自交労働者No.937、2020年3月15日

安心なタクシーに乗りたい

無制限な自家用有償運送を危惧

院内集会、国交省・厚労省交渉を行う

国会内で決起集会を実施=2月13日、東京・衆議院第2会館内会議室
国会内で決起集会を実施=2月13日、東京・衆議院第2会館内会議室

  自交総連は2月13日、自家用有償旅客運送の拡大、道路運送法改悪の阻止のため国会の動向を分析し、今後の運動の前進を図るために、国会内での決起集会・議員要請行動を実施しました。集会には、武田良介参議院議員や関係団体、報道関係も含めて全体で59人が参加しました。
 13時から衆議院第2議員会館第7会議室で国会内決起集会を開始し、城委員長と、日本共産党の武田良介参議院議員がそれぞれあいさつを行いました。続いて「障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会」の市橋博会長が連帯あいさつで、交通弱者にとって自由化は恐ろしい、安心なタクシーに乗りたいと訴えました。
 その後、石垣副委員長、舞弓副委員長、冨松常執、庭和田副委員長が地方報告を行い、自家用有償旅客運送拡大反対のとりくみやライドシェアの危険性について発言。まとめとして菊池書記長が情勢報告・行動提起をしました。
 14時半からは、各党の30人の議員へ要請行動を行いました。


3・5中央行動を実施

  3月5日には、自家用有償旅客運送の拡大、道路運送法改悪の阻止に加えて、新型コロナウィルスの問題への緊急の対応も含めて議員要請、国土交通省・厚生労働省交渉にとりくみました(国会前での決起集会はコロナ問題のため中止しました)。議員要請では、各党の33人の議員へ要請行動を行いました。
 15時からは国交省、厚労省と中執メンバーが交渉、武田良介参院議員(共)も参加しました。
 国交省では、自家用有償旅客運送の輸送対象・地域等の拡大について、組合側が、実施可能となる「交通空白地」か否かが各地域の協議会の協議が調えば決まるということになれば、無制限に自家用有償旅客運送を全国に広めるものではないかと追及。省側は、「協議が調う」という採決の方法を含め各地域で決めるものだとしました。また、2月からの運賃改定で改定の趣旨に反するスライド賃下げなどを言い出している事業者への対応では、省側は、「(守らない事業者については)地方運輸局に申告してほしい」と答えました。
 厚労省では、新型コロナウィルスの問題について、発熱症状があるなど具合が悪い運転者がいても賃金の保障がなければ休みたくとも休めない、対応策はないのかと質問すると、省側は、現状では柔軟に休暇がとれるように有休の利用や傷病手当金などで対応する他ないとしましたが雇用調整助成金の要件緩和や病気休暇をつくった企業に時間外労働等改善助成金を出すなど緊急の対策をすすめており、今後検討していきたいとしました(※交渉の詳細はこちら)。

33人へ議員要請

要請書を受け取る清水忠史衆議院議員(右から二人目)
要請書を受け取る清水忠史衆議院議員(右から二人目)

  国会議員要請は、2人で1班、全9班をつくり、衆参33人の議員に要請しました。
 要請の主旨は、@法案の中の自家用有償旅客運送の拡大、道路運送法の改悪部分に反対してほしい、Aこの狙いはライドシェアへの突破口とすることにある、B地域公共交通充実、障がい者らのタクシー利用への運賃補助のため予算をふやすこと、C請願書を議院に提出する際の紹介議員になることへの承諾、というものに加え、緊急にコロナウィルス対策の要請も行いました。
 次のような報告が集まっています。
 ◎共産・倉林明子参院議員=倉林議員本人が対応してくれ、ライドシェア、自家用有償旅客運送などについて理解を示していただきました。その他、コロナによる営収減についても話が及びました。
 ◎立憲民主・長浜博行参院議員(秘書)=法案のレクチャーを受けたばかりですと話を聞いてくれた。過疎地のバス・タクシーの補助金30億円では不足で、国の予算を増やさなければなりませんと訴えました。

新型コロナ対応など論議

ウーバーイーツユニオンと交流

第3回中央執行委員会

ウーバーイーツユニオンの役員が実態を報告(写真中央)=3月4日、東京・全労連会館
ウーバーイーツユニオンの役員が実態を報告(写真中央)=3月4日、東京・全労連会館

