請求、賃金一方的変更などです。
  成果では、高知・自交総連土電ハイヤー労組の未払い賃金請求事件(年次有給休暇を取っても手当と同額が歩合給から差し引かれてしまう賃金の不当性を訴えていた裁判)において、高知地裁より賃金規程を公序に反して無効とし有休手当等の支払いをかちとりました。
  他にも、北海道・江別ハイヤー労組の一部解決や、福岡・大宰府タクシー労組の県労委での不当解雇撤回命令などがありました。
  自交総連では毎年、臨時徴収金から、解雇事件や重大事件に配分しています。

解雇は不当と確信
旭川金星ハイヤー労組 執行委員長 太田清貴

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  私、太田清貴は自交総連に加盟させて頂きましてから、旭川金星ハイヤー株式会社より、昨年労働基準監督署に未払い金の告発と組合の委員長になったからと思われる理由で、今年3月に解雇されました。
  私は自交総連の皆さんと弁護団の皆さんのお力をお借りし、解雇無効の裁判と組合に対しての不当労働行為を告発しました。裁判は3月8日に証人尋問が行われる予定になっています。解雇が不当な事だと立証されると確信しております。
  組合員は現在私1人になってしまった状態です。しかし、裁判の結果次第では現役の乗務員も分かってくれるのではないかと思いますので、頑張りたいと考えております。

増税ストップ、選挙で意思を示そう

運転者の賃金は大幅ダウン

消費税増税のもたらす影響

図1    
図2

  安倍首相は18年10月の閣議で1年後に消費税を10%に引き上げることを表明しました。

  消費税増税は、景気を一気に悪化させ、タクシーの営収も減らす最悪の政策です。97年に3%から5%へと引上げられましたが、増税によって消費は冷え込み、かつてない大不況が起こりました。14年に8%へ引き上げられた時も、景気の悪化で10%への増税が延期されてきました。

増税で営収減に

  増税されれば、タクシーの乗客が減って営収が減り、賃金も大幅に減ってしまいます。
  97年の時は増税後3年で60万円も年収が減少しました(図1)。
  14年の時は、減車と実働率の低下があったため、1台当たりの営収減は少なくて済みましたが、それでも増税直後から税抜営収は前年比マイナスになりました。

増税は大企業優遇

  安倍首相は、増税は社会保障や財政再建のためと言っていますが、89年に消費税が導入されてからの累計税収は371兆円、一方同時期の法人税減税は290兆円です。消費税で国民から取った分を減税で大企業に還元しているのが実態です。社会保障費も毎年削減されています。
  大企業・大資産家への優遇をやめて公正に課税すれば財源はあります。
  統一地方選、参院選で増税ストップの国民の意思を示す必要があります。

われら自交総連 (9)政策活動、提案

政策を応用、職場で実践労働者が職場の主人公に

  教宣や財政など日常活動が軌道に乗ったら、もう一歩運動を進め政策活動にとりくみ、会社・行政に提案ができる組合をめざしましょう。

実現した政策

  組合の目的は端的にいえば給料(労働条件)を上げることですが、いまの社会では、会社・経営者と闘うだけでは、労働条件が良くなるとはいえません。タクシーの売上げをみても、規制緩和や景気で左右され、いまや全部を給料としても社会的水準に達しない状況です。
  産業をとりまく情勢にも目をむけて、そこで働く労働者がまともに暮らせるような制度・政策を実現しないと、労働条件も改善できないのです。
  そのために、自交総連では、数々の政策をつくり、国や行政、事業者団体に要求し、みんなの力で少しづつ実現してきました。

職場で提案を

  大切なのは、政策を自分の職場・地方に当てはめて応用、実践することです。
  福祉・介護タクシーの導入を会社に提案したり、市町村に補助金を要請する、18歳人口が減るなかで教習所の仕事を広げる提案を行う、経営を分析して改善点を探る――など、要求するだけでなく、自らが創造し提案する力をつけ、とりくみができるようになったとき、文字通りの労使対等、労働者が職場の主人公になることができるのではないでしょうか。
  そうなれば、自覚も高まり、自らの仕事に誇りをもつことができます。それでこそ無責任な経営者や行政への怒りも高まります。
  そのような質の高い組合をめざし、われら自交総連として、ともに奮闘していきましょう。


自交総連の政策活動と実現した政策(一部抜粋)

政策提言・活動
  ◎タクシー運転免許構想の提起(2000年)
  ◎規制緩和反対の理論構築(2003年)
  ◎自教の基本政策の提起(2003年)
  ◎観光バスの基本政策の提起(2013年)
  ◎「安心・安全、持続可能な公共交通を担うタクシーをめざして」の提起(2015年)
  ◎白タク合法化阻止の理論構築(2016年)

実現したもの
  ●タクシーの公共輸送機関としての位置付け
  ●運賃査定原価の公開
  ●運賃改定分を労働条件改善に充当する制度化(91担保方式)
  ●改善基準(労働時間規制)の告示化
  ●事業者への行政処分の強化・公表
  ●福祉タクシー制度(自治体の補助)の実現
  ●身障者割引の導入
  ●タクシー乗り場の整備、バス・タクシー併用レーン導入
  ●過疎地での乗合タクシーの導入 運転代行の法的規制、二種免義務づけ
  ●タクシー規制緩和の見直し
  ●運転者登録制の拡大
  ●タクシー防犯マニュアルの策定