危機打開の対応を先行
70%〜ほぼ100%の休業補償かちとる
20春闘回答状況
20春闘は、コロナウイルスの感染拡大を受けて、危機打開のための対応を先行させてすすんでいます。
労働者の雇用、賃金を守るために、雇用調整助成金を使って計画的な休業を実施するとりくみが行われています。
宮城では、4月13日に運輸局、16日にタクシー協会と交渉したうえで、近くタクシー協会、全自交にも呼びかけて共同で仙台市と交渉し、自粛要請以降の減収分の補償、雇用調整助成金で助成されない10分の1の助成などを要請する予定です。
東京では3月26日にタクシー協会に要請し、全国にさきがけて大手・準大手企業から休業計画がすすみ、全都的に計画が実施されています。足切り引き下げや特別支給金をとっているところもあります。
福岡では、甘木観光労組で観光バス・タクシーは全員休業、休業補償は平均賃金の80%で合意し、何とか危機を乗り越えようとしています。
単組・支部の交渉では、各地で休業計画で合意し、休業補償は法定基準の60%を超え、70%〜ほぼ100%の補償をかちとっているところもあります。(※2020年春闘 回答速報(コロナ対応含む))
最大限高く
休業手当の支給率や助成金の仕組みなどについて経営側も理解していないために、休業手当を必要以上に低く押しとどめたり、申請をためらい休業を実施しない例もあります。
下に雇用調整助成金の特例についてポイントをまとめています。休業手当をできる限り高くするために、制度をよく理解し、経営者にもわからせることが必要です。
雇用調整助成金の特例について
ポイント1 今回の雇用調整助成金の特例措置は、労働関係法令違反があるなど通常時では助成の対象にならない会社でも利用できます。
ポイント2 休業手当は、賃金の60%以上100%までの範囲で、労使で合意して決めます。労基法で決まっている「直近3か月の平均賃金の60/100」というのは休業手当の最低ラインを定めたものであって、休業手当を60%にしなければならないというわけではありません。できる限り高く100%に近づけることが望ましいことは言うまでもありません。休業手当の基準となる賃金も直近3か月でなくても、それより高くなる期間(11〜1月とか)を基準にして、その○%と決めても構いません。
ポイント3 助成額は休業手当の90%(中小企業)でしたが、5月から実施される追加の特例措置で、休業手当の60%を超えた部分には100%助成されることになります。したがって、休業手当が60%超なら何%でも会社の負担は変わらず、支給率を高くすると会社負担が増えるということはありません。
ポイント4 ただし、助成額は1人1日8330円という上限が決められており、これを超えた部分は助成されません。教育訓練加算を利用すれば中小企業2400円が増額されます。
(※雇用調整助成金 厚労省、東タク協のQ&A)。
退職強要を撤回させる
不当なやり方はねかえす
ロイヤルリムジンと雇用継続を確認
団交に臨む方針を話し合う目黒自交労組の仲間 |
新型コロナウイルスを口実に、従業員600人に退職強要をしていた東京・ロイヤルリムジングループ傘下の目黒自動車交通で4月24日、会社は団体交渉で自交総連目黒自交労組に対し、退職強要を撤回し、雇用を維持することを表明しました。会社の身勝手なやり方をはねかえす成果です。
事件の概要
ロイヤルリムジングループでは、政府から緊急事態宣言が出された4月8日、コロナウイルスの蔓延により事業を休止し、従業員は全員辞めてもらい失業手当を受けてもらう、休業補償より失業手当の方がメリットがある、会社を再出発させたら従業員に戻ってもらうなどと発表、大量「解雇」としてマスコミでも大きく取り上げられました。
会社は、組合との団交で、退職合意書に合意してくれ、解雇予告手当は払えない、計画休業して休業補償をすることは考えていないなどとする一方で、兵庫で新たに1社を買収していることが明らかになりました。コロナ危機に便乗して、労働者を辞めさせ、会社負担のない失業手当を受給させ、会社だけ生き残ろうという不当なやり方です。
これに対し国交省・厚労省は相次いで事務連絡やQ&Aを発出。そこでは、@解雇が、客観的に合理的な理由を欠く場合は無効、Aやむを得ず解雇をする場合でも、30日前の予告か解雇予告手当の支払いが必要、B失業手当と休業手当のどちらの方が多くもらえるかは一概には言えず、解雇の場合は、労働者に国民健保・年金の負担や将来の年金額の減少などが生じる、C再雇用を前提としている場合は失業手当は支給されない――として、ロイヤルリムジンのやり方は労働者にメリットがないことを明らかにし、雇用調整助成金を使った雇用の維持が重要であることを強調していました。
退職撤回へ