  自交総連は3月4日、第3回中央執行委員会をひらき、20春闘の今後のたたかい方を決めました。
 道路運送法の改悪阻止闘争、運賃改定での労働条件の改善、新型コロナウィルスの対応など、緊急課題も含めて論議、4月13〜17日のゾーンに統一行動を配置することを決めました(全文はこちらを参照)。
 会議では、学習交流会としてウーバーイーツユニオンの鈴木副委員長と土屋執行役員を招いて、働き方の実態を聞きました。
 ウーバーイーツでは配達員を労働者と認めず、団交を拒否していて、配達料金が一方的に下げられたりする、組合では当面は労災の補償を要求していることなどを聞き、交流しました。

関西地連を結成

各組織は存続

大阪、京都、和歌山が結集

関西地連結成に乾杯する参加者=2月26日、大阪・国労大阪会館
関西地連結成に乾杯する参加者=2月26日、大阪・国労大阪会館

  自交総連の大阪地連・京都地連・和歌山地連が結集する関西地方連合会の結成大会が2月26日、国労大阪会館でひらかれました。
 各組織は、関西地連のもとで存続します。11月の大会まで、関西地連の役員は大阪・京都・和歌山各地連三役が暫定的に務めます。
 委員長=福井勇(大阪)▽副委員長=吉村勇路(京都)、吉田栄二(大阪)、佐野至則(和歌山)▽書記長=庭和田裕之(大阪)

 ※『自交労働者』937の紙面では吉田栄二副委員長のお名前が抜けていました。お詫びして訂正いたします。

交通運輸労働者の労働条件改善を

自家用有償運送拡大反対など発言

交運共闘総会

交運共闘第31回総会=2月27日、東京・水月ホテル
交運共闘第31回総会=2月27日、東京・水月ホテル

  交運共闘の第31回総会が2月27日、東京・水月ホテルでひらかれ、単産・地方から40人が参加しました。
 交運共闘は、自交総連、建交労、検数労連、海貨労協、全税関、国土交通労組が参加して官民労組が協力して交通運輸労働者の労働条件改善、規制緩和反対など政策闘争をすすめています。ライドシェア反対、自動車運転者の労働時間等の改善基準の改正、公務の人員確保など共通する課題で運動をすすめる方針を決めました。
 総会では、自交総連から東京地連田村書記次長が発言し、自家用有償旅客運送拡大をライドシェア解禁につなげようとする動きを指摘し、反対運動への協力を訴えました。
 総会では、城委員長が議長に、菊池書記長が幹事に再任されました。

各地で中央委員会・春闘討論集会ひらかれる


東京春闘討論集会=2月5〜6日、群馬・磯部ガーデンホテル
東京春闘討論集会=2月5〜6日、群馬・磯部ガーデンホテル
 
埼玉地連中央委員会=2月15日、埼玉・ジョイフル川越
埼玉地連中央委員会=2月15日、埼玉・ジョイフル川越
 
 
東北地連中央委員会=2月18日、福島・福島市小倉寺集会所
東北地連中央委員会=2月18日、福島・福島市小倉寺集会所
福岡地連中央委員会=2月16日、福岡・福岡県労連会議室
福岡地連中央委員会=2月16日、福岡・福岡県労連会議室
静岡春闘学習会=2月19日、静岡・浜松西塚区画整理記念館
静岡春闘学習会=2月19日、静岡・浜松西塚区画整理記念館
大阪地連中央委員会=2月26日、大阪・国労大阪会館
大阪地連中央委員会=2月26日、大阪・国労大阪会館
長崎春闘学習会=3月1日、長崎・長与ふれあいセンター
長崎春闘学習会=3月1日、長崎・長与ふれあいセンター


均衡待遇規定・均等待遇規定、4月からスタート

不合理な待遇差は禁止 改定後は会社に説明義務

  2020年4月から働き方改革一括法により、会社に「均衡待遇規定・均等待遇規定」が義務付けられます(中小企業は21年から)。

  均衡待遇規定・均等待遇規定とは、同じ職場で同じ仕事をする正規雇用の従業員と、非正規雇用の従業員との不合理な待遇や賃金格差をなくすというルールです。
 会社には労働者の待遇について具体的に規定する義務があります。これまでは従業員間の待遇差について明確ではありませんでした。
 しかし今後はどのような待遇差が不合理にあたるのかを規定へ反映させることが企業に求められます。
 タクシー運転者で考えると、65歳以降に嘱託・再雇用された場合、正規雇用だったときと比較して労働条件が悪くなるケースが多くみられます。
 同じ仕事をしているのに賞与や交通費が支給されないなどの不当な待遇差があれば、今後は会社にそれについての具体的な説明を求めることができるようになります。

罰則規定なし

  現状では会社が守らなかったとしても、罰則規定はありません。しかし行政に助言・指導を求めることができます。
 労働者が、会社にきちんと法律を守らせるように働きかけていかなければなりません。


表