自交労働者No.925、2019年2月15日

ライドシェア阻止へ山場となる年

賃上げ、職場権利の確立を

第41回中央委員会

  自交総連は1月23、24の両日、東京・全労連会館で15地方74人が参加して第41回中央委員会をひらき、「白タク合法化阻止 賃上げ、職場権利の確立 19春闘」をスローガンとする春闘方針を決めました。

団結がんばろうをする参加者=1月24日、東京・全労連会館

団結がんばろうをする参加者=1月24日、東京・全労連会館




城委員長あいさつ

城委員長
城委員長

  安倍首相は年頭から改憲に強い意志を示しており、昨年表明した消費税増税とあわせて大企業優遇の悪政を進めています。タクシーにおいては、楽天やソフトバンクグループの両会長が政府へ白タク合法化を求め、圧力とも取れるような発言・要請をおこなっています。ライドシェア阻止のためにも今年の統一地方選、参院選のふたつの選挙を「日本の命運を分けるたたかい」として一体的にとりくみ、国民本位の政治に転換しましょう。
  今春闘は、ライドシェア・白タク合法化を阻止するためにも、規制緩和闘争時に霞ヶ関をタクシー車両で埋めつくした闘いを思い起こすような運動が必要です。
  今年はライドシェア解禁阻止のたたかいの山場となる年です。そのためにも、仲間を増やし、各地方・単組で組織拡大にまい進して、産別組織の存在意義を示し、タクシーという仕事を守ろうではありませんか。

第41回中央委員会参加者数



来賓あいさつ

仲間増やす運動を進めよう

橋口副議長
橋口副議長

 全労連・橋口紀塩副議長  全労働者の力を結集すれば、19春闘で大幅な賃上げを獲得できます。そのために中小企業を圧迫し労働者の雇用を危うくする消費税増税に反対し、改憲署名と同時に消費税署名もとりくみましょう。また全労連の総がかり行動の最重点計画にエントリーした福岡で組織拡大があったのは喜ばしいことです。仲間を増やす運動もぜひ進めてください。



申請させぬよう監視が重要

菅弁護士
菅弁護士

 本部顧問弁護団・菅俊治弁護士  弁護士交流会で報告された規制のサンドボックス制度については、ライドシェア解禁をしたい内閣が国交省から規制権限を奪うことが本質で、申請させないよう監視することが重要。国際自動車事件の悪影響も多数報告されました。判決は割増賃金を払うことで長時間労働を抑制する法の趣旨を没却する驚くべきもので今後の動向を注視したいです。



「困ったら自交総連」の位置づけを

白タク阻止、争議支援、運賃改定などの発言

12地方14人が討論



アプリ手数料を会社負担へ

(1)坪倉さん
(1)坪倉さん

 (1)東京・坪倉秀樹さん  ライドシェア事業者はタクシー事業者との協業へと切り替えています。海外配車アプリ導入に歯止めをかけるため、日本製のアプリの技術革新が深刻な課題です。またアプリ手数料について、会社が負担するよう賃金・労働条件に反映すべきです。



相談を密にし信頼築きたい

(2)松下さん
(2)松下さん

 (2)静岡・松下靖史さん  19春闘では、賃金向上や労働条件改善の要求実現をさせたいです。また今年度新しく浜松交通タクシー労組の委員長になってくれた方へのフォローや、地連も今まで以上に相談を密にして信頼関係を築きたいと思います。仲間と共にがんばりましょう。



初乗り距離短縮運賃に反対

(3)宮坂さん
(3)宮坂さん

 (3)埼玉・宮坂裕之さん  埼玉地連は、昨年11月申請された初乗り短縮を伴う運賃改定に反対します。また高齢者や障碍者を対象とした初乗り乗車料金を補助するタクシー乗車券について、改定の場合は補助対象を広げるよう働きかける必要があります。東京の事例を参考にしたいです。



会社で笑って仕事がしたい

(4)那賀さん
(4)那賀さん

 (4)神奈川・那賀智恵美さん  私は箱根登山ハイヤーの支部長です。何度も法律を守るよう会社にお願いしてもまったく聞き入れられず、労働委員会へ救済申し立てをしました。不当労働行為は明らかです。笑って仕事がしたいだけなのに何故かなえてもらえないのか。解決へのご協力をお願いします。



100人の組織拡大めざす

(5)中村さん
(5)中村さん

 (5)福岡・中村朗さん  地連では、100人の組織拡大実現のため、全労連の最重点計画にエントリーし、財政支援をうけつつ独自の交通共済をアピールし拡大をめざしています。新たな加盟もありました。また、私自身の雇止め事件についても解決までたたかっていきますのでご支援よろしくお願いします。



命にかかわる職種は規制を

(6)田中さん
(6)田中さん

 (6)鹿児島・田中哲夫さん  鹿児島の現状では、昨年度急激に減車がすすみ適正車両まであと70台になりました。また働きながらの組合活動は厳しいですが、お客さまからの「命にかかわる職種は規制をしなければ」という声に元気をもらいました。これからもがんばっていきます。