組合では、退職合意書にはサインをしない、解雇はされていないので雇用は継続している、臨時休車や雇用調整助成金を使って計画休業して会社を続けさせ、休業補償をさせて雇用を守るという基本方針で臨みました。 24日の団交では、社内の多数派労組(KPU目黒自交ユニオン)も一緒に参加するなかで、金子社長が、退職合意を拒否した労働者は雇用が継続している、退職合意書撤回にも応じる、稼働車両を減らして営業を再開し、退職者が多い場合はグループ他社からも運転者を集めるとの考えを示しました。
4月27日、合意内容を文書にして調印しました。(さらなる詳細)
自家用有償運送の拡大、衆院委員会で可決
日本共産党は修正案を出して反対
衆議院国土交通委員会4月14日、地域公共交通活性化・再生法の改正案を、日本共産党を除く賛成多数で可決しました。法案は近いうちに衆議院本会議を経て、参議院での委員会審議は5月以降になる見込みです。
同法案は、交通の不便な地域で公共交通の維持・充実を図るために、バス・タクシーなどを動員して活用しようというものですが、そのなかにライドシェアへの突破口となりかねない自家用有償旅客運送の拡大・道路運送法の改悪が含まれており、自交総連では署名をはじめ反対の運動をつよめてきました(右表は署名集約数)。
新型コロナウイルスの緊急事態宣言発出で、国会前行動や傍聴が制限されていますが、事前に衆議院議長あての署名8000筆を提出(参議院議長分は別途1万筆を提出)、各委員にファックスで道運法改悪部分への反対を要請していました。
審議では、日本共産党の高橋千鶴子議員が道運法改悪部分を削除する修正案を提出しましたが賛同する会派はなく否決、本案を日本共産党以外の賛成多数で可決しました。附帯決議は、日本維新の会がライドシェアの導入は認めないとの文言があるからとして反対、日本共産党を含む各会派の賛成多数で可決されました。
高橋議員は、自家用有償運送とタクシーの違いを質問、自家用有償運送は、二種免許が必要でなく、国家資格の運行管理者がいなくてもいいこと、運転者はボランティアなので労災の適用もないことなどを答弁させ、安全性・利用者保護に問題があり、労働者の処遇も下がってしまうことになると指摘、自家用有償運送ではなく、タクシーにやらせればいいではないか、竹中平蔵氏がライドシェアへの突破口にすると言っているのが違うというならば、タクシー労働者の処遇を改善して、タクシーが地域公共交通を担えるようにするべきだと述べました。
組合員全員に解雇通知
撤回求め闘争
東北地連センバ流通労組
仙台市のセンバタクシーで4月30日、従業員35人中組合員8人全員を含む約半数の従業員に突然、解雇通告がされました。
東北地連センバ流通労組との団交で、会社は、コロナで売上が下がって毎月赤字でやっていけないから整理解雇するとし、人選の基準はとの追及には、会社のいうことをよく聞いて働く人だけを残すと言い、雇用調整助成金を使った休業をしろという要求も聞き入れない、非常識で無責任な態度を示しています。
組合では、弁護士とも相談して5月12日に地位保全の仮処分申請を行いました。不当解雇撤回へむけ一丸となって闘っています。
「社会の歪みを正そう」
第91回中央メーデー
(第91回メーデーYouTube映像配信より) |
5月1日、都による会場の使用停止により、ウェブ上で映像配信での第91回中央メーデーが行われました。
小田川義和実行委員長は、「コロナ危機で明らかになった社会の歪みを正そう」と呼びかけ、各団体の代表が決意表明を発信。最後に、第91回メーデー宣言が採択されました。
国会前で改憲反対を表明
5・3憲法集会
(5・3憲法集会YouTube映像配信より) |
総がかり行動実行委員会などでつくる5・3憲法集会実行委員会は5月3日、国会正門前で「5・3憲法集会2020」をひらきました。
新型コロナウイルスの感染が広がり、有明防災公園での集会は中止となり、国会正門前での集会がネット配信されました。
自交共済 全員加入で大きな安心を
コロナ自宅待機にも給付の可能性あり
安い掛け金で大きな給付
自交共済は、自交総連の組合員のみが加入できる自前の助け合い制度です。
こくみん共済coop(全労済)とタイアップして運営しているもので、組合員には、自交総連給付金と全労済給付金を合わせた額が一括で給付されます。
共済事由は多岐にわたります。万一の時の保障だけでなく、結婚銀婚・出生・入学などの祝金も給付対象となり、組合員の安心に役立っています。
新型コロナウイルス感染症自体は支払い対象外ですが、自宅待機などの場合は傷病による休業(14日以上〜)で、ご請求していただければ給付できる可能性があります。
自交共済にまだ加入していない組合員のみなさん、加入は、組合・支部ごとで全員加入が条件となっています(下)。すぐに組合で話し合いをはじめてください。
安い掛金で大きな給付、わたしたちの共済制度を大きく育てましょう。