資格もった運転者の乗務必要
国交省のガイドラインに反対する見解を公表
国土交通省は6月26日、「限定地域での無人自動運転移動サービスにおいて旅客自動車運送事業者が安全性・利便性を確保するためのガイドライン」を策定しました。
来年の限定地域での無人自動運転実現にむけ、バス・タクシー事業者が安全性・利便性を確保するために対応すべき事項をまとめたものです。
しかし、無人運転では、バス・タクシーの安全性は確保できません。自交総連では、ガイドラインに反対する見解を8月21日に確認しました( 全文はこちら)。
無人で大丈夫か?
ガイドラインは、「運転者が車内にいる場合と同等の安全性及び利便性を確保する」として、それが実現できれば、無人自動運転を認めようとしています。しかし、旅客を乗せたバス・タクシーでは、自動運転技術が進歩したとしても、運転者が車内にいない状況で、旅客の安全と利便を確保することはできません。
主な問題点は下表のとおりですが、とくに高齢者や障害者、子どもを乗せた車両が、地震など天災に直面した場合、遠隔地からアナウンスで避難誘導するなどでは、まったく間に合いません。
国民の合意もなく拙速にすすめるな
バス・タクシーの無人運転について国民的な理解、合意も得ないまま、拙速に自動運転を推進することは許されません。
自交総連は、自動運転技術の進歩にかかわらず、バス・タクシーでは、その車両を運転する資格をもった運転者が乗務していることが必要であることを主張していきます。
核兵器ない世界へ
自交総連から25人参加
原水爆禁止19年世界大会・長崎
原水爆禁止19年世界大会・長崎=8月7日、長崎・市民会館体育館と文化ホール |
原水爆禁止2019年世界大会・長崎が8月7〜9日にひらかれました。国内外から開会総会には約4000人、自交総連からは25人の仲間が参加しました。
初日の開会宣言では、世界大会実行委員会議長団の太田義郎氏が主催者あいさつで、広島・長崎の被爆から75年、核不拡散条約発効50年と節目の年である来年へ向けて、大会を大きく成功させようと語りました。
開会総会終了後には自交総連の産別交流会がひらかれ、仲間同士で交流を深めました。
2日目は、参加者が長崎市内各地で「憲法9条守り、非核平和の日本を」など多彩なテーマ別集会、動く分科会、フォーラム、交流集会に参加し、核兵器廃絶へむけて学習、交流しました。
最終日の閉会総会では、人間らしく生きたいと願うすべての人びとに核兵器のない世界の希望をとどけようという「長崎からのよびかけ」を満場一致で採択しました。
未加入地方へ対策強化
自交共済第38回総会ひらかれる
自交共済第38回総会=9月4日、東京・全労連会館 |
自交共済は9月4日、全労連会館で第38回総会を開催し、こくみん共済 coop(全労済)の担当者を含めて合計22人が参加しました。
自交共済の加入状況は、昨年から457人減の14地方3498人(19年5月末現在)となっています。
総会では、加入人員を5000人にすることを目標に、未加入地方への対策強化にとりくみ、共済加入条件の改編への討議・検討を行っていくなどとした第37期活動計画や運営規定の変更を満場一致で採択しました。
質疑討論では、各地方から加入促進のための意見があがり、活発な議論が行われました。給付内容の見直しや、リーフレットに関する要望、脱会の際にこくみん共済 coopから本部へ相談・報告を密にすべきではないかといった提案が出されました。
これらの意見については、今後の自交共済運営委員会で議論していくこととしました。
道運法改悪阻止へ署名
来春闘までに集中的に集める
第5回中執
自交総連は9月3〜4日、第5回中央執行委員会をひらき、秋季年末闘争方針を決め、第42回定期大会にむけた19年度運動方針案を確認しました。
秋闘では、すべてのたたかいを組織拡大と結合して増勢をめざすとともに、ライドシェア導入の突破口とするための自家用運送の拡大、道路運送法の改悪を阻止するため、自家用運送拡大反対、地域公共交通の充実を求める署名を提起し、来春闘までに集中的に集めるとともに、宣伝物等も作成して、地方自治体・議会への要請行動、街頭宣伝を行って世論に訴えていくことにしました。
大会は10月21〜22日、東京・全労連会館で開催します。(方針全文はこちらを参照)
政治には政治で対応
滋賀県タクシー協会と意見交換
関西ブロック
滋賀タクシー協会幹部と意見交換=7月8日、滋賀・トラック総合会館 |
【大阪】関西ブロックの宣伝隊は7月8日午前、観光客が多く訪れるJR京都烏丸口で、白タク・ライドシェア合法化阻止に向けた宣伝行動を行いました。
京都地連の森長さんは、「労働条件改善を目的にした運賃改定だったはずなのに、賃下げのスライドを行った事業者がいる。まさに市民への公約違反だ」と指弾しました。
午後から宣伝隊は滋賀県タクシー協会を訪れ、同協会は濱田専務理事と野崎常務理事が対応。組合は5月13日の大津市役所交渉の内容を説明し、同協会もこれまでの対応について資料を示し詳細に説明しました。
両氏は、協会として事業者と共に自治体の要請にも一つひとつ丁寧に対応していることを説明するとともに、各自治体の議員団に要請するなど「政治には政治で対応したい」と語りました。
争議解決へ力添えを
小田急電鉄本社前で要請
神奈川地本
宣伝行動を行う神奈川の仲間=8月8日、東京・小田急電鉄本社前 |
【神奈川】神奈川地本は8月8日、箱根登山ハイヤー支部の神奈川県労働委員会での係争の速やかな解決を求め、箱根ホールディングス社の親元である小田急電鉄本社前で宣伝行動を実施しました。
酷暑の中、本部の城委員長や菊池書記長、東京地連からも参加があり、神奈川地本、神奈川労連など38人で力添えを要請しました。