暴走安倍政権ストップへ

(7)横田さん
(7)横田さん

 (7)高知・横田春吉さん  今年は選挙の年です。白タク合法化阻止のためにも暴走安倍政権ストップへ奮闘します。土電ハイヤー労組の勝訴以降、会社では全員の年休が正常に支払われだしました。また3月5日に高松で四国総行動として運輸局交渉を行う予定です。



加点取り消しで仲間が9人加入

(8)岸田さん
(8)岸田さん

 (8)東京・岸田正勝さん  道交法闘争で昨年は4件の違反事実に誤認がある事案を加点取り消しでき、個人加盟の組合員の加点を取り消せたことで同会社の仲間が9人加入しました。こうしたとりくみで、困ったら自交総連という位置づけが広まれば、組織拡大につながっていきます。



組織拡大と権利闘争は両輪

(9)吉根さん
(9)吉根さん

 (9)北海道・吉根清三さん  組織拡大と権利闘争は車の両輪です。まともに働けば食べていける労働条件を確立しなければ若い労働者が職場に入ってきません。オール歩合給や国際自動車事件にあるようなペテンの賃金体系に正面からたたかいを挑み、見直しを求めていかねばなりません。



危険なライドシェア阻止を

(10)曽野さん
(10)曽野さん

 (10)京都・曽野武浩さん  白タク合法化阻止への正念場の行動こそが、3・7中央行動です。500以上の人とタクシーで抗議の声を上げ、行動を成功させましょう。また京都地連では大阪地連と共に大津宣伝に参加しています。なんとしても危険なライドシェアを阻止し、運動をすすめていきましょう。



絶対に合法化を阻止しよう

(11)川端さん
(11)川端さん

 (11)山口・川端輝彦さん  私が働く下関では顧客の中心はお年寄りで、荷物を玄関先まで持っていくこともあります。ライドシェアにこれができるのか。会社が運行に責任を負わず、すべて個人任せ。顧客にも労働者にも得になりません。地方から中央へ反対の声を集約させて絶対に合法化を阻止しましょう。




総括討論


今行動しないでどうする

(12)田村さん
(12)田村さん

 (12)東京・田村清隆さん  3・7中央行動では霞ヶ関周辺でタクシー車両を使用したライドシェア反対の大行動を企画しています。今行動しないでどうするのか、という意味で全国の皆さんにも参加を呼びかけたいと思います。白タク合法化阻止、組織強化・拡大、政策要求の実現、労働条件改善にむけ広範な労働者と団結し奮闘していきましょう。



3・7行動に宣伝カーを派遣

(13)松下さん
(13)松下さん

 (13)大阪・松下末宏さん ライドシェア阻止の正念場として、3・7中央行動に宣伝カーを出すと共に人員も派遣します。
  19春闘では、職場の待遇改善、白タク合法化阻止、事故が絶えず健康破壊がすすむバスの安全運行確保、改憲・消費税増税阻止へ、安倍政権打倒・維新型強権政治を打破するため最大限の努力をしましょう。



疑問には真摯に答えていく

(14)冨中さん
(14)冨中さん

 (14)東北・冨中有さん  宮城地連と福島地連が合流し、東北地連が結成されました。しかし機能を維持できても、後継者問題は解決しません。なぜ自交総連なのか、自分たちの行動を言葉で伝え、疑問には真摯に答えていく必要があります。
  東北地連の運動としては、宮城と福島でそれぞれライドシェア反対の2・1宣伝行動を計画しています。



3・7行動の成功を

全国から宣伝カー・多数で参加の声

執行部答弁

菊池書記長
菊池書記長

  白タク合法化阻止3・7中央行動には東京から「いま行動しないでどうする」と奮闘する決意が述べられ、大阪・京都からも宣伝カーや多数で参加する発言があった。大きな山場のたたかいとして、全国から結集して成功させたい。
  労働条件改善、職場権利の課題で埼玉・静岡などから運賃改定の発言があったが、改定の準備がすすんでいるところでは、運転者の労働条件改善という主旨が実現するものにしなければならない。割増賃金や有給休暇などの権利確保についても、労働者の実利をかちとっていくことが重要だ。神奈川・箱根登山支部への不当労働行為の攻撃には全国から反撃していかなければならない。
  政治を身近な問題として話し合う必要があるとの発言があった。そのとおりで、政治を話題にして、地方選・参院選で労働者のための政治を実現しよう。
  すべての運動を組織拡大と結びつける必要がある。新しい仲間を迎え入れて春闘をたたかおう。