今後の活動の参考になった
9の分散会で真剣な議論
東京地連
東京夏季研究集会=7月9日、栃木・きぬ川ホテル三日月 |
【東京】東京地連は7月9〜10日、きぬ川ホテル三日月で第62回夏季研究集会を開催。36組合141人が参加しました。
1日目は本部の菊池書記長が基調講演し、春闘総括案と次年度運動方針を提案した舞弓書記長が、「東タク協が監修した事業者のための『モデル就業規則』が発行され、改正された有休の取得義務についても、対応策が記されている」とし、これらを参考にして不利益が発生しない交渉を促しました。
その後参加者は、9分散会にわかれて討論を行い、2日目はタクシー、技職から分散会報告、全体討論では6人が発言しました。
参加者は「それぞれの参加組合の活動の現状や課題、また会社内情などについて比較しながら意見交換と議論を交わし、今後の活動の参考になりました」と語りました。
運賃改定に危機感
神奈川地本
夏季学習討論集会を開催
神奈川夏季学習討論集会=8月6日、神奈川・横浜市従会館 |
【神奈川】神奈川地本は8月6日、横浜市従会館で夏季学習討論集会を開催し、10支部より26人が参加しました。
集会では、本部・菊池書記長や高橋由美弁護士の講演を聴き、19年春闘まとめ、次期役員体制、箱根登山ハイヤー争議支援共闘の現状についての協議を行いました。
討議では、神奈川県下(小田原交通圏を除く3交通圏)での12年ぶりの運賃改定と、10月から最低賃金が1000円を超えることへの危機感を確認しました。運賃改定による乗り控え等で最賃割れが起こりうる秋以降、きちんとした賃金協定の締結することが重要としました。
地域間格差いまだ大きく
2019年度地域別最低賃金の改定状況
東京・神奈川で1000円突破
2019年度の地域別最低賃金額が決定しました。新たな最低賃金は10月以降に適用となります。
4年連続で3%の引き上げ率を確保し、全国加重平均額は27円アップの901円となりました。引き上げ後の最高は東京の1013円、最低賃金が最も低いのは15県の790円です。
今回、東京と神奈川で1000円を突破しましたが、地域格差はいまだ大きく223円となりました。
全労連では、全国一律でいますぐ1000円以上、1500円の最低賃金をめざす要求を掲げています。
労働法令違反 タク85% バス75%
事業者へつよい指導必要
労働基準関係法令・改善基準告示の違反状況
厚労省は、自動車運転者を使用する事業場に係る労働基準関係法令・改善基準告示の違反状況の2018年分を公表しました。
労働法令違反は、タク85%、バス75%、告示違反はタク33%、バス51%でした。監督実施数は6531件でした。ほとんどの事業所で違反が常態化しているという結果は毎年変わりません。
改善基準告示の改正がひかえていますが、現行の制度を守らせるよう厚労省が事業者へつよく指導しなければなりません。
ノースライドと運賃改定 (2)
運賃改定時に労働条件改善を確実にかちとろう
国も認めたノースライドの正しさ
ノースライドを求める自交総連の長年の運動が実って、07年3月28日、国土交通省は「一般タクシー事業における今般の運賃改定申請の審査等の取扱いについて」(国自旅第325号)という通達を出しました。
この通達は、運賃改定のときに、ノースライドで賃金が増える分をあらかじめ見込んで運賃を査定し、改定率を決めるというもので、ノースライドの正しさを国が認めたといえるものです。
これを事業者に守らせるため、通達では、事業者は運賃改定時に労働条件改善をすること、改定後に労働条件改善が不十分なときには地方運輸局が指導をすることを明記しています。
ノースライドを前提に査定して運賃改定率を決めているのですから、「労働条件改善の原資がないからノースライドはできない」などという経営者の言い訳は一切通用しなくなりました。不当なスライド賃下げをねらう経営者がいたら、運輸局・支局に申告して指導を求めることが大切です。
実際に増収になる運賃改定を
規制緩和と経済の停滞で、タクシーの営収も低迷状態がつづいています。
運賃改定をしても、営収が増えなければ、ノースライドでも賃金が増えないということになりかねません。実際に賃金が増えるためには、下記の前提条件が必要です。
自交総連では、これらの措置を国交省にも申し入れています。地方ごとに運輸局とも交渉します。運賃改定時の労働条件改善が確実に実施されるよう、劣悪な賃金を改善するため、自交総連と一緒にノースライドで賃金アップをかちとりましょう。
今年10月実施予定の消費税増税の価格転嫁と同時に予定していた、タクシーの本運賃改定が先送りとなりました。
決定時期は未定とはいえ、審議は継続しています。今後も情勢を注視していく必要があります。
運賃改定で増収になる前提条件
(1)適切な運賃改定率の確保
18年の仙台市の改定では、改定率が2.62%と異常に低く、増収になりませんでした。運転者人件費をマイナスに査定されているなどの問題点があったため、自交総連では査定の適正化を国交省・運輸局に求めています。
(2)各種手数料を運賃原価に含めて査定
今後、クレジットカードの利用やアプリ配車の増大が想定されます。これらの手数料は会社が負担するものであり、運転者負担になることがあってはなりません。これらの手数料が、適切に運賃原価に含め申請され、査定されるようにすべきです。
(3)タクシーの適切な減車
タクシーの供給過剰を放置し、ムダな遊休車両を抱えたまま、利用者に値上げの負担をお願いするわけにはいきません。供給過剰のままでは増収にもなりません。適切な需給調整=減車により、多すぎるタクシーを減らし、ムダを省いた経営にしなければなりません。