規制のサンドボックスを報告

時間外手当請求事件について討論

第41回弁護士交流会

第41回弁護士交流会=1月22日、東京・全労連会館

第41回弁護士交流会=1月22日、東京・全労連会館

  自交総連第41回弁護士交流会が1月22〜23日、東京・全労連会館で開催され、10地方から弁護士25人と城委員長が参加、中執が傍聴しました。
  交流会では、本部弁護団・小賀坂弁護士が『「規制のサンドボックス」でライドシェアはどうなるか』と題し基調報告を行いました。規制のサンドボックスは、従来の規制にとらわれず「革新的事業活動」について社会実験を行い、実証的データを収集するものです。報告では、グレーゾーン解消制度との違いに触れつつ、ライドシェアについても申請自体は法的に止められないので、今後の運動で止めていくことが大切としました。
  特別報告では、@旭川金星ハイヤー・労組結成を嫌悪した不当解雇事件=北海道・齋藤耕弁護士、A箱根登山ハイヤー・多数派組合と会社が一体となった差別取扱い・不当配転事件=神奈川・田渕大輔弁護士、B太宰府タクシー・委員長の雇止め事件=福岡・梶原恒夫弁護士、C土電ハイヤー=高知地連有休手当を歩合給から差し引いていた未払い賃金請求事件の勝訴判決=菊池和彦書記長、D国際自動車・割増賃金を歩合給から差し引く未払い賃金請求事件の経過=東京・菅俊治弁護士――の5つの報告があり、活発な意見が交わされました。
  その他の参加弁護士から、四日市名鉄タクシーの休憩時の時間外労働賃金請求事件も報告され、討論しました。

7割が前日の疲れ取れない

政府への要求、白タク反対トップに

19年春闘アンケート 回答を分析し春闘要求に活かす



◎図1 平均勤続・経験・年齢
図1

  自交総連の2019年春闘アンケートを紹介します。
  回収枚数は19地方5686枚、回収率44・5%です。配布・回収体制を見直し、全組合員がアンケートに回答できるようにしてください。

高齢化傾向に変化

 平均年齢は57・7歳で、前年より0・3歳下がりました。60歳以上の比率は50%で前年より増えていますが、29歳以下も前年より増えました。ほぼ一直線で続いていた高齢化の傾向が、変化しているかもしれません(図1〜3)。

◎図2 平均勤続・経験・年齢の推移
図2

◎図3 年齢構成(全体)
図3

6割が生活苦しい

  生活実感では、かなり苦しいとやや苦しいを合わせると65%、前年より減っていますが、他の産業と比べるとかなり多くなっています(図4)。
  賃金引上げの平均要求額は2万5373円(前年2万6352円)でした。

◎図4 生活実感
図4

疲れが安全に影響

  タク・バス乗務員で前日からの休息期間が11時間未満の人がタク35%、観光バス45%いました。改善基準違反である8時間未満もタク10%、観光バス6%います。
  運転中の経験では、前日の疲れが取れないがタク71%、観光バス73%、交通事故を起こしそうになったがタク68%、観光バス45%、安全確認がおろそかになるがタク56%、観光バス45%、居眠り運転をしたがタク28%、観光バス21%でした(図5)。前回乗務の疲れが回復せずに運転して安全に影響が出ていることがわかります。

◎図5−1 仕事で運転中の経験(タクシー乗務員)
図5−1


◎図5−2 仕事で運転中の経験(バス乗務員)
図5−2

賃金、退職金に不満

  職場での不満は、全体では@賃金が安い59%、A退職金がない38%、B労働時間が長い26%の順でした(図6)。タクシーでは@賃金、A退職金、B労働時間。技職では@人手が足りない、A賃金、B職場がなくなる不安、自教では@賃金、A労働時間・職場、観光バスでは@賃金・退職金、B職場の順でした。この項目は地方によってもかなり違いがあり、青森では退職金、休暇が取れないが、東京ハイヤー、山梨では労働時間がトップにきています。地方ごとにアンケートの回答を分析して春闘での要求に活かしていくことが大切です。

白タク反対49%

  政府に対する要求では、@白タク反対49%、A最賃引き上げ34%、B消費税増税中止33%、C年金拡充31%、D改憲反対27%の順でした(図7)。白タク反対が前年の2番目(38%)からトップになり、改憲反対も前年の11%から2倍以上に増えました。最賃や消費税なども含めて重要な課題の宣伝や学習をすすめましょう。

◎図6 職場での不満(複数回答)
図6


◎図7 政府に対する要求(複数回答)
図7

新加盟のなかま 

(846)福岡・吉野ヶ里観光タクシー分会
賃上げ、ノースラ約束

  佐賀県の吉野ヶ里観光タクシー有限会社で働く仲間が1月6日、吉野ヶ里観光タクシー分会(池田正俊分会長、14人)を結成しました。
  会社には別組合がありましたが、10年間賃上げがなく、いったん解散。労働条件改善のため自交総連組合経験のある池田分会長が福岡地連に相談し、結成に至りました。
  その後、会社との団交で賃上げ、10月の運賃改定後のノースライドを約束しました。


(847)東京・日興タクシー労働組合
職場の労働条件改善を

  東京都板橋区の日興タクシー株式会社に働く仲間が1月11日、日興タクシー労働組合(渡邉和宏委員長、6人)を結成しました。
  職場の労働条件改善のため昨年10月から準備に入り、七福ブロック幹部や地連の専従役員と相談を重ねて結成に至りました。
  結成大会後、会社に団交申し入れ書を提出、また組合紹介のビラを3日間配布するなどして組合員を増やしています。